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(短編集)
たんぽぽ娘
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たんぽぽ娘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 21~35 2/2ページ
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表題になっている「たんぽぽ娘」は実に可愛らしい話だ。カバーの絵も良く合っている。薄暗い森の中で黄色く輝く花? 暗い夜空に温かく光る星? 男性諸氏にとってジュリーは夢のようなヒロインだ。でも、女性読者にこそ強く訴えるのではないか。愛のために恐怖を乗り越えて頑張るのは健気なジュリーで、マークはジュリーを見つけただけではないか。 (これを読んで気に入った方には同じ作者のをお薦めしたい。こちらは男性読者向きか? ヒロインが優しくて健気なことは同じだが、ジョナサンがヒーローとしてヒロインの危機を救うので。) 他の短編にも印象深いものが多い。伊藤典夫氏による作品選択の妙だろう。安心して読める。 「河を下る旅」は人生と死を真面目に考えて苦いが、最後は甘くファンタジックに収める大人のボーイ・ミーツ・ガール。 「エミリーと不滅の詩人たち」は同じくヤングの「9月は30日あった」に近い。最後でエミリーが味気ない現代文化に一矢報いるところが見事で愉快。 「荒寥の地より」はこの中で一番記憶に残った。潤いよりも実利を追求しきった未来と厳しいけれど心暖まる小さな事が散りばめられた過ぎた時代の対比。意図的にあまり書きこまれていない分、小さな断片から浮かび上がってくる心ある人々の出会いと別れ。ノスタルジックな世界観の中での抒情が良い。 1970年に書かれた「スターファインダー」で宇宙生物との交信がアスキーアート的な絵文字でなされるのは驚き。 「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」と「ジャンヌの弓」のように、二人が結ばれて末永く幸せに暮らすハッピーエンドをあからさまに書かれてしまうと、はいそうですか、ありがとうございました、と言うしかない。 | ||||
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二次元の理解が限界な私にとって、SFは苦手なジャンルです。 でも、奇想コレクションは短編ですし、マイルドな作品も多いので、過去にシリーズのうち何冊か楽しんで読みました。(シオドア・スタージョン作品とか) なので、なんとなく手にとったこの「たんぽぽ娘」。 いや、まいった! 琴線をゆらすいくつかの作品の中でも、ストライクゾーンどまんなかに突き刺さったのが「寂寥の地より」でした。 嗚咽をこらえられなかった・・・。 今思い出しても目がうるみます。 人間のもつ、かけがえのない大切なものを思い出させてくれます。 (コーマック・マッカ−シーとは対極にある、と言えるかも?) 私がトシとって涙もろくなっているだけ? という気もしなくもないですが(苦笑)。 いえいえ、そんな、そこいらの本読んでしょっちゅう泣いてるわけではありませんもの。 秀逸なんですってばっ。 とくに、殺伐とした毎日にすさんでこわばって乾いている人におすすめしたいです。 (私のように) 情にうったえるだけでなく、人類社会の未来への警告ともなっています。 この作品が著者の遺作と知り、なおさら感慨深いものがありました。 ちなみに、Amazonの「作品紹介」は誤りです。 こまかいことですが、「荒寥の地より」ではありません。「寂寥の地より」です。 なんだかAmazonのセンスを疑う一幕でした(苦笑)。 | ||||
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月9ドラマのビブリア古書堂でちらっと紹介され、興味が沸き、思わず?購入しましたが、 届いてから、2cmはあるかという厚みに活字嫌いな私は当初「え?こんな厚いの? やっちゃったなあ~・・・」と、しばらく机の隅に放ったらかしていました。 が、先日せっかく買ったしなあ~・・・と、しぶしぶ手に取り読み始めたところ・・・ 何これ?おもしろい!!と、すっかりはまってしまい、一気に読むのがもったいなく、 毎日1話ずつ読んでました。 海外作品ということもありますが、文章を読んで頭に情景をイメージしやすい =わかりやすい表現で、日本人に馴染みのない用語については、欄外に丁寧に 解説がされているのも良かったと思います。 Romantick SF小説というのが、ピッタリの内容です。 「たんぽぽ娘」はもちろんですが、「河を下る旅」が個人的には、とても印象的でした。 | ||||
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以前に持っていたもの(コバルト文庫に収録されていた)を、引越しのときに間違って処分してしまい、以来探しても探しても手にいれることができず――― という悲しい出来事があっただけに、今回の復刊が本当に嬉しかった。 クトゥルフ神話関連でもそうだけど、ゲームあるいはラノベにとりあげられたことがきっかけで、こうした過去の佳作に日が当たるのは本当に喜ばしいことだと考えているので(賛否両論あるだろうけれど)、こうした便乗はどんどんやってもらいたい。いいぞもっとやれ。 収録作品の本数も多く、こうやって改めて読んでみると、「ボーイ・ミーツ・ガール」の王道ばかりだったんだな、とか、だからこそ中学・高校のときに読んでおいて大正解だったな、とか、万感迫るものがある。こうした「一冊で、時間を越えて二度美味しい」のも紙媒体書籍の長所の一つなのだろう。 本は読者がないと死んでしまうものだ。そんなことを「エミリーと不滅の詩人たち」を読みながら改めて思った。そしてうっかり通勤時の電車の中で読んだものだから、本を読んで泣いてる怪しい人になってしまったり(笑) | ||||
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河出書房新社から待望の『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング著が出ました(5月30日)。で、例の「たんぽぽ娘」がいきなり改訳されていてびっくり。出だしの数行を引用します(いずれも伊藤典夫訳)。 『たんぽぽ娘』コバルト・シリーズ(1980) 丘に立っている若い女性を見たとき、マークは女流詩人のエドナ・セント・ヴィンセント・ミレイを連想した(ミレイは、ロマンチックで反逆的な詩を書いた。1982-1950)。たぶん、それは、たんぽぽ色の髪を風におどらせ、午後の日ざしを浴びて立つ女のうしろ姿だったせいもあるだろう。古風な白いドレスのせいだったかもしれない。 『たんぽぽ娘』奇想コレクション(2013) 丘の上にいる若い女を見たとき、マークはエドナ・セント・ヴィンセント・ミレーを連想した。おそらくそれは、午後の日ざしを浴びるうしろ姿と、風におどるたんぽぽ色の髪のせいもあっただろう。あるいは、すらりと伸びた脚の周囲でひるがえる古風な白いドレスのせいだったのか。 原文 The girl on the hill made Mark think of Edna St. Vincent Millay. Perhaps it was because of the way she was standing there in the afternoon sun, her dandelion-hued hair dancing in the wind; perhaps it was because of the way her old-fashioned white dress was swirling around her long and slender legs. (試訳)丘の上にいるその少女を見て、マークはエドナ・セント・ヴィンセント・ミレイを連想した。たぶんそれは、その少女が午後の太陽の光を受けてそこに立ち、彼女のたんぽぽ色をした髪が風に踊るのを見たせいだろう。彼女の着る昔風の白いドレスがすらりとした長い脚のまわりではためいていたからかもしれない。(これは所謂英文解釈的な訳です。ホンマ蛇足(汗)) それはともかく、あたらしい本でまとめて読めるのは喜ばしいことです。ついでに河出版あとがきにあるヤング短編集第三弾にはぜひSFマガジン1969年9月号掲載の「花崗岩の女神」(岡部宏之訳)の伊藤訳版を入れていただきたいものです。 は話題になったコバルトシリーズ版の伊藤訳ではなく、創元推理文庫版「年刊SF傑作選2」中の井上一夫訳になっています。ま、大人の事情というやつですね。 | ||||
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出版者から毎年のように「今年こそ」とアナウンスされるもなかなか出版されなかった『たんぽぽ娘』が、奇想コレクション最後の一冊として刊行され、「風におどるたんぽぽ色の髪」を持った美しい女性とついに再会することが出来ました。 表題作「たんぽぽ娘」は不朽にして長らく単行本で読むことが出来なかった幻の名作。 休暇に家族と離れ、ひとり山小屋を訪れた四十男の主人公マークは、未来から抜け出してきた若い女性と出会う。「おとといは兎をみたわ。昨日は鹿、今日はあなた。」 年甲斐もなく女、ジュリーに惹かれ、マークはつかの間の逢瀬と知性に満ちた会話を楽しむ。しかし、彼は妻を愛していた。ジュリーは去り、彼は妻、アンのもとに帰る。彼の目には全く若さを失わない「輝くような亜麻色の髪」をもつ妻の元に。 ヤングのSFといえば、やはり時間もの。「荒寥(こうりよう)の地より」は彼の原風景を思わせるような第二次大戦前のアメリカが舞台で、遺作でもあるそうです。少年の家にやってきた流れ者の男、ローン。かれは他の粗野な流れ者の男たちとどこか違う。そして時間と、未来の社会に対する知性を垣間見せる。異なる世界を生きる人々の交流を描いた傑作。 もう一つ、「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」は純粋に甘ったるい。 掉尾を飾るのは「ジャンヌの弓」。はっきりいってSF的なトリックは稚拙とすらいえますが、無垢な少女と普通の若い男性とのラヴロマンスをあえてSFの枠組みで描ききった佳作です。この作品に象徴されるように、ヤングとは、ボーイ・ミーツ・ガールにはじまりハッピーエンドに終わる作家なのです。 | ||||
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「たんぽぽ娘」はかなり昔にSFマガジンで読んで記憶に残っていた佳作でしたので、早速手に入れて、ロバート・F・ヤングの13の短編を通読してみました。甘酸っぱくて切なくなるような作品が多いとはいえ、数十年前ならいざ知らず、現代の眼が肥えた読者にとっては、かならずしも高い評価は得られないような気がします。まあ、ロマンチック・ファンタジーがお好きな方にはいいでしょうが…。 | ||||
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何で,三上延推薦,なんて帯が。本体の価値よりも,三上推薦の方が価値があると言われているような気がして,とても悲しい。復刊本もそうです。売れれば良いと言う,本屋の体質。本を大切にしていない人たちの金儲け。 ところで,初版本には,帯があったのでしょうか。あったのなら,その帯をつけてほしい。 | ||||
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約30年前に竹宮恵子女史の「私を月に連れてって」で知ってから、当時探しに探してコバルト文庫版を購入。気に入ってハヤカワの「ジョナサンと、」青心社の「ピーナッツ、」も。それから30年、やっと新訳で。待っていたかいが有りました。願うならば、この本がコバルト文庫版と同じ道を辿らない事を祈ります。あと、編者あとがきにある「次に計画している第三短編集」期待しています。 ※あと、私に素敵なSFを読むキッカケを与えてくれた竹宮恵子女史の「私を月に連れてって」にも感謝します。このマンガで知ったSFは数しれず。 | ||||
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今日復刊ドットコムから「たんぽぽ娘」が届いたので本書河出書房版と比べてみた。 河出書房版は、訳者でもある伊藤典夫さんによる編集で、ロバート・F・ヤング傑作選となっていて、帯に「改訳決定版」と表記されている。 復刊ドットコムのほうは、翻訳に関してはどこにも書いてないが、アマゾンの商品説明によると同じ伊藤典夫さんによる「新訳版」となっている。 この2冊のいちばん大きな違いは、河出書房版は13編の短編が収められており、あくまで短編集の中のひとつの作品という位置づけなのだが、復刊ドットコムのほうは「たんぽぽ娘」のみを収録していること。 復刊ドットコムの方は、内容をよく確かめないで予約したので、短編集ではなかったことにちょっと驚いた。 復刊ドットコムは小さめのハードカバーのような感じ? 文章中には挿絵もあり、字も大きく字の色もブルー系。 気になるのは訳だが、比べてみると微妙に訳が違うことがわかる。 たとえば、「登り坂」が「上り坂」だったり、「四日目に登ったときには」が「四日目に丘に登ったときには」だったり多少違いがあるのと、復刊ドットコム版にはほとんどルビがないが、河出書房版にはちょっとうるさいくらいルビが振ってあるとか。 全部の文章を比較したわけではないが、他にも違いがあるかもしれない。 とはいっても文章の根幹が変わるようなことはないと思うし、普通に読んでいて違和感はないと思われます。 なんにせよ、こんな素敵な作品を普通に買って読めるということは素晴らしいことですね。 復刊ドットコムにも河出書房にも感謝。 特に河出書房の奇想コレクションはシオドア・スタージョン作品を3冊も出してくれたので、感謝感謝です。 | ||||
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現在は入手不可能なハヤカワの短編集「ジョナサンと宇宙クジラ」が大甘の感傷主義、懐古趣味に思え、あまり好きになれなかったロバート・F・ヤング。 おかげで未読の「たんぽぽ娘」の世評に対しても懐疑的にならざるを得なかったのですが、長くこの叢書で刊行予定にあったのが、ようやくリリースされたとなると、やはり読まずにはいられません。 というわけで、長年刊行を待っていたファンほどには大きな期待を抱かない状態で冒頭から収録順に読み始めたのですが、表題作に至るまでにすでに、あ、今回はいい、と思うようになっていました。 同じ作家で、同じ伊藤典夫さん編でこんなに印象に差が出るものか、とちょっと不思議ですが、あとがきで伊藤さんの書いている「版権などを気にせずセレクトした」というのがポイントなのかもしれません。 表題作については、世評通りの佳作であることに全く異議はありませんが、2013年の今となっては、これが様々な亜流作品の元だったのか、という感慨のほうが強いかなという感があります。むしろSFファンでない読者(ビブリアのドラマ経由で興味を持った方など)のほうが既視感なく楽しめるかもしれません。 これに匹敵する強い印象を残したのは、遺作だという「荒寥の地より」--「ジョナサンと宇宙クジラ」で「大甘」と思った側面が、きちんと緊張感を持った現実認識として昇華されたようで、この作品を最後とすることができた作家は幸福だったのだろうと思える作品でした。 伊藤さんは第3弾の刊行を予定されているようですが、うーん、たぶんヤングのベストはこの作品集に集約されてしまったんじゃないかな...未刊の作品と比べるのは失礼ですが、そう思えてくるセレクトの短編集でした。 | ||||
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ヤング大好きの伊藤和典氏に依り編纂されたアンソロジー。 ロマンスものだけでなく殆どの作品に切なさが漂う・・・そういう作品ばかりをセレクトしたのだろうが、この切なさが堪らなく良い。 兎にも角にも、これで奇想コレクションは全て刊行された事になる。 | ||||
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とてもロマンチックで美しいお話でした。 これから、きっと何回も読み返すと思います。 | ||||
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ヤングの名作「たんぽぽ娘」など全13編が収録された短編集。 「たんぽぽ娘」は本書の他に、近日発売予定の復刊ドットコム版や、で読むことができる。 だが、ロバート・F・ヤングの一ファンとしてはぜひ、本書を手にとって欲しいと思ってる。 ヤングの魅力は「たんぽぽ娘」だけではないのだから。 本書にはSF・ファンタジーという枠内に収まる作品が多く、慣れていない人はその奇妙な世界に戸惑うかもしれない。 だが、ヤングが描くのは世界観そのものではなく、そこに生きる人々である。 私たちと同じように、彼らも甘酸っぱい恋をし、失われたものへの憧憬や感傷などを覚え、時にそれに惑わされ、時にそれを大切に思う。 住む世界や環境は違えど、人生のうちに誰しも少なからず経験することがヤングの作品の根底に流れていることに気づくだろう。 だからこそ、物語を読んでいるうちに自然と人物の機微に共感し、物語の行く先を気にせずにはいられなくなる。 一編を読了する度に思わずほぅとため息をついて、作品の余韻に身を委ねてしまう――そんなヤングの魅力を思う存分味わえるのが本書である。 収録されている作品のどれもが面白かったが、特に良かったのが「寂寥の地より」と「ジャンヌの弓」 後者は悲壮的な終盤の展開からの、鮮やかな逆転ハッピーエンドが見事。 『ア・ボーイ・ミーツ・ア・ガール』テーマで、表題作と並ぶ傑作だと思う。 短編の名手による奇想を、心行くまで楽しめる珠玉の短編集。 | ||||
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ビブリアを見て欲しくなり購入しました、まだ読んでませんが綺麗な本が来て満足してます。 | ||||
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