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孤独の発明



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【この小説が収録されている参考書籍】
孤独の発明
孤独の発明 (新潮文庫)

孤独の発明の評価: 4.35/5点 レビュー 20件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.35pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(5pt)

「前」「後」「左」「右」から一人の人生を立体的に見て再構成できる?

本書『孤独の発明』の冒頭には、白黒写真があります。
五人の紳士が円座して見つめ合っているように見えます。

実は、一人の男を五方向から撮影し、一枚の写真に合成したもの、とのこと。
この写真は一種の「発明」です。

一人の人間を四つの別方向から見つめる、なんてことは?
自分の後ろ姿なんて、鏡を使っても見ることはできません。
見えない人間です。

横顔(プロファイル)だって、難しい。
右側から見る横顔と左側から見る横顔では、
同じようでいて、まったく正反対にも見えます。

右側にはあっても、左側の横顔にはまったく無かったりする傷などもありそうです。

一人の人間の人生を、「前後左右」という四つの側面から表現し、
一冊の本にまとめる、というのは アイデアとしては可能です。
しかし、それで、一人の人生を立体的に再構成できるものでしょうか?

前方向からだけは、鏡の自画像のように見ることはできそうです。
しかし、後ろから、左から、右から切り取って見るのは、 無理では・・・
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No.14:
(4pt)

孤独を生きる

ここに描かれる父親は自ら望んで孤独に浸り、それを当然のこととして生き、そして生涯を終えた。お見事です。
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No.13:
(5pt)

オースターのベスト作

オースターの作品の中でも、何度も読み返してしまう大好きな作品。
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No.12:
(5pt)

記憶の中の存在

一瞬一瞬人は存在し次の瞬間その出来事は記憶の中での出来事に代わる。父、祖父の死とその記憶。言葉に残すことで生き続ける。自分の体験した記憶。それらを言葉でつづる言葉の力。自分の死と自分を記憶してくれる子供の存在。読語こんなことを考えてました。
 自分の記憶を言葉で書き記しておきたい感じにとらわれたような、その行為を哲学的に考察しているような本かなあと感じました。
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No.11:
(5pt)

無感情、無感覚な人間

著者は亡父の無感情さ、無感覚さを次々に発見して戸惑い続ける。
 こういう、感覚や感情のない人間というのは、実際に少なくない。
 たとえばA・カミュ「異邦人」の主人公ムルソーが、まさしくそうであった。
 そして、実をいうと若い頃の自分もこうであったから、自分はこの本の著者であるP・オースターにとても感謝している。よくぞこのタイプの人間をわかりやすく描写してくれたと。
 ちなみに今の自分は幸いにしてそうではないので、この小説を読むことは若かった頃の自分を弔う感覚があり、それで、かけがえのない小説に出会ったという思いがとても強い。
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No.10:
(5pt)

書く事に意味はなく、言葉にも真理はない

第一話の『見えない人間の肖像』では見えない父への渇望。本当の父親が見えなくて自分が見えるはずもない。父の遺産を調べるうち、父の過去が次々と明らかになる。オースター自身もまた自分が何者であるかに目覚めていく。父子愛とはこれほどまでに崇高なのか。殆ど自伝そのままに思えなくもないが、オースターは"自伝ではなく、僕自身をモデルにした事故の成り立ち方について探った作品"とある。彼にとって、父が見えない肖像であると同時に、父の父も見えない人間だったのだ。見えない父親を見て育った二人の男。その父の死をきっかけに父の生を垣間見ることが出来たのだ。そして、再びその肖像に幕を下ろす。しかし、誰であれ、誰かについて何かを言おうとする事の虚しさだけが残るのだ。
 第二話の『記憶の書』は、今度は全く見えない物語、見えない人間の物語。主人公のAは『記憶の書』という本を書いてる。自分の頭の中に浮かんでくる様々な思いに基づく記憶について。Aは世界から引き籠る事で無数の世界の声を豊かに受信する。他人の精神を知ろうとして、他人の精神の中に潜り込み、その中に潜む孤独を探り出す。それこそが孤独の発明という事になろうか。
 あらすじとしては、1979年クリスマスイブのNY。主人公Aは旧約聖書のヨナとピノキオが類似してるのに気付き、思索を始める。彼は過去、パリやアムステルダム、ロンドンを旅行したのを思い出す。様々な事象を思い出し、言葉、記憶、虚無、死について、オースター自身の見解が述べられてる。
 特に、"書く事には意味はないし、言葉は真理ではない。それは我々が世界において存在するその在り方である。言葉のお遊びは単に心の働きを調べる事、心が見た世界の一部を映し出すに過ぎない。同様に、世界もまた無限に錯綜した結び付きの網の総体に他ならない"との彼の言葉はこの作品の全てを物語ってる。
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No.9:
(4pt)

人生とは

人間の孤独と繋がりを浮き彫りにした作品でした。国や状況下は違っても誰にも当てはまる部分がこの作品には一行は出てきます。少し気分が暗くなってしまうのが、いいような悪いような
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No.8:
(5pt)

「孤独の発明」というタイトルの意味

この小説は2部構成からなりますが、前半は特に圧巻の出来栄えと言っていいかと思います。
オースターの父親の生涯が、彼の遺品を整理する中でオースター本人によって明らかにされていくといった話です。
なんといいますか読者を鷲掴みにして離さない凄まじいまでの心理描写を伴いながら、オースターは、父親が「発明した孤独」を徐々に発見していくのです。より正確には「発明しててしまった、されてしまった孤独」でしょうか。
ページをめくる手が止まらなくなり、読後は何ともいえない気持ちになる一冊ですが、ご一読をお勧めします。
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No.7:
(5pt)

腹の中から

『孤独の発明』です。
アメリカのポストモダン作家ポール・オースターのデビュー作ということになると思います。
小説、ではなく、自伝というか回想録っぽいものです。どこか散文詩っぽい感傷もあるように思うのですが、それは題材が亡くなった父親を回顧するものだからというのもあるのでしょう。小説と呼んで良いとも思えず後半だけなら評論か哲学っぽくもあり、どうともジャンル分けできそうにない作品ですが、読み応えはありました。
大きく分けて、父への想いを綴った前半と、『記憶の書』と題した後半部分の思索っぽいパートに分けられると思います。
とにかく一つ一つの文章が、どうしてもじっくり熟読玩味してしまうような含みを持っていて、噛めば噛むほどにせつないほどの痛みと悲しさが滲みでてくるような感じです。

後半の、ピノキオに関する考察が個人的には興味深かったです。
巨大な魚に飲み込まれて腹の中で、という部分が旧約聖書のヨナと類似していることから始まり、コローディの原作とディズニー映画版ピノキオを比較して、モンストロの腹から脱出するために知恵だけでなく知恵と勇気を試されている、などと分析しているところは興味深かったです。
タイトルが孤独の発明というくらいですから、作品全体を通じて常に孤独というテーマを貫いていたようですが、私の読解力ではそこまで深くは理解できなかったようにも思います。
上っ面をなぞっただけかもしれませんが、興味深く読めたので★5です。
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No.6:
(5pt)

父への思い

いまさらという感じもするが、最近、改めてポール・オースターを読み直している。

この『孤独の発明』は、二部構成となっていて、一部は亡くなった父親、二部は祖父や息子といった、父の子に対する思い、子の父に対する思いといったものが描かれている。

以前読んだ時よりも、自分が父親をなくしたせいか、オースターの言葉が心に沁みる。特に、彼の少年時代の野球の思い出など、自分の父親との思い出にダブり、切なくなる。
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No.5:
(5pt)

奇跡の作品:生きることは言葉を紡ぐこと

オースターが自身をモデルとして、実体験を踏まえながら纏めた作品。小説とも随筆とも評論とも分類できるユニークな文章なのだが、この分類不可能なスタイルは大変刺激的だ。

 内容的には、その後繰り返し彼が書くことになる「奇跡のような偶然の話」や「書くということの孤独」、記憶を巡る哲学的考察に、四代に渡る「父と息子」の話が折り重なっていくという重層的な構図になっているが、そういった一見バラバラのモチーフが静かな考察を通じて一つの結晶を作り輝いていく様は知的にスリリングであり、かつ感動的でもある。

 驚くべきことに、この作品はニューヨーク三部作よりも前、事実上の長編散文デビュー作である。このようなスタイルでもう一度書くことは最早オースター自身でも不可能ではないかと思われるがゆえに、色んな意味で「奇跡の作品」と呼びたい。
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No.4:
(5pt)

哀しみの果てに

ポール・オースター作品の中でもすごく好きな本。心に棘のように刺さる文章。自分を愛してはくれなかった父親の真実の姿を見ようとする作品と、息子に残そうと様々な記憶を書いた作品の二作からなる本書は、痛みの産物だ。
ゴッホの手紙からの引用や、所々にある心を揺さぶる言葉たち。強い強い愛への渇望。作者のどの本にも見られる年上の男性へのある悲しいまでの感情の謎がこの本で解けた。すごい本に出会ってしまった。

心の傷口から今も鮮血が流れ続ける全ての方におすすめだ。
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No.3:
(5pt)

決して、決して

決して初めてオースターに触れる人にはお勧めしない。ニューヨーク三部作でも読んでからのほうがいいだろう。

 あまりに詩的で、物語、語ることの意味を物理的、そして精神的密室の中で延々と語る姿はある種狂気じみていて、でも、だからこそ小説家が取るべきスタンスだ。

 自伝ぽいけれど自伝じゃない。これは小説だ。極めて哲学的で思考的で、一文たりとも読み逃せないので、読むのに非常に時間がかかったりするのだが、その文体の端々から伝わる孤独っぷりがすごい。

 天才。
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No.2:
(5pt)

無に捧げられる祈りの書

ここに描かれているのは、父親を慕う息子の哀しみといってよいもので、見えない父親は、同時に、作家自身のことであり、またこの血縁を呪う宿命的な遺伝子だといってもいいものです。息子は父親を一向に捕えることができない。父は死んでしまった。しかし、このとき皮肉にも、いつしか父親となった息子は見えない父親に肉迫している自分に気づく。 オースターの著作は時折センチメンタルに流されすぎていると批判されますが、この処女小説は、その郷愁にまるごとどっぷりと浸ることでしか描けない、まったく稀有な作品だと僕は思います。
 確かに作品は中途半端な印象が拭い難いです。引用も多く、散文詩的な形式のためか、常軌の小説や物語とは作風が異なり、いささか読みにくい。でも、この剥き出しの感情の整理のされなさこそが、この初々しい小説の魅力だと思います。 自分が父親の息子であるという自覚と、自分が息子の父親であるという自覚。この乖離が、時を経て円環のように死と現実の間で接続されたとき、彼らは本当の親子となり、真の「孤独」が発明され、作家ポール・オースターは誕生した。 感動的な作品とは、まったく不意打ちに、手垢に塗れた知識や、見慣れた美しさとは違ったところから、突如現れてくるものです。
 僕にとってはとても大切な作品で、何度も読んでます。
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No.1:
(5pt)

書くことと生きること

これは書くことに目ざめた作家の告白であり、緊張に満ちたオースターの詩的な最高傑作だ。カフカの日記やブランショの批評などと並べることができるほど、ここでオースターは書くこととの意味とその謎について問い続ける。その一行一行が思索に満ちており、熟読を要請するだろう。 書き手は父親の死を契機に、死と自分が書くことを結びつけて考えていく。父親の記憶と、今は父親になっている自分、そして自分の子供。この書物を書くことによって、作者自身が父親の死を体験することになるのだが、そうすることによって父親は新たに生きはじめることになる。喪の作業の見事な記録となっている。 第二部の「記憶の書」がこの本の中心となる。なぜ記憶と書くことなのだろうか。書くことにおいてこそ、わたしたちの無限の記憶がかかわってくるからだ。過去はその全体がこの現在と共存している。その潜在的に共存している過去と特権的にかかわる仕方が書くことに他ならない。そしてそれは間違いなく、いくつもの生を同時に生きることになるだろう。文学的評論としてももっと読まれるべき作品。
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