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変身



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変身の評価: 4.07/5点 レビュー 385件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.07pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全288件 161~180 9/15ページ
No.128:
(4pt)

読み返し

学生時代に読んだ書籍を読み返そうと購入しました。

ユダヤ的な不条理を物語として、昇華している良書だと思います。

図書館の本があまりに古い場合には、是非文庫ですし、購入してください。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.127:
(5pt)

でっかい芋虫になってしまった青年の話

はじめて読むカフカ。孤独な人だったそうである。文体は非常に淡々としており、どこか第三者的な視点である。シュールレアリズム、実存主義の先駆者であるとのこと。たしかに、この時代にこんなシュールな作品を書くとはある意味、自由な人でもあったのかもしれない。作品は、ある朝起きるとでっかい芋虫みたいなものになっちゃった青年の物語。笑ってしまってもいいのかもしれない、しかし笑いは皆無。ひたすら、地味に徐々に家族、その他から迫害されていく、それと気づかないようにひっそりと。最後のほうを淡々と読んでいたとき、ちょうど最寄りの駅につくかつかないかくらいの時に、報われない世界に対する、猛烈な孤独と絶望の悲哀がふわっとわかった気がした。どの文章だったかは忘れてしまったが…
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.126:
(5pt)

安倍の工房が好きな人は、この作品も好きになるはずである。
とりあえず、妹オイ! ってかんじだ。
時間が許せば、城を読みたい。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.125:
(5pt)

錯綜した世界を視覚化

『変身』の視覚化は大変だったろうと思う。カフカ自身がグレーゴルの姿を視覚化することに反対だったからだ。そして「変身」だが、もともとのタイトル(Die Verwandlung)は「変貌」「変化」の意味合いで、そして「虫」に変身したといっても、その虫は「昆虫」の意味ではなくネズミなど害獣を含む広い意味をもった「Ungeziefer」であった。

訳文どおり、虫に変身したとしよう。虫であるならそういう描写はありえない矛盾したいくつもの描写がここにはある。さらにグレーゴルの思う「虫」と、まわりの大人が見た「虫」が、同一であるかどうかはわからない。「虫」に変身したグレーゴルをグレーゴルだと認識した根拠も不可解だ。まったくの「ゴキブリ」だったらグレーゴルとは思えないだろう。どこかにグレーゴルの痕跡がなくてはならない。なら、どのような姿をしていたのか。

そういう矛盾したというか、統一した世界を描いたとはとうていいえない作品がカフカの『変身』だった。しかしこのおかげでというべきか、作品世界の迫力は並のものではない。その後の野蛮な20世紀を予告した、予見の文学といっていいものになった。

『変身』を絵本にすることには、このように錯綜した作品世界を縮小していくことになり、その縮小には何重もの困難さがあっただろうと思う。牧野良幸の銅版画は、この世界に静かな諦念ともいうべき情緒を導いて、好感がもてた。
変身 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (角川文庫)より
4042083064
No.124:
(4pt)

人間って本当に怖い生き物である

ある日突然男が巨大な虫に変身してしまうという奇怪な設定だが、人間の裏をうまく描き出している。20世紀最高傑作と呼んでも過言ではない。
細かい心理描写で予想以上に読みやすくなっているのは、文豪のみが成せる技。有名な作品であるものの敬遠しがちだが、一日で簡単に読むことができ、かつ読み応えが抜群にある。
人間の不条理さと孤独について深く考えせられる。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.123:
(4pt)

毒虫は匿名多数の醜悪さ

オーストリア=ハンガリー帝国領プラハ出身の、20世紀文学を代表するユダヤ系作家フランツ・カフカ(1883-1924)の作品、1912年執筆。当時彼は、ボヘミア王国労働者傷害保険協会の勤勉な小役人で、近代官僚機構の最末端に身を置いていた。

近代ブルジョア社会は、個人を何者でもない何者かという suspending な存在でいることを許さない。個人は、「社会」の内に於いて当該「社会」の言語によって名指し可能な何者かとして在ることを強要される。断片化という原初的暴力だ。何者かである何かが、俺を同じ名前で呼ぼうとする。匿名多数の他者は、俺でない何かを持ち出して、それが俺だということにする。そもそも俺に名前など無いのに。実存――あらゆる即物的規定を超越する不定態として、人間存在は如何なる規定を拒否する機制。実存の死屍累々としての社会。

自我は、自己否定による自己破滅をも辞さないほどに否定性・超越性という自己関係的機制を純粋に徹底せんとする実存は、断片化の暴力に抗しようと、必然的に敗北を喫する以外にない闘争――日常性との血みどろの闘争――にその悲劇的な結末を承知しながらその上でなおも赴き、成就すべからざる成就としての全体性の回復を待つ。

「待つ」と云う美的態度。いつからか、待つことでしか、生きていくことができなくなっている。日常と云う時間は、そうした生の在りようの、戯画化された反復だ。その中で、俺は何処に腰を据えるのだろう。どの椅子も、それぞれに、居心地が悪い。家に、部屋に、タオルケットに、俺は退き下がり閉じ籠りたいのだけれど、そこはそこで、窒息の苦しみだ。

「社会」の内に在って、全体性の回復を希求する者は、毒虫の如き異形を晒すしかない。「社会」にとっては、不穏な存在――内在化された超越――なのだ。

現代は、communication ばかりが肥大化し、独在という構えに存在余地は無い。我々は communication へと疎外され、強迫的に関係を求める。予め設えられた商品としての communication へ参画することそれ自体が自己目的化している。そこでは「(当該「社会」で位置を与えられている限りでの)充実した私生活」を演出し見せ合わなければならないという無言の抑圧に支配されている。日々の止むに止まれぬ鬱屈は、選別され粉飾された多幸感に溢れる communication vacancy の中には、居場所が与えられない。皮膚にまとわる「日常」にもがき苦しむ者の赴く場所ではない。「communication tool の発達」と騒いでいるが、要は愛想笑いの場所が増えただけだ。効用と定型句に埋め尽くされた「社会」に、即物という暴力的な存在様態が遍在する「社会」に、人間の居場所は無い。そこは、縁の無い無限遠の穴のようだ。喧噪だけの空虚。

communication から人間を捉えるのは、倒錯している。communication tool を通して他者と一つに繋がった気でいられる者は、自己欺瞞に陥っている、独りであることを知らないのだ。そこで空疎な愛想笑いの交換をして何の摩擦抵抗を感じないでいられる者のほうが、却ってよほど毒虫じみて見えないか。自分が毒虫じみているなどと想像してみることさえ無い傍観者の非意識自体が、ザムザの毒虫以上に醜悪な姿を晒していないか。

独り言でしか口にできないことを誰かに伝達しようとする矛盾。そこにこそきっと、人間どうしの関係と云うものの存在理由があるのではないか。

communication tool に瀰漫する太平楽と冷笑と演劇的な深刻を、孤独な絶望へ転化せよ。

死に到る絶望が、致命的に足りない。
変身―カフカ・コレクション (白水uブックス)Amazon書評・レビュー:変身―カフカ・コレクション (白水uブックス)より
4560071527
No.122:
(5pt)

満足です

納期も早く商品も満足いくものでした。
また機会があったらよろしくお願いします。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.121:
(5pt)

そんな深刻なメッセージはないと思う

朝おきたら虫になっていた
そして母親が扉の向こうから「アンタ仕事の時間やで!何寝てんの!」
ってな感じで話が始まる、100p足らずの短編物語

ホラーではないと思った
なんだか笑ってしまって私はコメディーだと解釈した

終盤は感動する所もある

虫になった自分の体のリアルな描写が、面白くて興味をそそられた

カフカがシリアスなメッセージとして、これを書いたなら、どうだろう、と思うけど
笑いとして、センスのいいジョークとしてコレを書いたなら、やはり凄い人だと思う

ベッドで腹を打って、ココが一番痛い部分か!、と言った所とか面白かった
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.120:
(5pt)

わかり易い不条理

難解と言われるカフカですが、この「変身」だけは、誰にわかりやすく、数十年ぶりに読んだのに、改めて感動しました。
こんな昔に、福祉社会の現代に通じるテーマを見事に描いてみせたカフカはやはり天才です。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.119:
(5pt)

身につまされる

子供の頃、僕は変身したかった。ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ものの赤、セーラームーン、ゼブラーマン…自分ではないちょっとヒーロー的(ヒロイン的)な何者かになりたいという憧れが強かった。変身してヤンキー(ごめんなさい)を懲らしめ注目を浴び、あわよくば意中のあの娘を…などと妄想すること毎晩だった。それが無理ならせめて親類縁者にいないものかと、友達に自慢できるのに…などと依頼心を募らせてもいた。

けれども成人すると、さすがに人は変身できないのだと知った。いや、整形だとか性転換手術を受ければ、それはそれで劇的な変身が可能だとは知ったのだが、自分の求めるヒーロー的な変身とはどうやら方向性を異にしていた。自然と僕の変身願望はセピア色の思い出に変わり、むしろ今では恥ずかしい過去として封印したい。親類縁者に…という件もそうだ。「おれのいとこオーレンジャーなんだぜ、すげえだろ?」などと吹聴してしまったことをとても恥ずかしくまた申し訳なく思う。これらの感慨は、朝井リョウ氏の「何者」を読んでからさらに深まった。みんな自分が何者にもなれないとわかっているから必死に就活するんだ。それなのに僕ときたら…

カフカの「変身」を読みながら、僕は身につまされる思いがした。朝起きて、たとえば自分が仮面ライダーに変身していたら、それはもうとても困る。家族はもっと困るだろう。「変身」というものは「出落ち」感が強いのだ。最初のインパクトこそ強烈だけれど、すぐに飽きられる。変身した人間と朝食を取る家族や、一緒に仕事をする同僚は、きっと気まずくて耐えられないだろう。ウルトラマンはそれをよくわかっていた。だから地球にいられる時間を3分に制限したのだろう。カップラーメンの標準的な待ち時間が3分に設定されているのも偶然ではなさそうだ。ましてや何もかもが高速化する現代では、出落ちの賞味期限はもっと短いだろう。

カフカはすべてをわかっていた。ウルトラマンや仮面ライダーが生まれるよりもずっと早く。そこが、スゴい。そして、僕は自分の馬鹿さ加減を思い知らされた。星5つ。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.118:
(4pt)

自問自答

訳によってかなり印象がことなる作品らしいのですが…

個人的には、最初から最後まで自問自答の連続の作品だと思います。

もしこうなったら自分は…
もしこうなったら家族は…

それをひたすらさらりと…息絶える時もさらりと…その後もさらりと…

感動、不条理、後味の悪さそんなのは一切、個人的には感じません。

ただ、ふわふわしたなんだろな〜っていう感じは残ります。

インパクトで☆4です。
変身 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (角川文庫)より
4042083064
No.117:
(5pt)

人間存在の脆弱性

結末を含め、本当に重いです。
その意味では、精神的に安定したときに読むべき作品ですし、万人受けはしないと思います。

主人公が毒虫になるという異常な事件が、極めて冷静な報告調の文章で描かれます。
異常で不自然なことが、ごく自然な語り口で語られることで、異常な事柄がリアリティをもって読者に伝わってくるのは、カフカの類まれな才能によるものだと思います。

毒虫になってしまい、父の投げたリンゴのせいで最期をむかえる主人公を、「社会から疎外された存在」ととらえ、「私もいつそうなってもおかしくない」とか「今の自分がそうだ」と読むことが可能だと思います。
名作といわれる小説の特徴は、「まるで自分のことだ。自分にしかこの小説の真の意味は分からないはずだ」と読者に思わせるところにあるといいますが、まさにこの作品はその特徴を持っていると思います。

カフカのメッセージは、人間の存在は脆弱である、ということではないでしょうか。
人間の存在は脆弱である、ということはおそらく普遍的真理であると思います。
そうであるかぎり、この作品は古典として半永久的に読まれ続けるのだと思います。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.116:
(4pt)

よくはわからない。だけど、何か引っかかる

正直よくわからなかった。
しかし、家族というコミュニティの中で一番必要とされていた状況から、毒虫にかわったことで一番の邪魔者へと変わり、不必要な、疎い存在にかわる。
そこに何か、ヒトの存在性の希薄さというか、本来的にヒトが無であるというようなことが感じられる。
所詮、ヒトがいる意味、私がいる意味というものは大きな意味での社会の中で与えられる、絶対的なものではなく、相対的なものにすぎない陳腐なものなのかなと思わされた。
解説のところでもあるように実存主義的な部分がすごい感じられる。
また、そこにこの本の価値を感じた気がする。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.115:
(5pt)

答えがないだけに難しいが、読む価値はある。

さまざまな解釈があるが、僕はこの結末は或る意味グレーゴル本人が望んだことだと思います。
セールスマンとして働き家族を養うグレーゴルと、グレーゴルが稼いだお金で生活する両親と妹の中で今の生活を一番嫌っていたのはグレーゴル本人だったからです。
養っていくべき家族がいなければ、とっくのむかしに辞表を出しているところだとグレーゴルは言うが、実際は歳をとって働く自信を失った父と、
家事もろくにできない母と、まだ17歳の妹に家族を養っていくという責任をおしつけることはできません。
すべてを清算して自由になりたいという気持ち(人生を変えたいという気持ち)と、
家の者を見すてることのできないという気持ちのあいだで、苦悩するグレーゴルに特別な力を持ったものが与えた助け舟が毒虫になるということだったのだと思います。
虫になったグレーゴルの姿を見た家族と会社の上司の反応はグレーゴルが期待したものだったような気がします。
自分はもう働けない(働かない)という行為を正当化し、相手を納得させるものだったからです。
もうこれは起こったことなのだから、あなたたちも受け入れるしかないのだという自分勝手な行為にも見えました。
グレーゴルは毒虫になった生活を楽しんでいるし、幸福にも感じていた部分も見受けられます。
しかし、毒虫に変わってしまったグレーゴルを家族は受け入れてはくれませんでした。
なぜなら、家族も変わってしまったのだから。

グレーゴルが最後の瞬間に家の人たちを感動と愛情とをもって思いかえしたのが印象的で、
グレーゴルがいなくなった朝に残された家族三人の目の腫れた原因はグレーゴルへの愛情からくるものであってほしいと思いました。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.114:
(5pt)

カフカの代表作!!

【変身・あらすじ】

グレゴール・ザムザがある日ふと目覚めてみると、自分の姿が巨大な毒虫になって
いることに気がついた。

グレゴールの家族はと言えば、恐ろしい姿に変わってしまった彼を部屋に閉じ込め
ながらも、食事の世話をしたり部屋の掃除をしたり、何とか一緒に生活をしようと
する。しかし、そんな生活も長くは続かず、段々と異形の姿に変じたグレゴールを
疎むようになり――

【変身・感想】

家族の為に尽くしてきた男が、異形の姿に変じたことで居場所を失っていく様が
シュールに描かれています。グレゴールが良かれと思ってしたことが却って裏目に
出てしまっていたり、本当に何の理由もなく≪毒虫≫になってしまうなど、世の中
の不条理をそのまま切り取ったような作品です。

ただ残念なのは、個人的に訳が余り良くないと感じてしまう点です。原文をそのまま
日本語にしたような訳の為、一文がとても長く、また不自然で回りくどい表現が目に
つきました。

『ある戦いの描写』はこの本にしか入っていないようですので買って損はありません
が、『変身』は他の訳で読んだ方が良いかもしれません……。

【ある戦いの描写・あらすじ】

夜会でとある男と知り合った私は、共にラウレンチベルク山を目指すことになる。
そして道中繰り広げられる奇妙な会話の応酬……やがて物語は夢と現実の境界を
無くし、カフカの想像世界へと読み手を誘い、翻弄する――

【ある戦いの描写・感想】

とにかく難解です(笑)
夜会で出会った男『知人』と山へ向かう合間に繰り広げられる会話は本当に奇妙でした。
『私』は唐突に『知人』は『私』が背が高いことが気に食わないのだと思います。
何故そう思ったのかは分かりません。とにかくそう思ったから、『私』は急に体を前に
屈めて歩きます。

『あなたは何をやってるんですか』
『いやはや図星ですな』『――あなたはなかなか鋭い目をもっていらっしゃる!』(P.131)

このような奇妙なやりとりが幾度となく繰り返されます。そして章が変わると場面も急
に変わり、4人の裸体の男に神輿で担がれている≪肥大漢≫なる人物が登場します。

そしてその後の章では、肥大漢の友人なる祈祷者視点の語りへと移行します。

一体、『私』と『知人』の話は何処へ行ってしまったのでしょうか……?

カフカが21歳の時に書かれたものらしいですが、このような奇怪で難解な話をその年
で書くとは……やはり只者ではないですね!(笑) 

この話は解説でも解説放棄されているくらいなので、自分の目で確かめた方が早いです。
『私』の自問自答のようでもありますし、自分自身を他の視点で見つめて語っているの
でしょうか……? 本当に説明が出来ない作品です。

ただ、上でも記載しましたが、訳が余り良くないが為に、より理解が難しい……という面
もあるかと思います。本当に訳が残念でなりません。
変身 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (角川文庫)より
4042083064
No.113:
(5pt)

カフカの感性、恐るべし

初めて読んだのは、転職して一年目だろうか。
読んでビックリ(οдО;)
こんな鋭い感性の持ち主がいたなんて…(T_T)
で、案の定夭折していた。
結核でしたかね?

変身、もまた、昔からヨーロッパでは頻繁に取り扱われているテーマだが、カフカのはちと違う。
で、一番これを理解したいなら、映画があるから見ると良い。
虫が上手に表現されていて、ようやく理解できた気がした。
また、映画の出来も素晴らしい。
確かロシア映画だ。

カフカって、カラスという意味らしいけど、本当?
だったら怖いわ(;^_^A

現代人の不安、そのものをカフカは表現したかったのかもしれない。
そして、それを親友や恋人、妹などのごく限られた人にしか見せない感性、だからこそ書けるわけだ。
こんなこと、本来なら恥ずかしくて見せられない。
でも書かないと死んじゃう。
でも書いてたら、命を削ってしまった。
カフカくん、切なすぎる(T_T)
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016
No.112:
(5pt)

F.カフカ『変身』を再読して

四十数年前、友人(私が所属していた心理学研究会のMember)から「カフカの『変身』について、意見を聞かせて欲しい」と言われて、F.カフカの作品を読んだ。
カフカ作品は最初に『変身』を読み、『城』『審判』『アメリカ』等を読んだ。
『変身』は読書前の予想に反して、「明るく読み易い」作品であった。
『城』は、何度も読み直したが、何が書かれているのか全く理解出来なかった。
『審判』と『アメリカ』は、細部を記憶していない。
当時、カフカ作品を語ることはStatusの証明であったが、私は「カフカ作品は難解です」としか言えなかった。
「カフカ作品に於ける不条理」について意見を求められた際は、「カフカ作品を一様に不条理と云う語で語ることは不適当ではないか」と答えたように記憶している。
『変身』再読に於ける私の読書課題は次の通り。
1.『変身』の主人公グレーゴル・ザムザ(以下Gと略す)の変身が夢ではないことを、F.カフカが如何に語ったか(如何に表現したか)。
2.『変身』の記述についての私の記憶が、どの程度歪んでいるかを確かめること。
四十数年前、「虫に変身したGが壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」と云う件(くだり)を読んで、私はF.カフカの記述に驚いた。
他の如何なる作家も「虫が壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」等と書けないだろうと想った。
「虫に変身したGが壁を這い登り、天井から床に落ちるのを楽しんだ」と云う件が、実際には如何に書かれていたかが気懸りであった。
再読の結果は下記の通りで、私の記憶に大きな誤りが無かったので、安堵した。
角川文庫『変身』 中川正文 訳
「しかたなしの気晴らしに壁や天井をめくらめっぽうに這いまわる癖がついた。
天井へ這いあがって、宙にぶらさがるのがおもしろかった。
床の上に横たわっているのとは全然ちがった感じがする。呼吸まで楽にできた。からだじゅうを軽快な振動が走る。
上のほうでうっとりと愉しい放心状態に陥って、ついからだが離れて床へばったり落っこち、自分でびっくりぎょうてんすることもあった。」

『変身』再読後の疑問点は次の通り。
1.Gが変身を哀しんでいないこと。
2.Gが未来を恐れていないこと。 
文学作品には作家の世界観・人生観が色濃く反映する。
Gが作者の分身でないとしても、Gの行動と思考が作者の人生観を反映したものであることは明らかであるから、Gが変身を哀しんでいないこと、Gが未来を恐れていないことが示すものは、作者の人生に対する諦観である。
Gが未来を恐れていないこと、つまり、近い将来に於ける自らの消滅(死)を恐れていないことが示すものは、
作者の「近い将来に於ける死の予感」である。
カフカ作品の特質は、夢と現実の融合であり、作者が苦心したのは物語に於ける「夢と現実の兼ね合い」だったのだと考える。
1924年に41歳で亡くなったF.カフカの主要作品である、『変身』『アメリカ(失踪者)』『審判』『城』のうち、生前に出版されたのは『変身』のみで、他の全ては没後に友人のマックス・ブロートによる整理を経て、出版されたとのことである。
また、F.カフカはフェリーツェ・バウアーと二度婚約し、二度婚約を解消している。
F.カフカの主要作品の殆どが未完であったこと、フェリーツェ・バウアーと二度婚約し、二度婚約を解消したことから、短絡的に導き出した結論は次の通り。
カフカ作品の特質は、「夢と現実の融合」であり、「近い将来に於ける死の予感」と「満足出来る作品が完成しないことによる焦燥感」の中で、カフカ作品が生まれた。
勿論、以上の結論は、私の人生観を反映している。子供の頃からの私の変わらぬ口癖は「もう嫌だ」である。
正確に書くと、「もう嫌だ」は「もう何もかも嫌だ」であり、「もう生きているのは嫌だ」である。
満足出来る作品が完成しないことによる焦燥感の中で、F.カフカも「もう嫌だ」と想ったに違いない。 以 上
変身 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (角川文庫)より
4042083064
No.111:
(5pt)

もっと,明るい変身の解釈も作りたくなった。

カフカの変身が,はじめて最期まで理解できたかもしれない。

なんとなく,暗い,鬱積した気持ちになる変身。
その謎が解けずに今日まできた。

こう解釈すればいいのだというのが絵本から伝わった。

もっと,明るい変身の解釈も作りたくなった。
変身 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (角川文庫)より
4042083064
No.110:
(4pt)

看板に偽りあり!!

本書の売りは、最新のドイツ語カフカ全集である<史的批評版>を底本とした
「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」ということですが、
この<史的批評版>の特徴は、
一方の頁にカフカのノートをそのまま写真による図版で示し
他方の頁にそれを、カフカが描き直した部分もそのまま
活字にして、掲載しているという点だそうです
(訳書p166-7に写真が掲載されています)。

したがって、カフカの創作過程を知ることができる
というところにその魅力があると思われますが
この訳書で、それを窺う術はありません。
それを示すためには、組版や註で示す必要がありますが
本書にそのようなものは一切ありません。

カフカの創作過程に踏み込んだ詳細な註をつけるには
カフカの専門家である必要がありますが
恐らくこの訳者にその力量はないのでしょう。

次に「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」という点についてですが
訳者は、カフカが同じ単語を繰り返しているところは、
訳文でも厭わず繰り返すことで原作に、より忠実な訳文になっていること
を謳っていますが、そんなことは独文科の学生でもできることです。

解説で訳者は、カフカが『変身』を出版した際、
「版元は、虫になったグレーゴルの絵を表紙につけようとしたが
当然、カフカは拒否した」というエピソードを紹介しています(訳書p157)。

訳書p39で、虫になったザムザがベッドから出ようとするところで
「下半身」と訳されている部分は、原文では"der untere Teil seines Korpers"
となっています。直訳すれば「彼の身体の下の方の部分」ですが、
カフカは、ドイツ語で「下半身」を意味する"Unterkorper"ではなく
わざわざこのような書き方をしています。

ドイツ語の辞書で"Unterkorper"を引いてみると、
"der untere Teil des Korpers"「身体の下の方の部分」とあり
カフカが虫になったザムザの下半身を表現するのに
辞書的な定義を採用していることが分かります。
つまり、ここで虫になったザムザは、それが下半身かどうかは分からず
単にそれが自分の「身体の下の方の部分」としか言えない
ということを示していると思われます。

これは、あらかじめ変身した虫の姿のイメージを知ることなく
ある日突然訳の分からない虫に変身してしまった主人公の体験を
読者に共有して欲しいという、表紙に虫の絵を拒否したことと同じ
カフカの意図が働いていると思われます。
しかるに、それを単に「下半身」と訳してしまったのでは
訳者の頭の中にあらかじめある、変身した虫のイメージを読者に押しつけている
ことになってしまうのではないでしょうか。

p38の「お腹をふくらませ」て、毛布を落とすというところも
原文ではaufrichten「(空気で)ふくらませる」のは、sich「自分自身を」であって
とくにお腹と断っていません。
人間が寝るときは大抵毛布はお腹に掛けるものだというだけです。
第一、息を吸って膨らむのは(人の場合)胸であって、お腹ではありません。
もっとも昆虫は腹部にも気門があるので、膨らませるのかも知れませんが
朝、目が覚めたら突然虫になっていた元人間に
どうしてそんなことが分かるのでしょう。

以上、長々と述べましたが、
出版社の誇大広告と訳者の鼻息を除けば、
カフカの作品が楽しめる文庫になっていると思います。
代表作の『変身』だけでなく、『判決』や『掟の前で』のような
有名な作品も収録されており、白水Uブックスや新潮文庫の『変身』より
お得だと思います。
変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)Amazon書評・レビュー:変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)より
4334751369
No.109:
(5pt)

ある朝、巨大な虫に変身してしまった男の物語

『変身』(フランツ・カフカ著、高橋義孝訳、新潮文庫)は、「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した」という書き出しで始まる、不可思議な変身物語である。

布地の若いセールスマン、グレーゴルの変身から死に至るまでの心理と、彼の変身によって経済的な支柱を失った家族――老いた両親と妹――の虫(グレーゴル)への対応が変化していく様が、乾いた文体で描写されている。この小説は、グレーゴルがなぜ変身したのかを語っていないため、読者や研究者を困惑させ、多種多様な解釈を生じさせてきたのである。
変身 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:変身 (新潮文庫)より
4102071016

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