(短編集)
赤沼三郎探偵小説選
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著名長篇「悪魔黙示録」未収録で一巻成立できてなにより。全て短篇だが予期しなかった五目味なラインナップだ。 赤沼は福岡人作家と紹介されがちだが、本巻でローカル色が強いのは筑豊炭田坑夫の侠気を書いた「地獄絵」だけ。 物語の地を九州に限定せず都会・外地まで展開しているのが豊潤で良い。 その、昭和8~12年にかけて大衆雑誌『サンデー毎日』に投稿した6作は小酒井不木的グロ医学から空中曲芸スリラーまで多角的。 また、各篇に評を寄せた当時の千葉亀雄の言は探偵趣味読者からすると悉くスベっている。 そういえば編者・横井司氏が解題で二度も故・山下武の赤沼論を皮肉っているのもある含みを感じさせる。 昭和13年からは『新青年』に登場、高須気狂病院シリーズ3作の黒いセンスは前記『サンデー毎日』作品と全く異なる手触り。 ただ、翌昭和14年以降は時局悪化のせいか『新青年』でも掌編しか書かされておらず内容が落ちる。 ある程度短篇の枚数を与えれば起用にイメージを発揮できるのに、ここでも戦争の陰が赤沼の行く手を阻んだ。 終戦後になって「悪魔黙示録」がようやく単行本化されたのはご存じのとおり(現在は光文社文庫で入手可)。 再び筆をとった赤沼、なんとなく情事を素材に扱ったものが多い気がするが、反面「お夏の死」や「目撃者」みたいな昔っぽさは戦前人の血が顔を出すらしい。 最後の「翡翠湖の悲劇」に注目。一見密室殺人犯探しで終了するとみせかけて、著者戦後作最大のグロ味で肝を冷やさせ、その上…後は読んでのお楽しみ。 結論として、現存する「悪魔黙示録」が大幅短縮版とはいえ昭和13年の敢闘中篇という価値以外にそこまで上手いとも味があるとまでも感じなかったが、 他に様々な可能性の種を持ち合わせていた人だったのかもしれない。 冒頭の『サンデー毎日』のような大衆誌に書かれた探偵小説は数知れない。山前譲氏編『探偵雑誌目次総覧』に載っていない探偵小説のなんと多いことか。 探偵小説だと見なす線引きはデリケートで難しいとは思うけれど、『探偵雑誌目次総覧』と対を成す大衆雑誌掲載分・探偵小説のリファレンス辞典は絶対必要。 本巻の前半を読んで余計にそう思う。 | ||||
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