坂の途中の家

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評判

坂の途中の家の評価:

3.72/5点 レビュー 137件。 B ランク

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平均点3.72pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全265件 201〜220 11/14ページ
No.65
(5pt)

なかなかの力作

補欠裁判員に選ばれた子持ちの主婦(33歳、夫あり、娘3歳)が、
自分と同じような環境の被告が子供を殺した事件を通して、
自分と重ねて考えていく、という物語です。

角田光代さんの本は好きです。
私は「紙の月」より良かったです。
この後の主人公(里沙子)もまた知りたくなりました。

うちは子供がいませんが、私も専業主婦だからか、
主人公の気持ちに共感することができました。

子育てだけの問題でなく、妻(被告や主人公)と夫、妻と義母・義家族、妻とその母・家族、
との関係性が深く書かれています。
また裁判員になったらどんな状態なのか、ということも垣間見えます。

子育てと裁判員については、私は「大変なんだなー」と疑似体験し、
子育て中の親御さんや裁判員になった人に、今後労いの気持ちを持てそうです。

対夫、対義母・義家族、対母・家族に関しては、深く考えましたし、
だらだらと長い描写だとは思いませんでした。
被告とそれらの関係と、主人公とそれらの関係を書こうと思ったら、
このようになると思うし、それができる角田さんがやっぱりスゴイと思いました。

おそらく、被告や主人公と同じ生い立ちでないと理解できないかもしれません。
もしくはそういう人たちが、夫・義母・母と同じ側(性格)の人かもしれません。
また、被告と主人公と自分も同じなのに、気づいていない人たちも多いと思います。
気づいていないと、何が原因なのか分からずに家庭崩壊していってしまうのではないかと。

今回テーマになっている部分(最後に分かりますが)は、
これからの世の中で重要なことだと思います。
暴力、あきらかな暴言、分かりやすいイジメ、それらも辛いですが、それらは表面化しやすいです。
人に話しても共感や同情を得やすい。
そうでない今回のようなことは、気づいている人が今はあまりにも少ないと思う。
カウンセリングの世界では常識的なことだったりするし、今後一般的になってくるんじゃないでしょうか。

その最後に分かることは、途中で主人公の夫に対して、私は気づいていました。
だけど、主人公の母と絡めて最後にそうまとめるか、と思い、やっぱり上手いと思いました。
私自身、母に同じようなことを感じたことがあるのに、そこまで思いが至りませんでした、

純文学ですからね。読みやすい大衆文学とは違います。
それでも読みやすい方だったと思います。
私は入り込んで、すぐに読み終えました。

被告や主人公側から見るだけでなく、
自分が主人公の夫や主人公の母のようになってはいないか?
と気をつけるのにも、良い機会になる本だと思います。
これって反対に、奥さんが(今回の夫の立場で)旦那さんに同じことしてる場合もあると思います。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.64
(4pt)

自分や家族を見つめ直すいい機会になりました

この本を読んだこの気持ち、「面白い」とか「のめり込む」とかそういう言葉で片付けられるものじゃないです。
苦しくて、重たくて、感情移入しすぎて・・・。つまんないのとは別の理由で、読むのにこんなに時間のかかった本も久しぶりでした。
角田さんはこの作品で「会話というコミュニケーションの曖昧さ、言葉で伝えることの難しさ」と描きたかったと仰っていました。
同じことを聞いても、人によってこんなにも受け取り方が違うのかと感じたし、
もし自分がこの事件の裁判員だったらどんな判決を下すかな?と考えてみても、読み終えた今になってもその答えを出せずにいます。

里沙子は事件に触れるうちに自らの境遇をも犯人に照らし合わせてしまい、その重圧から負のスパイラルに陥っていきます。
やがては自分は子供を愛しているのかとすら疑問を抱き、離婚まで考え・・・・。
でもこんな風に自分自身を照らし合わせてしまうのは里沙子だけでなく、読者自身にもあてはまること。
私は日々の生活の中で無理をしてはいないか? 逆に家族に無理はさせてはいないか?
・・・この本を読んだことは、それを考えるいい機会にもなりました。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.63
(4pt)

自分や家族を見つめ直すいい機会になりました

この本を読んだこの気持ち、「面白い」とか「のめり込む」とかそういう言葉で片付けられるものじゃないです。
苦しくて、重たくて、感情移入しすぎて・・・。つまんないのとは別の理由で、読むのにこんなに時間のかかった本も久しぶりでした。
角田さんはこの作品で「会話というコミュニケーションの曖昧さ、言葉で伝えることの難しさ」と描きたかったと仰っていました。
同じことを聞いても、人によってこんなにも受け取り方が違うのかと感じたし、
もし自分がこの事件の裁判員だったらどんな判決を下すかな?と考えてみても、読み終えた今になってもその答えを出せずにいます。

里沙子は事件に触れるうちに自らの境遇をも犯人に照らし合わせてしまい、その重圧から負のスパイラルに陥っていきます。
やがては自分は子供を愛しているのかとすら疑問を抱き、離婚まで考え・・・・。
でもこんな風に自分自身を照らし合わせてしまうのは里沙子だけでなく、読者自身にもあてはまること。
私は日々の生活の中で無理をしてはいないか? 逆に家族に無理はさせてはいないか?
・・・この本を読んだことは、それを考えるいい機会にもなりました。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.62
(2pt)

感情移入できませんでした

全てではありませんが、角田さんの作品は読んでおりましたが、
失礼ながら彼女にお子様が居るかどうかは知りませんでした。
読み進むうち、帯にもある
「(自分の娘が)いなくなったらと考えるだけで、胸がふさがる思いがする」
という一文で、「あれ、この作者は子どもが居ないのかな?」と感じました。
自分なら、”身を引裂かれる”や”胸が張り裂ける”という思いだからです。

判決が気になり最後まで読みましたが、のめり込む程ではなく残念でした。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.61
(2pt)

感情移入できませんでした

全てではありませんが、角田さんの作品は読んでおりましたが、
失礼ながら彼女にお子様が居るかどうかは知りませんでした。
読み進むうち、帯にもある
「(自分の娘が)いなくなったらと考えるだけで、胸がふさがる思いがする」
という一文で、「あれ、この作者は子どもが居ないのかな?」と感じました。
自分なら、”身を引裂かれる”や”胸が張り裂ける”という思いだからです。

判決が気になり最後まで読みましたが、のめり込む程ではなく残念でした。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.60
(4pt)

あの頃の私

大変失礼ですが、お子さんのいない筆者の作品とは思えないほど子どもの描写や母親の内面を捉えています。綺麗事じゃなく、誰にも言えない心の動きを文字にしてます。
私も現在1歳児の母で、生後2カ月から子どもを預け復職しました。当時は完全キャパオーバーでイライラしっぱなし。夫にはおろか、ママ友にも人格を疑われそうなので言えない真っ黒な気持ちを角田さんにバッチリ言い当てられてしまったような、そんな気持ちで読む手が止まりませんでした。
最高に面白いのですが、その後の主人公の動向が気になりスッキリしないので、星を一個減らします。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.59
(4pt)

あの頃の私

大変失礼ですが、お子さんのいない筆者の作品とは思えないほど子どもの描写や母親の内面を捉えています。綺麗事じゃなく、誰にも言えない心の動きを文字にしてます。
私も現在1歳児の母で、生後2カ月から子どもを預け復職しました。当時は完全キャパオーバーでイライラしっぱなし。夫にはおろか、ママ友にも人格を疑われそうなので言えない真っ黒な気持ちを角田さんにバッチリ言い当てられてしまったような、そんな気持ちで読む手が止まりませんでした。
最高に面白いのですが、その後の主人公の動向が気になりスッキリしないので、星を一個減らします。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.58
(3pt)

子育て中の女性心理・・

主人公は、山咲里沙子。
二歳の女の子をもつ母親。

ある日、里沙子は裁判員に選出される。
担当する事件は、生まれて間もない
女の子を虐待死させた母親の裁判だった。

裁判員として公判を続ける過程で、
里沙子は自分自身を被告に重ねていく。

里沙子の娘への接し方は虐待なのか・・。
里沙子の夫の接し方は愛なのか・・。

子供が居る女性であれば、
誰でも共感できる部分があると思う。
産後、子育て中の女性が陥ってしまう
負のスパイラルについて詳しく書かれていた。

しかし、里沙子も被告の女性も、
相手の言葉を極端に自分に批判的に
受け止める場面が多かった。
(それも含めての女性心理ということは、
理解できるが・・。)
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.57
(4pt)

感情移入度100%とは少しオーバーな気がするが。

シンプルに概ね読者を満足させてくれる良書で、宣伝文句は決して誇大ではないかと。
晩婚化、少子化が進んでいるとはいえ、今後もマジョリティ派であろう子育て世代の母親とその周囲の環境が題材になっており、導入に難儀する方はほとんどないと思う。
細かいことだが、主人公が「補充」裁判員として選出されたという点も周囲をグラつかせる要因となっていて面白い。いい意味で著者の計算高さを感じる。

1つの事件を通して各々の登場人物の視点が入り混じるので、次は何?というハラハラ感を強く抱かせる。評者の稚拙な表現で伝わるかは分からないが、例えるならば、アスタリスク(*)の各々の線のようにすべての線は一度交わるのに、些末な認識の違いによりあらぬ方向に向かって交わりが解消されるという歯痒い展開になる。こうも人間同士の共感はもろいものか…。と。
読み手の心理を揺動させる作品だったので読後に適度な疲労感を覚えたが、これも著者の計算の内か。だとしたらあっぱれ。機会があれば他作にもあたりたい。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.56
(3pt)

子育て中の女性心理・・

主人公は、山咲里沙子。
二歳の女の子をもつ母親。

ある日、里沙子は裁判員に選出される。
担当する事件は、生まれて間もない
女の子を虐待死させた母親の裁判だった。

裁判員として公判を続ける過程で、
里沙子は自分自身を被告に重ねていく。

里沙子の娘への接し方は虐待なのか・・。
里沙子の夫の接し方は愛なのか・・。

子供が居る女性であれば、
誰でも共感できる部分があると思う。
産後、子育て中の女性が陥ってしまう
負のスパイラルについて詳しく書かれていた。

しかし、里沙子も被告の女性も、
相手の言葉を極端に自分に批判的に
受け止める場面が多かった。
(それも含めての女性心理ということは、
理解できるが・・。)
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.55
(4pt)

感情移入度100%とは少しオーバーな気がするが。

シンプルに概ね読者を満足させてくれる良書で、宣伝文句は決して誇大ではないかと。
晩婚化、少子化が進んでいるとはいえ、今後もマジョリティ派であろう子育て世代の母親とその周囲の環境が題材になっており、導入に難儀する方はほとんどないと思う。
細かいことだが、主人公が「補充」裁判員として選出されたという点も周囲をグラつかせる要因となっていて面白い。いい意味で著者の計算高さを感じる。

1つの事件を通して各々の登場人物の視点が入り混じるので、次は何?というハラハラ感を強く抱かせる。評者の稚拙な表現で伝わるかは分からないが、例えるならば、アスタリスク(*)の各々の線のようにすべての線は一度交わるのに、些末な認識の違いによりあらぬ方向に向かって交わりが解消されるという歯痒い展開になる。こうも人間同士の共感はもろいものか…。と。
読み手の心理を揺動させる作品だったので読後に適度な疲労感を覚えたが、これも著者の計算の内か。だとしたらあっぱれ。機会があれば他作にもあたりたい。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.54
(5pt)

自分の事のようだった

角田さんの小説は好きで、今回も内容をあまり知らないで読み始めました。
主人公の理沙子、被告の水穂は他人とは思えず、読みながら苦しくなってしまいました。
自分一人で子育てをしなくてはならないという重圧感、孤独感は味わった者でないとわかりません。
可愛い、という気持ちはもちろんあります。
でも、ある時、ふと思うのです。
「この子がいなかったらどんなに楽か」と。
もちろん、すぐ否定し、そんな気持ちはなかったことにしてしまいますが、感じたことは事実で、それが自分への嫌悪感になるのです。

理沙子の母乳の件でも、私と同じだったことで、ものすごく共感しました。
母乳が出ると言われれば、いろんなことを試しましたし、出の悪い自分を責めてノイローゼのようになりました。
育児書と違う、というだけで、子供の成長が悪いのではないか、と悩み、ハイハイが遅い、と言ってはどうかしてしまうくらい苦しみました。

私が彼女たちと違っていたのは、周りに何でも言える友人がいたこと、先輩の彼女たちには本当に助けられました。
彼女たちにもそういう人たちが周りにいたら違う形になっていたのではないでしょうか?
でも、一歩間違えば彼女たちのようになっていたと思うと、読んでいる間、不眠になってしまいました。
頭の中で子育て中の事がグルグル渦巻きました。
忘れた、と思っていた事柄が次々思い出され、苦しくてたまりませんでした。
それだけ母親の心は悲鳴を上げているのです。

この小説を読んだ方が、そんな母親の孤独や悩みを理解してくれることを望みます。
本人は何気ない一言でも、当事者にとっては心が壊れそうになることもあるのです。
水穂のように追いつめられることは誰にでもあります。
つらいけど、素晴らしい小説に会えたこと、感謝しながら読み終えました。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.53
(5pt)

自分の事のようだった

角田さんの小説は好きで、今回も内容をあまり知らないで読み始めました。
主人公の理沙子、被告の水穂は他人とは思えず、読みながら苦しくなってしまいました。
自分一人で子育てをしなくてはならないという重圧感、孤独感は味わった者でないとわかりません。
可愛い、という気持ちはもちろんあります。
でも、ある時、ふと思うのです。
「この子がいなかったらどんなに楽か」と。
もちろん、すぐ否定し、そんな気持ちはなかったことにしてしまいますが、感じたことは事実で、それが自分への嫌悪感になるのです。

理沙子の母乳の件でも、私と同じだったことで、ものすごく共感しました。
母乳が出ると言われれば、いろんなことを試しましたし、出の悪い自分を責めてノイローゼのようになりました。
育児書と違う、というだけで、子供の成長が悪いのではないか、と悩み、ハイハイが遅い、と言ってはどうかしてしまうくらい苦しみました。

私が彼女たちと違っていたのは、周りに何でも言える友人がいたこと、先輩の彼女たちには本当に助けられました。
彼女たちにもそういう人たちが周りにいたら違う形になっていたのではないでしょうか?
でも、一歩間違えば彼女たちのようになっていたと思うと、読んでいる間、不眠になってしまいました。
頭の中で子育て中の事がグルグル渦巻きました。
忘れた、と思っていた事柄が次々思い出され、苦しくてたまりませんでした。
それだけ母親の心は悲鳴を上げているのです。

この小説を読んだ方が、そんな母親の孤独や悩みを理解してくれることを望みます。
本人は何気ない一言でも、当事者にとっては心が壊れそうになることもあるのです。
水穂のように追いつめられることは誰にでもあります。
つらいけど、素晴らしい小説に会えたこと、感謝しながら読み終えました。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.52
(5pt)

圧倒的な心理描写

角田光代さんの待望の新刊。
主人公里沙子の心理描写で話が進められていますが、
裁判が進むにつれて、
被告人水穂の境遇や心理に自分自身を投影している里沙子の様子、
こんな人、現実的にいるなと思うリアルな人物描写や、心理描写に
違和感なくぐいぐい引き込まれ、いつのまにか自分をも重ね合わせている
ことに息苦しさを覚えるほどでした。

一見したところ、ふつうにみえる夫婦や親子関係に他人からは窺い知れない、
当事者同士ですら無意識に行ってしまっている歪んだ愛情表現を
見事に描ききっていると思います。

昨今クローズアップされている母親と娘の関係ですが、
こちらも考えさせられるような描写がいくつもありました。
フィクションでありながら、現実社会には誰にでも起こりうるのではと
思われる身近な人間間の関係性を見事に描ききっている点でも圧巻です。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.51
(5pt)

圧倒的な心理描写

角田光代さんの待望の新刊。
主人公里沙子の心理描写で話が進められていますが、
裁判が進むにつれて、
被告人水穂の境遇や心理に自分自身を投影している里沙子の様子、
こんな人、現実的にいるなと思うリアルな人物描写や、心理描写に
違和感なくぐいぐい引き込まれ、いつのまにか自分をも重ね合わせている
ことに息苦しさを覚えるほどでした。

一見したところ、ふつうにみえる夫婦や親子関係に他人からは窺い知れない、
当事者同士ですら無意識に行ってしまっている歪んだ愛情表現を
見事に描ききっていると思います。

昨今クローズアップされている母親と娘の関係ですが、
こちらも考えさせられるような描写がいくつもありました。
フィクションでありながら、現実社会には誰にでも起こりうるのではと
思われる身近な人間間の関係性を見事に描ききっている点でも圧巻です。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.50
(5pt)

孤育ての息苦しさ

主人公がマイナス思考すぎる、全体的に重苦しい、という意見を聞くのですが、
<孤育て>状態の私にとっては、作中の重苦しさは、育児中に常に感じていた息苦しさそのもので、最終的には主人公が自分で考えを纏められ、裁判という場で発表できた、痛快な小説でした。

主人公目線の一本調子で読み進められる一方で、登場人物の設定や、細部の構成が見事で、読み返すたびに違った発見があって、巧いなあと思ってしまいます。

周りに求められていることを敏感に感じ取る、それを全うしなければならないと思う、模範的でありたい、諍いを恐れる、察してほしい…
里沙子や水穂が、夫や裁判員たちや、読者からもズレていってしまうのは、こうした無垢な<女の子>らしさが原因なんだと思います。

ともすれば、ご都合主義やフェミニズム的な話になりそうですが、
角田先生が書いたからこそ、意味のあるテーマだったと思います。
子育て中の方はぜひ。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.49
(5pt)

孤育ての息苦しさ

主人公がマイナス思考すぎる、全体的に重苦しい、という意見を聞くのですが、
<孤育て>状態の私にとっては、作中の重苦しさは、育児中に常に感じていた息苦しさそのもので、最終的には主人公が自分で考えを纏められ、裁判という場で発表できた、痛快な小説でした。

主人公目線の一本調子で読み進められる一方で、登場人物の設定や、細部の構成が見事で、読み返すたびに違った発見があって、巧いなあと思ってしまいます。

周りに求められていることを敏感に感じ取る、それを全うしなければならないと思う、模範的でありたい、諍いを恐れる、察してほしい…
里沙子や水穂が、夫や裁判員たちや、読者からもズレていってしまうのは、こうした無垢な<女の子>らしさが原因なんだと思います。

ともすれば、ご都合主義やフェミニズム的な話になりそうですが、
角田先生が書いたからこそ、意味のあるテーマだったと思います。
子育て中の方はぜひ。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.48
(4pt)

良き親であろう、善き人であろうと思いつつ、余裕がなくなるとすぐにかっとして、その怒りをコントロールできなくなる。わかってるんだけどね。

子を持つ親の一人として、子育てにおける苦悩、焦り、悩みや喜びと後悔がリアルに描かれ、それが自身の経験を思い出させ、読んでいて非常に息苦しさを感じるほどです。
 自分ではどうにも抑えようがない苛立ちによって子どもに冷たく当たってしまい、後から冷静に振り返ると、なぜそんな小さな子どもに対してそんなにイライラする必要があったのかと罪悪感にとらわれ、次はもっと優しく接してあげようと思っているのに、さっき思ったばかりの思いが新たな苛立ちで消え、また罪悪感に陥る。
「良き親であろう、善き人であろうと思いつつ、余裕がなくなるとすぐにかっとして、その怒りをコントロールできなくなる。いつもならたしかに持っているはずの思いやりや気遣いがとたんにできなくなる。」
 そしてそのことは本人も「わかってるんだけどね」。
 分かってるんだけど・・
 この心の動きがとてもリアルで、その気持ちがストレートに伝わります。
 だからこそ、本作は読んでいて苦しくなる。
 
 主人公里沙子は裁判員裁判の補充裁判員として、我が子を殺したとされる母親をめぐる裁判で彼女の境遇に触れるうち、ある種の恐怖を感じる。
 この事件は何もかも特殊に思えるけど、実はそうではなく、もっと自分たちと近しいことなのではないかと感じていることでこわくなる。自身の子どもに対する日々の実情に重ね合わせ、本件が決して他人ごとではないと感じさせられ、ますます苦しくなっていく里沙子と気持ちに自分自身がシンクロし、こちらまで息苦しくなってしまうのです。
 読後感は決してすっきりとしたものではありません。もやもやしたものが残ります。
 それは本書がとてもリアルだからかもしれません。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.47
(4pt)

良き親であろう、善き人であろうと思いつつ、余裕がなくなるとすぐにかっとして、その怒りをコントロールできなくなる。わかってるんだけどね。

子を持つ親の一人として、子育てにおける苦悩、焦り、悩みや喜びと後悔がリアルに描かれ、それが自身の経験を思い出させ、読んでいて非常に息苦しさを感じるほどです。
 自分ではどうにも抑えようがない苛立ちによって子どもに冷たく当たってしまい、後から冷静に振り返ると、なぜそんな小さな子どもに対してそんなにイライラする必要があったのかと罪悪感にとらわれ、次はもっと優しく接してあげようと思っているのに、さっき思ったばかりの思いが新たな苛立ちで消え、また罪悪感に陥る。
「良き親であろう、善き人であろうと思いつつ、余裕がなくなるとすぐにかっとして、その怒りをコントロールできなくなる。いつもならたしかに持っているはずの思いやりや気遣いがとたんにできなくなる。」
 そしてそのことは本人も「わかってるんだけどね」。
 分かってるんだけど・・
 この心の動きがとてもリアルで、その気持ちがストレートに伝わります。
 だからこそ、本作は読んでいて苦しくなる。
 
 主人公里沙子は裁判員裁判の補充裁判員として、我が子を殺したとされる母親をめぐる裁判で彼女の境遇に触れるうち、ある種の恐怖を感じる。
 この事件は何もかも特殊に思えるけど、実はそうではなく、もっと自分たちと近しいことなのではないかと感じていることでこわくなる。自身の子どもに対する日々の実情に重ね合わせ、本件が決して他人ごとではないと感じさせられ、ますます苦しくなっていく里沙子と気持ちに自分自身がシンクロし、こちらまで息苦しくなってしまうのです。
 読後感は決してすっきりとしたものではありません。もやもやしたものが残ります。
 それは本書がとてもリアルだからかもしれません。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.46
(3pt)

NMA全開

ネガティヴ•マイナス•オーラが全編を容赦無く覆い尽くし、読書のボジティヴィティを奪うかのような小説だ。
裁判員というのも実は候補者を何十人か呼び寄せて、その中から人格的に適正な人物を選ぶ事になっていると聞いたことがあるのだが、この作品の主人公ときたらもう。。
極限まで他人の立場に自分を同化すると、どのような心理変化が訪れるのか?
一周廻ってギャグになりそうにヘヴィでホラーテイストな作品となっている。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089