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十二人の死にたい子どもたち



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十二人の死にたい子どもたちの評価: 2.79/5点 レビュー 76件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.79pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(5pt)

この世に望んで生まれてきた子供はいない……だからこそ、大人は。

警察庁の集計によると、2017年の自殺者は前年より757人少ない2万1140人で、8年連続で減少したそうです。
――しかし、全ての年代で減少する中、19歳以下は前年より29人増えて516人となったとか。

子供がなぜ自殺するのか? ……このシンプルな問いに対して、真摯に向き合った作品だと私は思います。

決して、その答え、正解が書かれているわけではありません。
ただ、それを自身、読者が考えることこそ、本作の意義ではないかと思います。

子供が死を選ぶ理由は様々だろうと思います。
たとえ第三者……大人がそんな馬鹿らしいことで、些細なことでと思ったところで、当人がそう思わない限り、それは馬鹿らしいことでも、些細なことでもなく、唯一無二の、死に至る理由となります。

そんな理由を、誰かに話すことができたとしたら。
そんな馬鹿らしいことで、些細なことでと茶化すことなく、ただ話を聞いてくれる誰かがいたとしたら。
時に共感し、時に意見し、一緒になって死について真剣に考えてくれる仲間がいたとしたら。

本作に大人は出てきません。
本作に登場するのは、子供でありながら、大人のように考えざるを得なくなった子供達だけです。
それは大人の子供に対する無関心さ、そして、子供の問題を子供自身が解決するしかないという現状を、如実に表しているように思えます。

子供達が何も話してくれない……そう言う大人もいるでしょう。
何も話してくれないのは、信用していないからであり、話しても無駄だと思っているからです。
子供が限られた人生の中でそう思うようになったのなら、その責任は子供ではなく大人にあります。
……にも関わらず、自分の都合の良い時だけ、話して欲しかったと言うのは、虫が良い話だと私は思います。

本作に対するレビューを見渡すと、的外れだと思われるものがいくつか見られます。
それは、そのような形でしか本作と向き合えなかったということであり、つまり、真面目な話をしている相手に真面目に向き合うことができない、あるいは、自分の理解できないことは理解したくない、理解しようと思わないという、態度の表れだろうと思います。

もちろん、どのようなレビューを書くことも自由ですが、だからこそ、なお悲しくなるといいますか……願わくば、そうしたレビューを書いている人達が、小さな子供であることを願うばかりです。(こんなことをつい書いてしまう私もまた、大人げないとは思いますが!)

この世に望んで生まれてきた子供はいません。
だからこそ、望まれて生まれたということを、そう望んだはずの大人達が、子供達に伝えていかなければならないと思いますし、子供が生まれきて良かったと思える世界にしていかなければならないと思います。
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
4163905413
No.7:
(4pt)

元ネタはNHKの「真剣10代しゃべり場」?

いわゆるミステリー作品を期待したものの、良い意味で裏切られました。
タイトルの元ネタと思われる映画「十二人の怒れる男」のような、法廷モノに近い内容です。
名探偵のような役割(この場合だと弁護士?)を担うキャラも登場し、謎解きの要素もあるものの
正直そういった部分よりも、それぞれのキャラクターが織りなす群像劇としての面白さに惹かれました。
登場人物の何人かは「中高生のくせに頭良過ぎるだろ」という気もしましたが。
読んでいて、10年以上前にNHKで放送していた「真剣10代しゃべり場」という番組を思い出しました。
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
4163905413
No.6:
(5pt)

クールなようで、なんと熱い冲方ミステリ

天地明察、水戸光圀により歴史作家だと思い込まれ、
一方で一部のSFフリークに熱く支持を受けている冲方さん。
本作は別冊文藝春秋に一年間に渡る連載の初挑戦ミステリ。
恩田さんに負けたものの昨年の直木賞候補でもありました。

冲方さん的には新しい分野への開幕先発投手的位置付けの本。
凄く緻密に練って考えて構成したという感じです。
なにせ構想12年。しかも密室系ミステリ。
廃病院に集まった十二人の少年少女たち。
彼等はインターネットサイトで集団自殺の呼び掛けに呼応して
集まったのでした。お互いの面識も全くなく、自殺の原因も
それぞれが全く異なる。

このまま集団自殺を実行するのか?
この不自然な状況の謎解きをするのか?
彼等は全員で自らの自殺の原因を発露しながら意見を主張します。

ある少年は緻密な推理を積み上げ ある少年は精妙な進行役に徹し
ある少女は場を支配しようと主導し ある少女はトリックスターとして新しい局面をもたらす
次々と12人の一人一人が解決に向けて役割を果たすようになります。
何故ここに知らない一人が増え、
この中の誰が嘘をつき、誰がこの事態を引き起こしたのか?

ほとんどが病院内の一室のなかで繰り広げられるたった半日の
狭く、濃く、長くて短い、場所と時間の中の物語。

十二人の死にたい子どもたち、このタイトルに映画12人の怒れる男たち
を思い浮かべる方も多いでしょう。まさにその通り。
一部屋の中で少年たちがこれでもかってくらい延々と議論するのです。
そしてその議論の内容は映画のような他者の裁判、他社の罪の軽重ではなく
自分たち自身の自殺の正当性、根源性を問いあうのです。
僕も読了後に映画を探して見直したいと思いました。

目まぐるしく話し合いの主導権は少年と少女の間を行き来し、
事実と証拠が次々に意外な方向に物語を引っ張っていきます。

そのあたりの物語の濃密さと綿密な構成が作者のこだわりであり、
ともすれば読者の関心と同調しづらいところがあると思います。
この波長が合わないと遅延感や倦怠感を感じてしまうことも多いでしょう。
だけど頑張って最後まで読むときちんと謎解きとは別に
物語全体の解決を作者なりに提示してくれます。

人生に悲観したりちょっとでも自殺を考えた若者には
是非読んで欲しいと思います。
自分はこの中の誰なのか?
誰に共感し、誰の意見を許せないと思うのか? 
自分の境遇と結論は他の志願者にとって賛同されるものか?
それとも、別の理由に比べればとるに足らぬものでしか無いものなのか?
実は全ての人物に対になる反対の境遇と理由をもつ人物が
きちんと存在しています。
謎解きよりも、より作為にみちたお節介なまでの冲方 丁のギミック。
否が応でも悩みを持つ読者はこの構造に自分を当て嵌め物語中の人物のセリフに
共振するのではないでしょうか?「この物語はオレのことを書いている!」と。

面倒臭くも熱苦しくもある熱血作家冲方の現代ミステリデビュー戦。
少なくともよくあるデストピア小説のように結論ぶん投げタイプの
本ではなく彼らしい爽快な出口を読者の眼前に指し示してくれました。
賞に残らず、されど僕の記憶に残った一冊なのでした
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
4163905413
No.5:
(5pt)

自分は死ななくてもいいと読後に思えた。

傑作だと思います。
多くのレビューで「ミステリーとしてはちょっと...」「些細な点が気になって...」とありますが、本作の主眼はタイトルと物語の展開で明らかな通り、【自殺願望者が自殺をやめるまで】を描く事が大きな目的だと思います。
「死体のトリック」や、「自殺の理由」はあくまで舞台装置に過ぎず、【年端のいかない子供がどうして死にたいと思うのか、また、どうしたら彼等が死ぬことをやめるのか】を描くための些末な要素に過ぎません。
そして、そのことを通して著者は【人が人を理解する】という普遍的な考えを伝えてるのだと思います。
(もしくは私が壮大な誤読をしているかだと思います...)

12人の登場人物は「自殺」という閉じた考えの元から「生きる」という(大仰な言い方ですが)無限の可能性が満ちた世界へと思考を変えます。
この際に彼等は「理解」という需要なプロセス(捉え方の違いこそありますが)を経ることで「自分の考えを変えること」を受け入れる様になります。

一見当たり前の様に思えますが、この「理解」というのは自殺願望のある人にはとても難しいことだと思います(自分自身がそうでした)。そして、普段の生活をしている人にも中々簡単にできるものではないと思います。

それは、私が周囲の人に理解されず、私自身が相手の(自分以外の人の)意見を理解することができなかった経験の下にあります。
私は「自分の思う範囲」を越えて他人を理解することできませんでした。

物語内で、明日もない命のシンジロウが、命に別状のない病気に苦しむマイの「自殺したい理由」に絶句して言葉を失った場面で私も絶句しました。【その程度の...その程度の理由で死にたいなんてお前バカじゃねぇn...いやバカなんかではない】と。
私自身がこれまで「苦しい」「死にたい」「死んだ方が楽だ」と切実に思えたこと訴えたことは他人から見ると本当に「大したことではない」のだと初めて理解できたからです。
私は傲慢でした。そして他社も傲慢だったのではないかと同時に思いました。
「言い方/ニュアンス/態度の違いはあれど「理解してくれ」「理解させろ」という思考/関係があったからです。そして恐怖を感じました。
【今まさに自分が、自分自身が嫌っていた〝無理解〟】を平気で他人にしていたのだと。

校内で起こる「いじめ」では、する/される両側の無理解があるのだと。また、同じように「宗教/人種/戦争」にも同じことが言えるのだと。
そして同時に「安定した考えなんてのは何処にもないのではないか」とも思いました。
この年になるまで「死なず」に「生きて」いた間に【無理解】の中でどれだけ人を傷つけて、一方傷つけられるようなことをされてきたのかと思いました。
そして、「死んで」しまっていたら、どれだけ可能性があっても【死ぬのは良いことだ】と勘違いして、ある種「死」に対して幻想を持っていたままだったのか。と考えることができました。

私は以上の極私的な理由から、単に自分が「こうとらえた」という理由で本作を面白いと思いました。
「死ぬ」ことは【ない】のだと思えたのが自分に取って重きをおくことだからです。
それは心の何処かで「死にたくない」と思っていた考えを補強するものであったり、もしくはこの作品を読んでも「死んで構わない」とも捉えた可能性もあるからです。

くどくど長々と書きましたが。
私は多くのことをこの一冊で知って、理解することができたので、本作は【理解すること】に重点を置いて読むと非常に面白く楽しめる読書体験になると思います!是非オススメです!!
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
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No.4:
(4pt)

大人の議論と謎解きですね

廃業した病院にやってきた、12人の自殺したい少年少女。年齢は15歳前後だが、「名探偵コナン」でもないのに、
難しい議論や謎解きのできる子が何人もいて、12人の死にたい大人が集まったのとあまり差はないと感じた。なので、
成人である私にも興味深く読めた。
 ただ、私の頭の中では、ストーリーの展開が「12人の怒れる男」や「12人の優しい日本人」とダブってしまい、独創性はあまり感じられなかった。
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
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No.3:
(4pt)

推理ものではない

「時代ものではない時代もの」「ライトノベルではないライトノベル」と同じように、今回も「推理ものではない推理もの」になっているようで。ですので推理ものを求めている人には向いてないでしょう。もし「何を表現したいの」という疑問があって「こんなつまらない物語を書くのは何のためだ」と知りたい方、作者のインタビューなどもぜひご一読ください。参加者がいっぱい喋って、新しいアイディア(可能性)が生まれて。「集い」という言葉に関しては、「社会」や「選挙」「ネット」「打ち合わせ」に言い換えても、似たような現実が成立できるでしょう。「推理もの」ではなく「現実問題」として捉えたほうがいいかもしれません。
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
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No.2:
(5pt)

中高生にこそ、ぜひ読んでほしい。推理小説の枠でとらえないほうがいいと思った。

優しい気持ちで読み終えた。
中高生にこそ、ぜひ読んでほしい。
推理小説の枠でとらえないほうがいいと思った。
YA小説ととらえてもいいと思う。
大人も童心に還って素直な気持ちで読んでほしい。
12人の少年少女が、集団自殺?!をする前に解決しなければならなかった問題。
それぞれの登場人物の個性がよく書き分けられていると思う。

大きな事件とか、人殺しとかないのも、中高生にすすめられると思う。
ぜひ、学校の図書館に入れて、司書の方は、生徒さんにすすめてほしい。
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
4163905413
No.1:
(4pt)

真っ向勝負の本格

SFから歴史小説と傑作を生み出してきた著者による初のミステリということで,
早速購入し一気読みした.自殺を望んで集まった12人の子ども達が,クローズド
サークルで延々と議論を続けるというケレン味のない真っ向勝負の本格である.
地味な設定であるが,登場人物の書き分けもうまく,二転三転する推理も飽きさせない.
「十二人の怒れる男」に比肩し得る収穫といえる.
十二人の死にたい子どもたちAmazon書評・レビュー:十二人の死にたい子どもたちより
4163905413

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