ヒルダ・アダムスの事件簿
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M・R・ラインハートは、「螺旋階段」という代表作の名前のみ知っていて、どんな作家なのだろうと思っていました。本書はヒルダ・アダムス看護婦シリーズから、中編2編を訳出したもので、ミステリ作家としての気概の一端を垣間見せてくれます。 看護婦だから、重病人がいるお金持ちの家に住み込みで勤めて、その怪しい家の内情を探る。今の日本では、ほとんどあり得ないようなケースですが、昔のイギリスではあり得たのだろうと思うと、自然に読むことができます。ヒルダ・アダムスの行動が、看護婦の仕事の部分は、わりと理にかなっていると言うのか、今でも基本的には同じ面があるからだろうと思います。 ヒルダ・アダムスは、看護士だから、常に落ち着いて行動しようとします。しかし、勇んで捜査に臨んで、危うい場面に遭遇するあたりは、役回りとしては、アガサ・クリスティーのトミーとタッペンス・シリーズのタッペンスのような面もあります。トミー役は、(結婚しているわけではないけれども)ミスター・パットン(パットン警視)ですが、公的な立場なので、捜査対象の家にやたらに入り込むわけにはいかない、というわけで、ヒルダが活躍したり、危ない目にあったりするストーリーが展開します。 この本に納められた作品に関しては、伏線もきちんと効いていて(納得できるもので)、当時の社会の暗い部分も描かれているとしても、読後感としては、すっきりした印象でした。 | ||||
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メアリー・ロバーツ・ラインハート(1958年死去)の看護婦探偵ヒルダ・アダムスシリーズの中編2編『バックルの付いたバッグ』(The Buckled Bag)『鍵のかかったドア』(Locked Doors)の本邦初訳。前者が第1探偵談でヒルダはもうすぐ30歳、独身。後者がその半年後。 この2編が単行本になったのは、1934年刊行の『ラインハートのクライムブック』が最初のようで、既刊長編3冊(むろん、アダムスシリーズではない)とともにこの2中編が収録された。 ヒルダ・アダムスシリーズの第1長編は『ミス・ピンカートン』(1932年)。戦後(1959年)になって、アダムスシリーズ2長編と2中編が一冊の本にまとめられた。本書はそのオムニバス本からの翻訳である。 ラインハートは実生活では医師の妻で元看護婦。 ラインハートは、「もし、わたしが知ってさえいたらHad I But Known=HIBK」というレッテルがあまりにも有名で、森英俊氏の『世界ミステリ作家事典』では本格派篇ではなく、サスペンス篇のほうに入っている。しかし、森氏はヒルダシリーズについては、「サスペンスというより、本格ミステリに近い仕上がりになっている」と書いている。乞うご期待。(正確には、この文のあとに嫌みが書かれているが、同感できないので略。) ヒルダ・アダムスは病院勤務の看護婦で30近くなり、契約期間の終了も近くなり、次に何をするか悩んでいた。そんな時に犯罪者に胸を撃たれたパットン刑事が入院してきて、その看護をすることになる。元気になったパットンから、警察協力看護婦(実質的には侵入捜査員)になることを依頼され、捜査に関係のないことについては、看護婦の守秘義務を犯されないという条件で、パットンの依頼を引き受ける。 第1事件の『バックルの付いたバッグ』では、ヒルダはまだ看護婦寮という所に住んでいて、寮の事務職員に雇用管理をされている(またはしてもらっている)。事件は婚約者のいる娘の失踪で、5週間警察が調べたが、娘の行方は分からない。ヒルダの仕事は、表向きは娘の父親の銀行家の依頼で、家に住み込んで、心痛で衰弱してしまった母親の看護をすること。パットンの依頼はもちろん内情を探ることで、意外な展開となって・・。 第2事件『鍵のかかったドア』では、ヒルダはすでに半年で6件も事件を担当し、5件を解決している。それでも、自分はまず看護師であり、警察官としての仕事は二の次で、患者の誰一人として被害は受けていないと自負する。さすが元看護婦のラインハート、なかなかのこだわりである。ヒルダはすでに看護婦寮を出て、結構広そう(3部屋風呂付き)な独身アパートに住んでいて、依頼も直接パットンから電話がかかってくる。聖ルカ病院から四人家族の住む屋敷に派遣された看護婦が、4日で疲労困憊して辞めてしまい、家族が異様な暮らしをしており、夜になると子供部屋には外から鍵がかけられる。電話線も切られている。きっと犯罪と関係があると、警察に訴えてきた。主人は祖父の建てた大きな家に住み、会社勤めの化学者だが、使用人を全員解雇してしまい、会社からは神経衰弱を理由に二週間の休みを取り、家に閉じこもり、聖ルカ病院の派遣看護婦を雇ったのである。ヒルダは聖ルカ病院の看護婦に扮してその家に雇われ、男の子二人の世話をするが、主人もその妻も異様な暮らしをしていて、家の中で異様なことが次々と起き・・・。 私的感想 〇2編とも大変面白い本格ミステリーである。楽しく読んだ。 〇謎は第1中編は、娘の行方と失踪の理由、第2中編はこの家で一体何が起きているかである。 〇戦前に書かれたミステリーであっても、本邦初訳であるので、読者の守秘義務として、ネタばれは慎むべきだろう。しかし、ちょっとだけ書きたい。 〇謎が現代的であるかどうかということは、90年も前に書かれたミステリーの価値とは無関係であって、以下はただの驚きである。第1中編の謎は極めて現代的、第2中編の謎はウルトラ現代的である。 私的結論 〇読みましょう。 | ||||
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