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死もまた我等なり: クリフトン年代記 第2部



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死もまた我等なり: クリフトン年代記 第2部の評価: 4.36/5点 レビュー 36件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(3pt)

正念場は次の第3部だ。

「エマ」の章が特に良い。アメリカで不運にも刑務所に入れられたハリーを追って、エマもアメリカに渡るのだが、悪徳弁護士や、ハリーの囚人日記を自作と偽った詐欺師との堂々とした闘いは、読んでいてスカッとする。女は、特に子供を産んだ女は強い。

それに較べると「ジャイルズ」の章は暗いし、「ヒューゴー」の章も奸計を読まされるのが疲れる。解説の山本一力氏が、感情移入できない章でも、読み飛ばしてはダメだと書いているので我慢しているが・・・・。

テンポの良さが救いだが、細部まで練りに練られたプロットかと言うと、首を傾げるところもある。メイジーの結婚相手が二転三転しているが、これで決まりなら蛇足が多かった感がするし、ヒューゴーとオルガの結末もあっけない。

ここまで来たら、第3部へは進むが、正念場かもしれない。
死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)より
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No.3:
(3pt)

残念

ジェフリーアーチャーの本は全て読んでいるが、訳者が変わってから魅力が減じた。
死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)より
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No.2:
(3pt)

ジェフリーアーチャーらしい内容で面白いが最高傑作とは言い難い。

この作家がお好きな人には楽しめるシリーズでしょう。しかし先が読める展開・・・。帯に「最高傑作」とありましたが、それは言い過ぎ。
まぁ、そういう「時代劇」てきなわかりやすい展開も含めてこの人の作品は安心して楽しめる。育児中で忙殺されながらも、合間をかいくぐって読破させる力をもった作品です。
死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)より
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No.1:
(3pt)

筋書があまりにでき過ぎの感あり

アーチャーの小説を読んでいるときはいつも、作家の掌のなかで彼の思うがままにハラハラ・ドキドキしながら転がされている喜びを感じる。さすが、国会議員と監獄の両方を実生活で経験しているアーチャーだけあって、この3部作(と言われていたが、実際は5部作になりそう)の2作目でも描写のリアルさは相変わらずで...

と持ち上げたいのはやまやまだが、1作目の後半でオールド・ジャックを唐突に殺し(たぶん、2作目以降でのこの愛すべき人物の使い方が思いつかなかったか、あるいは、彼がいると筋書上まずい状況になったのだろう)、終盤でハリーが商船に乗り込むあたりからはとくに作為が感じられて《でき過ぎ・つくり過ぎ》の感が強まってきた。この2作目はただ面白いエピソードをつなげただけの感がある。1作目と違って、読後に心に残るものがない。ただ単に危機⇒脱出⇒幸運⇒危機⇒脱出…の繰り返しばかりなのだ。下巻末尾の解説で山本一力氏が、アーチャーの筆力は冴えわたり最高傑作だ、と褒めちぎっているのだが、世辞にもほどがある。知人から解説を頼まれたら、ある程度は作品の欠点に目をつむるだろうが、だからといって、ここまで誉めそやせるものなのか。アーチャーファンとして、はっきり言わせてもらうが、ア氏後半生の作品は、このクリフトン・クロニクルの2作目も含めて、あきらかに筆力が落ちてきている。

そして、現在翻訳作業が進行中と思われる第3作 Best Kept Secret では、この傾向がさらに強まり、登場人物の肉づけが薄っぺらになっているばかりか、筋書も過去の作品の焼き直し。シリーズ物としてだんだん劣化が激しくなっていくのは、長年のアーチャー・ファンとしては悲しい限りだ。明らかにJ.アーチャーの筆力は急こう配の下降線をたどっているが、今度はだれが歯の浮いたような誉めことばを寄せるのだろうか。第3作はそのタイトル("言わぬが花")どおり、出版などしない方が氏の作家キャリアのためには最善の策だったと思うのだが……。

(以下、ネタバレあり。未読の人はぜったいに読まないで!)

さて、小説後半部(翻訳では下巻に相当)で、二十歳の主人公ハリーが部下にジープを運転させて、敵地のドイツ師団のど真ん中に乗り込む場面がある。師団と言えばたいへんな軍勢だ。そして敵方司令官に「圧倒的なわが連合軍の軍勢がすでに貴軍を完全に包囲した。無意味な容赦なき殺戮はぜひとも避けたい。わが連合軍の総司令官が降伏をすすめておられる」と、老練なる士官よろしくハッタリをかませる。結局、若造ハリーのブラフを見抜けなかった敵方司令官は降伏を決めて武装解除に応じ、敵兵2万3000人がハリーのもとに投降。ハッタリと知った敵方司令官は拳銃で自害する。

「おいおい、いくらなんでも、そんなブラフに引っかかるドイツ軍将校なんてあり得ないよ、アーチャーさん」とつっこみを入れながら読み終えた。ふと献辞のページの前にポツンとひとつだけ載っていた実在の人物の名前らしきものが気になり、ウィキってみたら実際にこれを第二次大戦でやった英雄が英国に実在していると知る。(Sir Tommy Macpherson トミー・マクファーソン氏。2012年現在、92才でご健在。)いやはや、これには驚いた。どうも戦場におけるハリーのこのエピソードは浮いているなあと思ったら、このT.マクファーソン氏の功績のパクリであったわけだ。さっそくこの人の自伝(未翻訳)をアマゾンで注文して読んでみた。下手なプロットもなく、リアルなだけに心に響いた。本作と対照的である。

マ氏の本を読むと、氏が文武両道を実践しながら、ラグビーを筆頭にいろんなスポーツを経験する中で、この英雄的行為を遂行するだけの「肝」を作りあげてきたことが良く分かる。輝かしい軍功を成しうる人間というのは、スポーツ、日本でいうなら武道で数々の修羅場を潜り抜けてきた人間か、さもなくば「兵隊やくざ」の勝新太郎よろしく「一本気のそうとうなワル」でなければなし得ないものだ。一方で、スポーツの経験はなく、勉学にも打ち込んできたとはいえ、学力ではなくその美声で奨学金を受けてきたハリーには、この英雄的行為を行うに足るバックグラウンドがない。沈む船から脱出したのは「幸運」で片づけられるにしても、このドイツ将校にたいするブラフの成功は、ちょっとした知力と幸運では済まされない。伏線のないままに、読者はあまりに卓越した軍功を提示されるだけなのだ。読んでいて楽しいのだが、どうしてもエピソードとしては非現実的で浮き上がっている。

そして最後に、この書名。マーガレット・アトウッドの Blind Assassin の翻訳書名「昏(くら)き目の暗殺者」を見たときも「おいおい、やけにカッコつけた大げさな書名にしたものだなあ」と思ったものだが、本作のタイトルも同じ感想を持った。なにかの引用なんだろうが、なんでこんなに勿体ぶったタイトルをつけるの、編集者さんたち? それともこれは翻訳者戸田裕之氏が出してきた案なのか。作品がやや薄っぺらで傑作とまでは言えないせいか、この大仰なタイトルはチョットいただけない。

「死もまた我等なり」というタイトルは、オリジナルタイトル直訳調の「ダディのやったイケナイこと」とおんなじくらい気恥ずかしいと思うんだけどなあ……。
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