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おまえのすべてが燃え上がる
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おまえのすべてが燃え上がるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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テンポのいい軽快な文章。気が付けば読み終えていました。 実は、最初は主人公の信濃という女性にあまり共感できませんでした。愛人になってるし、何だかダメ女だなぁと。でも、彼女の過去を知るうちに、感情移入していく自分がいました。 若い女性の物語かと思いきや、最後は結構な年数が経っています。もう少し、そのあたりをじっくり書いてもよかったのかなぁとは思いますが、本一冊だと仕方がないのかもしれませんね。 最後は少し泣きそうになりました。よかったです。 | ||||
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機能不全家族で育ち、自己同一性が拡散してしまった主人公の半生。その中でも、最も修羅場と思われる時期を描いた小説。とても良い作品だと思いました。本来なら深刻で悲惨な話になってしまうところを、作者独特の語り口が「読ませる物語」に変えています。 親子関係における罪と罰を子供が背負ってしまったのは悲劇。社会的な罪と罰は当然加害者が背負うべき。そういう事もきちんと描かれている点に好感が持てました。 ただ一つ気になったのは、こういう物語に神秘主義的な要素を持ち込む必要があったのかという点です。幻影を見せるところまでは良いと思うのですが。 物語の主要部分は現代ですから、結末部分は未来ということになります。その頃には医療技術もさらに進歩しているに違いありません。おそらくその後、主人公は幸せな人生を送ったはず。そう思いながら、私は本を閉じました。 | ||||
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読み始め、いつも通りの竹宮ゆゆこのテンションに安心しつつページを捲り、読んでいるうちに信濃が自分と重なり、まるで自分の心の中を書き写されたような感覚に陥り、ボロボロ泣いてしまった。小説で涙を流したのは初めてだ。 よくある感動もの泣けるもの、と言われる作品よりももっと切実で、生きることの苦しい部分を抉り取っているだけあって、ずしんと臓器に響いて来る。 独りは怖い辛い。でも誰かに頼るような勇気もなく、また自分が誰かに頼って良いような、そんな権利があるとも思っていない。クズで愚かな自分。どうぞ笑ってくれと信濃は言います。そうしてくれた方が自分自身に諦めがつくからでしょう。 しかしながら、作者は竹宮ゆゆこである。お届けするのは苦い感情の吐露だけではないし、簡単に大円団にもさせてくれない。信濃には最後まではらはらさせられました。 | ||||
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最初の場面でライトノベルかな?買ったのを失敗したかな?と思うくらい、彼女の話し方や流行ネタでついていけるか不安になりました。 ただ読み進めていくうちに、信濃という女性がどう生きていくのか、辛い境遇からどう這い上がれるのか、と一気読みしました。 個人的には醍醐がどういう人間なのかわかりづらかったかな…と。 読んでて、ボクシングとかジムとかに通いたくなるそんな作品です。 | ||||
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表紙に惹かれて購入しました。 話の内容自体王道的なものを感じましたし、人生と語るには少々の現実味の無さもあるように思います。 勿論小説は物語ですし現実味の無さは当然ですが、良くも悪くもありきたりな印象を受けました。 個人的に見出しや帯の表記程に爆発、衝撃、生きるエネルギー等の熱を感じることはありませんでした。 一人の女の人生と考えると生い立ち境遇が割と特殊な部分もありますし、共感しにくい所が多く正直あまり面白いとは思いませんでした。 | ||||
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竹宮先生の作品は初めて拝読致しましたが、物語に引き込まれすぎて頁を捲る手が止まらず、一日で読んでしまいました。 友達、恋愛、家族、結婚…全ての人間関係を含めて「生きる」というのはどういう事かと考えさせられる作品です。おじさんの愛人をしていたことがその奥さんにバレたところから話が始まりますがその数ページからは想像出来ないほどに深いお話ですので数ページ読んであわなかったから…という方にもぜひ半分位までとりあえず読んでほしいです。(先生の文体が結構独特の癖があると思いました。私にはあっていたようです。) 生きている中で辛いことも沢山あります。しかし辛い思いをしていない人など殆どいません。そこから自分がどう立ち上がり、生きていくか。その過程が大事なんだと思います。大切な職場仲間と突然別れなくてはならない描写がありましたがそこが一番感慨深かったです。当たり前にあるもの、いてくれる人は当たり前ではないと心でわかっていてもやはり突然だと切り替えができないものです。一日一日をどう大切に過ごしていくかが本当に大事なことだと改めて考えさせられました。 また、弟がこの世にいないことにもびっくりしました。母親のこともあり随分優しい弟だと思っていましたが、彼は幻想だったのですね。想像で生き続けるには限界があった、でもいつまでも姉を守り続ける。泣きますよ、これは。タイトルに繋がるところもありますね。 200万の件に関しても血が繋がっていない母親(?)が結局助けてくれましたし、どこかで必ず自分を頼りにしてくれている人や助けてくれる人がいるもので…世の中ってまだまだ思っているほど捨てたものじゃないです。 私はこういう人間なんだぜ、と胸を張って生きることは正しいと教えてもらえた作品でした。この作者様の他作品も気になるので読んでみようと思います。 | ||||
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本作で新潮nexでは三作目となる竹宮ゆゆこ。 デビューしたラノベレーベルを離れてから、いよいよ「やりたい放題やってる感」が溢れ出ている事に加え、 個人的に好きな三十路女が小学生にハマる「私の少年」の高野ひと深がカバー絵担当という事もあって 「今回はどんなダメ女を出してくれるのか」と期待しながら拝読。 …本作の主人公・樺島信濃は26歳のタケノコ女である。 おっと違った、身の回りの高級品を売り飛ばしながら生計を支えている、 いわゆるタケノコ生活を送っている元・愛人のダメ女である。 半年前に自分を愛人として囲っていた会社経営者と与えられたマンションの一室で同衾していた所を 包丁を手にした本妻に踏み込まれ、総レースのランジェリー姿で甲州街道を爆走して逃げた後、 会員制キックボクシングジムの受付として働きながらボロアパートで少なくなっていく高級バッグの どれを売り飛ばせばどれだけ長く生き延びられるかという計算で頭を悩ます惨めな生活を送っている。 そんな信濃のアパートを六歳下の弟・睦月とともに高校・大学と二度付き合い、 そして二度とも膨大な映画を見ただけで別れる事になった男・醍醐健太郎が尋ねてきた事から 残り生存期間を計算するだけだった信濃の生活に変化が生まれる。 二度別れた事による微妙な関係に拒絶感を剥き出しにする信濃だったが、 「メシを食いに行こう」という醍醐の誘いに貧乏生活からくる腹の虫が負け、 アジアン居酒屋に誘い出される事に。 ヤケクソの様にビールを呷る信濃だったが、醍醐の左薬指にはまった銀色のリングに気付く。 「ハッピーマリッジ野郎」と醍醐を論う信濃だったが、意外な事に醍醐は結婚していないらしい。 結婚を目前にして新居にも共に入居した女性が突如「健太郎のじゃない赤ちゃんができた」と言い出し、 全てが崩壊する中で仕事も手に付かなくなった醍醐は目下、休職中の身らしいが… おおお……ダメ女だ、極めつけのダメ女だ。 高級マンションの部屋を散らかしながら生活する大河も、完璧な人生を計画しながらおまけんでC3‐POと化した香子も、 かなりのダメ女系ヒロインだったが、ここまでヒドくは無かったかと。 売り飛ばす予定のバッグと会話するほどの赤貧生活を送りながら、奢りとあればベロベロに酔っぱらう それも拒絶感をもろ出しにする元交際相手の奢りでも意地汚く飲んじゃうとか信濃の生活のガタガタぶりが素晴らしい。 しかもその表面的なダメっぷりに留まらず、高級バッグの残数=自分に残された生存期間という計算をする 惨めな生活を送りながら、その高級バッグが元愛人の権利として妾宅だった高級マンションからかっぱらってきた ほとんど盗品みたいな物だと自覚した上で「だからって返したら生きていけないじゃん」と自分の自堕落さを 自覚しつつ抜けだそうとしないのだから信濃の無気力っぷりは骨の髄にまで染みわたっている。 物語の前半はそんな信濃のダメ生活と、その信濃の元に再び姿を現した醍醐との過去、信濃がギリギリ社会人として 踏み止まっている会員制キックボクシング事務の関係者とのやり取りを中心とした割と大人しめの展開が続く。 ちなみに本作だけど、高校・大学と二度繰り返された信濃と醍醐が映画のDVDを呆れるほどに見まくったという事もあり 映画ネタがやたらと多い。竹宮ゆゆこお得意のドタバタギャグは健在なのだけど酔っぱらった挙句、醍醐と撮った 「名場面集」を突き付けられた際の信濃の反応には抱腹絶倒必至。ホイットニー・ヒューストンが聞いたら泣くぞ、これw ただし、中盤からは樺島信濃というダメ女がどの様にして作りあげられていったか、が徐々に明かされていく展開に。 上述した様に信濃のアルコール関係でのだらしなさが妙に強調されているのだけど、 俗に「アル中は遺伝する」と言われている様に酒浸りだった母親に起因する信濃の転落していく様な人生が 徹底的に描かれている。 婚約者も義父も誰もかれもがアルコール漬けの母親が元で信濃を責める様になり、この世に誰も味方が居ない中 遂には「お酒はもうやめるから」「信濃だけが頼りなの」という言葉を信じて父の遺産を取り崩しながら 必死で支えてきた筈の母親その人に決定的な裏切りを突き付けられた信濃の絶望感は深い。 唯一人、自分を求めてくれそうな、そして信濃が心の底で「自分を求めて」と訴え続けてきた醍醐が 近づいてはあと一歩の所で手を伸ばしてくれず、その埋められない寂しさから身を持ち崩すに至った信濃を いったいどこの誰が責められるというのか。 そんな「ひとりぼっち」の信濃が「わたしのおしろ」を、誰も自分を責めず、裏切らない愛情に満ちた居場所を 泣きながら求め、そしてその場所には弟の醍醐が居て、自分の居場所が無い事が明かされる段に至って 樺島信濃という祝福される事無くこの世に産み落とされた女性の「生来的な孤独」に言葉を失った。 信濃の訴える「寂しい、寂しい」という叫びはこれまでの竹宮ゆゆこ作品のヒロインたちの誰よりも根が深いのである。 そんな孤独を明かした上だからこそ、26歳になっても「泣いている子供」のままだった信濃が 醍醐の手も睦月の慰めも借りることなく、自分の足で立ち上がり前へと歩み始める場面は読者の心を打つのである。 言葉ではなく、体で、肉体を通じて自分の、人間の持つ「強さ」「逞しさ」を知る信濃の「獲物を狩るもの」としての 目覚めのシーンはライトノベルという肉体性を欠いた作品が多いジャンルで生身の人間をありのまま描き、 異彩を放っていた竹宮ゆゆこにしか描けないかと。 そして目覚めたからといって安易に「救い」を与えないのも実に作者らしい。 目覚めたからといって抱えた借金は消えてなくならないし、状況は劇的には改善されたりしないのである。 ただし、そこをダメ生活を送ってきた信濃という一人の人間の「人生の起点」として描く、と言う意味では 受付仲間で親の介護の為に退職を余儀なくされた主婦・青葉さんと肉を食いに行く場面から始まって その後の信濃の数十年を一気にすっ飛ばして描いていく終盤の展開は実にパワフルさに満ち溢れている。 なんというかダイジェストの様な薄さを微塵も感じさせないその後の信濃の人生の「濃さ」がモロに伝わってくるのである。 新潮社nexでのデビュー作、「知らない映画のサントラを聴く」も主人公・琵琶のダメ生活からの 再生を描いた物語だったけれども、送ってきた生活のダメっぷりとそこからの復活劇のダイナミックさで 本作は竹宮ゆゆこの持つパワーがますます膨れ上がっているという印象を与えてくれた。 「寂しさを訴えるヒロイン」、「流されるだけの人生からの脱却」という作者の繰り返して描いてきたものの 延長線上にある作品ではあるが、読者が期待するものはみっちりと詰め込まれている、そんな一冊だった。 | ||||
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樺島信濃はハチャメチャなところもありますが実に愛しく感じられる女性です。ラブ要素もありますが、それ以上に親子関係・家族関係の絡み合いの中を彼女がかき分けながら救われていくストーリー。軽快、爽快に読み進められ、一緒に一喜一憂させられます。 信濃26歳は家庭に恵まれませんでした。愛してくれた父親と別れ、自己愛の塊のような母と暮らす中でいつも寂しく感じていました。頭が回って、よく気が付いて、気力もあり、綺麗だといった優れた資質を持ち、就職してうまくやってきましたが、交際していた男に母親のことを理由に婚約破棄されたことで歯車が狂います。今は、フィットネスキックボクシングジムの受付のアルバイトとブランド品の換金で暮らしていますが、あと6か月で経済的に破たんすると分かっています。それ以上に、自分の在るべきところがなく、生きている価値が判らないのが問題です。「腐って破裂寸前の西瓜」が信濃の自己像らしい。 そんな時、高校・大学で2度付き合って、一緒に映画のDVDを観まくったものの、2度とも最後は受け入れてくれなかった男、醍醐健太郎と再会します。彼もまた恵まれた人付き合いができておらず、「時間の流れに取り残された二人の捨て子」同然。 彼や、ジムの同僚の青葉さん、お客さんの赤塚さん、白鳥さんも交えて、頑張るところや楽しくふるまうところが、ままドタバタになるのですが、下品じゃなく、笑えます。信濃は右へ左へと大きく振れますが、その心情はよく理解できるもので、読みながら幸せになってと祈ってしまいます。とはいえ、彼女は祈られるほど弱くはなく、6歳下の弟、睦月に助けられながらも、母親の呪縛を断ち切って、格好付けの意地も振り捨てて、自分が自分として生きていることを誇るため、醍醐の幸せのために立ち上がります。ここの涙は実に爽快です。読んで良かった。 この睦月が不思議な存在で、半ばごろでその疑問は確実なものになるのですが、最後に種明かしがあり、やっぱりということで落ち着きます。そして続くラスト12頁で信濃50歳過ぎまでの25年間の流れが語られ、そうあるべきエンディングに至るのですが、ここはおまけのエピローグ。本質的には信濃が自分の在り方を確立できたところで完結しています。 いつもながら難しい表題ですね。信濃がすべてをかけて、退くことなく当たり、自らの殻を破っていく場面がジムと路上で2回あります。特に2回目は圧巻。この燃えるようなシーンを言っているのかな。それとも彼女が過去を清算し、燃やし尽くして再出発することを言っているのかな。 DVDで観たという洋画タイトルがいくつも出てきて、信濃と醍醐の意識の表現に使われています。知っている人は納得するでしょう。 作者はキックボクシングジムに通っているのでしょうか。信濃を救うアクティビティとしてジムが上手に使われています。行ってみたくなります。 | ||||
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