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オブ・ザ・ベースボール



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【この小説が収録されている参考書籍】
オブ・ザ・ベースボール

オブ・ザ・ベースボールの評価: 3.56/5点 レビュー 18件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.56pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

R-1グランプリ優勝候補筆頭

文学でギャグを体現しつつ、権威に中指をおったてる剛腕。作中の落下者同様に読者も地平線の彼方まで吹っ飛ばされる。
オブ・ザ・ベースボールAmazon書評・レビュー:オブ・ザ・ベースボールより
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No.10:
(5pt)

円城ライト版

途中で落ちに気付いてしまったけど、
しっかり描写されてくれていたので助かった。
しかし面白い。
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No.9:
(4pt)

理解不能だが癖になる脳内麻薬のような作品

円城塔の純文学路線におけるデビュー作らしい。芥川賞受賞の「道化師の蝶」みたいな感じか。確かにハードSFを全面に出さず、「読み易い」。が、無論従来の「文学」に当てはまるような作品ではなく、説明を放棄した不条理文学と言えば一番近いだろうか。表題作は年に1度だけ人間が空から振って来る町で、その人物を助けるのを仕事としたレスキューチームがバットで打ち返してしまった話。しかも打った男と打たれた男は同一人物だと言う...何だか妙にペーソスの漂う話だった。そしてもう一作は、博覧強記な作者の読書歴をベースにした作品。
 読み易くはあるが、作者の作品は基本理解不能である。だが、読んでいて不思議なくらい心地良く、なぜか読後感も良い。まるで脳内麻薬のようなもので、癖になるので注意が必要。円城塔はそんな作家である。
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No.8:
(5pt)

じゃあこっちも読み続けるよ

円城塔さんの本を読むのは3冊目。
『Self-Reference ENGINE』を読んだ時は「でもね、わかんないけど面白い、それが小説だよね。」と書いた。
『バナナ剥きには最適の日々』を読んだ時は「おもしろいんだから、わかる/わからないなんて、どうでもいいんじゃない?」と書いた。
面白いと言いながら、わかることを放棄したような感想。

本書も頭を捻りながらも面白く読んだ。
難解だ、不条理だという評もあるようだが、これよりもっとわからない小説は他にあるし、
個人的には小説に条理を求めているわけではないし。ただ、頭を捻る分、運動不足の脳が疲れる。

「オブ・ザ・ベースボール」「つぎの著者につづく」の2編を収めた本。

「オブ・ザ・ベースボール」
人が落ちてくる町に野球チームのようなレスキューチームがあるという設定だが、
落下という現象と、そんなことあるの?という存在についての話と考えれば、
というか、読み手側が何らかの前提を置いて読めば、気軽に面白く読めるように思う。

「つぎの著者につづく」
文章の成立ということを考えると、文字や文字の連なりとか、書き手/読み手とか、
出版とか、読む機会や書棚とか、いろいろな事柄が思いつくが、
それらについてさまざまな文章・思考を引用してしつつ、
書くこととは、読むこととは、その間にある文章とは、などが綴られているように感じて、
意外と(?)楽しく読めた。

いずれも、とにかく書き続けるよという著者の意志のようなものが読後に漂って、
じゃあこっちも読み続けるよ、と思うのだった。
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No.7:
(4pt)

巧みな語り口

とても軽快な語り口で語られていく落ちてくる人を打ち返そうとする不条理な物語。ほかの作品もそうかもしれませんが、円城さんは二重否定を頻繁に使ったり必ず理系のアイデアが詰めこまれていたりと語り方がとても独特でなかなか小気味よくて素晴らしいのですが、物語単体ではストーリーラインがあまりないという印象を受けます。好き嫌いがはっきりと出る方だと思います。
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No.6:
(5pt)

楽しい

表題作と次の著者につづくのギャップが面白い。 ファウルズの何もない感じが好き
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No.5:
(4pt)

表題作は数理をもって小説を構成する稀有な作家の本領発揮

作者の作品としては、「Boy's Surface」、「Self-Reference ENGINE」、「道化師の蝶」に続いて本作を手に採った。表題作と「つぎの著者につづく」の2つの中編が収録されている。作者の作品の一番の特徴は「読んでも理解出来ない」点にあると思う。その上で、「作品を産み出すチューリング・マシンは作者ではなく、読者の想像力の方」という独創的哲学の下で執筆している姿勢が伝わって来る。

また、次の点にも気付かされた。
(1) 読者が、大学の専門課程以上の数学、計算機理論の基本的知識を持っている事を前提としている。幅広い読者に自作を読んで貰おうとの意図は初めからない。
(2) 作品には何らかの位相が埋め込まれている。

表題作は、平均して一年に一回人間が降って来る田舎町ファウルズ(野球のファールと落下のfallを掛けたもの)を舞台に、何時降って来るかも分からない人間を助けるレスキュー・チームの一員の独白で構成されている。チームのメンバは9名、ユニフォームに身を包み、手にしている道具はバット(!)。作者の作品の中でも特にナンセンス・ユーモアを強調した物で、理解出来ない以上は笑うしかない。見かけ通りの単なるアメリカ的ホラ話とも取れるが、メビウスの環的"輪廻"を扱った物とも取れる。そうした位相構造を朧げに匂わせる詩情溢れるラストシーンを用意する辺り、心憎い演出。「つぎの著者につづく」は、作者の投影である作家がR氏なる作家の評伝を書くという体裁の作品。小説に対する作者の姿勢を知る上では貴重とも言える(例えば、カフカの影響を強く受けている事が良く分かる)が、小説として成立していないのではないか。「道化師の蝶」の原型の様にも映った。

「つぎの...」には消化不良の感を覚えたが、数理をもって小説を構成する稀有な作家との認識を改めて抱いた。今後も期待したい。
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No.4:
(4pt)

「道化師の蝶」につづく

本書は、表題作のほか、「つぎの著者につづく」の1編を掲載した、短編集です。
表題作は、第137回芥川賞候補にもなった作品で、そちらに注目して本書を手に取ったのですが、読み終えてみると、印象に残ったのは「つぎの著者につづく」の方でした。

【つぎの著者につづく】
表題作に引き続き、本作品を読み始めると、作風の違いにまず驚かされます。
しかも、「難解」なイメージ。
でも、この作品こそ、芥川賞を受賞した「道化師の蝶」に繋がる作品なのではないか、と感じます。

「道化師の蝶」は未読ですが、捕虫網で「着想」を捕らえる人物の話であるとの情報を得ています。
一方、「つぎの著者につづく」では、こんなストーリーが用意されています。

作家である「私」は雑誌で、自分の作品と「リチャード・ジェイムス」の著作の類似性が指摘されているのを目にする。
ところが、自分は「リチャード・ジェイムス」のことは初耳で、作品はおろか、人物名さえ聞いたこともなかったのだ。
「私」はこの人物のことを調べることにしたのだが。

芥川賞受賞の会見やインタビュー記事を読んでみると、著者の関心は「言葉の不思議さ」にあるようです。
「つぎの著者につづく」は、デビュー作から5か月後の2007年11月に発表されています。
著者の作品は本書しか読んでいませんが、「言葉」をテーマにした作品の最も初期のものではないかと考えられます。

この作品は、しばしば「文学作品」を評する時に言われる「人間描写の巧みさ」「人間の魂の叫び」などとは無縁の作品。
著者は理系人間のようですが、「言葉」というものを数学的な論理思考で解明しようとしているかのようです。
吉本隆明やウンベルト・エーコの著作が脚注に掲げられている本作品は、後年、著者の作品の原点と呼ばれる可能性を秘めているのではないか、と感じています。

(本稿は、2011年10月に掲載したレビューを2012年1月に全面改稿したものです)
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No.3:
(4pt)

面白さと理由

振り返ってみればなんてことない話。
 落下者をなんでバットで打つのか、とかいった様々なつっこみを拒むところがある。そう考えると一種の不条理を題材にしているとも言えるのだろうか。
 面白い点といえばこの作者特有の語り口である。嘗め賺したようなユーモア或いはウィットが中々軽快であるが、受け付けない人にはイライラを誘うだけだろう。
 人が落下しているのか、人に向かって地が落下しているのか、とか、各種理論だとか、ひたすらに並びたてられる論理展開は想像をかき立てるものがあるが、明確に想像させないところがもどかしくもあり、また本作品の絶妙な奥行きとも言える。
 わからない。けど面白い。その面白さが中身の無い形骸だとしても、別段問題ないのかもしれない。
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No.2:
(5pt)

顎を引いて脇を締めて

ファウルズという町では、時折空から人間が落ちてくるらしく、主人公は落ちてくる人間をレスキューする野球チームの一員である。
ただし、レスキューチームが役場から与えられているのはバットである。天空高く落ちてくる人間を助ける役にはまずもって立たない。
昼間、町のほうぼうで落下者を待ち構えて、夜になればしけた酒場で時間を潰して家で寝る。
ランダムなタイミングでランダムな座標に落ちてくる落下者が見事頭上から降りてくることはまずないが、それでも男は空をにらんで落下者を待ち構える。

そうした筋の話が、平たく書かれている。
しかし、その平たさは表面がそうであるという話にしか過ぎない。

不思議な作家である。
Aという事象を滑らかに語ったと思えば、すぐさま割引シールをはっつけることで文章の座標を揺らがせていくような手口で世界をつらつらと描き出す。
詐欺師のような手際であるけれど、素朴なつもりで描かれていて、実際の見た目は物見櫓である。説明しようとしても要領を得ない。
しかし、ラストシーンの主人公を思い浮かべると、なんだかかっこいいのだ。むしょうにかっこいいのだ。
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No.1:
(4pt)

SFと呼べないかもしれないが

文學界新人賞受賞作。 芥川賞の候補作でもある。 出版される作品としては早川書房から出た『Self-Reference ENGINE』、『Boy's Surface』に続く3作目。 『Self-Reference ENGINE』は読んだが、すごく面白いSFだったので、この作品もそのつもりで読んだら、ちょっと感じが違った。 オブ・ザ・ベースボールはSFっぽい設定ではあるが、とても読みやすい小説。 もう1作、収録されているのは、『つぎの著者につづく』という作品だけど、こちらはとても一段落が長く(2ページ近くになるのもある)、また引用も多くて、難解。 でも、こっちの方が好きかな。
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