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重力ピエロ
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重力ピエロの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全267件 141~160 8/14ページ
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仙台市内で連続発生する放火現場近くには、必ず奇妙なグラフティアート(落書き)が 発見された。謎解きに乗り出す「泉水(いずみ)」と「春」の兄弟の前に、徐々に明らかになる 放火と遺伝子とのリンク。それは、弟、「春」の出生の秘密とも重なって… 「オーデュポンの祈り」の方が、圧倒的な想像と創造の力を感じたが、小説としてのまとまり はこちらの方が上。本作でファン層が拡大したというのも頷ける。 ミステリーっぽい展開だが、決してミステリーではない。 自由で軽妙な語り口で運ばれるこの話は、とてつもなく重いものを背負った家族が、 重力に逆らおうとするピエロのように、苦悩を仮面の下に押し隠しながらも、 軽やかに跳ぼうとする様を描いた家族の愛の物語である。 終章、兄弟の父が春にかけた言葉には泣かされる。 それにしても、ポンペイの遺跡から、ネアンデルタール人、DNA、ガンジー、 ジョルジュ・バタイユ、フェルマーの最終定理と、とんでもない分野から話題が引用され、 それが自然に小説に収まっているところに、単に博覧強記に止まらない伊坂の小説家として の天賦の才を感じずにはいられない。 | ||||
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最近作をいくつか読んで、面白かったので昔の作品を読んでいます。 本書の半ばまでは訳の分からない話が至る所で進行していきます。それが少しずつ繋がっていき。最後にどどどっと一つになるという著者ならではの手法で描かれた作品です。 テロメアの意味の謎解きなどは「やられた」と思った伏線でした。「ラッシュ・ライフ」と同じくらい面白い構成の本でした。 | ||||
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淡々と物語が進められているせいか、かえって重い出来事がスムーズに流れて行く感じを受けました。 登場人物がやたら文学や哲学の話を続けていますね、その会話が余計に情景を自然に受け入れていく仕組みになっています。 個人的に興味深い文体でした。 | ||||
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絵画、文学、名言など様々なものが引用されていますが、その使い方が見事としか言いようがありません。 中でも、芥川の「地獄変」やドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」に関する記述はまさにこの本にピッタリと言ったところでしょう。 また、「オーデュボンの祈り」や「ラッシュライフ」を読んでいるとニヤリと出来るような小ネタも秀逸です。 この本を読んでからそれらの作品を読むのも一向かと思います。 欠点としては、兄弟の会話に引用が多すぎる為にわざとらしく感じるところでしょうか。 逆に言えば、その多用される引用がこの作品の持ち味とも言えますけど。 私はリアリティよりも小説としての面白さを追求した結果と解釈しています。 | ||||
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伊坂作品を読むのは2冊目。「アヒルと鴨のコインロッカー」が面白かったので、ミステリーランキングなどで評判の高い当作品を読んでみました。ちょっとがっかりしたというのが正直な感想です。深刻な内容を軽々としたアレンジでというのは両作品に共通していて、「重力ピエロ」という題名もそういった意味のようです。もしかしたら、他の伊坂さんの小説もそういう感じなのでしょうか?確かに人生に十字架のようなものを負っていて、どうにもならない運命に翻弄されてしまうということはありうることだと思うのですが、この作品の主人公が意志を持ってする行動が、私には了解不能でした。ただ、映画化が決定しているとのことですので、それは楽しみにしています。「アヒルと鴨のコインロッカー」を映像を見てから原作を読むという形で楽しんだので、この本を読んだあと映画を見たらどうなのかなっていう・・・だって美男美女がいっぱい出てくるはずですものね。 | ||||
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内容がレイプや放火を題材にしていますが作者の持ち味であるユーモアの利いた文章であまり暗い気分になることもなく一気に読めました。登場人物の会話は音楽、絵画、人類の歴史、動物などバラエティに富んでいて面白かったです。勉強になりました(笑)ラストはスカッとしました。まさに勧善懲悪。 家族の絆には血のつながりや、遺伝子なんて関係ないんです | ||||
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ちゃんと繋がっていはいるけど、どこかショートショートちっくな話の繋がりで、 どういう結論に繋がっていくか、最初見えないまま手探りで読んでいたのですが、 泉水と春の最強兄弟コンビの繋がりが素敵でした。 泉水は弟思いの、いいにーちゃんです! この普通のにーちゃんの目から見ると、弟の春は、ちょっとというか、かなり エキセントリックなところもあるけど、筋が通っているので許せます。 美形だというのもポイント高いです(笑)。 兄弟のお父さんも素晴らしい人で、こんな人が父親だったらいいなぁ等と思いました。 ストーカーさんも探偵さんもいい味出してます! 最後がどうなるか明確には分からないけど、これをよしとするか否かは、 罪と罰についての個人の考え方によるのではないでしょうか。 私は殺し屋みたいなおじさんのところに行った事でよしとしますね。 キャラクターが重要と考える方には問題なくお勧めします! 曖昧さは絶対駄目という方には余りお勧めできません。 | ||||
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ページをめくる手が止まらない。 春が格好よすぎて、 黒澤の活躍が嬉しくて、 DNAを超えるものを知りたくて、 ダメだ、病み付きだ。 | ||||
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この本を読むことで自分の中で何かが変わる、というほどの衝撃はありませんが、 自分が同じ場面に直面したときにどうするだろうという問いかけを与えてくれる作品であり、 また、作品の世界観・ところどころに見られる気のきいたフレーズ・ちょっとした雑学で、 心や知識欲を満たしてくれる作品であると思います。 偉人の名言や日常の光景に対して春や泉水などが批評するシーンを見て、 伊坂流の解釈を楽しめるのもこの作品の特徴ですね。 全体的に面白い作品ではありましたが、個人的には、情景の描写に多少の物足りなさを感じたので、 評価は☆4つとしました。 | ||||
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伊坂作品らしく、登場人物が魅力的。 途中で犯人は分かってしまったのは、 アタシの勘が鋭いとかそういうことじゃなくて、 犯人の謎解きがこの本のテーマじゃないんだろうな。 だから、読者をそこでドキドキさせたいわけじゃないんだろうなって思った。 謎解きやミステリーじゃなく、 家族愛なんだよね。 多分。 少なくともアタシにはそう思えた。 だから、父親と春が握手をする場面で、 涙が出た。 | ||||
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伊坂幸太郎さんの作品を読むのは初めてでしたが、「大当たり」だと思いました。 まず最初の四行を読んだだけで世界に引き込まれる。 ただの文字の羅列なのに、痛みを感じ、質感があり、感情がわきあがってくる。 ミステリーというよりも、ある家族が自分達の過去とどう向き合っていくか、を描いた小説です。わたしはミステリーはあまり読まないのですが、ミステリーを求めて読むにはオススメしません。 最近の作家ではずば抜けた才能を持っていると思います。とにかく、この本にめぐり合えてよかったと思いました | ||||
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いい話でした。 すれちがう人が皆振り向く美形の春、その兄で平凡な会社員の泉水。 二人が仙台を騒がす放火事件に関わっていく過程で発覚する意外な真実とは…… 伊坂さんは伏線の収拾の仕方がほんと上手いですね。綺麗です。 「陽気なギャングが地球を回す」も感嘆したんですが、ここまでくるとほんと職人芸です。 変に自己顕示欲強い作家さんだったり逆に親切な作家さんだったりすると伏線の前後は「ここ伏線ですよ!答え合わせにでますから!」ってアクセントおいちゃったりするもんですが、伊坂さんは全然それがありませんね。なんでもない会話中にするっと重要な伏線が滑り込んでる感じで、それが終盤でひとつずつ拾われ綺麗に回収されるのが凄く気持ちいい。 家族愛親子愛がにじむ会話に所々ほろりとします。 冒頭としめの一文が呼応して輪を閉じるのも憎い。 | ||||
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読者にとって方向性が見えないように物語を進めながら、細かいエピソードである種の共感や感慨を与えると言う高度な技巧と広範な知識で読む者を惹き付ける作品。衒学趣味と言う嫌らしさの一歩手前で読者に提供される遺伝子工学、絵画、ジャズ、原(猿)人等の幅広い話題が物語のアクセントになっている(ただし、「シャイニング」の挿話は映画と原作の取り違えだろう)。題名は「笑いを浮かべ空中ブランコを飛ぶピエロは、重力を感じない」所からの由。「本当に深刻な事は、陽気に対処すべき」程の意か。 主人公は父方の血が繋がらない兄弟。兄が語り手役で、出生の翳を持つ弟"春"の奔放かつ繊細な人生観・倫理観が主題と言って良い。二人の掛け合いはテンポが良く、読者を引き込む。そして、"春"が放つ警句は人間(生殖)への懐疑が根底にあり含蓄が深く、これだけでも物語を引っ張って行ける。癌患者の父の造詣も巧み。舞台は仙台で、兄は遺伝子関係の会社員。並外れた絵画の腕を持つ"春"は、壁にイタズラ書きされたグラフィティアート消しのアルバイト。そして仙台で起こる連続放火事件が一応の軸。"春"はアルバイト中に、この連続放火のルールのヒントを発見する。パズル好きの兄と"春"は事件解決に乗り出すのだが...。整形美人として登場する"春"の元ストーカー。相変わらず続く二人の軽快だが意味深な会話と回想談。放火ルールと遺伝子との意外な関係。不思議な存在感のある探偵の黒澤。これらを渾然一体として描きながら、読者に"ある予測"を持たせながら物語は終局に向かって行く...。 深刻なテーマを扱いながら、"桜の花がたゆたう川"の流れのように物語を展開する作者の手腕は特筆もの。物語に浸る事で、読む者の心を強く優しくする傑作。 | ||||
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重いテーマを軽快に描いています。伊坂さん特有の透明感、疾走感も感じられて読んでいて心地良いです。ストーリーを通じて発信されている行間に隠されたメッセージのようなものがあり、読後もあれこれ思いを巡らせる物語です。 | ||||
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兄さんの犯行計画と母さんの万馬券には抜け穴があった。 では、犯罪をきれいにやってみせた春との違いはやはり父親なのだろうか。 ギリシャ神話のオイディプスは、自分の父を父と知らず殺した。 春は自分の生命の原因である人間をその人と知った上で殺した。 春は必死に悩んでいる。ノートに書きなぐるのも、ゴダールも、兄さんも、ジンクスだけじゃないだろう。 そして、先天的な遺伝子より後天的な環境が大切だという単純なストーリーではない。 なぜなら、後天的な環境の中には、自分が生まれた理由も関わってくるからだ。 ただそれでも、 「その時の光景を、私は決して忘れないだろう。」 「それは、私たち兄弟を救済する最高の台詞だった。」 遺伝子に環境が勝利を収めるステキなストーリーなのだ。 なかなかムツカシイテーマだが、重力を忘れたピエロのように陽気に伝えることに成功していると思う。 | ||||
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話の内容どうこうと言うよりは登場人物達に魅力を感じましたこの話の主人公の兄和泉にも父親にも母親にもそして物語の核である弟春も話の結末が早い段階で分かってしまうという事をマイナスに評価されてる方もいますが、私はそれで良いのだと思いました大どんでん返しで読書をビックリさせたかったわけではない気がするし私は読んで良かったと思います | ||||
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とても面白かったです。 キャラクターではお父さんが輝いていたと思います。 主人公や弟は歪んだ感じがにじみ出ていてあまり好きになれませんでしたが、 お父さんの描写は素晴らしかった。 サブキャラもよかったですね。 私は遺伝子の知識があるのですぐに読めましたが 塩基配列の話やコードの話など、まったく知識のない人が読むと 少し教科書のような気がしてしまうかな、とも思いました。 遺伝子を会社に例えたりしたのはとてもわかりやすくてよかったです。 ストーリーは途中で読めてしまいましたが、 それでも細かな展開が気になり、真剣に読みました。 終わりはなんとなくしっくりこない気がしましたが、 それでもお父さんの力で丸くおさまっていたのかな、と思います。 | ||||
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この「重力ピエロ」は ゆっくりと読み進めると 話の展開が自然と読めてしまう本です見る ミステリーではありませんね。 しかし 人の持つ心の葛藤は まさに迫力の迫るもので 主人公の「泉水」の心象の様々な変化は 見ていて笑いが自然と生まれてしまいました。 特にこの話は 「放火と家族と兄弟、そしてガンジー」 というお話で 遺伝子が家族の絆を作るものではないことを 父親と母親と弟の春、そして 主人公の泉水を視点に 語られていくさまは 終盤には少し感動するものがありました。 途中、ラッシュライフの黒澤が出た時は 「キターーーーー」びっくり と心の中で叫んだものです(笑) また作中では最近読んだ ドフトエフスキー作の「カラマーゾフの兄弟」や 三島由紀夫作の「金閣寺」が出てきた際には 一気に引用が理解でき より小説に惹きつけられました。 2009年春に 加瀬亮が主演の 重力ピエロが映画化されますが 一体どのような作品に仕上がるのでしょうか? 来年が楽しみですね♪ | ||||
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登場人物みんな、ありそうでありえない設定というか・・・ いつもながら、そのあり得なさを当たり前にしてしまう、伊坂さんの才能はすごいです。 ねたばれになっちゃうので、あまり書けないけど、 兄弟のお父さん、そして、春のストーカーの夏子さんが、とてもいい味だしています。 血の繋がりとは何か、殺人の是非・・・ いろいろ重いテーマもあるんですが、やはり透明。 ガラスを通して見ている様な。 そして決して、めでたいわけではない結末なのに、読後感が爽やか。 不思議な世界ですね。 | ||||
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訳のわからんタイトルだが、一言で面白い。 春という名前の弟が、母親がレイプされて結果できた子供、という重い設定。 筋書きは放火や落書きを導線にした復讐劇という単純なもので展開も読めるが、それでも面白い、というのがこの本の凄さ。兄弟の絆、関係性、父親と母親等々の挿入話を楽しみながら悲劇に見舞われた家族それぞれの軌跡を楽しむ物語。 兄弟同士の会話や引用が単純なのに面白く深い。この一冊を読み終えたころには引用に使われた文献10冊程度既に読みたくなっていた。春が万引きしてグチャグチャに踏み潰したCDはおそらくガンズの「アペタイト フォー ディストラクション」著者の生年月日から逆算して「なるほどなぁ〜」と頷いてしまう。 レイプという悲惨な現実は毎日起きている。レイプそのものより一歩突っ込んだところを描いているのが凄い。その結果生まれた子供がどんな苦しみを負って生きるか、レイプされた母親が必死に過去の惨劇を振り切ろうと勝負する姿、そしてレイプを正当化してのうのうと生き続ける犯罪者の苛立つ論理。その重いテーマを特殊で魅力的な兄弟愛、家族愛を描くことによって重さだけで終わらせない力量が素晴らしい。 この春という人物には自分でも驚くほどの共感を持てる。そんな人多いのではないだろうか・・・ | ||||
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