(アンソロジー)
甲賀三郎探偵小説選IV
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本巻編者の稲富一毅氏へ。獅子内俊次の読みは「ししうち しゅんじ」で良いと私は思います。 そして『雪原の謀略』はその単行本の冒頭で、既に大東亜戦争が勃発し『印度の奇術師』後の話だとハッキリ書いてあるので、新たに獅子内俊次登場作が発掘されない限りは『雪原の謀略』をシリーズの中で6番目の、一番最後に発生した事件だと断定しても大丈夫です。 ◇ ◇ 長篇「姿なき怪盗」中編「体温計殺人事件」「妖鳥の呪詛」短篇「機智の敗北」「小手川英輔の奇怪な犯罪」「情況証拠」「波斯猫の死」「天才提琴家の死」- 数十年、新刊本収録の出番が巡ってこなかったというだけでなく内容的にも文句のない(編者・稲富氏による)セレクトは満点。新規読者は『甲賀三郎探偵小説選』だけでいうなら本巻『Ⅳ』そして『Ⅲ』に入っている優れた作品群をまずは押さえて頂きたい。その上で初めて、『Ⅰ』『Ⅱ』に載っている作品や河出文庫『蟇屋敷の殺人』も楽しめるというもの。 本巻収録作をひとつひとつ楽しく賞味するレビューを書きたかったのに、「論創ミステリ叢書」が100巻過ぎた辺りから本作りに‶ブレ〟が目立つ論創社の不甲斐無さが(今回も)そうはさせてくれない。論創社の本といえば、目つぶって☆5つ進呈していた数年前までの全幅の信頼がまるで嘘のようだ。 深草淑子氏は2018年夏、父・甲賀三郎のもとへ旅立たれた。深草氏が執筆活動を始めたのは晩年を迎えての事で、申し訳ないけれどプロの作家として見るには厳しいものがある。編集部は藤雪夫・藤桂子と同等の扱いのつもりなのだろうが、同時代で一緒に作家活動を行った藤親子とは状況が全く異なる。極端な喩えだが、もし長嶋茂雄写真集の中に一茂単独のページがあったりジョン・レノンのコンピレーションにジュリアンやショーンの曲が入っていたらミスターやジョンのファンは喜ぶだろうか? 答えは「No」のほうがきっと多い筈。 前にもレビューで書いたが、近年新刊で入手できる甲賀三郎の著作はいまでも全体のホンの僅かにすぎない。なのに編集部は読者が求めている甲賀作品を押し退けてまで次女・深草氏の手慰みのような遺作7篇を収録する意味がある?(唯一重要な新しいエッセイ「父の思い出」は3ページ強という未完のまま掲載) 深草氏を追悼するのなら、生前彼女が好きな父の作品として「二川家殺人事件」(原題「黄鳥の嘆き」として創元推理文庫『日本探偵小説全集 1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』で読める)と共に挙げておられたロマンティックなゲレンデ・ミステリ「霧夫人」をどうして収録しなかったのか? ◇ ◇ それ以上に目に余る問題点。最近の論創社の本作りは杜撰だと『幻の探偵作家を求めて 完全版(上)』での惨状以来ずっと言い続けているが、彼らには全く通じていない。編集部だけの問題でもないのかもしれないけれど。 本巻中いくつも見つかる誤字群の一例: ●「姿なき怪盗」の兇賊のフルネームは三橋龍三が正しいのに、本巻では3頁の表記だけ‶龍三〟でそのあと何度も出てくる三橋の名はずっと‶竜三〟にされてしまっている ●校正担当者が任されているのは本文だけなのかもしれないが、解題・奥付にまでミスがある 解題(430頁) 七十九歳で作家レビュー → × 七十九歳で作家デビュー → 〇 奥付(453頁) 法学部法律家 → × 法学部法律学科 → 〇 こんなに出す本出す本間違いだらけというのは素人が作る私家本・同人誌でもめったにないことだ。「論創ミステリ叢書」では前巻の飛鳥高『Ⅴ』から責任の所在を明確にする為か奥付に校正者名を記載するようになり、本巻の担当が横溝正史研究家の浜田知明なのは判明できるが、正確な校正(というより校閲か)による誤表記の解消には全くなっていない。 ある時期「論創ミステリ叢書」が増税とも関係なくページを増量してもいないのに値上げを続けた事があった。 推測にすぎないが、そうやって儲けてそれまでより出す新刊の数を増やし、「論創ミステリ叢書」「論創海外ミステリ」以外にもミステリ関係の本をやたらと乱発するようになった。そのせいで所属する人員でちゃんと目配りが行届くキャパシティをオーバーフローしてしまった結果、今の誤字だらけ状態に陥っているのではないか。稲富氏の適切なセレクトがなかったら躊躇いなく本巻は☆1つにしていただろう。 | ||||
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