(短編集)
蒼井雄探偵小説選
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発売前に収録作を知った時には、遺稿長篇「灰色の花粉」でなく2種の現行文庫で読める「霧しぶく山」が何故また入っているのか?と訝ったが、 全篇通読して「ああこれで正しかったんだ」と思い直した。 本格のイメージが流布している蒼井だが、最初は伝奇的な要素に惹かれていたようだし、小品「蛆虫」のようにグロなものも書いている(ラストで笑わされるが)。 彼らしいのは「黒潮殺人事件」かもしれないけれど、最も強烈な印象を残すのはまぎれもなく「霧しぶく山」。 クロフツ・鮎川哲也の如く、因数分解を解くのみが主眼のような淡白な作家に私はどうしても不満を覚える。 鮎川は「霧しぶく山」を評価しつつも、こういう怪奇路線に行ってほしくなかったと述べた。 だが探偵小説に必要なものとは、まず「プロット・語り口」は当然として、斬新なトリックがあれば勿論嬉しいが、 やはり「暗い情熱=情念」、そして結局は小説なのだから「登場人物の魅力」とか「背景描写」なのではないだろうか? 特に日本では変格・怪奇幻想も探偵小説の重要な一面なのだし。全く個人的な見解だがそう考えている。 蒼井の場合「背景描写」の良さは「船富家の惨劇」等を例に出すまでもなく、「霧しぶく山」は猟奇的ムードに満ち満ちて、かつ甲賀三郎風「理化学トリック」要素もある。人物描写も申し分無し。 ただ、本書収録の戦後3作に登場する探偵役:竹崎。 元警視庁捜査課長で戦時中特高課に属した為、敗戦後追放処分に遇ったという魅力的な設定なのに、どうして凡庸な苗字だけで下の名前がないのか? そしてこの設定を活かした長篇を何故書かなかったのか? 「登場人物の魅力」で言うとその辺の詰めの甘さが惜しまれてならない。 あと収録内容に触れると、連作「ソル・グルクハイマー殺人事件」なんてものもあるが、 解題で断片的に引用されている江戸川乱歩・横溝正史・蒼井雄の座談「『瀬戸内海の惨劇』をめぐって」はフル収録してもらいたかった。 | ||||
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