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ユービック
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ユービックの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 1~20 1/2ページ
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短篇『宇宙の死者』と同様の世界観を持った本作。つまり、人間が死後、或る程度の期間「半生状態」にあるという未来だ。遺体は安息所で冷凍保存され、遺族は棺を通して半生者との脳波の交換、対話が可能だ。そして、「半生期間」が終わると本当の死が訪れるが、その期間は人それぞれだ。 また、超能力者の存在が当たり前になっている未来では、反作用的に自然発生した反能力者「不活性者」達が居るが、これも短篇『超能力世界』と同じである。 しかしながら、そういった舞台設定こそ短篇等と共通しているものの、ディックは全く別物の傑作を生み出した。 金銭にだらしがなく生活に困窮している普通人の技師 ジョー・チップは、不活性者達が勤務し、超能力者達から人々をガードすることを目的とした警備会社に所属していた。 彼の雇い主のグレン・ランシターと11人の不活性者達と共に、ジョーは超能力者を引き連れた敵対組織と対決するべく月面へと向かう。 しかし、到着直後に強烈な爆破を受け、ランシターは瀕死の状態に陥る。 辛くも逃げ帰ったジョー達は、絶命する前にランシターを半生状態にしようと努めるが、脳波の動きこそ確認できるものの、彼との会話は成立しない。 そしてジョー達の周囲に異変が起き始める。 タバコ、コイン、コーヒー、車、あらゆる物が古びていく。やがて街並み自体も含め、全てが1939年に向かっていく。 異変はもう一つ。それは、映話機、広告、テレビ、それらからランシターの一方的なメッセージが届き出したのだ。 不可思議な退行現象の中、仲間が一人ずつ急速な老化で死んでいく。 ジョーは、ランシターからのメッセージに基づき、唯一この退行を止められるという「ユービック」を入手しようとする。 退行現象の原因は? ジョー達の敵は何者なのか? これは現実なのか? 謎、謎、謎、全てが謎だ。 少し暗めなムードで進行する本作。 ディックの作品中でも極上に面白いSFミステリーだ。 | ||||
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昨日、体調不良で休んでる時に読みました。そのせいか、疲労感が半端なかったです。もしかして自分も半生者?って、それぐらい体力と気力に影響するような世界観でした。私もユービック欲しいです。 とてもおもしろい話なので、おすすめですが読むのは元気な時がいいかなと思います。 | ||||
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そもそもどのような理由で予知能力者が活用され、いかなる根拠によって反予知能力者が活躍するのか、などの説明的なセンテンスが一切省略されているので、読者は見知らぬ街にガイドなしで放り出されるに等しい経験をする。しかしそれは本書に限ったことではなくて、ディック作品にはおなじみの経験でもある。読み進むうちにその世界の結構が次第に明らかとなる場合もあるが、必ずしもそうはならない、というのもディック作品のもう一つの特徴だが、本書は後者。時間が退行する、すなわち物がそのアイデンティティを保ったままより古い形式へと変化するという、およそ他にはあり得ない奇妙な世界設定――そしてそれは予知能力者云々とは関係がない――だけが、ほぼそれだけが本書のいわゆる「肝」なのだが、それだけでこんな(良い意味で)こんなわけのわからない物語ができあがるのだ。裏の設定は『宇宙の眼』に通ずるものがあり、他方で『ヴァリス』へと至る隘路も垣間見える。全体として陰鬱なトーンに覆われた一種の鎮魂歌。 | ||||
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面白いです。他のレビューでもありましたが、確かにジョジョっぽいです。能力者も出てくるし、途中まで正体不明のスタンド攻撃されているような、ジョジョでありそうな展開が面白いです。 生と死の狭間の世界観、時間後退、パラレルワールド的な描写もあり、 今でこそ映像や漫画で、絵として表現された難解な世界観の作品に多く触れられるからこそ我々は場面をイメージできるものの、 作者執筆当時にこのような現実離れした世界観を創造したことはすごいと思います。 哲学的で、かつミステリーの要素もあり、頭を使いますので、読んでて楽しいです。 登場人物の誰が誰なのかが、ちょっと分かりにくかったです。 | ||||
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出てくる女性がセクシーで最初楽しみながら読み進めたが段々と雲行きが怪しくなってくる。 自分が死んでるのか生きているのかもわからない世界で敵が誰でも味方が誰かもわからない。 読み進めるのに難しくはなくどんどん読みたくなる。 生理的に嫌な敵を描かせたら右に出る者がいない。 | ||||
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よくできたSF小説という印象。人間の精神世界を題材とすることが多いだディックの作品の中では読みやすく、筋のとった一品ではないかと思う。人間の死の概念とそれに到達する過程(時間感覚)が面白い。 | ||||
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作品はいいので割愛。 読んで損はないと思う逸品。 日本の少年漫画にもけっこうな影響をもたらしているんじゃないかと思う。 ジョジョのスタンドの源泉もこのあたり? 五部の使い手のそれに似てると思う。 とにかく裏表紙だけは読まないでほしい。 終盤までのネタバレが平然と書かれており、多少のミステリ要素が台無し。 | ||||
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死後に身体だけ生きているのがゾンビだけど、こちらは脳だけまだ生きている状態を扱ってます。脳死までの時間を引き延ばせば確かに現実世界と交信できそう。そしてその頭の中の世界もきっとこんな夢のような世界になると思う。アイデアがすばらしく独創的で驚きました。付随的に自分が普段見る夢のとんでもない変貌にも興味がわきました。 | ||||
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寝ながら聞いてて、ウトウトしていたら、本気でうなされて、 トイレの落書きのシーンとかで自分がハーフライファーの気分になったりして 良い意味で(?)、寝起きに本当に気持ち悪くなりました。 さすがのPKDだと思った。 | ||||
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有名なSF作家とのことで、最初に「アンドロイド〜」を読んだのですが面白さを見出せず、この著者の作品は私には合わないのかと思っていました。 しかしこちらは本当に同じ著者なのかと疑うくらい面白くてびっくりしました。 最初は期待もせず読みはじめたので、チープでユーモアな世界観を鼻で笑っていました。 そしてそのまま読み進めていくと、どんどん現実が崩壊し陰鬱な状況になっていくので、この世界観は一見アンバランスです。 しかしそのチープさとユーモアが、崩壊する現実の不安定さと不気味さをどんどん際立たせて、何とも言えないこの作品独特の雰囲気に大きく貢献しています。 鼻で笑っていた自分が愚かで恥ずかしい…。 ありそうでなかった展開と、ぶっ飛んだ発想と、秀逸なミステリー要素が絡み合って、エンターテイメント性が非常に高いストーリーも素晴らしかった。 そして普通には終わらせない、あのラストもまた良かったです。 不活性者が無駄に多くて把握しづらいところと、翻訳が古いのか読みづらいところが残念でしたが、新訳が出たら読んでみたいと思わせてくれるくらいの傑作でした。 | ||||
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学生で「エルドリッチ~」読んだが、時間逆行もなだらかでなく、技術が象徴するイデアごとデジタルに戻るのはギャグに思えた。 | ||||
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"ノブをまわし、リリース・ボルトをひっぱった。ドアは開こうとしない。そしていう。『五セントいただきます』彼はポケットをさぐった。もう硬貨はない。一枚も。『あした払う』彼はドアにそういって。もう一度ノブを回した。"1969年発表の本書は"電気羊"をおさえてPKD総選挙1位に輝いた傑作長編。 私的には最近、著者の『高い城の男』を原作にした海外ドラマにどっぷりハマっていることもあり、未読のまま積ん読になっていた本書を手にとりました。 さて、そんな本書は1992年のニューヨーク、相手の心を読む予知能力者が普通に存在する世界を舞台にして、ある事をキッカケに起きる時間退行現象をサスペンスフルに描いているのですが。 まず印象的なのは、様々な場面で嫌がらせの様にお金を要求されるシーンの描写でしょうか。全てのモノがインターネットに接続する"Internet of Things『IoT家電』の未来を予見していた?と好意的に捉えたとしても【自分だったらストレスフルな生活環境に苦痛を感じるだろうな】と邪推したり。 一方で、物語としては予知能力者集団と、それを中和する不活性化集団(反予知能力者集団)による異能力バトルに終始していくのかと思いきや【前半の3分の一くらいを過ぎた辺りで】予想を軽く裏切る謎めいた展開、そしてラストはどんでん返しと著者特有の"揺らぎ"が魅力たっぷりに感じられる展開に圧倒され【うん。これは面白い!ぜひこれも映像化してほしい!】と読後に思いました。 著者ファンの方はもちろん、あの世と現世、未来と過去、リアルとバーチャルが複雑に組み合わさったミステリー、サスペンス好きな方にもオススメ。 | ||||
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電気羊とマイノリティー・リポートしか知らなくて、電気羊=ディック、と思ってたらとんでもなかった!小説として物足りない点というか少々違和感があった点は、あれ?この人が主人公なの?と途中から視点人物がズレた感があるところ。でもそのあたりから俄然おもしろくなるのでもあり。 気持ち悪い!というレビューがあって心惹かれて読み始めましたが、その意味が読んでみたらよく分かった。読んでてめまいがし始めるんです。現実感覚にヒビが入りだすんですね。小説の中の人物同様。読み手の側も。 トム・クルーズの映画のでいいので、プリコグ、という存在をなんとなく分かってから読むのをおすすめします。 いやあ、ディック、見直した!天才! | ||||
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月面に結集した、ジョーたちを、待ちうけていたのは、敵の罠でそれ以降、時間退行現象に悩まされる。さらにディックの十八番、ジョーたちは、すでに半死状態で冷凍保存されているのだ。こうなると、夢と現実が交差して、デッィク特有のパラレルワールドが展開する。ラストでは楽しいどんでん返しが待っている。 | ||||
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まだ全部聞いてませんが、後悔しない品質なのは、間違いありません! | ||||
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個人的にはディック作品の、目の前にある現実が崩れていくかのごとく感じられるあたりが大好きです。本作「ユービック」も、読み進めていくなかで虚実が入り混じり、何が真実なのか全く分からない世界に放り込まれたかのような不安定な感覚を味わえるあたりに、たいへん読みごたえがあったと感じています。 一時期、映画「エターナルサンシャイン」を撮った監督ミシェル・ゴンドリーが映画化を計画しているという話がありましたが、続報が聞こえてこないのは寂しい限り。個人的には、デヴィット・フィンチャーが映画化しれくれると嬉しいけど…と、脳内で映像化を想像しながら、また読み返して楽しみたいものです。 | ||||
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『マイノリティ・リポート』(映画)が大好きで、その原作者のSF‥ということで手に取りましたが、期待をはるかに上回りました。 中盤からの怒涛の世界崩壊が圧巻で、映画を超える没入度を味あわせてくれます。 誰が死んでいて、誰が生きているのか?「犯人」(がいるとすれば)は何者なのか? 現実と非現実が入り乱れ、説明し難い現象が連続する中で、混乱し、傷付き、立ち向かう主人公の感情が、紙面から流れ込んでくるようです。 しかし、決して不条理のみで終わる話ではなく、一つの「解」が提示され、意表をつく視界が開けます。そして最後の最後で...何はともあれオススメです。 | ||||
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一読、いかにもディックらしい現実崩壊と、生と死や現実と仮想、時間と空間等の境界問題(?)を遺憾なく追求した、巨匠屈指の傑作です。 異能プロダクションの総帥ホリス率いる超能力者軍団vsグレン・ランシター率いる反超能力者(不活性者)軍団の戦いに終始するのかと思いきや、100ページ(全体の約3分の1)を過ぎたところから急転直下の展開が始まります。 ランシター&ジョー・チップ率いる反超能力者軍団が、超能力者軍団の集結しているという月に到着早々、超能力者側の仕掛けた爆弾でメンバー11人の約半数が失われる。 瀕死の重傷を負ったボスのランシターを何とか宇宙船内の冷凍保存ケースに入れて、ジョー・チップ以下生き残りのメンバーたちはからくも地球へ帰還。それからあとがディック一流の怒涛の展開です。 このあと、読み進むにつれて、時間はどんどん退行するわ、生き残ったメンバーたちが次々と謎の死をとげるわ、そんな現実崩壊しまくった世界の中で、月での爆発で結局死んだはずのグレン・ランシターが、要所要所で、ジョー・チップらに、この狂った世界から脱出するための貴重なメッセージを送り込んでくる。 別のサイトのレビュアーさんが、いみじくも書かれていた「ジェットコースターさながらの展開」に、読んでいるほうは、「な、何なんだこの世界は?!」と、思わず叫びたくなる。 ここまで荒唐無稽な展開だと、普通だったら、「この作品はストーリーが完全に破たんしている」と思ってしかるべきで、じっさい私も、ディックファンであるにもかかわらず、正直ディックの正気を疑ったんですが、終りのほうまで行くと、ちゃんと整合性が取れている。 最後まで読んで、私は思わず唸ってしまいました。やはりフィリップ・K・ディックって天才なんですね。 「アンドロイドは電気羊の・・」や「火星のタイムスリップ」「流れよわが涙と警察官・・」「高い城の男」「虚空の眼」「偶然世界」「宇宙の操り人形」「死の迷路」「ドクター・ブラッドマネー」「ヴァリス」三部作などを読んで、ディックの斬新なアイデアと哲学、ぶっ飛んだストーリー展開には慣れているつもりだった私ですが、「ユービック」は、ある意味これまで読んだ全ての作品を越えて、神がかり的なディックワールドでした。 最初の方の展開がゆるくて、今まで「ユービック」を敬遠していた私ですが、早川書房さんのディック総選挙で、なんとあの何度も映画化された傑作「アンドロイドは電気羊の・・」を押さえて第1位に輝いたので、初めて最後まで読んだ次第です。 ディックは「アンドロイドは電気羊の・・」を書いた翌年に「ユービック」を書いているようで、この時期の彼は創作の絶頂期だったことが伺われます。 | ||||
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超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です 訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが 向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか ちょっと気になります | ||||
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ブラックユーモアの効いた、また同時にポップな印象すら感じる傑作だと思う。 物語は滑稽ですらあるけれど、ディック特有の安っぽいSF的道具立てと世界観が素晴らしく、そしてそれ以上に物語そのものが抜群に面白い。 ほとんど漫画的なまでに描かれる超能力者たちをとりまく金や出世や嫉妬の悩みに満ちたチープな未来世界や、日常に侵入し始めた不可解な物理法則が作り出す時間や老化現象の奇怪さ、そして「ユービック」を売り込むための滑稽なほどの出来の悪いコマーシャルやコピー。 「火星のタイムスリップ」やこの「ユービック」はいろんな意味で、ディックのブラックなユーモア感覚が存分に楽しめる遊園地のような作品だと思う。 最近、英語の原作も読んで気がついたが、浅倉久志さんの翻訳は平易で読みやすく素晴らしいものの、さすがに1970年代の翻訳ということもあって、少し不必要に訳しすぎていたり不自然な部分も見受けられないわけではない(今の時代ならカタカナで通じてしまうような)。作中の時間逆行の部分ではその古臭さがハマっていい味を出しているのだが、同時にSFらしいスタイリッシュさを消している部分もあって、新しい翻訳で読んでみたい気もする。 | ||||
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