ハーモニー

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評判

ハーモニーの評価:

4.16/5点 レビュー 253件。 A ランク

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平均点4.16pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全506件 461〜480 24/26ページ
No.46
(5pt)

“真綿で首を絞めるような”現代日本を鋭く批判。

本書の最後の方でミァハの口を通して宣言されているように、本書は1932年に発表されたハクスリーのSF小説の古典すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)の換骨奪胎、もしくはオマージュだと思われます。見掛け上のユートピアに異分子が入り込むことによって、その虚構が暴かれていく。その様を通して現代社会を鋭く批判する。ミァハは、“真綿で首を絞めるような”今の日本に生きることの息苦しさや見えない叫びを代弁しています。

多くのSF小説同様、本書も最初の方は状況説明が多く、決して読みやすいとは言えません。そこでは現代の我々の常識が通用しないため、発想をアジャストするのにやや時間がかかりました。しかし、徐々に話の方向性が見えてきてからはいよいよ面白くなっていき、エンディングへと突き進むスピード感には脱帽させられます。

確かに、日本語でしか読めないのはもったいなく、各国語に訳して世界の人にも読んでほしいと思います。また、リドリー・スコットあたりに映画化してもらい(世界観をどこまで描ききれるかは別として)、その主張を世界に知らしめたい作品です。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.45
(5pt)

“真綿で首を絞めるような”現代日本を鋭く批判。

本書の最後の方でミァハの口を通して宣言されているように、本書は1932年に発表されたハクスリーのSF小説の古典すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)の換骨奪胎、もしくはオマージュだと思われます。見掛け上のユートピアに異分子が入り込むことによって、その虚構が暴かれていく。その様を通して現代社会を鋭く批判する。ミァハは、“真綿で首を絞めるような”今の日本に生きることの息苦しさや見えない叫びを代弁しています。

多くのSF小説同様、本書も最初の方は状況説明が多く、決して読みやすいとは言えません。そこでは現代の我々の常識が通用しないため、発想をアジャストするのにやや時間がかかりました。しかし、徐々に話の方向性が見えてきてからはいよいよ面白くなっていき、エンディングへと突き進むスピード感には脱帽させられます。

確かに、日本語でしか読めないのはもったいなく、各国語に訳して世界の人にも読んでほしいと思います。また、リドリー・スコットあたりに映画化してもらい(世界観をどこまで描ききれるかは別として)、その主張を世界に知らしめたい作品です。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.44
(5pt)

とても感慨深い作品でした

伊藤計劃さん最期の作品「ハーモニー」読み終えました。
舞台は未来と言えど、現在の延長線上の話。
それなのに、非の打ちどころのない現実感です。

人類の科学は自由と便利を求め、常に進歩している。
すべての人の体内に医療監視システムが導入され、病気のない世界と化したユートピア。
その次の段階はもう、科学の臨界点を突破しようとしていた・・・。

幸福とは何か。
人が死なない世界が幸福なのか。
苦痛のない未来を約束されることが自由なのか。

答えを実現させようとして自殺したミァハと、
答えを探し出そうと彼女の影を追うトァン。
二人の女性が人類の最終局面に立ち会う。

何百年後か、実際に人類はこうなってしまうのかなぁと思いながら読んでいました。
今生きていることが幸せなのか。
死ぬことが自由なのか。
このまま人類は進歩を続けていいのだろうか。
そんなことを考えさせられる、とても感慨深い作品でした。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.43
(5pt)

とても感慨深い作品でした

伊藤計劃さん最期の作品「ハーモニー」読み終えました。
舞台は未来と言えど、現在の延長線上の話。
それなのに、非の打ちどころのない現実感です。

人類の科学は自由と便利を求め、常に進歩している。
すべての人の体内に医療監視システムが導入され、病気のない世界と化したユートピア。
その次の段階はもう、科学の臨界点を突破しようとしていた・・・。

幸福とは何か。
人が死なない世界が幸福なのか。
苦痛のない未来を約束されることが自由なのか。

答えを実現させようとして自殺したミァハと、
答えを探し出そうと彼女の影を追うトァン。
二人の女性が人類の最終局面に立ち会う。

何百年後か、実際に人類はこうなってしまうのかなぁと思いながら読んでいました。
今生きていることが幸せなのか。
死ぬことが自由なのか。
このまま人類は進歩を続けていいのだろうか。
そんなことを考えさせられる、とても感慨深い作品でした。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.42
(5pt)

ゼロ年代の一つの到達点

私の中では「虐殺器官」は正直3に近い4です。

しかし、これは間違いなく5です。
それも、何故か昔読んだアシモフやクラークの名作と同様の
感動・恐ろしさを何年ぶりに感じました。
簡潔的な文章でこれほどの内容とは。
無駄に長編化する現代の作家に対する一つのアンチテーゼでしょうか。

これから読むなら、是非「虐殺器官」を読んだ上で。
焦る必要はない、今後しばらくは(邦洋問わず)これほどの作品は出ないから。

ただ一つの、残念な点は、作者がミァハの言う
「あちらの世界」に既に旅立たれてしまったことだけ。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.41
(5pt)

ゼロ年代の一つの到達点

私の中では「虐殺器官」は正直3に近い4です。

しかし、これは間違いなく5です。
それも、何故か昔読んだアシモフやクラークの名作と同様の
感動・恐ろしさを何年ぶりに感じました。
簡潔的な文章でこれほどの内容とは。
無駄に長編化する現代の作家に対する一つのアンチテーゼでしょうか。

これから読むなら、是非「虐殺器官」を読んだ上で。
焦る必要はない、今後しばらくは(邦洋問わず)これほどの作品は出ないから。

ただ一つの、残念な点は、作者がミァハの言う
「あちらの世界」に既に旅立たれてしまったことだけ。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.40
(5pt)

どの要素を採り上げても一級品!

暗黒の『虐殺器官』の時代の後に来た、染みの無い、
真っ白な世界を装った時代を舞台としたディストピア小説。

『虐殺器官』の主人公のように「感情感覚を統御され」ている、
というギミックに頼ることなく、真正面から生命と死、
人間の自意識といった難問に挑んでいる。
(無論、答えが出ているわけではない)

PC画面や翻訳小説など様々な叙述形式を嵌め込んだ
スタイリッシュな文体・用語、
前作にも増して緻密に組み立てられた世界観、
様々なイズムを並列してみせる社会観、
どの要素を採り上げても一級品である。

閉じ急ぎすぎのラストに批判もあろうが、他の要素が補って余りある。
この小説家の進化のステップを、今後一緒に踏んで行けぬことが
返す返す残念でならない。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.39
(5pt)

どの要素を採り上げても一級品!

暗黒の『虐殺器官』の時代の後に来た、染みの無い、
真っ白な世界を装った時代を舞台としたディストピア小説。

『虐殺器官』の主人公のように「感情感覚を統御され」ている、
というギミックに頼ることなく、真正面から生命と死、
人間の自意識といった難問に挑んでいる。
(無論、答えが出ているわけではない)

PC画面や翻訳小説など様々な叙述形式を嵌め込んだ
スタイリッシュな文体・用語、
前作にも増して緻密に組み立てられた世界観、
様々なイズムを並列してみせる社会観、
どの要素を採り上げても一級品である。

閉じ急ぎすぎのラストに批判もあろうが、他の要素が補って余りある。
この小説家の進化のステップを、今後一緒に踏んで行けぬことが
返す返す残念でならない。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.38
(5pt)

伊藤さんの描く近未来はリアル過ぎて、背筋が

私見ですが「虐殺器官」において具体的に描写されることのなかった言語学の生成文法を究極的に発展させたものと思われる「虐殺の文法」の機構の一旦が本書において詳らかにされているように読みまして肝を冷やし続けています。言語中枢が解明された暁には、伊藤さんが3篇の長篇で描かれた世界へ段階的に以降していくのだろうと信じてやみません。その是非は本書の「宣言」を突きつけられるように返答に困るものですが。科学の発展が幸せとイコールにならない世知辛い21世紀だとつくづく思います。今のところ資本主義と民主主義が政体として謳歌していますが、歴史というものは諸行無常なのだから、現状の逼塞状況を打破するこれまでにない新たな政体が生み出されるだろうけれど、それはいったいどういう機構になるのか・・・何度考えても全く想像もつかなかったのですが、伊藤さんの文章を通じて、その予見を目の当たりにし、さらに想像を絶する思いに翻弄されています。略歴を見て同い年であったことを知りました。もっともっと伊藤さんから世界の理を教えてもらいたかった。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.37
(5pt)

21世紀のユートピア/ディストピア小説

今年の2月に文庫本で出た『虐殺器官』に続き、こちらの文庫版で読んだ。どちらもものの見事な傑作。この文庫化で著者の作品に初めて触れた読者はかなり多いと思うので、私情と思い込みの混じりすぎた倒錯的な表現になるが、2010年の最も優れたエンターテイメント小説がこの2冊であり、最も注目された作家の一人が著者である、などとも言えるのではないか。
人間とは何か。特に現代の社会に生きる人間とは何か。この問いをめぐりここまで思考を刺激してくれる作品にめぐり合える喜びは、滅多にない。前著では国民・国家の存立を言葉の次元で揺るがす「虐殺の言語(文法)」、本書では国家・国民の身体を公的に保護・管理するウルトラ医療社会の「生命主義」と、なんとも壮大な理論を中核に置きつつ、だが緻密な記述の妙によって説得力高く架空のありえそうな世界を描き出しながら、人間存在の意味を探求する。しかも、そのさなかで生きる「ぼく」や「わたし」の宿命を、読者の感情移入を巧みに誘い出しつつ提示していくのだ。面白すぎるではないか。
文庫のカバーだが、『虐殺』は真っ黒、本書は真っ白。ごく素朴に考えれば、それぞれ「死」と「生」をあらわしているだろうか。もっとも、どちらの作品も、人間の生死の極限と交点を示唆深く書いている。いずれにせよ、明らかに対をなす書物。繰り返しの再読に耐える本だから、是非二つ並べて本棚に。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.36
(5pt)

伊藤さんの描く近未来はリアル過ぎて、背筋が

私見ですが「虐殺器官」において具体的に描写されることのなかった言語学の生成文法を究極的に発展させたものと思われる「虐殺の文法」の機構の一旦が本書において詳らかにされているように読みまして肝を冷やし続けています。言語中枢が解明された暁には、伊藤さんが3篇の長篇で描かれた世界へ段階的に以降していくのだろうと信じてやみません。その是非は本書の「宣言」を突きつけられるように返答に困るものですが。科学の発展が幸せとイコールにならない世知辛い21世紀だとつくづく思います。今のところ資本主義と民主主義が政体として謳歌していますが、歴史というものは諸行無常なのだから、現状の逼塞状況を打破するこれまでにない新たな政体が生み出されるだろうけれど、それはいったいどういう機構になるのか・・・何度考えても全く想像もつかなかったのですが、伊藤さんの文章を通じて、その予見を目の当たりにし、さらに想像を絶する思いに翻弄されています。略歴を見て同い年であったことを知りました。もっともっと伊藤さんから世界の理を教えてもらいたかった。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.35
(5pt)

21世紀のユートピア/ディストピア小説

今年の2月に文庫本で出た『虐殺器官』に続き、こちらの文庫版で読んだ。どちらもものの見事な傑作。この文庫化で著者の作品に初めて触れた読者はかなり多いと思うので、私情と思い込みの混じりすぎた倒錯的な表現になるが、2010年の最も優れたエンターテイメント小説がこの2冊であり、最も注目された作家の一人が著者である、などとも言えるのではないか。
人間とは何か。特に現代の社会に生きる人間とは何か。この問いをめぐりここまで思考を刺激してくれる作品にめぐり合える喜びは、滅多にない。前著では国民・国家の存立を言葉の次元で揺るがす「虐殺の言語(文法)」、本書では国家・国民の身体を公的に保護・管理するウルトラ医療社会の「生命主義」と、なんとも壮大な理論を中核に置きつつ、だが緻密な記述の妙によって説得力高く架空のありえそうな世界を描き出しながら、人間存在の意味を探求する。しかも、そのさなかで生きる「ぼく」や「わたし」の宿命を、読者の感情移入を巧みに誘い出しつつ提示していくのだ。面白すぎるではないか。
文庫のカバーだが、『虐殺』は真っ黒、本書は真っ白。ごく素朴に考えれば、それぞれ「死」と「生」をあらわしているだろうか。もっとも、どちらの作品も、人間の生死の極限と交点を示唆深く書いている。いずれにせよ、明らかに対をなす書物。繰り返しの再読に耐える本だから、是非二つ並べて本棚に。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.34
(3pt)

残念・・・

「虐殺器官」のあまりの完成度の高さに度肝を抜かれ、無条件で本書を手にしたが…。「虐殺」を10とすれば本書は残念ながら6〜7の出来。さすがの著者の天才もこの重すぎるテーマを持て余したか、やはり病魔が集中力を奪ったのか。特にクライマックスにおいてミァハにせよヌァザにせよ敵役のカリスマの描き方がやや陳腐に過ぎ、ヒロインの「復讐」も一本調子で深みを欠いた。「虐殺」と同様、全面的に改稿する機会があればとんでもない傑作になった可能性もあるが…。只残念。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.33
(3pt)

残念・・・

「虐殺器官」のあまりの完成度の高さに度肝を抜かれ、無条件で本書を手にしたが…。「虐殺」を10とすれば本書は残念ながら6〜7の出来。さすがの著者の天才もこの重すぎるテーマを持て余したか、やはり病魔が集中力を奪ったのか。特にクライマックスにおいてミァハにせよヌァザにせよ敵役のカリスマの描き方がやや陳腐に過ぎ、ヒロインの「復讐」も一本調子で深みを欠いた。「虐殺」と同様、全面的に改稿する機会があればとんでもない傑作になった可能性もあるが…。只残念。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.32
(5pt)

最大の弱点にして、いとおしい「意識」

人類が地球上で生態系の頂点に君臨した要因は何か?体力的には虚弱な人類が文明を築き繁栄しているのは、まさしく巨大な大脳がつかさどる意識による選択の結果によるものだと思います。もう古典とさえいえる映画マトリックス [Blu-ray]でサーバにつないだ脳に送り込んだユートピアが実現されました。本書で提示されているひとつのユートピアの選択肢のうちの意識なきハーモナイズされた世界はまさにこのような世界になるのでしょう。ちなみにマトリックスが作ったユートピアの住人は選択のない世界に絶望し、そのユートピアは失敗に終わりました。

他の動物に比べ明らかに優れているが、弱点にもなりうる人間の「意識による選択」は、唯一他者と差別化できる優位点であり、弱点があるので排除するというのは、自分の持っている唯一の強みを封印して生きるようなものだと思います。私自身は強みを含んだ弱点を封印して生きる人生より、時として自滅への道を踏み出すかもしれないが自分の持つ強みを活かして生きていくことを選ぶように思います。それがたとえ全体の解に反するとしても個の意思は人間の生の原動力になるのだと思います。作中でも、それぞれがそれぞれの立場で意識による選択を行った末の行動であることも偶然ではないと思います。

作品は必ずしも個人の価値観にふさわしい結末が用意されているとは限りませんが、だからといって作者の提示した問題提起や作品の価値が損なわれるものではないと思います。あなたが誰であれ、一読に値する作品であることは間違いありませんので、ぜひ手にとってみて下さい。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.31
(5pt)

最大の弱点にして、いとおしい「意識」

人類が地球上で生態系の頂点に君臨した要因は何か?体力的には虚弱な人類が文明を築き繁栄しているのは、まさしく巨大な大脳がつかさどる意識による選択の結果によるものだと思います。もう古典とさえいえる映画マトリックス [Blu-ray]でサーバにつないだ脳に送り込んだユートピアが実現されました。本書で提示されているひとつのユートピアの選択肢のうちの意識なきハーモナイズされた世界はまさにこのような世界になるのでしょう。ちなみにマトリックスが作ったユートピアの住人は選択のない世界に絶望し、そのユートピアは失敗に終わりました。

他の動物に比べ明らかに優れているが、弱点にもなりうる人間の「意識による選択」は、唯一他者と差別化できる優位点であり、弱点があるので排除するというのは、自分の持っている唯一の強みを封印して生きるようなものだと思います。私自身は強みを含んだ弱点を封印して生きる人生より、時として自滅への道を踏み出すかもしれないが自分の持つ強みを活かして生きていくことを選ぶように思います。それがたとえ全体の解に反するとしても個の意思は人間の生の原動力になるのだと思います。作中でも、それぞれがそれぞれの立場で意識による選択を行った末の行動であることも偶然ではないと思います。

作品は必ずしも個人の価値観にふさわしい結末が用意されているとは限りませんが、だからといって作者の提示した問題提起や作品の価値が損なわれるものではないと思います。あなたが誰であれ、一読に値する作品であることは間違いありませんので、ぜひ手にとってみて下さい。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.30
(5pt)

私たちに「意識による選択」は不要なのか必要なのか?

人類が地球上で生態系の頂点に君臨した要因は何か?体力的には虚弱な人類が文明を築き繁栄しているのは、まさしく巨大な大脳がつかさどる意識による選択の結果によるものだと思います。もう古典とさえいえるマトリックス [Blu-ray]でサーバにつないだ脳に送り込んだユートピアが実現されました。本書で提示されているひとつのユートピアの選択肢のうちの意識なきハーモナイズされた世界はまさにこのような世界になるのでしょう。ちなみに「マトリックス」の作ったユートピアの住人は選択のない世界に絶望しマトリックスの作ったユートピアは失敗に終わりました。

他の動物に比べ明らかに優れているが、弱点にもなりうる人間の「意識による選択」は、唯一他者と差別化できる優位点であり、弱点があるので排除するというのは、自分の持っている唯一の強みを封印して生きるようなものだと思います。私自身は強みを含んだ弱点を封印して生きる人生より、時として自滅への道を踏み出すかもしれないが自分の持つ強みを活かして生きていくことを選ぶように思います。それがたとえ全体の解に反するとしても個の意思は人間の生の原動力になるのだと思います。作中でも、それぞれがそれぞれの立場で意識による選択を行った末の行動であることも偶然ではないと思います。

作品は必ずしも読者それぞれの価値観にふさわしい普遍的な結末が用意されているとは限りませんが、だからといって作者の提示した問題提起や作品の価値が損なわれるものではないと思います。あなたが誰であれ、一読に値する作品であることは間違いありませんので、ぜひ手にとってみて下さい。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.29
(5pt)

私たちに「意識による選択」は不要なのか必要なのか?

人類が地球上で生態系の頂点に君臨した要因は何か?体力的には虚弱な人類が文明を築き繁栄しているのは、まさしく巨大な大脳がつかさどる意識による選択の結果によるものだと思います。もう古典とさえいえるマトリックス [Blu-ray]でサーバにつないだ脳に送り込んだユートピアが実現されました。本書で提示されているひとつのユートピアの選択肢のうちの意識なきハーモナイズされた世界はまさにこのような世界になるのでしょう。ちなみに「マトリックス」の作ったユートピアの住人は選択のない世界に絶望しマトリックスの作ったユートピアは失敗に終わりました。

他の動物に比べ明らかに優れているが、弱点にもなりうる人間の「意識による選択」は、唯一他者と差別化できる優位点であり、弱点があるので排除するというのは、自分の持っている唯一の強みを封印して生きるようなものだと思います。私自身は強みを含んだ弱点を封印して生きる人生より、時として自滅への道を踏み出すかもしれないが自分の持つ強みを活かして生きていくことを選ぶように思います。それがたとえ全体の解に反するとしても個の意思は人間の生の原動力になるのだと思います。作中でも、それぞれがそれぞれの立場で意識による選択を行った末の行動であることも偶然ではないと思います。

作品は必ずしも読者それぞれの価値観にふさわしい普遍的な結末が用意されているとは限りませんが、だからといって作者の提示した問題提起や作品の価値が損なわれるものではないと思います。あなたが誰であれ、一読に値する作品であることは間違いありませんので、ぜひ手にとってみて下さい。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.28
(5pt)

ユートピア&ディストピア

素晴らしい作品だった。
世界観がまず繊細で、ほんの少しだけ匂わせるように「虐殺器官」とリンクしているのも、読者としては好ましかった。
SF的な面白さも、素晴らしい。満点を付けたいくらいだ。
中心人物となるトァンとミァハも魅力的で、キャラクター的にも読んでいて楽しい。
特に、そのキャラクターが独特の……ユートピアとディストピアが表裏となりないまぜになったような世界観(あるいはSF的設定群)と絡み合うようにして話が展開していく様は、芸術的でさえあったと思う。
虐殺器官と同じように、途中で様々な哲学的問いかけがあり、読者を悩ませる。
そして科学的(主に生理学、進化論)アプローチでその問いかけへのある種の回答案を提示してあるのも、いちいちものすごく興味深く、関心をひかれる。
この作品を執筆中、作者が大病を患い死の淵にあったことを想えば、そのあたりはさらに興味深く読めるだろう。
まず、読んで損はない作品だと思う。

だが、唯一気になったのは、ラスト最終局面での展開であった。
(他のレビュワーの方が散々書いている通り)展開がキッチリと纏まり、読者の方々の胸の内にピッタリと収まるような、誰しもが納得できるような最後では到底なかったように思う。
もっとも残念なのは、詳細はネタバレになるのて勿論語らないが、問題のラストが物語全体を通してのエッセンスとも言うべき核心的な部分をボヤけたものにしてしまっていることだ。
そこをキッチリ書ききれていれば、この作品は不朽の名作として語られることになっただろう。と思われるだけに、残念である。

ラストに対してかなり辛辣な批判をしたが、それでも★5をつけたのは、
ラスト以外のところが十分面白く、★6を付けたいほど素晴らしい作品だったからだ。
早世した故人を偲んで★5を付けるとかではなく、僕はこの作品に★4を付けたいとは思えなかった。
ラストに問題(あえて「多少の問題がある」などと言葉を濁すことはしないでおこう)はあるにしても、凡百のSF小説より頭何個分も飛びぬけて面白い。
そういった作品であった。
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)より
415208992X
No.27
(5pt)

ユートピア&ディストピア

素晴らしい作品だった。
世界観がまず繊細で、ほんの少しだけ匂わせるように「虐殺器官」とリンクしているのも、読者としては好ましかった。
SF的な面白さも、素晴らしい。満点を付けたいくらいだ。
中心人物となるトァンとミァハも魅力的で、キャラクター的にも読んでいて楽しい。
特に、そのキャラクターが独特の……ユートピアとディストピアが表裏となりないまぜになったような世界観(あるいはSF的設定群)と絡み合うようにして話が展開していく様は、芸術的でさえあったと思う。
虐殺器官と同じように、途中で様々な哲学的問いかけがあり、読者を悩ませる。
そして科学的(主に生理学、進化論)アプローチでその問いかけへのある種の回答案を提示してあるのも、いちいちものすごく興味深く、関心をひかれる。
この作品を執筆中、作者が大病を患い死の淵にあったことを想えば、そのあたりはさらに興味深く読めるだろう。
まず、読んで損はない作品だと思う。

だが、唯一気になったのは、ラスト最終局面での展開であった。
(他のレビュワーの方が散々書いている通り)展開がキッチリと纏まり、読者の方々の胸の内にピッタリと収まるような、誰しもが納得できるような最後では到底なかったように思う。
もっとも残念なのは、詳細はネタバレになるのて勿論語らないが、問題のラストが物語全体を通してのエッセンスとも言うべき核心的な部分をボヤけたものにしてしまっていることだ。
そこをキッチリ書ききれていれば、この作品は不朽の名作として語られることになっただろう。と思われるだけに、残念である。

ラストに対してかなり辛辣な批判をしたが、それでも★5をつけたのは、
ラスト以外のところが十分面白く、★6を付けたいほど素晴らしい作品だったからだ。
早世した故人を偲んで★5を付けるとかではなく、僕はこの作品に★4を付けたいとは思えなかった。
ラストに問題(あえて「多少の問題がある」などと言葉を濁すことはしないでおこう)はあるにしても、凡百のSF小説より頭何個分も飛びぬけて面白い。
そういった作品であった。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X