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(短編集)
草祭
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草祭の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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溢れる初期の恒川作品の雰囲気。美奥という現実のちょっとした狭間に現れる不思議な世界という初期作品の中でもかなり強くそれを感じられる、初期ファン必見の作品。短編ですが、全て美奥という舞台でどこかで短編通し雰囲気が繋がっているというような作品。主人公やキャラクターは変わりますが、美奥という名前の長編作品だと思って頂いて差し支えないと思います。 | ||||
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最後まで読んで、また最初から読み直したくなる本です。とにかくお勧めです(語彙力) | ||||
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良いよ | ||||
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この世の奥には、美奥という不思議な土地がある。架空の民俗学のような不思議な味わいの連作集だ。 五篇の短編から成る。ストーリーにつながりはない。共通点は場所だけだ。 この世の理(ことわり)を超越した異世界の郷土史とでも言おうか。世界の構築力と豊かな感性に酔いしれた。 『けものはら』子供のころ、見慣れない草原で母親に殺されそうになった。 それは幻想ではなく・・。 『屋根猩猩』いじめを受ける女子中学生が、屋根に猩々を祀る街に招かれた。痛快ユーモア譚。 『くさのゆめがたり』毒薬使いの少年の成長を追う。 陰惨な復讐劇もあり、伝奇時代小説の味わいだ。 『天化の宿』作中の架空ゲームがやたらと面白そうだ。やってみたいが、人生終わるかな。 『朝の朧町』結婚生活が凄絶な破綻を迎えた。傷心の私はこの世ならぬ土地に迷い込む。 異世界譚と呼びたいところだが、この言葉は乱発されて手垢がついたので使えない。 現代的な遠野物語と言っておこう。 | ||||
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そこにあるものの見えない部分が膨らむような感覚 | ||||
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もう最高としか言いようがない 曇りの日にも、晴れの日にも、雨の日にも、何となくこの本を思い出して読んでみる。 どの瞬間を取っても、美奥は綺麗でノスタルジックです | ||||
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この作者を気に入って本屋にある本はすべて読んだため、ネットで探して注文しました。相変わらず独特の雰囲気で素晴らしい本でした。 | ||||
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読後の印象が強く強く残る作品です。しばらく経っても美奥から抜け出せません。私にとっては、このようなタイプのお話は初めてでした。 美奥という、架空の土地にまつわる短編集です。それぞれの内容は直接つながってはいないのですが、時代も主人公も違う美奥に関する短編を読み進めていくうちに言葉では言い表すことのできない「美奥」という土地が分かってきます。 最初の短編「けものはら」は巧みで面白かったのですが、雰囲気があまり好きになれず、先を読み進めようかどうしようか迷いました。しかしここまで読んだのだから、最後まで読まなければ損した気分なので、読み進めると、「くさのゆめがたり」で、やっと私の好きなタイプの話になりました。 そして、最後の章まで読んで、はぁ〜こういう物語が書きたかったんだなぁと、著者の考えが分かったような気がしました。このような漠然としたものを、一冊の本で説明するという形式のお話は初めてでしたので、とても新鮮で、読んで良かったと思います。 ただ、私はホラーがそこまで好みではないので、ミステリーや、他のジャンルで、このような形式のお話が読んでみたいと思います。 また、ホラーと言ってしまいましたが、ホラーにジャンル分けするのはなんとなく失礼ではないのか、と思ってしまうほど独特の気高さを感じました。 出てくる化け物に関しては、(化け物と言っていいのでしょうか・・)古谷実さんの「ヒミズ」のイメージと重なりました。恐ろしさよりも気持ち悪さが残る感じなので、怖いのが苦手な方も大丈夫なホラーです。 また、大人にはいいのですが、中高生などの思春期の精神が安定していない時期と言うか、現実と非現実の区別がまだ完全ではない年代の人にはお勧めしません。なんとなく危険な感じがします。 追記:読後、この小説の中毒にかかりました。もうこの世界観から抜け出したくないという中毒です。今までミステリや時代物にしか食指が動かず、ホラーや幻想系のジャンルは敬遠していたのですが、この作品に出会えて本当に良かった!なので星4つから星5つに昇格させます。この著者の創造する物語を全て読みたいと思い、他の作品すべて読みました。どの作品もすんなり、そしてググーーッとその独特の世界に引きずり込まれます。読後はぐったりなるほど異世界に飛んで行かされ、ジェットコースターのように病みつきになります。同著者「雷の季節の終わりに」「夜市」もお勧めです。 | ||||
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いつ、どこで、何をしたか…。 ここでたしかに言えることは、ただひとつ。 すべての物語は、美奥という場所で起きたということだけだ。 時間も行動も定かではない。 曖昧で、奇妙で、残酷なものたちが、至るところに転がっている。 ごく僅かな差が生み出す違和感は人の生き死にまでも左右する。 しかし、妖かしにとっては、そんなことすら瑣末で取るに足りないことなのだ。 人間が迷いこもうが、獣なろうが、関係などない。 連綿と受け継がれる美奥の土地は、変わることなく美しく輝き続けている。 そんな美奥にまつわる妖しくも美しく、そして戦慄が走るような物語たちが ここには収められている。 | ||||
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1/3が0.333…であり、1/3に3をかけると1になる。ということは、0.999…は1に等しいということを、かつて数学で習った。 どこか腑に落ちない。 じゃあ1−0.999…は0.000…1だが、それが0に等しいことになる。究極の極小値であっても、それは0でないという存在証明のはずではないのか。 存在と非存在の境界とは、そんなにあっけなく破られるものなのか。 この世のひとつ奥の世界「美奥」では、それがよりわかりやすく顕現するのだ。 猫は犬になり、人はカモシカになる。神は猿のような生き物でもあり、また人でもある。 輪廻のように法則があるわけでもない。罪が必ず罰せられるのでもない。 「美奥」はどこか知らない不条理の世界ではない。 この世の皮を一つ剥いた世界なのである。 つながっているようでつながっていない各短編は、残らず美しく悲しく、懐かしいけれど残酷だ。 「美奥」はただそこにある。だが眼を閉じればもうない。 | ||||
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(前略)それ以後、私は影絵の瓦屋根を、獅子舞が音も無く舞っている夢を見るようになりました。/ひらり、ひらり。/獅子舞は音も無く足を踏み、首をかしげて、ひらり。/夢の獅子舞はふわりと飛び上がり、月が照らす白銀の雲の峰へと昇っていくのでした。 今引用したのは、本書二篇目に収録されている「屋根猩猩」の一節だ。どうだろう? 続きを読んでみたいと思わないだろうか? 本書は〈美奥〉という共通の舞台で展開される五篇の短篇小説からなる。はじめに収められた「けものはら」、二篇目「屋根猩猩」で提示された謎は、三篇目「くさのゆめがたり」で明かされている。四篇目「天化の宿」では、線路が新たに別の世界への通路として登場し、おわりの「朝の朧町」は明かされた謎と線路とを二つながら引き継いでいる。〈美奥〉を舞台とした物語の集大成、と言ったところだろうか。 私には、「朝の朧町」の〈かげろう蜥蜴〉がおかしかった。 | ||||
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恒川光太郎4冊目の単行本。 「美奥」という架空の町を舞台にした5編の小説からなる構成。 「くさのゆめがたり」と「天化の宿」がすばらしい。 ちなみに封建時代を舞台にした「くさゆめがたり」では 初めて(第一作から順に読んできたのだが多分) 性的なこと、暴力についてのある程度の具体的描写がある。 とはいっても相当に控えめなものだが。 そして「天化の宿」。傑作ではないだろうか。 そこで描かれるゲーム「天化」の描写は目がくらむようにまばゆく鮮やかな表現である。 恒川の文章世界に酔いしれた。ラストもいい。 と思っていたのだが最後の「朝の朧町」を読んでさらにやられた。 整合性、感情の動きの説明という点では足りないものもあるように私には思われたが、 それを補ってあまりある文章の力、 物語が伸びていく勢いという点ではさらに新しい領域に達した感が。 最後の10章などはもうこれは詩である。 すばらしい。 しかし整合性が欠けてきている感が気になる。 | ||||
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この人の和風幻想がすごくすごく好きだ。 日常から地続きの非日常。 完全異世界物よりもこういうファンタジーが好き。 ついでにいうと、これや「光の帝国」みたいな繋がりのある短編連作もかなり好き。 というわけで、ツボにはまる1冊だった。 | ||||
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美奥と呼ばれる土地の過去と現在に纏わるお話です。 どの話も不思議で一筋縄ではいきません。 『草祭』はどんな本かと言われると、まずは読んでみて欲しいとしか言えません。 | ||||
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デビュー以来、一貫して幻想的で懐かしく、民話のような美しい物語を紡ぎだしてきた作者。 この1冊は、その作風が完結した一つの象徴的作品となるでしょう。 「美奥」というどこか懐かしい街を舞台に不思議で残酷な物語が語られます。 その中には、けものに変化する少年や、守り神になる少女や、不可思議なゲームにのめりこむ少女が描かれていきます。 5つの短編はみな、どこかで「美奥」に繋がっていきます。 昔、日本のどこかにあったような懐かしい街。ほの暗い水路が流れ、丘の上には洋館が立ち、猥雑な界隈は旅人が彷徨う迷路のような建物がひしめく。 異界へと続く裂け目が、ふっと人を飲み込んでしまう不思議の街。 読んでいて、美奥の野原を吹き渡る風や、夜の街、屋根を飛び移る猩猩の影がリアルに浮かびます。さらに扉絵を描いた影山徹さんの作品が素晴しい。「美奥」に迷い込んだ気持ちにさせられる素敵表紙です。 ところで、ここまで3冊恒川作品を読んできて、この雰囲気はどこかで読んだような気がするな、と咽喉まで出てきて出てこない、という感覚に悩まされてきたのですが。 やっとわかりました。 アイルランドの民話です。 民話自体は、ちゃんと読んだことがないので、なんとも言えないのですが、ケルト神話を元にした幻想小説といえばアーサー・マッケン「夢の丘」やピーター・トレメインの「アイルランド幻想」などがあります。 恒川ファンであれば、こちらもかなり楽しめると思います。 | ||||
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「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」5編を収録した『草祭』という連作集。初出は「小説新潮」2007年6,9,12月号2008年3,6月号。 作品の舞台、美奥町には秘密がいっぱい。不思議な世界と入り交じっている。 変化して戻ってこない人、残される人、戻ってくる人、残る人。 隣の人が不思議な場所から帰ってきたばかりでも、気がつかない。 でもいつかは自分が当事者に。 そんな体験を個々にした人がパラパラ住む町。 ある地区では住民とおかしなモノが普通に共存しているし。 別にそれを吹聴するわけでも、特に秘密にするわけでもなく、おのおの消化し生活している。 起承転結とか因果応報とかなく、教訓が含まれる訳でもなく説教臭くない。 ただそんな話があったよ、こんな世界があるよ、というスタンスが好きです。 1話目と2話目が、かなり繋がった話なので、3話目で「おや?」と思う。 そしてこのお話、どこまで続くのかな?いつ美奥に繋がるのかな?と気にしながら読むと結構長い。オチが読めないのは私が鈍いのだろうか。 この3作目が一番面白かった。でもそれも他の4作があってこそ。 オレンジの花。幅の狭い線路。いつも登場するおじさん。 連作って独特の楽しみと、ノイズがあるな、といつも思う。 恒川光太郎の作る世界は、いつも自分の予測を裏切る。 大筋でも些細な事でも。 変な空間の老婆は将来永劫そこに居るものだ、と思うんだけれど、あっさり居なくなって空き家になっていたり。 地域の守り神が、そんなことしますか?とか。 デビュー作「夜市」の度肝を抜く展開は、本当に凄かった。 ただ私としてはなんとなく描写がスカスカしていて、その点は読み応えに欠けるかな、と(これが余韻というもの、なのかもしれないですが)。 今回『草祭』この点は、気になりませんでした。 | ||||
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時々、自らの視えている世界を読み手にまで見せてしまうことの出来る書き手がいる。彼もまた、そんな物書きだと思う。その世界は、読み手の記憶に根ざしている。誰もが見たことのある景色。にもかかわらず、完全にオリジナル。 『朝の朧町』。自らの町を創り出す人物。作者もまた、そんな町を持っているのだと思う。かげろう蜥蜴の挿話は印象的だった。 相変わらず、簡潔にして美しい文章。短編集。長編至上主義的なところのある出版界。彼のスタンスは、貴重だ。 | ||||
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はじめて触れた恒川ワールド 私は、ふと、村上春樹さんの ハードボイルドワンダーランドを 思い出しました ハードボイルドワンダーランドは自分の中の世界 草祭で語られる美奥の世界とは全く違います ふつうの人には見えない世界があるということと なにやら不思議な世界観に同じような ゾクゾク感(先にモヤがかかっているような不透明感) を感じました 苦労や不安、プレッシャーみたいなものにさらされている 現実世界の私は、こんな、見えない世界が日常的に となりあわせになっているんだと思うと ありえないと、わかってはいても なんだか解放された安心感が得られます 私だけかな? というわけで、はじめての恒川ワールドに触れた感動で 満点をつけたいけれど、エピソードが足りなかった 不満を差し引いて星4つです | ||||
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美奥という町を舞台にした5つの短編集.ホラーというよりも民話に近いかもしれません.読んでいて美しい情景が浮かんできたり,どこか懐かしい町を旅しているような気になったり.決してあり得ない話なのに,どこかにこの町が存在するのではないかと思えてくるような不思議なお話です.人と人とのつながり,自然との調和なども優しく,暖かく描かれています. | ||||
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なんとも言えない余韻の残る本でした。 圧倒的な世界観に言葉を失ったほどです。 美奥という町を軸に展開する5つの短編ですが、 時代も現在だったり過去だったり、はたまた架空の時代だったり。 でもどの話も、読んでいるうちにリアルな形ができあがってきて、 これがお話なのか、ノンフィクションなのか なんだか分からなくなってくるのでした。 それが何とも心地よく、どっぷりこの世界に浸った感じです。 はっきり言ってどれも救いがあるとは言い難いのですが、 主人公達が生きている時を「現実」とすれば、 それを逃避するストーリーなので、ある意味、ハッピーエンドなのかも。 ひとことで言うと、「切ないホラー」です。 | ||||
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