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蟇屋敷の殺人
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蟇屋敷の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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戦前に「本格」の代表的存在とされた甲賀三郎の長編。 ・メインキャラのラブコメ模様 ・ある人物の危機に、ご都合主義的に駆けつける救援の刑事たち ・かと思うと刑事が監視しているはずの人物があっけなく長距離移動 ・駆け足気味で真犯人の自白がメインな終盤 など、現在の区分でいえば「通俗サスペンス」な作品だと思います。 (ある人物における怪異現象,包囲下から消えた怪人の謎などが 論理的に解かれるなど本格要素も強いですが) 現在の読者からすれば簡単なトリックで構成されていますが 執筆時期を考えれば力作と言えると思いました。 | ||||
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1937(昭和12)年の作品である。ここ最近、積読で放置していた大昔のミステリを立て続けに読んでいるのだが、中でも本書は極めつけのトホホな結末だった。 主筋において「まさかそういうことじゃないよね」という最悪の予感がピタリと当たったときには、さすがに俺の時間を返してくれと思った。細部は突っ込みどころが多過ぎて目まいがするぐらいだ。 甲賀三郎という人は本格にこだわり続けた作家だそうだが、これも本格なのだろうか。ちなみに1945(昭和20)年に51歳で亡くなっている。 | ||||
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甲賀三郎の小説はコレが初めてでした。 感想は、こんな面白い小説を書いてきた小説家の本が何故書店で殆ど見かけないのか? 調べると、戦前の探偵小説界において江戸川乱歩と並ぶ大御所であったとの事。 そして、作品数もかなり多い。 今回この「蟇屋敷の殺人」を手に入れやすく読みやすい文庫で出していただいた河出書房様にはとても頭が下がる思いである。これを機会に甲賀三郎氏の一連の長編をどんどん出して欲しいと熱望致します。 | ||||
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入手困難だった戦前の探偵小説が安価な価格で購入できるファンにとっては非常にありがたいシリーズです。 現在甲賀三郎氏の長編は『日本探偵小説全集〈1〉』(創元推理文庫)収録の「支倉事件」を除くと入手困難(青空文庫は短編が中心)、論創社から出ている甲賀三郎探偵小説選Ⅰ~III (論創ミステリ叢書)にも収録されていない長編が文庫で楽しめます。 歴史的傑作という訳ではありませんが、描写される当時の風俗を楽しみつつのんびりと読める作品だと思います。 | ||||
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戦前の探偵作家だ。以前創元推理文庫で出た合本で読んだことがある。 『支倉事件』は純粋な創作ではなく、実録犯罪ものだった。本書が長編探偵小説として初読みだ。 とは言え、全然探偵小説ではない。本格推理とも呼べない。 タイトルからはクローズドサークルの連続殺人を連想するが、そんな話ではない。 場面はあちこちへ飛ぶし、仮面をかぶってすましている殺人鬼を見つけるのではなく、怪しいやつは最初から怪しい。 活劇も多い。江戸川乱歩の少年探偵団を、大人キャラだけで描いたような印象だ。 人間大のガマの置物にはある機能があるのだが、拍子抜けするほどショボい。 真相は反則丸出しである。作者は終盤になって無理に辻褄を合わせたのだろう。 欠点が目立つが、展開が速いのでわりと楽しんで読んだ。 少し前には本格でござい論理でございと称して、分厚い平板な駄文集を読ませる作家が横行していた。 そういう連中に比べると、本書は退屈しないだけましかな。 | ||||
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戦前、本格派の探偵作家として活躍した甲賀三郎の長編だが、結構面白く読了した。ただし傑作とか秀作とかという言葉を冠するのではなく、楽しい異色作とでもいっておきたい。『蟇屋敷の殺人』というタイトルだと、いわゆる「舘もの」とか「クローズドサークルもの」といった、限られた閉鎖空間だけを舞台にした本格ミステリを想像するが、本作はそうではなく、探偵役が捜査の足をあちこちにのばして活動する、動きの多い活劇調の通俗探偵小説である。 長時間の路上駐車を不審に思った警察官が、車のドアを開け、運転者の肩を揺すったところ、その頭部がゴロリと胴体から離れて転がり落ちるという、何ともショッキングな書き出しで始まる。横溝正史の『犬神家の一族』で、菊人形から佐武クンの生首が転がり落ちるシーンを思い出させるこの冒頭をかわきりに、数え切れない蟇を放し飼いにしたな不気味な屋敷、ドッペルゲンガー、夜の蟇屋敷を徘徊するのっぺらぼうの怪人と、猟奇や怪奇がつるべ打ちのストーリーが展開する。そうそう、のっぺらぼうの怪人も、犬神家の佐清クンに通じるような…。 もちろん戦前の作品ゆえに、表現や風俗描写の古くささはあるし、怪しい人物を追いつめた刑事が、いきなり背後からポカリと頭を殴られて気絶し、そのまま生き埋めにされそうになって危機一髪!!…なんて展開も、白黒映像の昭和スリラードラマに、お約束のようによく見かける陳腐な場面ともいえる(そのまま殴り殺した方が早いのにね…)。そうした古さをレトロな味わいとして肯定的に呑みこめば、奇ッ怪な事件な様相とあいまって、なかなか面白く読み通すことができる。 また、奇抜な方向へと謎をとっ散らかすほど、すべてをキレイに回収し解決するのは困難になるのは理の当然。正直、終章の謎解きを読んで多々疑問も湧きだしてきたが、あえて突っこむことはしないでおくことにした。リアリティだの整合性だのと深く切りこまずに、そのまま鷹揚に読み流してしまえば、名品とはいえないが、奇天烈さのなかにレトロな興趣を楽しめる珍品として、記憶にとどめおける作品だと思えた。 | ||||
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