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(短編集)

無貌の神



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【この小説が収録されている参考書籍】
無貌の神

無貌の神の評価: 4.25/5点 レビュー 12件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

異次元の世界を彷徨う

どの話も、現実の世界から離れて異次元の世界に入り込んでしまいます。そして、どの世界も生と死とに彩られており、読み終わってもなおどこかを彷徨っている感じです。残酷な面もありますが、第6話にある『万の死の悲惨さに比べればこんなものはなんでもない』の言葉で、死を含めて世界を真摯に見つめる気持ちにもさせられます。皆さんも是非、精神の彷徨を感じてみてください。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.8:
(5pt)

現役最高の幻想作家

恒川光太郎完読を目指している。途中で飽きるかと思ったが、何冊読んでも面白さが色あせない。
感性に優れ、アイデアが豊富だ。引き出しの多さは現役日本作家の中でも群を抜く。
ホラー作家と分類されるようだが、ファンタジーあるいは幻想作家と呼ぶべきだろう。

表題作は顔のない神を祀る村の話だ。『十二月の悪魔』は生気のない灰色の町を記憶喪失の男がさまよう。
水準以上ではあるが、作者にしては平凡かな。
ほかの四篇はいずれも秀逸である。
『青天狗の乱』は江戸時代の島流しが背景だ。残酷だが痛快。平田弘史の劇画を思い出した。
『死神と旅する女』少女は死神の手で殺し屋にされてしまう。摩訶不思議としか言いようのない奇譚だ。
似た話さえ読んだことがない。最後のはプレゼントかな。傑作だ。

『廃墟団地の風人』嫌な意味で現代的な風景に、人外の者が降り立つ。
現代の妖怪を語らせては、作者こそが第一人者だ。
『カイムルとラートリー』本作が最も気に入った。しゃべる野獣と足の悪い皇女の交流と冒険を描く。
波乱万丈で泣かせる。児童文学の逸品のような味わいだ。

モヤッとした結末にも良さはあるが、やっぱり腑に落ちる話の方が好きだ。で、最高点を。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.7:
(5pt)

聖と俗の入り混じった異世界短編集

雑誌「幽」に掲載された短編を集めたもの。神なのか魔物なのかケモノなのか、人のようで人ではないナニカが存在する別個の小宇宙をそれぞれ描き出している。意味がありそうで、よくわからない部分も多い。少なくともステレオタイプな教訓は読み取れない。
 でも、そもそも世界は意味あるものとして存在しているのではない。世界はただそこにあり、我々が何か意味を読み取ろうとしているだけだ。
 少し人間の理屈に近づきすぎた「十二月の悪魔」と「廃墟団地の風人」は、その分物語世界が浅い気がする。そして、古代中国のような国を舞台としたファンタジー「カイムルとラートリー」が、どこまでも美しい。彼らは意味のためになど生きてはいないからだ。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.6:
(5pt)

掌編が6作

今までの小説の中で一番好きだった。残酷で純粋でうつくしい。歳をとって昔のように夢中に本を読むことがなくなったが、ひさしぶりに本の世界に引きずり込まれた。長い物語の序章のような掌編がいくつかあった。読み終わって本が閉じられ、閉ざされた本の中で彼らの本当の物語がはじまる。そんな果てしない世界を感じさせてくれる余韻がある。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.5:
(5pt)

幻想的な世界が好きであれば非常にオススメです。

恒川さんの描く世界が夢と現実の間にいるようでとても心地よく読んでいます。
草原を撫でる風のように爽やかな終わりのカイムルとラートリー、生命の輪廻や業をテーマに幻想的な広がって行く無貌の神など…
気がつけばもっと恒川さんの世界を味わいたい、浸っていたいと感じる作品たちでした。
飲み終えてしまったのがとても惜しく思います。
次回作もとても楽しみです。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.4:
(4pt)

長編にもなりそうな恒川さんらしい独特なダークで乾いた世界設定の短編がいくつもあります。ファンならお薦め

恒川さんの本はいつも楽しみにしています。彼の作品は長編も短編も読者を異世界に
引き込む不思議な設定が特徴なので、長くその設定を楽しめる長編のほうが好きですが、
短編でも長編にも使えそうなアイデアが惜しげもなく出てきて大変楽しめます。

「廃墟団地の風人」:恒川さんらしい不思議な設定と、最後のあっと驚く結末が秀逸。本書で一押し。
「カイムルとラートリー」:良い意味で子供も楽しめるような、少女と人語を覚えた獣のファンタジー。
    長編にしても十分楽しめそうな世界の奥行きを感じました。
「死神と旅する女」:アイデアは既存だと思いますが、雰囲気は恒川さんらしいダークな感じ。
「無貌の神」:表題作。雰囲気は一番恒川さんらしい。独特の不可解な神が存在する村と、
    そこからの脱出譚だが、世界観を消化しきれず。
「青天狗の乱」:幕末時代の離島での大量殺人を題材にした昔の短編推理小説風。
「十二月の悪魔」:近未来の管理社会を風刺する社会派もの?で既視感あり。

いずれも設定をもっと掘り下げていくと、面白い長編になりそうで、やはり恒川さんには
長編をお願いしたいです。
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No.3:
(5pt)

日常と境界なく存在する異界

いつも作品を拝見するたび、日常と境目なく本当に存在しているかのような、異界の生々しい描写に息を呑みます。本作も例外に漏れず、路地裏にあるような皮膚感覚を覚えつつ異界譚を楽しませていただきました。
これまでの短編に比べると、ファンタジー色が強い作品達が多い印象を受けました。恒川さんの他の作品も好きな読者さんなら、読んで楽しめるんじゃないかなぁ、と思います。寂寞とした虚しさ、どうしようもできない人間の無力さ。無常に過ぎ去る時間。
購入して読み終わり、「次回作まだかなー」とアマゾンを検索したついでに、再読してレビューしました。次作が待ち遠しい。
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4041052696
No.2:
(4pt)

独特の世界観があり、どの作品も楽しめた

著者独自の視点から、ブラックユーモアをを交えて空想の世界を描いた短編集。

独特の世界観があり、どの作品も楽しめた。

個人的には「廃墟団地の風人」、「カイムルとラートリー」が好きだった。

「廃墟団地の風人」は地上に墜落して人間世界に迷い込んだカゼビトの話。カゼビトが行き続けるためには人間の体を乗っ取るしかないのだが、一度決めた体を変えることができない。カゼビトが一人の少年を守るためにどのような選択をするのか、読み応えがあった。

「カイムルとラートリー」は、人間の言葉を理解して学習する崑崙虎のカイムルと、足が不自由な皇族の娘ラートリーの話。人間に気持ち悪がられ、見せ物にされるカイムルが、どうやってラートリーに心を許していくのか、最後まで楽しめた。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696
No.1:
(5pt)

恒川さん、ごめんなさい

もしも、この作家の描き出す異界への入口が目の前に開いていたら、私は躊躇うことなく
足を踏み入れるだろう――相変わらずそう感じさせる陶酔を、この数編の短編は放っている。

これまで恒川さんが描いてきた異界の物語は、どれもとても魅惑的で、同時にすさまじく恐ろしい。
だから私たちは冒険譚を読み進むように、わくわく、ドキドキしながら頁をめくる。
その物語が、たとえ数百ページ、時にはたった数十ページという長さで終わろうとも、
冒険を体感した魂は、その衝撃と感動を味わい、長らく余韻に浸ることができる。
なんという僥倖だろう。
それでも貪欲なファンの私は、心のどこかで読んでも読んでも終わらない物語を欲しているのを感じる。
我儘な読者だ。恒川さん、ごめんなさい。

赤い橋の彼方にある常世の摂理を描いた「無貌の神」には、生々流転のこの世の摂理が透けて見える。
「死神と旅する女」の終盤を知れば、フジが本当にいてくれればよかったという思いを強くするだろう。
「カイムルとラートリー」は短編だが、「スタープレイヤー」~「ヘブンメイカー」のような長編シリーズにも
なり得る、と思わせる魅力的なキャラクターが登場する。

短編で癒された一時の渇きを、次回はぜひ長編で癒したい。
無貌の神Amazon書評・レビュー:無貌の神より
4041052696

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