悪の条件: 牛尾刑事・事件簿
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ストーリーの展開といい、刑事の心理状況といい、とても面白かったです。 小説にはやっぱりテーマがないと面白くありません。「悪の条件」とは・・・? 森村小説らしく、複雑に込み入った事件や人間関係が登場し、それがどこかで繋がりを見せてストーリーが展開する構成に酔いしれます。 最期は殉職というカタチで締めくくるのも、森村作品らしいと思いました。 | ||||
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2015年に作家生活50年を迎え400冊超の作品群を著し今も精力的に活躍を続ける推理作家、森村誠一氏が2004年に発表した「条件シリーズ」第6作目となる気合十分の力作推理小説です。私は日本ミステリーの最大の特長は偶然の要素を大胆に取り入れてストーリーを組み立てる点にあるのではないかと常日頃から考えておりますが、まあかなり不自然な部分もあるにせよあまり深く厳しく考え過ぎずにある程度は大目に見て大らかな気持ちで読めば存分に楽しめると思いますね。 警視庁捜査一課の山科刑事は久々の休暇をもらい信州へと列車で旅立つのだが、ふとしたきっかけで知り合った女性と行きずりの関係を結んでしまう。帰京した山科は早速殺人事件の捜査に加わり、新宿署の牛尾刑事とペアを組む事になるが、偶然にも旅先での出来事が事件と深く関わりがあるのに気づいたものの自らの不品行がバレるのを恐れて重要な事実を言い出せずジレンマに陥って深く苦悩するのだった。 まあ本当に著者は山科刑事にとって意地悪で残酷な偶然をこれでもかとばかりに何度も用意して、ある意味で虐めている様な気がしましたね。そもそもの女との出会いが全くの偶然ですし、心身ともに痛かった車との接触事故も思えば間の悪いまさに出会い頭だったのですからね。まあ、それぞれの分岐点で正しい道を選択しさえしておれば大事には至らなかっただろうとは思えますが、全てが手遅れで後の祭りでしたね。不倫の行為を正直に打ち明けておれば、轢き逃げ犯に事前に身分を告げておれば又は単独でなく相棒と一緒に会っておれば、こんなに坂道を転げ落ちる様な最悪の運命を辿る事もなかっただろうにと本当に気の毒に思いますね。それから正義の側の主役の牛尾刑事にも「何かがおかしいぞ」と気づいた時点で遠慮せずに相棒に問い質して欲しかったですね。こういった逡巡や躊躇いの連続によって悪人は次第に罪悪感が麻痺し更にエスカレートしてまだまだ大丈夫だと過信しやがては取り返しのつかない外道の道へと追い詰められて行くのですね。本書のメインのミステリーの部分も普通に面白い出来栄えだとは思いますが、やはりこの道を外れた悪徳刑事の山科刑事の運命を巡るドラマが抜群に面白くて、これがなければ案外に単純でもっと早く警察は真相に辿り着けたのではないかと思いますね。本書では合わせて5人もの死者が出る事になりますが、その5人が多かれ少なかれ皆何らかの悪事を為しており、結局はその報いを受ける事になったと言えるのが著者の悪を絶対に許さない一徹な姿勢を如実に示しているのだろうと思えますね、そして本書のラストについては牛尾刑事と同様に何とも言えない複雑な思いに駆られましたが、真実を覆い隠す事は絶対に間違いだと思いつつも、山科刑事の不運と悲運に加えて最後には犯した罪を深く悔悟したのだろうと信じて何とか彼とこの処置を許したいと思いますね。 | ||||
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いまいち面白くなかったです。 事件にしろ悪に落ちた山科刑事の顛末にしろ、 あっさりと終わってしまって盛り上がりに欠けました。 | ||||
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2015年に作家生活50年を迎え400冊超の作品群を著し今も精力的に活躍を続ける推理作家、森村誠一氏が2004年に発表した「条件シリーズ」第6作目となる気合十分の力作推理小説です。私は日本ミステリーの最大の特長は偶然の要素を大胆に取り入れてストーリーを組み立てる点にあるのではないかと常日頃から考えておりますが、まあかなり不自然な部分もあるにせよあまり深く厳しく考え過ぎずにある程度は大目に見て大らかな気持ちで読めば存分に楽しめると思いますね。 警視庁捜査一課の山科刑事は久々の休暇をもらい信州へと列車で旅立つのだが、ふとしたきっかけで知り合った女性と行きずりの関係を結んでしまう。帰京した山科は早速殺人事件の捜査に加わり、新宿署の牛尾刑事とペアを組む事になるが、偶然にも旅先での出来事が事件と深く関わりがあるのに気づいたものの自らの不品行がバレるのを恐れて重要な事実を言い出せずジレンマに陥って深く苦悩するのだった。 まあ本当に著者は山科刑事にとって意地悪で残酷な偶然をこれでもかとばかりに何度も用意して、ある意味で虐めている様な気がしましたね。そもそもの女との出会いが全くの偶然ですし、心身ともに痛かった車との接触事故も思えば間の悪いまさに出会い頭だったのですからね。まあ、それぞれの分岐点で正しい道を選択しさえしておれば大事には至らなかっただろうとは思えますが、全てが手遅れで後の祭りでしたね。不倫の行為を正直に打ち明けておれば、轢き逃げ犯に事前に身分を告げておれば又は単独でなく相棒と一緒に会っておれば、こんなに坂道を転げ落ちる様な最悪の運命を辿る事もなかっただろうにと本当に気の毒に思いますね。それから正義の側の主役の牛尾刑事にも「何かがおかしいぞ」と気づいた時点で遠慮せずに相棒に問い質して欲しかったですね。こういった逡巡や躊躇いの連続によって悪人は次第に罪悪感が麻痺し更にエスカレートしてまだまだ大丈夫だと過信しやがては取り返しのつかない外道の道へと追い詰められて行くのですね。本書のメインのミステリーの部分も普通に面白い出来栄えだとは思いますが、やはりこの道を外れた悪徳刑事の山科刑事の運命を巡るドラマが抜群に面白くて、これがなければ案外に単純でもっと早く警察は真相に辿り着けたのではないかと思いますね。本書では合わせて5人もの死者が出る事になりますが、その5人が多かれ少なかれ皆何らかの悪事を為しており、結局はその報いを受ける事になったと言えるのが著者の悪を絶対に許さない一徹な姿勢を如実に示しているのだろうと思えますね。そして本書のラストについては牛尾刑事と同様に何とも言えない複雑な思いに駆られましたが、真実を覆い隠す事は絶対に間違いだと思いつつも、山科刑事の不運と悲運に加えて最後には犯した罪を深く悔悟したのだろうと信じて何とか彼とこの処置を許したいと思いますね。 | ||||
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森村誠一氏の本書『悪の条件』は、「終着駅シリーズ」の一環としてすでに土曜ワイド劇場で放映されたものである。犯人を猟犬のように追及する刑事が、いつの間にか正義と悪との境界線を飛び越えて「悪」に染まってしまう(殺人を犯してしまう)という筋書きそれ自体は珍しくないが、森村作品ということもあってか、なかなか読むのを中断できなかった。まるで本書に操られたように最後までページを捲り続けた。テレビ放映されたものであり、牛尾刑事の発するセリフはその役を演じている片岡鶴太郎を十分に想起させるものであり、それも本書をより楽しめた要因の1つであった(なお本書では、二人を殺害してしまう山科刑事役は44歳という設定だが、テレビ放映においては年配の伊武雅刀が演じており、そのギャップも新鮮であった。更に、彼は途中で拳銃自殺を図り、本書の最終章にあるような「刑事の亀鑑」とはならなかった)。牛尾とコンビを組む山科の行動に次第に不信感を持つようになることを描いた章「敵性の変質」などは、牛尾刑事の直観力・洞察力を垣間見るようで実に興味深い。最初の殺人(とっても、それは正当防衛であろうが)を犯した山科が胸中でつぶやいたセリフ、「それが本来の自分の軌道であるかのような気がした。使命と法律と規律にがんじがらめにされて、社会悪を追及してきたこれまでの半生が、彼にとっては虚偽であり、軌道を踏み外したときから、本来の軌道へ戻ったのではあるまいか」(143頁)に、本書の主題が鮮明に込められているように思う。それは、「正義と渡り合うためには、悪の能力を全開しなければならない。それが悪の条件である」(240頁)というセンテンスに繋がってゆく。刑事が「魂」を失えば、それは「人間」を失うことに等しいという信念(いや宿命というべきか)も、森村長編推理小説に共通する人間観のように感じられる。時間が経つのを忘れた本は久しぶりであった。 | ||||
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