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注文の多い美術館 美術探偵・神永美有



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注文の多い美術館 美術探偵・神永美有の評価: 3.00/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

ミステリを期待すると裏切られるが、"薀蓄"を楽しもうという方にはそこそこの出来

「流星刀、五稜郭にあり」、「銀印も出土した」、「モザイクで、やーらしい」、「汽車とアスパラガス」、「B級偉人」及び「春のもみじ秋のさくら」の6つの作品から構成される連作短篇集。題名は宮沢賢治の著名作の"もじり"だが、内容的には無関係。美術探偵なる人物も登場するが、美術品の真贋の追求を主体とすると言ったミステリの体を成している訳でもない。所謂、美術・歴史・雑学等を対象とした"薀蓄もの"である。主人公の准教授は奥泉光氏の「クワコー」をチョット想起させ、文体も意識して軽薄なものとしている。要は楽しい雰囲気の中で美術・歴史・雑学等を対象とした"薀蓄"を作者が披歴した作品と言った所。作者が一番詳しいのは歴史なのではないかと感じた。

全編スラスラと読める(ただし、題材の専門性(ニッチ性)が高過ぎて読者が推理に参加する余地はない)が、各編がスカスカになっていないのは、物語の進行に伴って読者にもお馴染みの人物が意外な形で登場したりと、"薀蓄"の披歴の方法に工夫が見られるからである。読んでいて、何度か「へっ~」と思う箇所があった。例えば、冒頭の短編に榎本武揚が関係するのは当然として、ラストで非常に意外な有名人達へと繋がる辺りに作者の手腕・遊び心を感じた(勿論、この繋がりは"万が一"の可能性であり、作者の想像力による)。

ミステリを期待すると裏切られるが、"薀蓄"を楽しもうという方にはそこそこの出来ではないか。ただし、例えば清水義範氏の諸作品と比べると、語り口、物語としての面白さという点で見劣りがした。今後、更なる工夫を凝らした作品(「東京帝大叡古教授」が楽しみ)の発表を期待したい。
注文の多い美術館 美術探偵・神永美有Amazon書評・レビュー:注文の多い美術館 美術探偵・神永美有より
4163901701

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