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江戸忍法帖
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【この小説が収録されている参考書籍】
江戸忍法帖の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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『甲賀忍法帖』に続く第2作目の忍法帖である本作は、将軍のご落胤にして一刀流の使い手、葵悠太郎と、彼を抹殺せんとする柳沢吉保の命を受けた甲賀七忍の戦い。 物語の構成などに、後の傑作『柳生忍法帖』や『自来也忍法帖』に展開していく萌芽を見ることができる。 表紙絵は敵方の七忍のひとり、空蟬刑部だけれど、彼も含めてあっさり倒されてしまうのが、いささか迫力に欠ける気味はある。 とはいえ、エログロ、陰惨さは控えめで、水戸黄門なども出てきて軽く楽しめる作品になっている。 | ||||
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本忍法帖では、珍しく純愛小説の色合いが強いと感じた。まるで藤沢周平の如く恋する乙女心の機微が上手に描写されている。(相手の幸せを思えばこそ自らは身を引く。う〜ん切ない)しかし主人公は女性にモテる。羨ましい。 | ||||
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時代小説としては申し分なく面白いのだが、ハードルを上げ過ぎるとガッカリするかも。山田風太郎の忍法帖といえばなうての曲者揃い。重くシニカルで善悪の彼岸がわからなくなるような作品ばかり。それに対して本作は、将軍の御落胤である主人公が、邪悪な敵に破邪顕正の刃を振るうという定番中の定番。もちろん面白いのだが、山風らしくない普通の時代小説だと感じたのである。しかしそれは間違いだった。 本作が単なる貴種流離譚ではなく、それに復讐譚が加わった少し珍しいパターンの作品であることだ。もちろん、貴種流離譚+復讐譚は皆無ではないが、本作においては、その復讐が、己自身の理由(例えば親の敵、国を滅ぼした相手を討つ)ではなく、本来であれば自分と直接関係のない相手(しかし、読者からすれば十分にその動機に納得できる)に対する復讐というのが面白い。 ちなみに本作は「甲賀忍法帖」に続く忍法帖第2作だが、「甲賀忍法帖」で確立したトーナメントバトルに対し、数は多くはないものの、忍法帖のパターンの1つとしてあるのは一対他の復讐譚。本作はまさにその嚆矢である。 そして、忍法帖において復讐譚、それも本来は自分と縁のない相手のためのと来れば、思い浮かぶのは「柳生忍法帖」であるが、本作はそちらに繋がるイメージが随所に見られるのが何とも興味深い。般若面、敵方の美女とその献身、処刑場での決戦、裁定者の乱入と、この辺りは驚くほど「柳生忍法帖」と重なってくる。本作から「柳生忍法帖」へ、何が変わり何が変わらなかったかというのはいささか邪道な読み方ではあるが、個人的には何とも興味深く感じられた。 その他、悪役ではあるものの登場する忍者たちが妙に人間臭い存在として描かれている点や、主人公を挟んで対峙するヒロイン2人の関係性が互いが互いの扮装で入れ替わっていくうちに深まっていく点など面白いアイディアが満載。 | ||||
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この作品は主人公である落とし胤の相棒に 少女がいるので過激なエログロは控えめになっています。 しかしながら、ないのではないので 苦手な人、嫌いな人は要注意ではあります。 物語は七人の忍者が 徳川家綱の落とし胤である葵悠太郎を ある男の指示により暗殺しようというもの。 しかしながらこの悠太郎は かなりとてつもない男なのでありますぞ。 なのでだんだんと数が減っていくと 彼らも余裕をこいてはいられなくなります。 挙句の果てには相棒の少女の お縫に思いっきり手痛い目に遭わされる 忍者もいるのです。 終わり方はきっとしみじみとするでしょう。 これは山田風太郎作品では 非常に珍しい終わり方だと思いました。 ただし、エログロなのでご注意を。 | ||||
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家綱の落胤・葵悠太郎を世に出そうとする三人の家来と水戸黄門、それを甲賀忍を使って阻止しようとする柳沢吉保(忍法帖ものでも悪役の常連の一人です)との戦いは、お馴染みのトーナメント戦ではなく、悠太郎とお縫・お鮎の二人の女性が甲賀七忍と戦うという、『柳生忍法帖』の原型のような「剣士+凡人VS敵忍者」のパターンに分別できるでしょう。ただ、本作最大の面白さは、お縫は悠太郎を一途に好く獅子舞の昔なじみですが、お鮎は敵である吉保の義理の娘だというところでしょう。本作のキーは彼女たちがある時は戦い、ある時は人質となって、「一人二役、二人一役、もしくは変装、入れ替わりの競演」(講談社ノベルスの縄田一男氏の解説より)を舞うことにあります。山風の忍法帖では、表から書けばミステリとして通るようなプロットを平気で裏から書きます。それでも面白さが些かも減じていない計算とミステリのセンス、そして構成・筆力はまさに恐るべし!確かに敵の忍法も含め、これといった強い印象がない、(水準が異様に高い忍法帖にしては)地味な作品かもしれません。とはいっても、なんと無重力状態で空を飛ぶ「ながれ星」や、小塚原での死闘などはビジュアル的にも見どころになっています。何にしても山風の、特に忍法帖は外れがないので、一読損は致しません。 | ||||
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