ペスト

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ペストの評価:

4.00/5点 レビュー 410件。 C ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全814件 781〜800 40/41ページ
No.34
(5pt)

震災という名のペスト

ペストというのはいろいろな意味合いにとれる。
この作品が書かれた頃は、ペストが蔓延したオランの町は、ナチスによって蹂躙されたヨーロッパの姿を象徴していた。
天災(戦争)という絶対悪に立ち向かう、名もない市民たちの連帯。
神を信じないと言い切る医師リウーの、誠実な生き方。
負け続けることがわかっていても、不条理に対して挑み続ける人間たち。
大学生の頃、この作品を読んで、人生がひっくり返るほど感動した。

そして震災後、ふと、この作品を読み返してみたいと思った。
震災に対して、我々には一体何が出来るのか?
多くの人たちが、自問するばかりの毎日だと思う。
何かヒントが得られるのではないかと思い、本棚から、黄ばんだ本をひっぱりだしてきた。

思った以上に訳文が難解で、よくもまあこんなものを読んだものだとは思ったけど
読後の清々しさは変わらない。
今、被災地ではたくさんのリウーが不条理と闘い続けているのだと思った。
神のいないこの国では、リウーの誠実さは、いわば当たり前のことなのかもしれない。

今、若い人たちに読んでもらいたい。
確かに、もう少し読みやすい文章なら・・・と思うのだが。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.33
(5pt)

震災後の日本人が読むべき

ペストを「震災」に読み替えてみると、おそろしいほどフィットする。
「世間に存在する悪は、ほとんど無知に由来するものであり、善き意思も豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害をあたえることがありうる。人間は邪悪であるよりむしろ善良であり、そのことは問題ではない。」
〜放射線に関する無知から、善意の悪や誤謬が蔓延。
「最初は正式の、後には間に合わせの職員であった看護人や墓堀り人夫も、多くのものがペストで死亡した。どんなに用心しても、いつかは感染してしまうのだった。しかし、驚くべきことは、病疫の全期間を通じて、この職業をやる人間に事欠かなかったということである。」
〜ボランティアと義援の輪は震災後何ヶ月経っても途絶える事がない。
「彼らはまだ不幸と苦痛との態度をとっていたが、その痛みはもう感じていなかった。まさにそれが不幸というものであり、そして絶望に慣れることは絶望そのものよりさらに悪いのである。」
〜いつ故郷に戻れるかも知れない被災地の方々の苦悩や絶望の今後が心配。
「行政当局は、強い感銘を与える、しかし何の事実も証明するわけではない実例の前に、最初楽観説を迎えた無定見さで悲観説に戻った。新聞は当然、何事があろうとも楽観主義をという禁令に従った。」
〜いまの政府、東京電力、マスメディアの楽観主義とソーシャルメディアの悲観主義に融和はない。
でも、50年以上前に書かれたこの小説には救いもある。
「彼がかちえたところは、友情を知ったこと、そしてそれを思い出すということ。ベストと生との賭けにおいて、およそ人間がかちうることのできたもの、それは知識と記憶であった。」
「終わりを告げるこの物語を書き綴ろうと決心した。天災のさなかでおしえられること、すなわち人間のなかには軽蔑すべきものよりも賛美すべきもののほうが多くあるということを。」
〜3.11以降の日本にも救いはあると信じたい。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.32
(5pt)

震災という名のペスト

ペストというのはいろいろな意味合いにとれる。
この作品が書かれた頃は、ペストが蔓延したオランの町は、ナチスによって蹂躙されたヨーロッパの姿を象徴していた。
天災(戦争)という絶対悪に立ち向かう、名もない市民たちの連帯。
神を信じないと言い切る医師リウーの、誠実な生き方。
負け続けることがわかっていても、不条理に対して挑み続ける人間たち。
大学生の頃、この作品を読んで、人生がひっくり返るほど感動した。

そして震災後、ふと、この作品を読み返してみたいと思った。
震災に対して、我々には一体何が出来るのか?
多くの人たちが、自問するばかりの毎日だと思う。
何かヒントが得られるのではないかと思い、本棚から、黄ばんだ本をひっぱりだしてきた。

思った以上に訳文が難解で、よくもまあこんなものを読んだものだとは思ったけど
読後の清々しさは変わらない。
今、被災地ではたくさんのリウーが不条理と闘い続けているのだと思った。
神のいないこの国では、リウーの誠実さは、いわば当たり前のことなのかもしれない。

今、若い人たちに読んでもらいたい。
確かに、もう少し読みやすい文章なら・・・と思うのだが。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.31
(5pt)

すばらしい

よってたつ思想のないところで、人はいかにして善くあれるか?
現代日本でこそたくさんの人に読まれて欲しいな。
ただ、長いのと、ちょっと読みづらいのが難点。
中身は文句なし。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.30
(5pt)

すばらしい

よってたつ思想のないところで、人はいかにして善くあれるか?
現代日本でこそたくさんの人に読まれて欲しいな。
ただ、長いのと、ちょっと読みづらいのが難点。
中身は文句なし。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.29
(4pt)

訪れることを受け入れるしかない厄災

ありふれた日常に埋もれていた北アフリカの無味乾燥な都市にペストが発生する。
最初の数10ページは、鼠の死骸が大量に発生して死者が増加の一途を辿るという
スリリングな展開。

それに続く、ペスト宣言が出た後のこの小説の中核部は、閉鎖された都市の中で
対策に奮闘する医師やボランティアの日々、患者とその家族の姿が描かれる。
ドラマティックな展開というものは少なく、感染が広がり閉鎖された生活が
新たな日常に成り代わったように淡々と描かれる。

一つ印象的だったのは、<この災いは堕落した世界に対する神の怒りであり、
我々はこの試練を喜んで受け入れなければならない>と説教をしていた神父が、
ボランティアに加わって少年が発作を起こしながら死んでいく病床に付き沿った後、
信仰は捨てないまま新たな考え方に変わるところ。
私なりの理解では、この神父の新たな考えは
<この世界は解釈できない謎だらけだが、神を信じるか信じないかの選択では、
私には信じるという答しかありえない>ということになります。

この部分を読んでいると、「カラマーゾフの兄弟」の中で同じような問題に対し、
次男のイワンが
<この世が神の意思でできているというなら、罪のあるはずのない子供が苦しむ
世界を作った神は認められない>と語った言葉を思い出しました。

ペストに限らず、訪れることを受け入れるしかない厄災というものがあります
(天災、人災であれ個人の病であれ)。
誰でも自分の人生の前に突然暗い大きな穴が開き、そこに落ち込んでしまうことが
ありえます。
このような事態になった時にも、焦らず絶望せず日常の中でむしろ淡々と戦うこと
が必要(それはとても苦しいことですが)なのです。

注: <>は訳文のままでなく私がまとめた表現です。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.28
(4pt)

訪れることを受け入れるしかない厄災

ありふれた日常に埋もれていた北アフリカの無味乾燥な都市にペストが発生する。
最初の数10ページは、鼠の死骸が大量に発生して死者が増加の一途を辿るという
スリリングな展開。

それに続く、ペスト宣言が出た後のこの小説の中核部は、閉鎖された都市の中で
対策に奮闘する医師やボランティアの日々、患者とその家族の姿が描かれる。
ドラマティックな展開というものは少なく、感染が広がり閉鎖された生活が
新たな日常に成り代わったように淡々と描かれる。

一つ印象的だったのは、<この災いは堕落した世界に対する神の怒りであり、
我々はこの試練を喜んで受け入れなければならない>と説教をしていた神父が、
ボランティアに加わって少年が発作を起こしながら死んでいく病床に付き沿った後、
信仰は捨てないまま新たな考え方に変わるところ。
私なりの理解では、この神父の新たな考えは
<この世界は解釈できない謎だらけだが、神を信じるか信じないかの選択では、
私には信じるという答しかありえない>ということになります。

この部分を読んでいると、「カラマーゾフの兄弟」の中で同じような問題に対し、
次男のイワンが
<この世が神の意思でできているというなら、罪のあるはずのない子供が苦しむ
世界を作った神は認められない>と語った言葉を思い出しました。

ペストに限らず、訪れることを受け入れるしかない厄災というものがあります
(天災、人災であれ個人の病であれ)。
誰でも自分の人生の前に突然暗い大きな穴が開き、そこに落ち込んでしまうことが
ありえます。
このような事態になった時にも、焦らず絶望せず日常の中でむしろ淡々と戦うこと
が必要(それはとても苦しいことですが)なのです。

注: <>は訳文のままでなく私がまとめた表現です。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.27
(1pt)

新訳の登場を望む

青春時代に読んで理解しにくかった本を、ある程度の年齢を重ねてから読みかえす。若かりし頃によくわからなかった本の内容が、今ではしみいるように心に届いてくる。こういうのはいい読書体験だ。私もそろそろそんな風に本をもう一度読みかえしてみる歳になってきた。
この「ペスト」もそういう本として再読した。

再び読んでみて、かつてこの本から感銘を受けなかったのは、私の感性が未熟だったからではなく、訳文が悪すぎるからだとわかった。こりゃひどい悪文だよ。

たとえば、P192主人公リウ―医師と、副主人公タル―の会話。
「知りませんね。僕の道徳ですかね、あるいは。」
「どんな道徳です。つまり?」
「理解すること、です。」
ここの箇所は、この小説のキモともいえる部分だと思うが、この「理解すること」というのはもちろん原文はフランス語だが、この訳語では適切ではないと思う。もっとカミュの思想を一言で表したような言葉のはずだと感じている。訳者がカミュの思想を理解していないので、こんな訳文にしかなっていないのだろう。

さらにさらに、P346「万聖節」→感謝祭のことだろ。P347「神前使節隊」→なんじゃそりゃ? 聖歌隊のことか。
とまあ、訳語もわけわかんない。

この小説を真に理解し味わうために、新訳が望まれる。この訳文では小説の真髄を十分に現しているとはいえない。こんな悪文のために「ペスト」が日本であまり受容されないのだとしたら、これほど残念なことはない。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.26
(1pt)

新訳の登場を望む

青春時代に読んで理解しにくかった本を、ある程度の年齢を重ねてから読みかえす。若かりし頃によくわからなかった本の内容が、今ではしみいるように心に届いてくる。こういうのはいい読書体験だ。私もそろそろそんな風に本をもう一度読みかえしてみる歳になってきた。
この「ペスト」もそういう本として再読した。

再び読んでみて、かつてこの本から感銘を受けなかったのは、私の感性が未熟だったからではなく、訳文が悪すぎるからだとわかった。こりゃひどい悪文だよ。

たとえば、P192主人公リウ―医師と、副主人公タル―の会話。
「知りませんね。僕の道徳ですかね、あるいは。」
「どんな道徳です。つまり?」
「理解すること、です。」
ここの箇所は、この小説のキモともいえる部分だと思うが、この「理解すること」というのはもちろん原文はフランス語だが、この訳語では適切ではないと思う。もっとカミュの思想を一言で表したような言葉のはずだと感じている。訳者がカミュの思想を理解していないので、こんな訳文にしかなっていないのだろう。

さらにさらに、P346「万聖節」→感謝祭のことだろ。P347「神前使節隊」→なんじゃそりゃ? 聖歌隊のことか。
とまあ、訳語もわけわかんない。

この小説を真に理解し味わうために、新訳が望まれる。この訳文では小説の真髄を十分に現しているとはいえない。こんな悪文のために「ペスト」が日本であまり受容されないのだとしたら、これほど残念なことはない。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.25
(5pt)

見事な寓意小説

[ASIN:4102114033 ペスト (新潮文庫)]ダニエル・デフォーの言葉を借りたエピグラフの一節「ある種の監禁状態を別のある種の監禁状態によって表現する」というところに、作者の創作意図とこの小説の寓意性を理解する手掛かりがある。ロビンソン・クルーソウがただ独り漂着した孤島で、いわば原始人の状態から「人間」への復活を果たす様子を描くことによって、デフォーが「文明人」には見えにくくなっている人間存在の基本的条件を再確認したように、カミュはペストの発生によって外部世界から遮断された「陸の孤島オランの住民」の生態を描くことによって、人工的な都市環境で生きる現代人には見えにくくなっている人間及びその共同的生の基盤を浮き彫りにしてみせたと言えるだろう。また「実際に存在するあるものを、存在しないあるものによって表現する」というエピグラフ中の一節は、〈事実〉に含まれる真実に迫るために有効な〈フィクション〉の持つ意味合いを示唆しており、小説家としての彼の立場が示されている。(ちなみにデフォ−は子どもの頃体験した1664-65年のペスト流行のすさまじい状況を、記録小説風の作『疫病年代記』に描いている。)

 作者は、生誕と死によって限定された人生を一種の「監禁状態」とみなし、、ペストによって「監禁状態」に置かれた登場人物それぞれの生き方と、医師の仕事を地道に果たすリウの行動を対比しながら、監禁状態における自由の可能性を探ろうしたと思われる。描かれる絵図に特徴的なのは、パヌルー神父をのぞいて、「神のない」あるいは「神が沈黙している」世界に生きる者たちの行動が太い輪郭で描かれていることだ。

 リウの最もよき理解者タルーは、この世界に存在する「絶対悪」と言うべきものに対してどういう態度を取るべきかを考えつづける。リウはそういう解決不能の形而上的問いを自分にたいして禁ずる。ペストという「悪」に苦しみ、死に怯えている人がいる以上、それを救うために全力を尽くすのが医師の務めだと考える。医師の仕事は「永遠の敗北」であるかもしれぬが、「敗北」を怖れない。彼が怖れるのは、人々が、そして自分が、監禁状態の中で掛け替えのない生を共有していることに無感動になることなのだ。「絶望に慣れることは絶望そのものよりもさらに悪い」、と彼は言う。およそ10ヵ月に及ぶペストが、この町の住民の意識をどのように変化させたかは分からない。その間医師の職務に専念した一人の人間が、多くの市民の「声」を、できるだけ私情をまじえず客観的に記述したのが本書である。
 ペストを契機として、小市民的と目されていた人物の「英雄的」行動による変身とともに、自分の利害に囚われた無惨な発狂者の行動も記録されている。だが、この小説が私たちを深く動かすのは、絶望的な状況にあっても「絶望に慣れること」を肯んじない人物たちの行動が描かれているからだ。「監禁状態」が終わる直前にペストに感染したタルーは、隔離病棟ではなくリウのアパートの一室で息を引き取る。彼の最後を見取るリウと彼の母親、それに対するタルーの無言の信頼を克明に描く一節は、映画の一場面を見るような緊迫感があり、この小説の白眉である。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.24
(5pt)

見事な寓意小説

[ASIN:4102114033 ペスト (新潮文庫)]ダニエル・デフォーの言葉を借りたエピグラフの一節「ある種の監禁状態を別のある種の監禁状態によって表現する」というところに、作者の創作意図とこの小説の寓意性を理解する手掛かりがある。ロビンソン・クルーソウがただ独り漂着した孤島で、いわば原始人の状態から「人間」への復活を果たす様子を描くことによって、デフォーが「文明人」には見えにくくなっている人間存在の基本的条件を再確認したように、カミュはペストの発生によって外部世界から遮断された「陸の孤島オランの住民」の生態を描くことによって、人工的な都市環境で生きる現代人には見えにくくなっている人間及びその共同的生の基盤を浮き彫りにしてみせたと言えるだろう。また「実際に存在するあるものを、存在しないあるものによって表現する」というエピグラフ中の一節は、〈事実〉に含まれる真実に迫るために有効な〈フィクション〉の持つ意味合いを示唆しており、小説家としての彼の立場が示されている。(ちなみにデフォ−は子どもの頃体験した1664-65年のペスト流行のすさまじい状況を、記録小説風の作『疫病年代記』に描いている。)

 作者は、生誕と死によって限定された人生を一種の「監禁状態」とみなし、、ペストによって「監禁状態」に置かれた登場人物それぞれの生き方と、医師の仕事を地道に果たすリウの行動を対比しながら、監禁状態における自由の可能性を探ろうしたと思われる。描かれる絵図に特徴的なのは、パヌルー神父をのぞいて、「神のない」あるいは「神が沈黙している」世界に生きる者たちの行動が太い輪郭で描かれていることだ。

 リウの最もよき理解者タルーは、この世界に存在する「絶対悪」と言うべきものに対してどういう態度を取るべきかを考えつづける。リウはそういう解決不能の形而上的問いを自分にたいして禁ずる。ペストという「悪」に苦しみ、死に怯えている人がいる以上、それを救うために全力を尽くすのが医師の務めだと考える。医師の仕事は「永遠の敗北」であるかもしれぬが、「敗北」を怖れない。彼が怖れるのは、人々が、そして自分が、監禁状態の中で掛け替えのない生を共有していることに無感動になることなのだ。「絶望に慣れることは絶望そのものよりもさらに悪い」、と彼は言う。およそ10ヵ月に及ぶペストが、この町の住民の意識をどのように変化させたかは分からない。その間医師の職務に専念した一人の人間が、多くの市民の「声」を、できるだけ私情をまじえず客観的に記述したのが本書である。
 ペストを契機として、小市民的と目されていた人物の「英雄的」行動による変身とともに、自分の利害に囚われた無惨な発狂者の行動も記録されている。だが、この小説が私たちを深く動かすのは、絶望的な状況にあっても「絶望に慣れること」を肯んじない人物たちの行動が描かれているからだ。「監禁状態」が終わる直前にペストに感染したタルーは、隔離病棟ではなくリウのアパートの一室で息を引き取る。彼の最後を見取るリウと彼の母親、それに対するタルーの無言の信頼を克明に描く一節は、映画の一場面を見るような緊迫感があり、この小説の白眉である。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.23
(4pt)

一瞬ノンフィクションかと思った

細かい描写と、街がパニックに陥るまでの詳細な記録に、ただただ圧倒されます。読んでる間、実は作者が実際に、ペストを体験したんじゃないの?と勘ぐった位です。でもこれフィクションなんですよね。うーん、凄いの一言。
 ストーリーとしてこれ程の傑作はないと断言できるのですが、なんというか、文章全体が読みづらい印象を受けました。和訳によるものか、カミュ独特の体裁なのか、フランス文学の決まり事なのかは分かりません。ただこの小説の事を「理解しづらい」のではなく、「読みづらい」と感じてしまったのは、私の読解力の乏しさに通ずるものだけではないと思います。

 他の人が訳したものはないのかな。あれば一度読み比べてみたいものです。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.22
(4pt)

一瞬ノンフィクションかと思った

細かい描写と、街がパニックに陥るまでの詳細な記録に、ただただ圧倒されます。読んでる間、実は作者が実際に、ペストを体験したんじゃないの?と勘ぐった位です。でもこれフィクションなんですよね。うーん、凄いの一言。
 ストーリーとしてこれ程の傑作はないと断言できるのですが、なんというか、文章全体が読みづらい印象を受けました。和訳によるものか、カミュ独特の体裁なのか、フランス文学の決まり事なのかは分かりません。ただこの小説の事を「理解しづらい」のではなく、「読みづらい」と感じてしまったのは、私の読解力の乏しさに通ずるものだけではないと思います。

 他の人が訳したものはないのかな。あれば一度読み比べてみたいものです。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.21
(4pt)

苦ではないな

偉大なるカミュの、代表作との呼び声もある『ペスト』。そもそも、何でこういう小説を書こうという気になるのか、凡人にはさっぱり分かりません。
しかも、ええっとアルジェリアではペストが流行したことがあったかな、とついうっかり調べてしまった。これフィクションですって?
登場人物は決して多くないけれど、極めて非日常的な「ペストの蔓延」という設定で、人間はどのようにふるまうのか、言わば想像で書いていることに
なりますが、これは実にありそうだなと思わせられます。
特に、街の偉いさん方がペストと認定するかどうかのあたりは、実にリアル。絶対こうなるよな。
訳者あとがきはものすごく難しいことが書かれていて、こんなふうに読まなきゃいけないのぉ?、とも思ったけれど、まあ私の感想としては「読み通す
のが決して苦じゃない小説」でした。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.20
(4pt)

苦ではないな

偉大なるカミュの、代表作との呼び声もある『ペスト』。そもそも、何でこういう小説を書こうという気になるのか、凡人にはさっぱり分かりません。
しかも、ええっとアルジェリアではペストが流行したことがあったかな、とついうっかり調べてしまった。これフィクションですって?
登場人物は決して多くないけれど、極めて非日常的な「ペストの蔓延」という設定で、人間はどのようにふるまうのか、言わば想像で書いていることに
なりますが、これは実にありそうだなと思わせられます。
特に、街の偉いさん方がペストと認定するかどうかのあたりは、実にリアル。絶対こうなるよな。
訳者あとがきはものすごく難しいことが書かれていて、こんなふうに読まなきゃいけないのぉ?、とも思ったけれど、まあ私の感想としては「読み通す
のが決して苦じゃない小説」でした。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.19
(5pt)

神の救済を問いながらも大エンターテイメントである長編 -カミュの最高傑作-

生と死、善と悪、そして神の救済の意味を問うた長編。
かつて熱烈なキリスト教信者であったカミュは、
創作を通じて神の存在を問い続けた。

「ペスト」はカミュの作品中、もっとも大きな構想、長いストーリー、たくさんの登場人物を擁した傑作だ。
疫病の前で神は沈黙し、
タルーを始めとする登場人物は、生きるため、他者を助けるために必死に行動する。
ペストが蔓延した街は封鎖され、ストーリーは一気に加速する。
物語の最後はどうなるのか、惹き込まれる。

テーマはずしりと重いのだが、
「ペスト」は娯楽小説としてのクオリティーが素晴らしく高い。
アルジェリアの港町の描写がすばらしくエキゾチック。
「ペスト」はこのノーベル賞作家の作品中で、もっとも大衆的でもあると思う。
そこが特筆すべき点なのだ。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.18
(5pt)

カミュの最高傑作

生と死、善と悪、そして神の救済の意味を問うた長編。
かつて熱烈なキリスト教信者であったカミュは、
創作を通じて神の存在を問い続けた。

「ペスト」はカミュの作品中、もっとも大きな構想、長いストーリー、たくさんの登場人物を擁した傑作だ。
タルーを始めとする登場人物は、必死に思考し、行動する。
ペストが蔓延した街は封鎖され、ストーリーは一気に加速する。
最後はどうなるのか、惹き込まれる。
テーマはずしりと重いのだが、
「ペスト」は娯楽小説としてのクオリティーが素晴らしく高い。
アルジェリアの港町の描写がすばらしくエキゾチック。
このノーベル賞作家の作品中、もっとも大衆的でもあると思う。
そこが特筆すべき点なのだ。

ぜひご一読を。
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.17
(5pt)

終わりに神はない

ペストということばはこの作品においては三つほどの意味で使われている。
 1)病名であり、小説は表層的には、ペストという病原菌・極限状態に立ち向かうひとつの都市の人々が織り成す人間模様というストーリー構成をとる。
 2)世間一般の暗黙の常識。タルーが闘ってきた「死刑」というペストはこの意味である。死刑という制度を暗黙の領域として片付ける我々の思考がペストに冒されている。あるいはコタールにとってのペスト−−「孤独な、しかも孤独であることを欲しない一人の男をペストは一個の共謀者に仕立てた。なぜなら、明瞭にこれは一個の共謀者であるであり、しかも悦に入っている共謀者である」ということばも同じ意味になる。
 3)完全な悪、完全な死、無差別な悪、意志のない悪、不条理な人生を終わらせる悪=死。さまざまなことばで述べたが、P330「一見無用な悪」ということばが大仰でなく適切かもしれない。叫びながら死なざるを得なかった罪無き少年に象徴されるような死、それに何らかの意味を付与したいのなら、ペストを許容する神という存在をどうあっても受け入れ諦念するか(どんな悪も神の摂理であるというライプニッツの予定調和説)、神への信仰を捨てるか(遠藤周作が「沈黙」で取った結論だ)、という二者択一を迫るようなペストである。
 カミュにとって3)の問いが切実であったのは言うまでもない。岩を頂上まで運びながら、再び、岩が落ち頂上に運ばねばならない、そんな不条理な人生がどういう仕方で終わろうが、そこに神は関与しない、単に終わるだけだというメッセージがあくまで冷徹にペストによる死人を描写する文体から読み取れないだろうか?
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG
No.16
(5pt)

終わりに神はない

ペストということばはこの作品においては三つほどの意味で使われている。
 1)病名であり、小説は表層的には、ペストという病原菌・極限状態に立ち向かうひとつの都市の人々が織り成す人間模様というストーリー構成をとる。
 2)世間一般の暗黙の常識。タルーが闘ってきた「死刑」というペストはこの意味である。死刑という制度を暗黙の領域として片付ける我々の思考がペストに冒されている。あるいはコタールにとってのペスト−−「孤独な、しかも孤独であることを欲しない一人の男をペストは一個の共謀者に仕立てた。なぜなら、明瞭にこれは一個の共謀者であるであり、しかも悦に入っている共謀者である」ということばも同じ意味になる。
 3)完全な悪、完全な死、無差別な悪、意志のない悪、不条理な人生を終わらせる悪=死。さまざまなことばで述べたが、P330「一見無用な悪」ということばが大仰でなく適切かもしれない。叫びながら死なざるを得なかった罪無き少年に象徴されるような死、それに何らかの意味を付与したいのなら、ペストを許容する神という存在をどうあっても受け入れ諦念するか(どんな悪も神の摂理であるというライプニッツの予定調和説)、神への信仰を捨てるか(遠藤周作が「沈黙」で取った結論だ)、という二者択一を迫るようなペストである。
 カミュにとって3)の問いが切実であったのは言うまでもない。岩を頂上まで運びながら、再び、岩が落ち頂上に運ばねばならない、そんな不条理な人生がどういう仕方で終わろうが、そこに神は関与しない、単に終わるだけだというメッセージがあくまで冷徹にペストによる死人を描写する文体から読み取れないだろうか?
ペスト (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ペスト (新潮文庫)より
4102114033
No.15
(5pt)

同じ舞台、それぞれの選択

この物語には、実に多くの人間が、そして多くの人間の心が登場する。

「壁の内の人間」と「壁の外の人間」。
「嘆く人間」と「動く人間」。
「生きる人間」と「死ぬ人間」。
「信じる人間」と「信じない人間」。
「帰る場所のある人間」と「帰る場所を失った人間」。

ペストは、人々を容赦なく分断するが、同時に人々を強制的に平等にする。
死の恐怖は、誰にでも等しく訪れる。
その中でどう生きるか、どう選択するかで、その人の「生きること」の価値が問われる気がする。

ここには、同じ舞台で、さまざまな「選択肢」、そして人々の「選択」が提示されている。
自分だったらどうするだろうと、意識をペストの壁の中に放り込んで、自分なりの答えを見つけてみたい。
ペスト Amazon書評・レビュー: ペストより
B00G45R5CG