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霧越邸殺人事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
霧越邸殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全75件 61~75 4/4ページ
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「館」シリーズを離れて本格物に挑戦した作品だが、真犯人、動機、犯行方法とも平凡で何故「雪の中の山荘」物に敢えて手を付けたのか理解不能な出来。結局、作者はデビュー作の「十角館」(叙述トリック物)で成功した以外は、やはりミステリ研でマニアックな薀蓄を傾けている方が似合っていたのだと思う。 | ||||
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本作は館シリーズに準ずる作品として位置づけられることが多いようで、作者自身もそう位置づけているようですが、個人的には館シリーズとはやや系統が異なるものだと感じました。「新本格」という呼び名が適切かどうかはともかく、綾辻は基本的には「本格」ではなく「新本格」です。「本格」ではなく「新本格」というのは、かつての本格推理小説をそのままなぞっているわけではないという意味です。現代において本格をそのまま書くことの困難性を綾辻は熟知しており、それ故にかつての本格とは微妙に違う本格(例えばメタミステリ的な叙述トリックなど)を書いて来たのだと私は思っています。 本作を読了して驚いたのは、これがそんな綾辻が正面から挑んだ本当の「本格」であることです。作者自身が読者に仕掛けるトリックは基本的にはなく(細かいミスリーディングは別ですが)、ただ犯人自身が自分が犯人であることを隠す為に周囲の人物たちに対して仕掛けたトリックだけがあるという直球勝負なのです。個人的には作者自身によるどんでん返しがあると想像して読んでいたので少しもの足りなさを感じたことも事実ですが、普通の本格推理として読めば相当優れた作品だと思います。横溝正史の作品群が好きな人にもお勧めしたいです。 | ||||
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はっきり言って「ミステリー」としてのトリック、犯人の意外性などには新鮮味が無い。 にもかかわらずこの小説が魅惑的なのは、論理的には表現しがたい観念、「現実」の裂け目から垣間見える暗闇、人が生きることの謎が表現されているからだと思う。特にこの作品ではそのような「観念」と、そのメタファーたる「建物を中心とする風景」が見事にシンクロしていて奇妙に印象に残る小説になっている。 綾辻行人は読みやすさ/エンターテイメントを忘れず、かつ哲学的で詩的な観念を美しく表現できる、日本では珍しい一種の観念小説家だと思う。「時計館の殺人」ほどミステリー的ストーリーと観念のバランスが取れていないところがマイナス1点。でも小説としては素晴らしい。 | ||||
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ヒント?を綾辻氏が提示していて、これには多少なりとも推理小説を読み慣れている者なら絶対的に気づくのだが、これが劇中、意外と簡単にスルーされてて「あらら…」って感じ。前半(第1の殺人が起こるまで)が長くて、ちと辛いが第2・3の殺人が連発していくあたりからは「誰が犯人なのだろう?」って読者に推理させながら、グングン読ませていく力はさすが!ネタ的にも”吹雪の中の密室物”でまさに綾辻氏の本領発揮といったところではある…『安楽椅子探偵』のネタにもなりそうな構成だし…(笑) | ||||
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かなり期待して読み始めたんです.確かに、最初は引き込まれて、ドキドキハラハラ読み進んだのですが、結局、思わせぶりの見かけ倒しでした。推理小説として読んだら、人が人を殺すということにまつわる、葛藤や覚悟や情動がまったく垣間見れず、殺人の動機はあまりにしょうもなくて説得力がない。「そんなことで殺すのかオメーは!」と突っ込みたくなりました。また幻想小説として読むには、精緻に描かれているぶんだけ、抒情性や余韻が足りません。登場人物もなんか類型的で、例えば「遊んでる女はソバージュで肉感的で化粧も服装も派手」みたいな古臭く短絡的な発想に基づいてる気がします。 私としては、荘厳で美しく魅惑的な霧越邸の中は、何にもなく空っぽという感じでした。残念です。 | ||||
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綾辻さんの著書は全部読んでます。その中で、この「霧越邸」は、非常に描写が美しいです。綾辻さん、本人は、「人間性が書けてない」とか何かの本で読みましたが、この作品は、人より、風景というか雰囲気というか、自分がその場に居るような、そして、とても美しい気分になれます。私個人としては、描写的に、「水車館」と同じくらい、綺麗な作品と思っています。 | ||||
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綾辻作品全部持ってます。時計館の殺人とか賞をとっただけあってさすがです、あれは最高でした。しかしこの作品は重みが違う、神聖な雰囲気であり、いつまでたってもシーンを覚えてます。完璧な完成度!この作品に出会えた事に感謝したいです。この本は私の宝です。人にプレゼントした事があります。もちろん自分のをまた購入。 | ||||
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途中のちょっとした仕掛けで犯人がわかってしまいました。本格と言うにはあまりにお粗末な仕掛けです。しかし、やはり著者の力量を感じる重厚な本格ミステリーと思います。ジェットコースターのようなハラハラドキドキの現代ミステリーに食傷したときに読んでみて下さい。 | ||||
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「本格とは雰囲気だ」と冗談交じりに言い放ったのは他ならぬ綾辻氏本人だが、本作はそれを見事に体現し、証明して見せた作品だと思う。謎解き要素は古来よりの探偵小説の作法+綾辻氏特有のトリックを交えているという純粋な「推理物」でありながら、読後感としては「幻想小説」のようななんとも不思議な感覚が残る、絶妙の風味に仕上がっている。 「雰囲気だけ」の劣化コピー本格ミステリが多い中、綾辻氏は数少ない「本物」であると言う事を感じさせてくれる作品。 | ||||
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時計館を読む前に、こちらを読んでおこうと思い手にとったのですが、私にとってその内容はあまりにも深くて「綾辻さん、なんてすごい本を書いたんだ・・」と驚愕しました。綾辻氏はしばしば「ミステリーを書く上で雰囲気はとても重要」だと述べられています。本作はそれを如実に形にしたようなもの。重厚で厳かで幻想的で、「霧越邸」という名がとてもよく似合う館が舞台です。お得意のどんでん返しはもちろん用意してありますが、この物語で何よりもその魅力となるのは、やっぱり前編を通して感じられる独特の「雰囲気」でしょう。事件解決後も、「霧越邸」にまつわる謎は明らかにはされません。深い余韻を残して、物語は終わりを告げます。この作品を読む事ができて、よかったです。 | ||||
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典型的な「嵐の山荘」状態の中、一人、一人と、まるで運命であったかのように、人が死んでいく。豪奢な邸宅、慇懃無礼な使用人、謎の少年、そしてミューズ…舞台はそろいすぎるほどそろっている。グランド・ロマンという感じはあるし、作者の代表作なのでしょうが、私は、この作品で作者が何を言いたいのかがわからなかった。作り上げた雰囲気に浸りたい、というのなら完璧に成功している。邸宅内の見取り図など見た日には震えるほどうれしかった。推理小説界の新機軸を作り上げた点は買います。一読をお勧めします。 | ||||
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日本の作家は連続殺人物に見立てを絡ませる場合全然関係ない物を無理矢理こじつけてみたり、本来の順番を狂わせてそれでも見立てだと言い放ったりしますそれらは、単に作家の自己満足に過ぎず、誰も見立てだと思わないのですがこの作品はこれらの旧弊にとらわれることなく見立てを伴う連続殺人事件ものに新たな展開を見せつけた優れた小説です | ||||
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まさしく本格です。館を利用した大トリック。不気味な空気が流れる館内のイメージ、怪しい人々。はまりすぎる凶器。これでもかと本格を意識してつくられています。すばらしい。じっくりと座って、コーヒーでも飲みながら。是非。 | ||||
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館モノ本格は色々な人が書いているが、その中でも優れた一冊。著者の館モノの中でも、もっとも成功している内の一冊である。もっとも、中途半端なペダンティズムが薄っぺらいのには辟易する。 | ||||
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日本の古典ミステリの大作に中井英夫の「虚無への供物」がある。この本に影響された作家は多いが、綾辻行人は最も影響されている作家の一人である。この「霧越邸」は、(トリックも構成も全然違うにも関わらず)、「虚無への供物」の匂いを特に強く感じる。雪の中にそびえたつ謎の館で起こる連続殺人。犯人は分かっても、人知を超えた謎は残ったまま終わる。再読しても、最初の霧越邸にはおそらく誰も辿りつけないだろう。 綾辻行人というと「館シリーズ」だが、この本はこのシリーズとは全く異なる異形の作品である。しかし、おそらく最高傑作の候補になる作品であると思う。 | ||||
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