■スポンサードリンク
下山事件 暗殺者たちの夏
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
下山事件 暗殺者たちの夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
良人は自分が犯した罪に目を閉じることができない。 だからきっとその罪を表に出したいという願いを叶えるべく 子孫に働きかけた。 真実であるからこそ読む者の心を動かす。 わたしという庶民が一人、 真実を知るだけでそれを他の誰に伝えるでもない。 それに意味はあるのかという思いもよぎったが たった一人でもその心が震えたなら、 その振動はこの世界に影響を及ぼすはずだ。 たぶん想像以上に・・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
柴田哲孝『下山事件 最後の証言』『下山事件 暗殺者たちの夏』読了。 『暗殺者たちの夏』を読んでいる途中に、著者の新刊『暗殺』が刊行され、新聞でも大きく宣伝されている。この『暗殺』は、安倍総理の暗殺には致命傷となった別の弾丸があった等という、小説だとしてもトンデモ系陰謀論らしい。普通であれば、こういう著者の本は読まないのだが・・・。 読んだのは、最初に『最後の証言』を読んでいたからである。 この本は、著者が大叔母から、著者の祖父が下山事件に関係していたらしいという話を聞いたところから始まる。 そこから、2000年前後の当時生存した関係者を訪ねて、下山事件の全貌を明らかにしようとするルポルタージュだ。 カギとなっているのは、著者の祖父が当時勤めていた、日本橋にある亜細亜産業という会社である。 ここは、戦争中に中国大陸で陸軍の特殊任務の下請けをしていた特務機関の生き残りたちが再結集し、戦後においてはGHQに取り入り、非合法的な任務を下請けすると同時に、合法的にも利権を得てビジネスを展開していた拠点である。亜細亜産業の上の階にあるサロンには児玉や田中清玄等の右翼から共産党等の左翼、そして吉田茂や佐藤栄作等の首相や大物政治家、白洲次郎等のフィクサー、加えてヒットマン等が出入りしていたとされる。 そして同書では、亜細亜産業がGHQのキャノン機関と組んで、下山事件を引き起こしたらしい、ということを匂わせるだけで終わっている。それがノンフィクションの限界であるという理由で。 これに対して、『暗殺者たちの夏』は、前書ではノンフィクションという制約から描き切れなかった全貌を、小説という手法で描き切ったとされている。 それで、読んでみたのだが、確かにストーリーは全部つながっている。 亜細亜産業は、ロマンス社という出版社を経営しており、「ロマンス」という雑誌を国鉄売店で販売していた。その売れ残りをすべて国鉄に買い取らせて甘い汁を吸っていたのだが、当時のGHQは国鉄のずさんな経営にメスを入れ、10万人の首切りをはじめとする合理化を進めようとしていた。その過程で、下山はロマンス社にかかわる国鉄の裏帳簿を入手したというのである。 そして亜細亜産業は、この帳簿が明るみに出ることを恐れ、GHQ内の特務機関であるキャノン機関を巻き込みつつ、国鉄総裁である下山の誘拐と殺害を計画したというのが本書の骨格である。 前書:ノンフィクションでは、直接、著者がインタビューした以外にも、報道されたり記録されたりしている様々な証言があるのだが、本書:小説ではそれらの多くを取り入れつつ矛盾が無いようにストーリーをつなげているように見える。 が、犯罪計画としてみると、骨格的なところで疑問符が数多くついて回るのである。 例えば、下山は日本橋三越内で3人の男に取り囲まれ、その後、地下鉄駅に移動し、そこでの目撃を最後に姿を消している。 小説では、下山は声を出そうとしたが、喉が引きつってこえがだせなかった、と書いている。しかし、三越の中で、あるいは地下鉄駅で、さらにはクルマに乗せられようとするときに、大声で助けを求めたらどうなったのか。 誘拐は成立しない。本当に誘拐を試みるとしたら、こういうずさんな方法を採用するだろうかという疑問である。 しかも、下山は当日、お迎えの車で不可思議な動きを繰り返したのちに、三菱銀行の貸金庫から裏帳簿を引き出し、日本橋三越に入るときには、クルマの後部座席に置いたままにしていったとされる。 実行犯たちは、誘拐した下山を拷問し、クルマの後部座席にあることを聞き出すと、二人の男を派遣して、運転手を脅して裏帳簿を回収したとされている。 しかし、まず、当日に下山が貸金庫に寄らず、裏帳簿が残った場合には、犯罪の証拠がまる残りになってしまうのである。 あるいは、運転手は何時間も三越の前で下山の帰りを待っていて、その間に下山失踪がニュースになっているが、運転手は知らなかったとされるが、もし運転手が不審に思って国鉄本社にクルマを回送していたら、犯人たちは窮地に陥るはずだ。 こんなずさんな計画を立てるだろうか。 その他にも、下山の衣装を着た男が五反野の旅館で休憩し、周囲を歩き回って目撃者をつくるというシーンがある。これは旅館の経営者が元特高警察で旅館の女将も含めて犯人側の協力者とされている。他の著作でも、そこまでは事実らしいのだが、このために下山を裸にし、さらに殺害後に苦労して衣装を着せる様子まで描写されているのだが、灰色のコート、ソフト帽、ロイド眼鏡等であれば、遠目にしか目撃されないのであるから、似たようなものを似たような背格好の男に着せて歩かせれば済むことだ。どうにも合理性が感じられない。しかも、この小説では、目撃者が「国会議員の西尾末広に似ていた」と証言しているところから、犯人グループに弱みを握られている西尾が下山の服を着させられて歩かされるというシーンまで挿入している。これなどは、荒唐無稽というか噴飯ものとしか言いようがない。 が、しかし、ロマンス社の国鉄利権をめぐって亜細亜産業が犯人であったということまで、否定しようとは思わない。ノンフィクションも含めれば、かなりのリアリティがあるからだ。上に書いたことは、小説にしたにしては、杜撰なところが目立ってしまうという意味である。 ところで、過日、NHKBSで「未解決事件 下山事件と占領期の闇」という番組をやっていた。GHQの秘密文書が公開されたことに焦点を当てつつ、小説でも実行犯の一人とされている在日韓国人にも犯人グループとして焦点を当てているのだが、亜細亜産業については一言も触れられていなかった。 NHKは著者については、うさんくさいトンデモ系としか評価していないのかもしれない。 松本清張の『日本の黒い霧』で下山事件について読んで以来、この問題に関心を持ち続けているが、今もって疑問は解消されないのである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
感動しました | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「下山事件最後の証言」が最後だと思ったら本書を図書館で発見した。 今回は、小説仕立てで事実が不明な点も埋められているので理解しやすい。魑魅魍魎が日本社会だけでなくGHQ内部にも跋扈していて、戦後の混乱期のダイナミックさがよくわかる。度胸があって目端の利く奴の強欲さと生命力の強さが楽しめる。 蛇足だが、ISOとかコンプライアンスは人間を小さくするよね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ノンフィクションの初版ハードカバーは、著者にサインを頂きました。 文庫本が出版された時、ハードカバー版には書かれていない内容が追加されていて、、追加情報だけでも購入したかいがありました。。 ハードカバーは重いので、寝ながらもう一度読むのに丁度よい、程度の軽い気持ちで購入したのですが。。 それ以上の内容は、あったとしても書けないだろうと思っていたのですが、、いつの間にかノンフィクションではないフィクション版が出版されていたので購入。。 なるほど、面白い!! 著者は忘れましたが、戦後日本のノンフィクションとしては、不良外人が書いた、東京アンダーグラウンドという本も面白かったです。六本木のピザ屋を経営していた人の本です。当時のアメ車がどんなだったか、よくわかります。 フィクション版だけでなく、ノンフィクション版と合わせて読む事をおすすめします。 できれば、出版された順番で3種類。。 これらの本を出版されるのは、、とても勇気のいる事だったと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今年読んだ本の中で最も興奮して読めたもの。フィクションと謳っているが著者のもうひとつのノンフィクションの下山事件関連の著作を読んだ上で読むとすっきりする。もちろんこの本には創作も入っているものの話の大筋では著者だけがつかめたファクトも存分に織り込まれている。下山事件を理解する上で、そして戦後の日本の成り立ちを理解する上で読んでおくべき本だと思う。素晴らしい「小説」です。平成にこれだけの情報を織り交ぜて事件を再現する筆力には感服しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「下山事件」に関する本は多少読んできたが、ノンフィクションの類が殆どで、このようなフィクションはあまりなかった。随分、分厚い本なので、当時の世相が実感でき、知らぬ間に戦後直ぐの日本に導かれ、自分が歴史の中に居るような錯覚を覚えた。 そういう意味では悪くないが、小説としての完成度としては、どうだろうか。菱子という少女が読み始めて直ぐに登場するのでどうなるか期待したが、その後尻すぼみになってしまう。年齢的に現在まで生存していてもおかしくないが、その後を語る小説手法はなかったのか。 また、ライカビルにある亜細亜産業内での謀議が、たまたまドアの外にいた李中煥に盗み聞きされたり、金正甲が下山の遺体を運ぶ段になって、自分が殺される話を盗み聞いて逃げるストーリーなど、俄かには信じがたく、薄っぺらなスパイ小説を読んでいるようである。 構成的にも不満だ。やはり白眉は捜査の過程なので、ここに重心を置き、そして、下山・三鷹・松川事件は一体と考えるべきなのに、他の二事件が余りにもさらりと流しているので、その辺りも掘り下げてほしかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説としては一応おもしろい。だが、下山事件はもう自殺として決着している。 138P、上野23時発、札幌8時着とはなんだ、これは。青函トンネルもまだできてないときに、着くわけないだろ。青森8時着、それから函館まで青函連絡船で4時間、函館からさらに5時間だ。 それから、内閣官房長官は昭和30年からだ、この時はまだ書記官長だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下山事件平成三部作を通読した後に残っていたモヤモヤ感を、数年振りに晴らしてくれる作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者は、すでに『下山事件 最後の証言』(祥伝社、2005年刊)において、自らが収集した新たな情報を含めて、戦後日本の方向付けを決めたほどのこの重大事件の見取り図を描いた。ジグソーパズルに例えれば、いくつかの穴はあるものの、誰がなぜどのようにしてこの事件を起こしたかの基本骨格が浮かび上がった。本書は、残されたいくつかの穴をフィクションというピースで埋め、全体像の精度を高めたものである。一見矛盾する多くの目撃証言などの裏に、事件を操った組織の動きを当てはめることで、前著以上に説得力が高まった。もちろん、本書はあくまでフィクションであるので一つの仮説と受け取るべきであり、事件の更なる解明の必要性は今後も続く。 戦後間もない1949年(昭和24年)7月5日、国鉄総裁下山定則が出勤途中に失踪し、翌7月6日未明に常磐線の線路上に死体となって発見された。日本を震撼させたこの下山事件については従来から、自殺説対他殺説、GHQ主謀説対共産党主謀説、戦前の特務機関人脈暗躍説(731部隊を含む)、その他諸説が入り乱れてきた。本書の著者の祖父・柴田宏は、かつて特務機関員であり、戦中から陸軍関連の軍需会社「亜細亜産業」の幹部社員だった。戦後復員してからその亜細亜産業の総帥・矢板玄に誘われ、再び幹部として活躍する。前著『下山事件 最後の証言』で既に明らかにしたように、本書では下山殺害の首謀者は亜細亜産業グループという見立てに基づき、全五章(再会、謀略、事件、捜査、迷宮)が展開される。下山総裁以外は実名が多少変えられた名前が用いられているが、『下山事件 最後の証言』を読んでいれば、主要人物やビル名は容易に推察できる。 下山事件に関連した人・金・物・情報などがすべて亜細亜産業絡みであることが、本書の随所から確認できる。戦時中に国内や国外で強制的に回収された貴金属(少なくともかなりの部分)が亜細亜産業に保管され、拠点であるライカビルの一室には金の延べ棒が隠されていたという。この金を目当てに、保守・共産を問わず政治家、GHQ関係者、旧軍関係者(特に旧工作員)、情報屋などを含む魑魅魍魎がこのビルに出入りしていた。また、旧軍関連の利権で得た資金により、亜細亜産業は多くの子会社・工場を北区などに有し、中国での謀略に暗躍した鉄道専門家や731部隊関係者にも人脈を持っていた。これらがすべて下山総裁謀殺のために駆り出される。 本書は、下山総裁が国鉄電化のための資金(「M資金」)導入に反対したり、国鉄内の不透明な資金の動きを告発する構えを見せていたことから、亜細亜産業に巣食う一味にとって自らの利権を奪うものとして脅威と見なされ、謀殺されたとする。前著では下山総裁謀殺につながりうる様々な要因が錯綜していたが、本書では、この亜細亜産業絡みの要因に絞られて物語が展開される。この他、事件捜査を混乱させるための様々な謀略・目撃証言も旧軍の謀略専門家の仕業とされ、従来のおおくの「謎」への謎解きがちりばめられている。 下山事件は、一部の暗黒勢力が、アメリカの権力を巧妙に利用して利権を確保するとともに、日本の政治家や官僚、それにつながる財界や右翼がおこぼれを与えられる、という今も続く日本の戦後レジームの原型とも言える事件である。本書および前著『下山事件 最後の証言』は、この下山事件の解明に重要な一石を投じたといえる。この事件の更なる究明がまたれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昭和24年夏に起きた所謂国鉄3大事件の最初に惹起したのがこの下山事件である。 続く三鷹事件、松川事件では、「犯人」が逮捕、起訴され、死刑判決を含む重罪が課せられたが、後に最高裁で全員が無罪となり、この下山事件を含めて真相は未だに明らかになっていない。 これら3事件に関する刊行物は実に多く、特に下山事件に関しては、既刊物が突出している感がなくもない。 ノンフィクションでは書けないことも、小説だからこそ書けることもあると著者自身が言うように、事件全体の細部にわたるディテールは、創作が入るからこそ描写が可能だったに違いない。ただ、その創作も、奇想天外な、根拠も薄弱な創作なら、その魅力も半減したものだろうが、著者自身の綿密な取材に基づく、事実の裏付けが確かと思われる創作故にこそ、迫真に迫る描写となったのだろう。 その中で、下山総裁が殺害される場所が、千葉県勝浦の漁港の一角という設定は、自分の知る限り、これまでの文献では出てこない場所であり、著者が、どのような根拠に基づいて、この場所を殺害の現場としたのか、もう少し詳しい説明がほしいところであった。 文中には、旧731部隊の残党の暗躍も見え隠れする。 また、GHQ内部の熾烈な権力闘争と、その下に群がる日本の利権集団の暗闘も描写されているが、事件のどの部分に、どのような組織がどの程度関与したのか、掘り下げ方に、物足りなさを感じざるを得ないのは残念だった。 事件から66年という歳月が過ぎ、何故、また下山事件なのかという素朴な疑問も、本書の書かれた特殊な時代背景を抜きにしては説明できない。 GHQ施政下の戦後の日本の混沌とした時代に起きたこれらの怪事件は、まだ、その全貌が解明されざる戦後史の闇の中で、新たな歴史探求という知的興味を呼び起こすに足る魔力のようなものが事件全体を覆いつくしているからであろう。 そして、真相に迫りつつあるように見えて、迫り切れないもどかしさが、これら未解決事件にあるからである。 フィクションを交えているとはいえ、下山事件に新たなスポットを当てた読み応えのあるミステリーであった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説として致命的な欠陥がある。 下山総裁を待ち続けていた運転手が、犯人グループに脅されて車の中に残されていた総裁の鞄を奪われ、一定の時間まで警察に口外しないように脅されていた、と柴田氏は書く。これは全くのフィクション部分である。 しかしこんなことがあったと運転手が証言していれば、「自殺説」は最初から成り立たないではないか。 「自殺説」に収束させようとしている犯人グループも、この段階でこんな粗雑な、関係者の前に姿を現して言葉を交わす様な真似をする筈がない。(実際してない訳だし) この運転手の証言は、最後まで物語の中で収束せず、他殺説を取る捜査二課もそのことは忘れたように振る舞う。 作者も編集者もこの伏線を回収することを忘れて、あとは事実をなぞるだけの小説を、なぜこのまま出してしまったのだろうか。 下山事件に関するほとんどの「ノンフィクション」を読んできた身としては、この粗雑さが実に哀しい。 もとより森達也の本から派生してきた様な柴田版には、今ひとつ乗れなかったが、この「小説」がその限界を示したか、と思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文庫本の「~最後の証言」を読んでいたので、つい買って読んでしまいました。 面白さはやっぱり「~最後の証言」のが上かなぁ。わざわざフィクションと強調してまで小説に仕立てる意味があったかどうか。個人的には佐藤一氏の「~全研究」が正しいだろうと思っています。ぜひ本書と比べてお読み下さい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった! ノンフィクションである前作「下山事件 最後の証言」も面白かったですが、 本作は小説という表現をとることで、 著者は証言では埋められなかった事件のピースを描きました。 前作以上に事件の背景が語られていて、下山事件の全体像が見えます。 戦後の混乱期。 民主化と緊縮財政を進めるGHQ傘下の行政組織GS。 反共を旨とし、日本の旧体制を維持しようとする同じくGHQ傘下の諜報部門G2。 この2局の主導権争い。 G2配下に組織される旧日本軍に由来する日本人諜報グループ。 国鉄発足に伴う大規模な人員整理。 国鉄電化を主軸とする日本の電源開発。 その背後に蠢く利権集団。 さらにM資金。 こんな時代背景に加え、 国鉄のダークな姿も興味深いです。 戦後発足した国鉄は旧満鉄関係者の受け皿であって、 戦前、戦中にダーティーな仕事をした人間がその周辺も含めて多数巣食う一方、 労働運動の中心として日本の共産主義の一大基盤でもある、 左右の過激な人物の跋扈するとても難しい組織だったのです。 下村国鉄初代総裁はこんな混乱の渦中で命を失います。 犯行グループの謀略の全容も驚き。 国鉄にまつわる利権が侵される事態に牙を剥いたわけです。 後半は事件後の様子が描かれます。 自殺か他殺かで、捜査一課と捜査二課が、東大と慶応大の法医学教室が対立します。 最近ノンフィクションノベルをたてつづけて二作読みましたが、 どちらも面白かったです。 ちなみにもう1冊は「殺人鬼ゾディアック」。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「最後の証言」の伏字部分を伏字でなくして(仮名ですが推測できます)、隙間を想像でつなぐために「小説」としたのだと思うので、「小説としての面白さ」をうんぬんするのは野暮だとは思いつつ、でも小説としては微妙でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とてもリアリティーのある小説で歴史の真実ではないかと思いました。当時の歴史的背景から見ると全てが合致するのではないかと感じました。 また、戦後三代フレームアップと言われた「松川事件」「三鷹事件」「下山事件」はこの小説の「真実」に共通するものではないかと思います。 その意味でこの小説は大きな価値をもった小説だと言えます。犯人の中に筆者の親戚筋の人がいてその証言をも元にしていることに説得力があります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説のかけない人間が事実を小説にしても仕方ない。もしやるなら少年時代の下山という人間の実像から始めて想像力で仕上げていかないと無理だがそういう力もなし。あとがきでやっと、自分の親戚が犯人ではないかという疑念がきっかけと告白されている。ならば、そこから初めて事件を調べていく「過程そのもの」が小説化できたはず。そのような助言のできる編集者もろくにいなかったということ。紙の無駄とはこのこと。かわずに図書館ですませて正解だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の柴田氏は、「自分の祖父が下山事件の実行犯だったのではないか」と考えている という立場の人で、なので取材対象も祖父のかつての知人や上司であるという点で 他の研究者と異なっている。 この本は完全な小説という形をとっているので、より思い切った推測ができている。 とても詳しいので、下山事件の本を初めて読むのなら、事件の経過を簡記した本を 先に読んでいるといい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
フィクションではあるが、作者の創造力に脱帽です。祖父という血縁に導かれ、またエネルギッシュな取材やその裏付けによって構築された作品だけあって説得力のある作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下山国鉄総裁が、行方不明となった、日の深夜 わずか1,2時間後に轢死体が発見された、その現場付近で、およそ日本人とは考えられないいくつかの大きな人影が目撃され、またそこにジープの車両の跡と思われる何本かのタイヤのあとがあったと、と言うことだった。 ある本にはそう書いてある。この謎についてもこの小説を読めば大胆な推理があり、矛盾がない。 最初に引用した本は、被告、著者は佐藤一である。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!