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(短編集)

死紋様



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死紋様の評価: 4.50/5点 レビュー 4件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

表題作の他に「盗死者」を含む二編が収められている。どちらも頁数が許されれば長大作になるような内容が濃い作品

本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。

「死紋様」
13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。

殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。

そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。

始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。

「盗死者」
本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。

一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。

ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。
死紋様Amazon書評・レビュー:死紋様より
4163054103
No.2:
(5pt)

表題作の他に「盗死者」を含む二編が収められている。どちらも頁数が許されれば長大作になるような内容が濃い作品

本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。

「死紋様」
13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。

殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。

そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。

始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。

「盗死者」
本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。

一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。

ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。
死紋様Amazon書評・レビュー:死紋様より
4163054103
No.1:
(5pt)

表題作の他に「盗死者」を含む二編が収められている。どちらも頁数が許されれば長大作になるような内容が濃い作品

本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。

「死紋様」
13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。

殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。

そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。

始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。

「盗死者」
本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。

一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。

ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。
死紋様 (1981年) (文春文庫)Amazon書評・レビュー:死紋様 (1981年) (文春文庫)より
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