(短編集)
怪盗ニック全仕事5
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全作品を6冊に! 全部読むべし! | ||||
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エドワード・D・ホック著、木村二郎訳『怪盗ニック全仕事5』(創元推理文庫、2018年)は価値のないものだけを盗む怪盗ニック・ヴェルベットの短編集の5冊目である。5冊目ともなると主人公も年をとり、アクションは向かない体になった。作品内でキャラクターが年をとっていく点はアガサ・クリスティのポワロやミス・マープルと共通する。日本のサザエさんやドラえもんとは異なる。 5冊目ともなると依頼に応じて盗むだけではないパターンも出てくる。警察に協力する形になった話は評価が分かれるだろう。アウトローの魅力は警察権力に与しないところにあるからである。依存性薬物を注射して薬物中毒死に見せかける殺人犯を突き止めることは良いだろう。薬物犯罪は反社会性が高いためである。 一方で警察官は公正な取引ができる相手ではない。相手を脅して金も払わずにサービスを受けようとする(「二十九分の時間を盗め」)。日本では最近は警察官の犯罪がよく報道されるようになったが、彼らの独善的な思考回路からすれば犯罪に走るとしても無理がないと思わせる。 「細工された選挙ポスターを盗め」は後味が悪い。立候補者が両方とも魅力的ではないため、一方を沈ませてハッピーエンドとはならない。犯罪への対処という点では次の「錆びた金属栞を盗め」と対になっている。 英米のミステリー作品を読んで感じることは、被疑者の人権が尊重されていることである。本書では被疑者の要望を尊重して、弁護士ではなく、フリーのコンサルタントを名乗る人物が被疑者との接見が認められている(「レオポルド警部のバッジを盗め」117頁)。取り調べは弁護士同席の上、録画されている(「サンタの付けひげを盗め」228頁)。 被疑者の人権尊重は警察が冤罪を作り出すことを自覚しているためである。本書には「警察は罪を負わせる男がすぐに必要なんです」との台詞がある(「サンタの付けひげを盗め」224頁)。この思想性は日本でもっと学ばれる必要がある。 | ||||
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収録作品 「クリスマス・ストッキングを盗め」 「マネキン人形のウィッグを盗め」 「ビンゴ・カードを盗め」 「レオポルド警部のバッジを盗め」 「幸運の葉巻を盗め」 「吠える牧羊犬を盗め」 「サンタの付けひげを盗め」 「禿げた男の櫛を盗め」 「消印を押した切手を盗め」 「二十九分の時間を盗め」 「蛇使いの籠を盗め」 「細工された選挙ポスターを盗め」 「錆びた金属栞を盗め」 「偽の怪盗ニックを盗め」 怪盗ニックの冒険譚も終盤にさしかかり、流石に初期のような斬新なアイデアの作品は見当たらないが、それでも一編ごとにプロットにツイストを効かせる工夫、余裕綽々たる筆致で読者を飽きさせない。 「レオポルド警部のバッジを盗め」はレオポルド警部、ニックと女怪盗サンドラが揃い踏みのファンサービス。「錆びた金属栞を盗め」には海外ミステリ・ファンにはお馴染みのミステリアス・ブックショップを舞台に経営者で評論家のオットー・ベンズラーや作家のローレンス・ブロックもちらりと登場する楽屋落ちも愉しい。 | ||||
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