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甘い罠



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【この小説が収録されている参考書籍】
甘い罠  ――小説 糖質制限食
甘い罠 (講談社文庫)

甘い罠の評価: 4.00/5点 レビュー 8件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(4pt)

糖質制限の物語として成立している。

糖質制限の本に関しては、かなり読み込んだ。そして、実際体験した。なるほど、余分な体重がおち、体が軽くなった。さまざまな糖質制限の商品開発にも取り組んだ。そして、説明した。でも、何か、言い表せないものが残っていた。雲南省にいたときは、ご飯が美味しくないので、食べないと言う選択肢はあった。しかし、日本に来て思ったのは、ご飯って美味しいと言うことだ。よくぞ、こんな美味しいモノがあるのだと感心した。コメには日本人の知恵と経験の伝統が集約されている。
 主人公は、料理研究家の水谷有明。25歳の時に和食に関する本を出版して、人気を集めている。日本食レストランのメニュー開発を、大型スーパーマーケットを運営するオゾングループより依頼される。水谷有明の父親は、冷凍食品を販売するキョウレイ食品の企画開発をしている。「手軽に鉄人シリーズ」の和食を担当している。
 有明は、オゾングループの契約農家を見て周り、それを材料とした和食のメニューを作るのだ。オゾングループは、地産地消を掲げ、原則80キロメートル以上の物流を避けて、その地域にある農業と共存したいと考えていた。地域にはいろんな料理があり、それを掘り起こすことを考えていた。
 オゾングループの和食レストランを企画するのが、八牧英二。山形県の西根の農家の出身。西根ほうれん草が有名だ。なにわ伝統野菜の服部白瓜と言う特産品を使ったあんかけ焼きそばがヒットして、英二は抜擢された。八牧英二は農家の思いを大切にしたいと思って企画する。国産の野菜が美味しいと思って欲しいと思っている。
 水谷有明の父親が、どうも重度の糖尿病である様子なので、料理療法をする池辺クリニックを紹介したら、医者嫌いだった父親が、医師の意見を受け入れてその食事療法を実践して、糖尿病を脱し、体重も減り健康になった。その食事療法は、糖質制限だった。米などの炭水化物を控える食事法だ。
 和食の根幹は、お米をいかに美味しくいただくかにあるが、それを真っ向から否定される。
人類が生まれて400万年、農耕が始まったのが1万年前。炭水化物を得られるようになったのは、人類史から見れば、ほんのわずかな間だ。炭水化物が手に入らない時代は、肉や果実、キノコなどを食べていた。糖質こそが、生活習慣病を作り出したと父親が言うので、糖質制限の本を片っ端から読み、ケトンが重要であることを有明は知るのである。
 そのようなことを、オゾングループの社長である城田に説明する。城田が、水谷有明を採用した人だった。城田は、その炭水化物を人間が得ることによって、哲学や宗教や文化が生まれた。糖質で人類が滅びるならば、それを違った道を見つけるのも必要だという。著者は、佛教大学のセンセイでもあるので、仏教の視点から食を考えた考察があるのがおもしろい。
 日本食が、世界遺産に加えられたと言うことは、それを支えた農業や漁業があるからできたのだとも痛感する。日本のコメ文化は、さまざまな形態で発酵し発展した。城田は、水谷有明と師匠の呉竹定一と昼ごはんメニューで対決させる。  呉竹は、塩麹味の玄米栗ご飯、白味噌をつかったほうれん草のおひたし、粥のあんかけ鱧入り蕪饅頭、米油かけ冷奴、麹味噌の味噌汁を出す。コメをフルに使う。水谷有明は、コメを使わない料理を出す。結果として有明は負けてしまうが、城田はいい経験だと言って引き続き有明に和食レストランメニューづくりを担当させる。ふーむ。城田の経営感がおもしろい。
 糖質制限について、くどくなくサラリと提起するのが、気持ちいい。新鮮で美味しいものを食べることで、本当の味を知ると言うのは重要なことだ。糖質制限をした和食というテーマもいいな。
#鏑木蓮 #糖質制限 #和食
甘い罠 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:甘い罠 (講談社文庫)より
4062934906
No.5:
(5pt)

勉強になりました

面白くて一気読みした。
岩手県の西根が出てきたのが、まず好意的に働いた。地元が出てくる話は風景が浮かんでくるから読みやすい。
有明、城田、八牧、どのキャラもいい味出してた。八牧は農家だったから糖質制限には否定的になるのかと思ったら、恋心のほうが勝ったか。ぜひとも有明の実物を見たい。

糖質制限の話については、農業との折衷が面白く興味深かった。
糖質制限のメリットばかり聞かされていると、つい炭水化物は悪という考えに凝り固まってしまうけど、農家のことを考えると単に排除すればいいという話ではないんだな。
あと消費者からすればエンゲル係数も気になる。
こういうこと含めて糖質と付き合っていく方法を考えなきゃいけないんだと気づかされた。

話が尻切れトンボだから続きがあったら読みたいなぁ。
甘い罠 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:甘い罠 (講談社文庫)より
4062934906
No.4:
(5pt)

甘い罠ーー小説 糖質制限食

勉強になりました。とても良い本です。
糖質制限食を毎日食べるのは、難しい。
甘い罠  ――小説 糖質制限食Amazon書評・レビュー:甘い罠 ――小説 糖質制限食より
4492061894
No.3:
(4pt)

糖質制限食は置いておいて、小説としてはまあまあ

糖質制限食についての意見は皆さんあるとは思いますが、小説としてはそこそこの出来だと思います。ただ、何度も読み返す程では有りません。
甘い罠  ――小説 糖質制限食Amazon書評・レビュー:甘い罠 ――小説 糖質制限食より
4492061894
No.2:
(5pt)

ものすごく面白い小説(+問題提起的)

表紙はクライし(黒の基調)、副題の「糖質制限食」が味気ないが、ものすごく面白い小説だ。この小説をベースに上手な脚本を書けば、TVドラマにできる。ドラマをとおして、問題提起できる(と思う)。

 主人公は、水谷有明(ありあ)という若い女性。料理研究家で、レシピ本も書き、スタイルがよいのでマスコミでも取り上げられている。大手の有名スーパーを運営するオゾングループが和食レストランを全国展開するにさいし、メニューの監修者として彼女に白羽の矢がたった。契約金2000万円。このオゾングループは、ひとつのポリシーをもっていていた。それは地産地消をモットーに地方再生のための農業振興をはかること。
  有明は京都出身。父親は「食」の関係の仕事をしていたが、年齢を重ねて、糖尿の気がでてきて、いまは糖質制限の食生活をおくっている。経過はいい。有明は、その父と、父がアドバイスを受けた医師の考えかたにしだいに共鳴し、新しいレストランのメイン料理に、糖質制限食をとりいれようとする。甘さを抑え、健康に配慮したメニューを並べようとした。この考え方はオゾングループの社長のそれと相いれない。おいしいコメ、おいしい食材、日本の文化であるお酒を使った和食の提供という方針に抵触する。

  一歩も引かない有明に対して、料理コンテストが試みられる。有明の師匠で和食の重鎮と有明の料理人対決。結果は・・・。テンポのいい会話、場面展開、登場人物の個性、糖尿病の病理、食文化の奥行きの深さなどがほどよく撮り込まれ、興味深い小説になっている。
甘い罠  ――小説 糖質制限食Amazon書評・レビュー:甘い罠 ――小説 糖質制限食より
4492061894
No.1:
(5pt)

人は、何を食べるのが正解なのか。

まさか、糖分制限をメインテーマとする小説が世に出るとは、隔世の感がする。
筋立ては、大手スーパーチェーンが地産地消のレストランを全国展開するが、そのアドバイザーとなるのが主人公であり料理研究家の水谷有明(ありあ)である。
そして、その父が糖尿病となり糖質制限により回復する。
有明は、メニューとして糖質制限食を提案するが、社長は師匠との味の勝負を逆提案する。当然ながら負けるがそれは、強敵にぶつかりそれを伏して初めて真の力がつくという社長の考えであった。
糖質制限食は、2000年以降に欧米でダイエット法として生まれたものである。現代は、糖質が過剰の時代となったのである。
そもそも、人類は「狩猟採集時代」、「農耕時代」、「精製炭水化物時代」を生きて来たのであるから人類史的な問題である。
このことは、400万年のうち一万年の歴史の糖質が文化・文明、神や仏を生み出したとも言える。
そこで、ただ簡単に排除することだけではこれを乗り越えることは出来ない。知恵により毒を薬に変える努力をする必要があるという社長の哲学が語られる。
中庸ということであり、それは、この作品にも言える。
社長は、もう一人の賢明で決断力に富んだ主役である。
有明は、その後新規出店の健康志向和食レストランで糖質制限メニューを提案し好評を博する。
ミステリーらしさを感じるのは、離婚することになる社長の妻が経営方針で悩む夫を見たくなくて、美容整形先進国アメリカで学ぶと言って帰って来たとき別人の顔となっていたという件であろうか。

日本糖尿病学会は、治療にあたり何故か合理性を欠く糖とは無関係のカロリーを食物摂取の基準としている。そして、現在不治の病とされている。また、血糖値基準のハードルを上げることさえしている。
しかし、減糖し動物性食品中心の食生活に切り換えれば血糖値は短時日で劇的に下がる。不思議なことに塩分摂取が増えるのに血圧が正常に戻る例がある。アルコール(特に蒸留酒)は気にする必要はないようだ。
甘い罠  ――小説 糖質制限食Amazon書評・レビュー:甘い罠 ――小説 糖質制限食より
4492061894

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