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泥の河
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泥の河の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 61~77 4/4ページ
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この作者の描き出す昔日の田園風景(川辺風景とでも言おうか)の世界は、幼少期特有の暗さを美しく表現している。精緻ですうっと読めてしまう文体も、美しい日本の描写に適している。会話中の方言は頭の中で心地よいリフレインを奏で、物語の中へと一層引き込んでくる。"お化け鯉"や"蛍の大群"のような土着の思い出が私にもあったものか、と思わず回顧してしまいました。 | ||||
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戦後の時代、大阪にある安治川と呼ばれる泥の川を舞台にそこのまわりに暮らす人々の人間模様が描かれているのが太宰治賞を取った「泥の河」です。その川には、泥のなかから沙蚕を採る老人がいたかと思えば、いろんな物が流れて来る、台風の後は、窓枠といっしょに額縁つきの油絵や木製の置物なども流れて来る、それを子供達は拾うのが楽しみだったとか。時にはへその緒のついたままの赤ん坊の死体が流れて来たり。そこには生と死がごちゃまぜになって、戦後の川縁の情景がそのまま読者に迫ってきます.その中で川縁に大らかで仲の良い両親が経営する食堂の子、小学2年生の信夫は、新しくその川に越して来た郭舟に母と姉と暮らす喜一と、とっても仲良しになります。この無邪気なふたりの少年、今の時代にない、見たもの聞いたものをそのまま何の余念もなく受け入れる全く清廉で純粋な可愛い少年たち、決定的に異なるのは、喜一のお母さんが娼婦であるという事。宮本輝の大きなテーマである、残酷な「この世の不公平」は、ふたりの純粋性を砕きます。宿命的な「この世の不公平」に対するもどかしさに苛立ちながら、このふたりの天真爛漫な子供達を中心に、川縁に繰り広げられるさまざまな描写には何ともやるせない気持ちでいっぱいになり、読んだあとは、ため息がでます。太宰賞を取った数ある作品の中でも私は一番の名作だと思います。 | ||||
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僕が宮本輝を知ったのはこの作品が芥川賞を受賞しドラマ化されてからのことです。 会話の多いところは独特の方言なのと作者が何かを意図していたのかわかりませんが、わかりにくい表現です。 ですがところどころにはドラマで感動した部分やわびしさを包み込む文化が描写されていてよかったと思います。しかしながら卑猥なところも多いのでお勧めはしません。 | ||||
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宮本輝氏のデビュー作であり代表作でもある二編の作品を収録している。氏はこの『泥の川』で太宰治賞を、『蛍川』で芥川賞を受賞しており、『蛍川』の方は映画化もされている。それだけでも読んでみる価値があると思う。 二本ともどちらかと言えば地味。文体、構成、展開等も堅実で第三の新人のような丁寧さがある。。『泥の川』はドブ川の河畔に住むうどん屋の息子と素性の怪しい(読んでいれば家庭環境等も分かってくる)家の息子との交流を描く作品で、生活の中で感じられる儚さや乗り越えられない身分の壁などが主体となっている。情景描写や綿密に編み込まれた挿話など、よく考えてあると思ったが、この作品は起伏が少なく正直に言えば少し退屈した。登場人物が非常に幼いという所もあって微妙な箇所もちらほらあった。一方、『蛍川』では青年期を迎えた少年の感覚を通して、身の回りの死や性などと言う物が鮮やかに語られており、感情にダイレクトに訴えかけられたような気がした。解説者にストーリーテーラーと言わしめた事だけはあり、鮮烈で印象深い数々の出来事に引き込まれ、物凄く感動した。読み継がれるべき名作だと思う。 地味で堅実な味わいの作品二編、そういったものが好きな人には勿論、興味のそれほど無い人にも是非読んでもらいたい。 | ||||
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彼の短編は初めてです。長編もいいですが、もしかしたら、短編の方がいいかもしれないってくらい、気に入ってしまいました。 「泥の川」と「蛍川」の短編ニ作の文庫本です。 前者は大阪が舞台で、後者は富山が舞台です。なのでどちらも例のごとく方言です(笑)私は富山に縁があって、富山弁も聞きなれているのでなんともなかったのですが、知らない人には読みにくいのかもしれませんね。 解説にもありましたが、「暗さ」があるんですよね。貧しさとか、死とかいう直接的なものはもちろん、罪じゃないんだけど罪悪感を感じる感情とか、めちゃめちゃうまく描かれているから、そこから暗さとかほろ苦さが伝わってくる。決して退屈しないストーリー展開。でも、全体の流れはとてもスムーズで、飛ばない。子供の頃のことを思い出すとき、なんだか胸がきゅぅってなりません?そんな感じにさせてくれる作品です。 好みはあるかもしれないけども、やっぱりうまいんですね。 | ||||
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「泥の川」「蛍川」とも、子供の成長に必要なある種の「節目」のタイミングを捕らえた物語。そこには、青くさいエロティクな感情や照れ、恥ずかしさ、など本来なら甘酸っぱい感傷と捕らえられる状況を、作者は全然甘酸っぱくなく、猥雑な意味を持たせている。しかしながら両短編とも、印象的なシーンが記憶に残る。泥の川であると、蟹の燃えている姿、巨大な鯉が船の後を泳いでいるシーン。蛍川では、ラストの蛍に包まれている人間の像。そのシーンは全編に流れる、猥雑さとは一線を画している。そのことで物語が救われるのである。 青春前の独特の感傷を再確認できる物語です。 | ||||
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泥の河は冒頭、かなり悲惨な描写があって、そこは凄いと思った。 蛍川は最後がわかりにくい。(一説によればキスした2人に蛍がたかってるらしいが) なんにしても方言が臭い。 | ||||
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芥川賞受賞作品です。 主人公を取り巻く、暗い生活環境。 幼馴染に抱く恋心。 暗さの中にも明るさ、希望があり ラストシーンにつながります。 最後の文章の描かれ方は まさに目の前にその景色が浮かぶようで 登場人物のこころをまさに反映しているようで。 むかし国語で、情景ってことばを習いましたが この本のまさにラストシーンでこういうもんなんだ と実感。 | ||||
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大阪を舞台にした『泥の川』と富山を舞台にした『蛍川』、いずれも川を題材にした短篇2篇が収録された作品集。 両作品とも戦後から10年ほどの、まだ市井には死の臭いが漂っていた頃を背景に描かれている。そんな混沌としした渦中にあって、社会へ向けられる少年達の鋭い視線が哀愁をともなって丁寧に描かれている。 折々の風情と情緒たっぷりに描かれる文章の中に、可憐でどこかはかない人の業のようなものを感じさせる。 いずれも作品として高い完成度を誇り、『泥の川』が第13回太宰治賞、『蛍川』が第78回芥川賞の授賞も頷ける。 | ||||
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私の父も30代、40代と順調に事業を進めてきたが、晩年になって陰りをみせはじめ、最後は破産という悲しい結末で人生を終えた。年をとってから堕ちていく様は,家族までも不幸にし惨めの一言に尽きる。それでも蛍の大群が綾なす妖光に命の輝きを見出す蛍川は、生きていく希望を教えてくれる。こんな時代もあった。そして、今もどこかでこの小説を必要としている人達はきっといる。 | ||||
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このレビューで紹介するまでもないことですが、太宰治賞受賞の「泥の河」と芥川賞受賞の「蛍川」の宮本輝氏の代表作2編からなる文庫本です。両作品ともなんとなくノスタルジックで少年から青年へと変化する多感な時期を非常に上手く表現しています。そこには友情があり初恋があり、誰しもが時代を問わず経験した甘酸っぱい感覚が呼び起こされます。 | ||||
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宮本輝の作品の中では、唐突に人が死にます。死は特別な事ではなく、生活することと同等なのだと言うように。生と死の狭間で、誰もが抱きながらもまじまじと見つめ直すことのない想い…、人間の心の奥の、なま温かく湿った部分を、平易ながら美しい文体で描いています。 | ||||
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教科書で「蛍川」の一部分だけ読んで、凄く気になったので買ってしまいました。 普段はファンタジー系ばかり読んでる僕ですが、これは凄く心に響きました。 きっと、歳を取るたびに違う目線で読んでいけるんだろうと思います。 派手な場面はまったくないですけど、一つ一つの場面の書き方が凄く丁寧で、感動です。 「泥の川」も好きです。ただその時代の背景がどうしてもイメージできないんですよね・・・勉強しなくちゃ。 | ||||
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宮本輝の小説は美しく、そしてしっかり地に足が着いている。本作に納められた二編は、実質デビュー作であるとともに、その悲しさ、そして見事なイメージと叙情あふれる文章でつづられる世界は、非常に完成されている。このレベルをデビューで結実させた実力は見事だ。泥の河。大阪の河で廓船で母親とともに暮らす少女と少年。その家族と主人公のほのかな交流にはひそやかな優しさが滲み、秀逸な文章で読むものの心をゆっくりと物語に引き込む。そして主人公の少年は、ある夜、船のすきまから・・・。生きる事の残酷と悲哀が、深くせつない。主人公と少年の思い描いていた人生の光は、切なさとともにささやかな希望を残す。泣けます・・・。 | ||||
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「泥の河」は太宰治賞、「蛍川」は芥川賞である。宮本輝自身、小説のつまらなさに作家になったというが、これには圧巻である。別にスケールが大きいわけではない。普通の小説に見える。だが、何かが違う。心情描写であろうか。 いまやこの小説は文学の枠を超え、入試問題に頻出する問題となった。実際問題集をとくと、箇所こそ違うものの、『宮本輝「蛍川」』とか、あるのだ。 僕自身は、「泥の河」の方が好きだが、皆様はどうだろうか。 | ||||
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私にとって、宮本作品の忘れがたい一作です。情景が手にとるように鮮明に伝わってきて、一気にその世界に引き込まれました。蛍川は切なくて、電車の中で読んでいましたが涙をこらえるのに必死でした。宮本作品の根底に常に流れる人の温かさと、優しさを感じてもらいたいと思います。 | ||||
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今は大作家となった宮本輝氏の芥川賞を受賞したデビュー作。新人とは思えない、とよく言われてるようで、なるほど、新人作家の作品とは思えない。私は氏の作品をほとんど読んだが、この作品が最も好きだ。 川に浮かぶ船に住むきっちゃんと主人公のやりとり、話全体の雰囲気がとても印象的で忘れ難い作品。他にも良い作品はあるが、私は最初にこの本を読むことをお勧めしたい。 | ||||
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