(短編集)
守友恒探偵小説選
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論創ミステリ叢書再開だけでもめでたい上に、とうとうあの守友恒が登場。探偵小説が禁じられていた筈の戦時下昭和14年デビュー、しかもなんと本格だ。 犯罪鑑定家・黄木陽平の事件簿が集成されたのは勿論初、短編「青い服の男」「死線の花」「第三の眼」「最後の烙印」「燻製シラノ」(以上戦前作)「孤島綺談」「蜘蛛」「灰色の犯罪」「誰も知らない」(以上戦後作)、5随筆を収むる。 そしてなんといっても昭和22年の書き下ろし長編「幻想殺人事件」、これに尽きよう。 さる私刑事件で警察に眼をつけられていた銀杏屋敷へ『新帝都』女性記者が取材に訪れたその日、偶然同じく居合わせた先代秘書の十村周吉が惨死。 黒雲に覆われたこの蔵人家の謎を執拗に追う石狩検事達、だが殺害方法・理由・逃走経路、全て暗中。 デカダンな美女妻ユキ・白痴少年・容疑を掛けられた老家僕・恋人を兄に奪われたまま行方不明な弟蔵人潜介、 そして全ての鍵を握る天才的二重人格者であり邸の当主・蔵人琢磨。 守友作品はキャラ設定に長け、本格にありがちな単なる「将棋の駒」ではない。 また適度な情感があり、小さな事だがキャラのネーミングも良く、黄木陽平が常に完全な勝利者ではないのも魅力的。 たまに「死線の花」の犯人のカムフラージュが慣れた読者にはバレぎみだったり、トリックの斬新さ・プロットの描写力があと一歩あったら横溝正史級に肉薄できたと思う。 (ま、その「あと一歩」が乱歩・正史と他の探偵作家の大きな壁ではあるのだが) とはいえ、この面白さで何故今まで守友恒が評価されなかったのか不思議。同じ日本の本格長篇でも私は蒼井雄『船富家の惨劇』よりこっちの方が断然好きだ。 大阪圭吉でさえ本格長篇はないのだから推して知るべし。 いやいや、この叢書が再開に際し版型が変わりニ段組になったのを忘れる位夢中になって読了した。早くも2012年の探偵小説本ベスト1確定だ。 他の作品の復刻、特に失われた四百枚長篇「完全殺人事件」も奇跡的に発掘されないだろうか。 | ||||
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