坂の途中の家
評判
坂の途中の家の評価:
3.72/5点 レビュー 137件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全265件 121〜140 7/14ページ
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重い気持ちを抱きつつ、主人公の里沙子、被告人の水穂共に共感する箇所も多く、あっという間に読んでしまいました。
育児中の身としては、保健師や通りすがりの人、義家族、親戚、友人らから発せられる子供に対しての言葉には過度にナーバスになったり考え過ぎたり、出産前より人の言動に敏感になったなと自分自身も感じています。 人がふと軽く放った些細な言葉でも深く考えてしまう。
自分の経験からも言えるのですが、「発達が遅いようだ」「表情が乏しい」と言われる事が、どれ程傷付き母親を追い詰めてしまうのか。乳児というのは大きな成長段階にあるので、批判じみた事を言ったり母親に寄り添えないこの本に出てくる保健師の人格を疑う。
育児については、独身の頃から、自分は子供好きだし、他人事ながら、育児もそこまで大変ではないだろう何となくのイメージで思っていた。
しかし妊娠中にトラブルがあり子供は数カ月入院もし、退院後の育児も色々な面で大変であり、言葉が通じない、自分の思い通りにどれも行かない、い小さい、か弱い人間を育てる事は並大抵な事ではないと育児をしてみて実感した。それまで出産した友人の家を訪ねたり、親戚の子供を可愛がっていたのにも関わらずだ。やはり里沙子、水穂のようにその立場に立たなければ分からないことは沢山ある。
そして、人は自分の枠組みでしか物事を考えられないのだな、人に寄り添って考える事が人間関係でいかに重要かと改めて感じた。裁判員の中の初老の男性・女性は、生きてきた時代も関係していると思うが、水穂や里沙子の気持ちを理解する事はなかなかできないと思う。30代40代の男性等、こういう人実際いそうだなと思えるような描写だった。
水穂の事を「ブランド好きな女」と罵る記事を書く週刊誌。マスコミというのは本当に好き勝手売上や話題の為にでっち上げ、得体の知れない知人という人の証言のみを載せ、個人の気持ちや事情を汲み取ったりはしない。人間は外見や話し方のイメージや印象で決め付けてしまうので、なるべく先入観を持たないようにしなければ。とこの本を読んで思った。
里沙子の終盤での自分の意見を言えた箇所は自分自身もすっきりした気持ちになれた。里沙子の新たな一歩になり、裁判員に選ばれた事で、周囲への見方が良くも悪くも多いに変わった。
今後の里沙子の生活が自らの意志を持ったものである事を願う。
それにしても、角田さんは子供はいらっしゃらないと思われるが、育児中の閉塞感、孤独、思い通りにいかない子供の描写、人間の弱さを描くのが本当に上手いと思った。