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英国紳士の名画大作戦 チャーリー・モルデカイ1



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【この小説が収録されている参考書籍】
チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)

英国紳士の名画大作戦 チャーリー・モルデカイ1の評価: 2.83/5点 レビュー 6件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(4pt)

楽しみがいっぱい

ジョニーデップの映画の原作という事で購入しましたが、1972年の作品!日本ではほとんど翻訳紹介されていなかった小説。作者ボンフィリオリ氏が、画商であり博識でユニーク、生きた時代も戦前から冷戦時代のイギリス、なので、色々なことが想像・推測され、イギリスや欧米の様々なことを味わいたい人には興味尽きません。ボンフィリオリ氏自身14歳の時に戦争の空襲で母上とお兄さんをなくされたそう。戦後は7年間くらい英国陸軍勤務。そういう人ながら、美術のプロ、お酒が好きで美食家。また美術が専門ならば当たり前かもしれませんが文学・歴史もよく読んでいて詳しい。また、英国車や銃にも詳しい。
しかも主人公は結構めそめそ弱虫っぽくて、ボンフィリオリ氏も美術の造詣深いから、そういう感性の部分も表に出すかどうかは別として、おありでしょう。また、イギリスという国は階級社会で、上流は気品とかプライドがすごいけど、下層階級もいじめられてきた意地がある感じで、プライドがすごいし、下品な感性が逆に下層階級のプライドを支えている、というようなところがあって、主人公モルデカイ氏はそういうプライドたる下品、を結構これでもか!と書き表すので、下品が耐えられない方にはいやかもしれないけど、人間様々居て、上品だけじゃ済まないのがこの世界、と腹を括っている考えの人には、豪快で面白いと思います!
ジョックという最強の、元不良だったような用心棒が、またいかついナイスガイで、モルデカイ氏と最高のいいコンビです!
また、同級生が特別捜査権限班の警視になっているのですが、モルデカイ氏を電気を使って拷問したりするわけですが、あの戦後の冷戦時代のイギリスなら、スパイ戦がものすごいことになっていたから、一般人でないその立場の人なら、驚くようなえぐいシチュエーションが何でもあり、だったろうなー、と思います。日本は当時、もう戦争は二度とないのだ、やらないのだ、という信念のもと無邪気に純粋に戦後復興から高度経済成長へと励んでいたわけですから、あのナチスが吹き荒れて人の心が荒れ果て追い詰められて裏切りが横行したヨーロッパを経験した人たちの、次は東西冷戦に引き継がれた陰惨な裏の政治的駆け引き、特に捨て駒スパイのような人々が直面していた暴力など、まったく想像するしかない世界です。(この第1巻を読む限り、モルデカイはたまたま巻き込まれた感じで、スパイではもちろんありませんが。)
ボンフィリオリ氏自身ユダヤ系という事で、高い窓から椅子ごと突き落とす、とか(ナチスにユダヤ人はそれをやられました)、ユダヤ系オーストリア人女性の賢さ、美しさ、とか(ジョハナというヒロイン。ナチス時代ユダヤ系オーストリア人女性は大変で、賢く脱出しなければサバイバルできなかったはず。その知性と気品を受け継ぐ、という意味。ただしこちらの上流階級も、迫害されて祖国を終われ、いまや下品のプライドも持ち合わせているよう。)、考えてみればヨーロッパの歴史的に深い、様々な推測と味わいが出てきます。
アメリカにも行って南部を車で移動するので、南部の保守的な暴力とかも出てきますが、全体的にタフな話のわりに、主人公本人の語り口の性格による、めそめそしてるくせにシニカルで明るい哲学のせいか、めちゃおかしいというか、爆笑もするような、この時代の作品としてどこにもないようなユニークな読み物。
とにかく、一度読んだくらいでは、自分の教養の足りなさも含めて、理解と味わいが十分ではないので、好きなら、ちょっと色々調べながらでも、何回も楽しめる読み物です!!!
十分理解してからでないと、何とも言えないけど、ジョニー・デップの映画の方は、大分、色々変えてあるところがありますが。2015年の、しかも小説じゃなくて映画なわけだから、あんな冷戦時代の暴力を、おちゃらけモードの映画の中に、まともに入れられるわけもないでしょうが・・・だからロシア、とか出さなきゃいけないのかも、ですが、果たしてあんな風に変えたのは、どうだったのかなー、とは思うところです。とにかく、原作はちょっとどこにもないような、面白さ、ユニークさ。作者の個性のなせる業なのだろう。
英国の詩人やいろんな人の言葉から、各章が始まっていく発想の仕方も好きです。きっちり筋書きを組み立てて書いた、というよりも、だいたいの骨格の中に、詩的インスピレーションを生き生きとさせて、作者本人ワクワクしながら、書いた、という感じがします。
チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)より
4041017858
No.2:
(4pt)

斬新なハード?ボイルドのような

いかにも英国、知識階級であれば教養とみなされるような知識、また画商ならではの絵画への深い造詣とその一方のむちゃくちゃぶりがすごく楽しく。西洋の美術に興味のない方には少々受け入れがたいと思いますが、個人的にはこの数年で最も楽しめました。映画となるとこの猥雑さ、スノッブさをどれだけ表現できるのかな、と期待半分、怖さ半分で見てません。
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4041017858
No.1:
(4pt)

英国流悪ふざけの極致

原題 Don't Point That Thing At Me (原著1972年刊行)
英国推理作家協会が最優秀新人に与えるジョン・クリーシー・ダガーの栄えある第一回受賞作にして怪作シリーズの幕開け。
かつてサンリオSF文庫で出た(と云ってもSF的要素は皆無だが)『深き森は悪魔のにおい』は本シリーズの第三部に当たる。

訳者もあとがきで引き合いに出しているモンティ・パイソンを思わせる、知性と教養を備えた大人が真剣な表情で演じる悪ふざけと毒舌、不謹慎なジョークの応酬が満載。
英国人独特の辛辣なウィットとシニカルな黒いユーモアを愛する向きには堪えられない作品だが、逸脱と脱線を繰り返す物語の展開で、生真面目な方は手を出さない方が無難かもしれない。
今回全4作が一挙に訳出されるのはジョニー・デップ主演で映画化される賜物だろうが、角川の英断(?)は拍手ものだ。
なお、やや宙ぶらりんに思える結末は第二部『閣下のスパイ教育』に続いているのでご注意。
チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)より
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