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貘の檻
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貘の檻の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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最初から暗い暗い、陰陰滅滅。この暗さが最後までずーっと保たれるのは大したものだと思う。 ただ、方言がとにかく鬱陶しい。あまりにわけわからないので、飛ばして読んだら、あたりまえだがもっとわからなくなったので、ほんとに鬱陶しかった。(でも最後まで大分飛ばした) ストーリー展開は非常に魅力的なんだが、いろいろな鬱陶しさがちょっと勝ってしまって、★3つどまりです。 作者の意図したところだろうが、もっと簡潔明快な道を選べば、このストーリー展開が明確になったのでは?とちょっと残念。 | ||||
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他人の夢の話を聞いても面白くない。 夢野久作くらい弾けてくれないと読んでいて厳しい。 この作者は本格ミステリのパズラーに徹するくらいのつもりで 作品を書いた方が、ちょうどよいのではないかと思う。 文芸性とか文学性とかは、意図しなくても勝手ににじみ出てくるものだろう。 それがうまくマッチしたのが『向日葵の咲かない夏』だったと思う。 | ||||
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人里離れた村、謎の鍾乳洞、32年前の惨劇、地方の名家と探偵の登場、隠微な空気感とエロス・・・。これは道尾秀介版『八つ墓村』(by 横溝正史)ですね。 犯人は「ああ、やっぱり」みたいな。でも、そこに至るまでのストーリーは読ませます。悪夢のシーンが聊か長い気もしますが、そこはまあ良し。 週刊文春の2014年ミステリーベストテンでは第17位。惜しい! 個人的にはベストテンにランクインしていてもおかしくない傑作だと思いますが、何かが足りなかったということでしょう。 | ||||
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道尾氏の作品は、カラスの親指、笑うハーレキンに続き三作目として読みました。 主人公のいかにも暗い現在と過去の境遇と、そこへ古い田舎の村の原風景や穴堰という特殊な潅漑設備のようなものなどを常に反芻するように進んでいきます。 登場人物も多すぎず、過去と現在が絡む中で、少しずつ主人公の推定や他の人の考えや発言に相違が出てくるところがありますが、それが最後への伏線のようになっています。 登場人物の中には、息子がいたり捕らえ所の無いような人もいたりと、少しだけですが、好感の持てる人物も出てくるのが救いかな。 基本暗いですが、最後を予測しながらもそれなりには楽しめる作品だと思います。 | ||||
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全体の雰囲気として日本の怪談を連想させる描写が多く、苦手な人は最後まで馴染めないかも。 読み進める程に登場人物たちのボタンの掛け違えが明らかになり、 それが解消されながらも最後まで結末を予測させない構成はかなり読みごたえがありました。 | ||||
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主人公は辰男。現在、妻と離婚し、失職中である。辰男の父親は32年前に村の組合長を殺した容疑者だと思われていた。そして父親は死体で見つかった。もう一人のキーパーソンが美彌子。32年前に、辰男の父が彼女の命を助けたのだ。しかし、彼女は辰男の目の前で電車に飛び込み、自殺する。 32年前に、本当は何があったのか。それを知るため、辰男はかつて住んでいたO村へと向かう。息子の俊也も一緒である。 マスコミの考えは、美彌子が組合長を殺し、その罪を辰男の父に着せた、というものだった。 辰男には思い出したくない過去の記憶があった。しかし、自身の狭心症の薬がその記憶を薄れさせてくれることに気づき、記憶が蘇るたびにその薬を飲むようになる。一時的ではあるが、その記憶は薄れる。しかし、狭心症はすでに治っており、その薬はもう手に入らない。辰男は32年前の事件の真相を知り、過去の呪縛から逃れることができるのか・・・? 作品全体を暗いトーンが覆っている。主人公の過去の経験から来ると思われる悪夢。全てを失い、薬がなくなったら自殺しようと考えている主人公。そして、32年前の出来事の謎。ハッピーエンドにはなりそうもない。それでも、話は二転、三転し、思いもよらない真相が明らかになる。 もう少し軽いタッチなら、いい作品だと言えるのだが。もうちょっとライトな小説が読みたくなった。 | ||||
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信州の寒村の独特の行事や風習・伝統など、どれも大変良く練られており、また親切な同郷の年上の友人や一癖ありそうなカメラマン等、登場人物の雰囲気も良く、巧みに物語に組み込まれています。 そこに30数年前にまだ子供だった自分を襲った殺人事件の真相を探るべく、今度は息子と共に故郷を訪れ、徐々に明らかになっていくというストーリーはある意味王道ではあるものの、筆者の文章力もあって読み応え十分です。 ただ、伏線も散りばめられ、面白さは水準以上の作品かと思いますが、やや真相に俗っぽさを感じ、章末ごとに描かれる夢も読み終われば納得できるものの今一つのめり込めませんでした。 | ||||
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・・・というのは、この小説だけでなく、これまで読んできた作者の「骸の爪」「月と蟹」にも共通して感じたことですが・・・。 作者は都筑道夫の「怪奇小説という題名の怪奇小説」集英社文庫版で”これぞ混沌小説の代表作”のような解説を書いていましたが、自分的にはこの小説は日常的はロジックからは混沌としていても、怪奇小説のロジックからすれば、混沌としたところはなく、むしろ理路整然としてしまったところが残念だと思った作品です。この評価のズレが作品にも表れているのでしょうか、どの道尾作品を読んでも、なにか違うんだな・・・という印象は拭いきれません。まあ、これは単に個人の好みの違いの問題なのかもしれませんが・・・ ただ、タイトルの「貘」がこの小説における「混沌」を目指したものではないかという思いはします。貘が食べるという各章の最後に主人公の見た悪夢として描かれる世界は、主人公にとって意味を持ちながら、一見、意味を見いだせない混沌です。 これらは短編として独立した昭和初期な退廃的な幻想小説としても読めるほどかと思いましたが・・・むしろ「幻想小説的」すぎて、現実を描いた本編とあまりにも乖離しすぎてしまった感じがします。 この落差は現実的な推理小説としての本編との対比として意図されたものなのかもしれませんが、結局、悪夢の描写に事件の謎をとく鍵があるのなら、それ自体がまさに「現実的な推理小説」(別の言い方をすればありきたりなミステリー)の世界に堕ちてしまっている感があります。 いっそのこと都筑道夫の別の小説のように、並行する物語がまったく交差しないくらいのぶっ飛びにしたほうがよかったのではないでしょうか。道夫から、道尾を名乗るなら、それくらいの期待はさせていただきたいものです。 | ||||
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