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(短編集)

インド夜想曲



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【この小説が収録されている参考書籍】
インド夜想曲
インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲の評価: 4.29/5点 レビュー 42件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 41~42 3/3ページ
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No.2:
(5pt)

インド夜想曲

最初はよくあるインド好きのヒッピー文学と思いきや、インドはただの舞台でしかなく、その内容はボルヘスの作品のように幻想と思考と知性に満ちているといえるだろう。インドの独特の風土を利用しながら、いつの間にか自分がどこにいるのかわからなくなるような不思議な感覚、友人探しという読むものを引き付けるミステリー性を備えながら、哲学的な命題を探るような短編を重ねあわせたような奇妙な旅行記。最初に書かれた無意味とも思える命題が結論のあっけなさを納得させる循環性はポーの作品と近いような気がした。とにかく幻想的で非常に面白い作品である。訳者の須賀氏が解説で述べているように、「だまされたと思って」是非一度読んでいただきたい本の一冊である。
インド夜想曲Amazon書評・レビュー:インド夜想曲より
4560042721
No.1:
(5pt)

どんな幻想小説よりも幻想的な、あり得ない旅の記録

タブッキの小説は幻想的と言われるが、他のどんな幻想小説にも似ていない。この小説も神秘的なイメージに満ち満ちているが、真に非現実的な事件は何も起きない。ただ淡々と、「ぼく」がインドで出会う人々や事物が書き連ねられているだけである。ところが麻薬のように病みつきになるタブッキ独特の語り口と、核心をさらけ出さずほのめかすにとどめるという文学的詐術があいまって、ただ奇想天外なだけの幻想小説では太刀打ちできない強烈なイメージの「場」が形成される。タブッキは幻想を描写しない。タブッキは読者の心の中に幻想や神秘を作り出す。タブッキの「レクイエム」には「ある幻覚」と副題がつけられているが、彼の小説にはどれもまず一個の「幻覚」として構想されているような気がする。結局す!べては誰かの心の中で起きていることという印象が強く、それが作品全体にやはり幻覚めいた浮遊感を与える。「インド夜想曲」はそんなタブッキの幻覚がもっともおいしい状態で味わえる傑作である。名人芸に達している「さりげない」幻想性の匙加減といい、各々の断片的エピソードの核をなすイメージの美しさといい、絶品としかいいようがない。更にタブッキのもう一つの特徴である小説全体に施された文学的詐術=仕掛けも見事。最終章を読み終えた読者は個々のエピソードの神秘を越えた更なる迷宮へと連れ去られる。タブッキは凡庸な作家のように「説明」(=ご丁寧な謎解き)をしないので、ただ煙に巻かれただけと感じる読者もいるかも知れないが(私も最初はそうだった)、妙に気になって何度も読み返すうちにはまってしまう。それは軽やかで短いタブッキの世界の裏側に、読者のイメージをどこまでも広げて行く懐の広さがあるからだ。タブッキは癖になる。
インド夜想曲Amazon書評・レビュー:インド夜想曲より
4560042721

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