(短編集)
怪盗ニック登場
- ニック・ヴェルヴェット (3)
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古典ミステリの短編集。 怪盗ものでミステリは当然のような気もするが、一般的な怪盗物と違うのは、盗みに関する謎解きではないところ。ニックは依頼を受けて盗みを働く、その依頼人とのイザコザでニックが推理を働かせるというのが基本スタイル。そこのところが普通の怪盗ミステリと違っているところ。例えるなら日本の漫画(アニメの方が有名か)ルパン三世。 作品は古く1作目の「斑の虎」が1965年の執筆で、日本では早川書房が1976年に刊行、2003年にやっと文庫という流れ。収録作品はハヤカワの独自編纂なので、作品発表順ではない。この辺りは巻末解説に作品紹介がされているので参照されたし。 創元推理文庫から出ている「怪盗ニック全仕事1~3」は、作品発表順で全作品収録されているので、今から読む人はそちらを手にされることをお勧める。あまり気にしない方はこちらをどうぞ、傑作選的なのはこちらだと思うから。 時代的な部分は確かにある、ウォーターゲート事件の2年後で背景が分っていないとピンとこないとか、もちろん携帯電話はないとか、防犯装置が古いとか、しかしそれらを考慮してもあまり古いようには感じられない。短編であることも理由かもしれないが、読んでいて然して時代を感じないのだ。 短編であるが故の欠点もある。話しに深みがないのだ。話しは続いているので色々と繋がってはくるのだが、やはりじっくりと読むような内容ではない。あっさり事件解決されてしまったりする。それでも読んでいて面白いし、ニックの私生活も描かれていて先が気になる。 この作品の一番の特徴は、一つの話しの中に怪盗の活躍と推理ミステリーの両方を楽しめる点だと思う。ニックのこだわりである“金目の物”は盗まない、というポリシーはちょっとおまけのように感じる。というかネタ作りの設定と言うべきか。どちらにしろ短編としての面白さに変わりはなく、この後つづくシリーズの長さに驚く。短編の難しさは何と言ってもネタ作りだ。このシリーズだけでなく多くの短編を著していること自体凄いことだが、そのうえ面白いのだから脱帽する。星さんと比べるのはどうかと思うが、古典ミステリー短編作家の凄さを感じて欲しい。時代を感じさせない腕のごついこと。 | ||||
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怪盗ニックの短編を12編集めた短編集。 怪盗とはいっても、価値のある物、有名・高名なもの、金等は盗まずに価値のなさそうな物、盗むのに無理のありそうな物だけを盗むというニック・ヴェルヴェットという主人公を創造した著者のエドワード・D・ホックの才能に驚かされます。 その無価値な物を盗むだけで終わったら、ただの馬鹿話に終わってしまいますが、その盗品の影に何故そんな価値のない物を盗んだのかという謎があり、ここら辺が本書の謎解きミステリとしての醍醐味になっていて大いに読ませます。 更に、本来価値のない物、或いはなさそうな物にも実は価値や意味があり、この世に無価値な物などない、という著者のホックがこういう深読みを望んだかどうか判らないメッセージを読みとりましたが、どうでしょうか? ただ、ニックが数編で暴力を奮うのがイマイチ頂けませんでした。これさえなければ完璧なんですがねぇ・・・。 これからの活躍が楽しみなシリーズ第一作。是非ご一読を。 | ||||
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EQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)の常連で、アンソロジーの編纂も手がける故エドワード・D・ホック。800以上の短編作品をものしているので、邦訳された海外アンソロジーでもちょくちょくお目にかかる作家だ。 ホックはレオポルド警部や、創元推理文庫でお馴染みのサム・ホーソン博士、オカルト探偵サイモン・アークら多くのシリーズ・キャラクターをうみ出している。なかでも人気の高いのが本書で初登場となるニック・ヴェルヴェット(ちなみに『ホックと13人の仲間たち』序文によると一番愛着があるのはサイモン・アークだとか)。 ニックは、二万ドルの報酬で依頼を受け、金品に値しないないものだけを盗むという風変わりな泥棒である。クールで飄々とした立ち振る舞いで、完璧な手際で盗みを働き、きっちりと報酬を手に入れる。 ニックものが素晴らしいのは30頁前後の短編ながら、ラストにサプライズが用意されていることだろうか(あたりはずれはあるのだけど)。各短編の原題は、必ずThe Theft ofで始まるし、ストーリー展開はだいたい以下のフォーマットにのっとっている。 '1.依頼人がニックに盗んで欲しいものを告げ報酬を交渉する。 '2.依頼を受けたニックが現地調査をしながら作戦を検討する。 '3.なぜか妙齢の女性が登場する。 '4.いよいよ盗みを決行すると事件が発生しニックがピンチに陥る。 '5.事件を解決し報酬を手に入れる(回収する)。 ワンパターンといえばその通りなのだが、こういう鋳型にはめ込んで読ませる作品を作り上げてしまうところが、ホックの驚きの名人芸である。 さて、本書の獲物はというと、動物園の斑の虎、ビルに取り付けられている会社のロゴ3つ、大リーグのひとチーム全員、刑務所の囚人が壁に掛けているカレンダー、メリーゴーランドの回転木馬、博物館の恐竜の尻尾、殺人事件の陪審員全員、皮張りの棺桶、感光した映画のフィルム、カジノのカッコウ時計、ゴミ袋だ。 なかでも秀逸なのは、何を盗んで良いかすらわからないもの。依頼人が依頼品を告げる前に面会謝絶になってしまうのだ。それでもきっちり盗んでくるのだからすごい。 | ||||
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読む前は、驚くような「盗み方」が次々に登場するのだろうと思っていた。もちろん、奇抜な盗み方もあるが、簡単に予測できるような方法が多かった。 本シリーズの読みどころは、そういった「盗み方」よりも、ニックに奇妙な物を盗むように依頼した人たちの動機とか背景とそれに対するニックの推理だろう。 12編が収められているが、もっとも好きなのは「陪審員を盗め」。裁判の陪審員を連れ出して欲しいと頼む依頼人の目的が分かると共感もできるが、同時に明らかになった真実を知った依頼者の気持ちの複雑さにも、ある種の感慨を禁じえない。 | ||||
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イギリスっぽく、ノスタルジックな味わいがある「サム・ホーソーン」ものとは、まったく違う魅力をもったドロボーさんが主人公。バラエティにとんだキャラを生み出せるホック氏はすごい。ハンサムな怪盗ニックは、子ども時代にはまっていたルパンの現代版(?)にも思えるような、しゃれた雰囲気がある。突拍子もないものの盗みを依頼してくる、一癖もふた癖もありそうなクライアント。そうした怪しい連中とニックとの駆け引きも面白い。そして、意外にも結末は、国際陰謀小説並みにスケールが大きかったり…… 。 虚構性はかなり高いけれど、一話一話が短いので、電車の中で読むには最高かな。カバーも、マンガのホーソーンより、こちらの方がしゃれていると感じた。 | ||||
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