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ばいばい、アース
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【この小説が収録されている参考書籍】
ばいばい、アースの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.02pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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一巻では気に入らなかったアドニスが、2,3と巻を追うごとに段々好きになってくる。 自分だけのちっぽけな世界をひたすら懐疑しうろつき周る彼の情けなさが、僕自身に重なる。 隣で笑う少女はどんどん前へと進むのに、自分は心も体も、同じ場所に張り付き続ける。 「がんばれ引き籠り野郎! とりあえず動け!」 でもまぁ、ヒッキーの王様だ。忠実な「殻」バンブーはいつまでも養ってくれるし、ベルも何かと構ってくれるし。あやかりてぇよ。 しかし憧れる女の子とは同じ道を歩めず、ベルと並ぶには彼女と離れ敵対するしかないという「動機」は納得でき、そして哀しい。 結局は「殻」を出て自身に溢れる「懐疑」を、世界を否む異端の刃とすることで、アドニスは初めて自分だけの剣を……闇の剣ではあれ……獲得する。 2巻では、彼が自分の世界の狭さと貧しさを、すべてを捨て失ってから初めて気付くシーンが心に迫った。 「運命はいつも手遅れになってから、俺に和解の手を差し伸べる……」 現実では、犠牲や痛みと引き換えないと成長できない場合があまりに多いものだ。 | ||||
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非常に読みづらい。ページを開いてしばらく読んで抱く感想はそれだ。SFとファンタジーをないまぜにした様な世界観であるにもかかわらず、ちっともそれが説明されないことがその理由の一つだろう。 月瞳族、月歯族、弓瞳族などという登場者たちの種族から、動物的特徴を備えた人間的生物が住まう世界であることは分かる。剣の国、財貨の国などから、いくつかの社会集団が形成されていることは分かる。ところが、これを読み下すとなると、決闘許可証(=ドックタグ)、財貨(=デナーリ)、世界を穿孔せよ(=デュルヒ・ブレッヒェン)などと様々な言語でのルビが振られていて、何がなんだか分からない。 しかし、主人公が自らの理を求める過程を追いながら、とりあえず最後まで読んでみると、何となく分かった様な気分になってくる。まるで、物理学者がいまここにある世界から物理法則を読み解くように、考古学者が遺物から過去の事象を推測するように、少しずつ、少しずつ、物語の世界が自分の中で出来上がっていく。 だからこれは、世界を創造するための物語。この先にどんなお話が作られるのかは誰も知らない。 | ||||
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00年刊行の単行本を4冊に分冊した4冊目,最終刊になります. 物語,そして『世界』を巻き込んだ戦いも結末を迎えるのですが, 剣を振るう主人公はもちろん,まわりの仲間たちの行動,決断には, 興奮して熱くなるというより,ゾクゾクするような感覚をおぼえます. また,互いに惹かれつつも結ばれない主人公と『敵』となった相手. この『悲劇』を起こすことになってしまったその本当の『理由』には, 哀しさだけでなく,なんとも言えぬいじらしさのようなものを感じます. そしてエピローグ.新たな世界へ旅立とうする主人公を描きつつも, 前夜の仲間たちとのバカ騒ぎや,別れの場面をこまめにはさむ演出が, 歩きはじめた主人公の回想とも重なり,とても効果的な印象を受けます. また,新しい世界への期待感と,孤独だった自分に帰る場所ができた喜び, これまでに得た多くを抱きながら,多くの余韻を含ませる最後もキレイです. やや曖昧なところが残り,スッキリとしない感があるのは否めませんが, シリーズをとおして描かれた世界観には,最後まで圧倒されつづけました. できれば2度3度,またはじめから読み直してみたいと思わせられる作品です. 余談ですが,単行本刊行時のことを綴った文庫版のあとがきも興味深いです. | ||||
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面白さでは★5つですが、読みやすさという点で★を一つ引かせてもらいました。 作者の密度の濃い世界を絞り込んだような作品です。 世界観がひどく独特な上、主人公が違和感と感じない点は当たり前の出来事として描かれていくので、(たとえば鉄にユリ科など植物の属性があることや、魚や動物は花とよばれるなど)慣れるまで少し戸惑いを覚えます。 しかし、戦闘シーンの緊迫感と迫力、そして読者を何ページも引っ張る流れは本当に面白いです。また、言葉遊びが多く、あーこれはこういういみなんだという発見をする楽しみがあります。キャラクターの魅力も百点満点。 わからないというもやもや感を気にせずに先に読みすすむことができる人にはお勧めです。 | ||||
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00年刊行の単行本を4冊に分冊,その3冊目になります. ある人物の復活,そしてそこから動き出した『できごと』は, 前巻からおおよそ予感できたものの,それでもやはり悲劇的で, 舞台となる王国をも巻き込んでいく様子は,登場人物だけでなく, その王国の存在自体にも興味が惹かれ,その行く末が気になります. また,これまで孤独,疎外感を感じながら生きてきた主人公が, 仲間というものを心地よく感じ,大事に思う姿が印象に残ります. それでいて,その仲間たちとの別れをにおわせる終盤のやり取りは, 物語がおわりに近づいていることを,大きく意識させられるようです. ほかでは,作中で執りおこなわれるいくつかの『儀式』が神秘的で, アナグラムと絡めた造語なども,改めてその世界観に引き込まれます. ただ,物語が長いせいか,同じ表現が目立ったのは少し気になりました. | ||||
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00年刊行の単行本を4冊に分冊,その2冊目になります. 前作(1作目)の終盤がちょっと壮大だったせいもあってか, 序盤のうちは,その後日談のようなしずかで落ちついた流れ. ただ,ある『できごと』をきっかけに,物語は大きく動きます. 特に,舞台となる王国の秘密とともに語られたある人物の, 悩み苦しみながら『飲まれて』いく様は,ゾッとするようで, その間の,主人公とのなんとも微妙な関係がせつなくて悲しげ. そして,そこからの『再生』と『覚醒』にも興味が沸いてきます. また,心身ともに傷ついて苦しむ主人公はあまりに痛々しく, 己の内面の変化に戸惑い,その心情を爆発させる姿が印象的で, 仲間とのやり取りも,1巻を読んでいればなおひびいてくるはず. つづきものながら,1冊ごとにキレイに締まるのも好印象で, これから先,本作で起きたいろいろがどう影響していくのか, 新たな人物や残されている謎も含めて,期待をさせてくれます. | ||||
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00年刊行の単行本を4冊に分冊,その1冊目になります. 剣と魔法の世界を舞台にしたファンタジ作品になるのですが, 舞台や登場する種族,またアイテムもとてもよく練られていて, その不思議な世界観には,あっという間に引き込まれていきます. それを補足する『ルビ』の多さは,やや読みづらくはあるものの, その一句一句がとても印象的で,慣れればそれほど気になりません. また,著者の初期の作品とのことですが,その割には粗さも目立たず, むしろ,これで初期かと,その内容の濃さにおどろかされてしまいます. 分冊,しかも1冊目のため,文字どおり『はじまり』の位置づけですが, 中盤からの『見せ場』では胸が躍り,しっかりと満足させてくれますし, 1冊目としてこの世界を『おさらい』するにもよかったのではと思います. イラストがないため,これらの世界が『見えづらい』部分はありますが, そのぶん,いろいろとイメージをふくらませて読むことが楽しくなります. 主人公の出自やこの世界のことなど,まだわからないことばかりで, 少しの含みを持たせて締めるラストも,つづきを気にさせてくれます. | ||||
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「蒼穹のファフナー」、「マルドゥック・スクランブル」等で知られる冲方氏の作品です。 ハードカバーのこの本はすでに販売されておらず、図書館にでも行かないと読めないでしょうね。かくいう私も図書館組です。 なのでこの文庫化は非常に嬉しいものです。いやもう、やっとうちの本棚にベルが来てくれます。いやっほう! 上記の作品から入ったかたは、まず世界に驚かされるでしょう。剣と魔法です。機械なんて影も形もありません。 しかし、冲方印の言葉遊びは変わらず。「愚者」をザ・ナッシング、「疑うもの」をクエスティオンなど、見事なまでの変換がされています。 1000Pあまりの大作、それでいてスピーディーな展開は、ついつい次のページをめくらせ、いつの間にか時間が過ぎてしまいます。 ただし難点が無いわけでもない。スピーディー過ぎて付いていけないときがあるのです。それを差し引いても☆4、心の中では4,5といったところです。 次は「微睡のセフィロト」、でればいいなぁ・・・ 追伸、ベルの絵がイメージとちょっと違う。 ちと幼すぎやしないか? | ||||
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鮮やかなカバーに興味を引かれて手に取ったが、中身は上下あわせて1000頁を超える日本的ファンタジーの大作であった。 時代は不明だが多分遠い未来、場所は地球ではなく多分月、登場人物は主人公の少女ベルを除いては、人間ではなくすべて獣人で、ギリシャ神話から出てきたマーメイドやケンタウルスの一種がいるかと思えば、不思議の国のアリスの世界のラビットがでてきたりと、様々な種族がごたまぜになった不思議な世界が舞台となっている。 更には使われている用語も独特で、漢字を英語やドイツ語やギリシャ語でフリガナをふる奇妙な言葉が多用されており、例えば「愚者」を“ザ・ナッシング”、正義を“トップ・ドッグ”と読ませたりと、フリガナという仕組みのある日本語でなければ不可能と思われる不思議な言葉が次から次へと登場し、これがこの世界の異様さを更に際立たせている。 少女ベルが自分がこの世界にただ一人の人間として存在する理由(ことわり)を求めるのが本書のテーマではあるが、その方法が“唸る剣”ルンディングを振るって、この不思議な世界で奮戦することにあるため、中身は剣と魔法が飛び交うファンタジーだ。戦闘シーンは1対1の剣の対決もあれば部隊単位の集団戦もあり、夢枕獏の世界を彷彿とさせるかなり迫力がある場面が展開される。 このようなとてつもない世界を作り上げ、かつ最後に謎が解けるまで物語が破綻することなく最後までまとめる作者の力量には恐れ入った。 | ||||
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現在絶版状態となっている「ばいばい、アース」それでも、どうしても欲しい私は、あるサイトを見つけました・・・ 勝手にこんなこと書いてもいいのかな〜・・・? えっと、復刊ドットコムというサイトで、ばいばいアース復刊希望投票数が100票に到達すると、復刊交渉をしてくれるというものです。 古本屋に行くたびにこの本を探してる人もそうでない人も、是非投票お願いします>< あと、24票なの〜;; | ||||
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私はマルドゥックスクランブルを読んでから、この本に手を出したんですけど、マルドゥックスクランブルの二巻に、あとがきを書かれた人が、このばいばい、アースことを、読者を拒否するかのような話の長さと、値段の高さ。それに加えて、あまり説明のないままずーっと続いていく異色の世界。とかなんとか書いてて、まぁそれにはかなり納得のいく話で、そのため私は☆ひとつ減らしちゃいました。 でも、すっごい引き込まれるんですよ!!恐いぐらい!!上巻は気付いたら4日で読んでしまいました…。いまいちイメージできないな…と思うところもあるのに、なぜか読む手が止まらない…そんな本は初めてでした!やっぱ沖方さんの世界観とここまで読者を引き込む文章力はすごいです。まさに圧巻ですね。今はまだ上巻しか読んでないのですが、あぁ~終わって欲しくないなぁ…。個人的にはキティ大好きです☆シアンも。あとカタコームで生き残ったメンバーも。それに、アドニスとベル!!気になりますよぉ。早く下巻を読みたい!でも終わりたくない!そう思わせる作品ですね、コレ。 | ||||
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「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞を受賞した冲方 丁氏の最大(大きさ・重さ・値段・スケール)の作品。 序盤から素晴らしい筆力で描写された魅力的な世界とキャラクターに引き込まれる。背丈ほどの大剣を扱うハイティーンの少女、などというまるっきりテレビゲームの設定のような主人公が、ちゃんとちゃんと動き、話し、出会い、戦っていく様子が文章の力だけで描かれている。「ばいばい、アース」というものすごく思わせぶりなタイトルと物語との関連を見出すうちに、それこそ「夢中」になる。 「強敵のインフレ化」を避けられなかった後半のバトルシーンの失速。そして手を出すのを躊躇うほどの値段。この二点が星をひとつ削った理由だ。廉価版として文庫が出ればいいのに、と強く願う作品だ。 この作品は「居合う」ことの喜びと辛さ、悲しさを教えてくれた。 雑誌のインタビューによると、近々本作が三~四分冊で文庫化されるらしい。既読者が驚くような仕掛けがあるらしい。まさに生きていく楽しみができました。 | ||||
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あまり期待しないで読み始めたのが、その世界観の深さと人物描写の巧みさ、ドラマ性や文体にすっかり魅せられ、途中で中断できずに出張先まで持って行きました(重いのに!)。長耳族が演算魔法を繰り出す場面のスピード感、軍師や指揮者が演出する戦闘場面の高揚感など、この作家の力量に、正直腰を抜かしました。日本にもこんなファンタジーの書き手がいたのか?!と驚かされます。現在在庫切れ(絶版?)になっていて、気安く人に薦められないのが残念です。 | ||||
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とにかく長い作品なので、ある程度覚悟して読まれることをオススメします。が、読む甲斐は多分あります。 漢字とルビを多用した文章は、多分マルドゥック・スクランブルに似ていますね。恐らくはかなりドイツ語寄りの語彙と、あと英語と、アナグラムとかちょっとした言葉遊びとかダブルミーニングとか、その気になって読めばかなり楽しめます。言葉とその意味によって規定されてくるその世界観はありがちなファンタジーとは違って実に興味深く面白いです。よく読むとSFの断片を見ることが出来ますし。ていうか、設定の根本はSFですよね? 物語自体も非常に深さと広がりがあって、主人公のベルだけではなく、複数の登場人物の苦悩、葛藤と成長が見られます。ベルとアドニスのありようが非常に!象徴的で深く印象に残ります。 言葉でしか描けない表現と、深みを持った物語が堪能できます。 | ||||
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デビュー後第一作。 異形の少女、ラブラック=ベルが大剣を携え、「自分の世界」を探す旅に出るため、「剣の国」での試練に挑む物語の前編。 前後巻、重ねると広辞苑より厚い2段刷り、電車で読むと手が痺れます。 ページ数もさる事ながら、これだけ緻密に、また広大に、ストーリーを練れるファンタジー作家はそうはいない。それをはっきりと思い知らせるだけの底力を持っている。 「アニメ絵の装丁が入ったアニメやゲームの原作=ファンタジー」と思っている方、読んでぎゃふんといって欲しい。 | ||||
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これは一つの卒業なのだろう。 いわゆる学生という存在がいて、「自分」という大いなる謎の中で日々を楽しく忙しく暮らし、去っていく。 自分がどこから来て、自分が何になるのか。日々の中でかろうじて掴み取ったものだけを胸に抱いて、大きな門を潜る。 だから門出という言葉があるのではないか。 …読み終えた晩、そんな事を思いながら、この重たい本を閉じました。 この本はいわゆるモラトリアムなのだ。 自分が何に適して、何に成らんとするかを模索する、 そういう環境にある人は共感できると思う。 | ||||
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