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籠の鸚鵡



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籠の鸚鵡

籠の鸚鵡の評価: 4.54/5点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.54pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

「聖と邪」及び「聖=性」をテーマとして、「堕ちて行く」者達を描いたクライム・ノベルだが青くて工夫がない凡作

所謂「山一抗争」を背景としたクライム・ノベルなのだが、凡庸の感を免れなかった。一応、和歌山市の町役場の出納室長の梶という主人公らしき人物は居るのだが、本当の主人公はこの梶を情婦カヨ子を使って色仕掛けでタラし込み、梶に公金横領をさせた峯尾という一和会系のヤクザであろう。峯尾は山口会系の幹部を射殺して逃亡する(所謂、鉄砲玉である)。

本作のテーマは峯尾や梶やカヨ子(及びその夫)達が「堕ちて行く」様子を緊密な筆致で描き出す所にあると思う。また、逃亡中の峯尾が巡礼の如く、"聖地"「高野山」巡りをする辺りが、「聖と邪」の対比を狙っているのだと思う(全編に神話・仏教・古典のムードを漂わせている)。更に、「聖=性」であるとの主張も込めている様でもある。しかしながら、「山一抗争」に関しては、当時、TV、新聞紙及び週刊誌等でイヤという程に報道されたので、取り立てて新規性はない。また、町役場の小役人を色仕掛けでタラし込むという手法も古めかし過ぎてウンザリした。結局、「聖と邪」及び「聖=性」という趣向の成否が本作の全てである。そして、ラスト近くで展開されるストーリーも安易かつ予定調和的で、さしたるインパクトもなかった。

「聖と邪」よりも、むしろ「聖=性」という趣向の方が成功していると思うが、それとて、さしたる成果ではない。同じ暴力団を扱っても、ユーモアを込めて爽快に描いている黒川博行氏の諸作品と比べると青くて工夫がない様に映った。
籠の鸚鵡Amazon書評・レビュー:籠の鸚鵡より
4104563064

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