(短編集)
死紋様
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本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。 「死紋様」 13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。 殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。 そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。 始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。 「盗死者」 本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。 一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。 ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。 | ||||
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本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。 「死紋様」 13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。 殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。 そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。 始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。 「盗死者」 本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。 一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。 ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。 | ||||
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本作は1979年7月に文藝春秋社から出版されたものです。本書は表題作「死紋様」の他に「盗死者」の二作が収められています。「死紋様」は1968年1月~2月に「盗死者」は1969年3月~4月にそれぞれ「オール讀物」に連載された作品です。 「死紋様」 13才の中学生、池上正也が自分の飼っている猫を探しに八王子市域の山林に入った時、二十代と思われる女性の死体を発見した。殺人事件と認定され、すぐに鑑識課員が周辺を丹念に捜査すると犯人の物と思われる、奇妙な足跡を見つける。それは、ゴムの靴底と思われる足跡に松葉模様のようなものが付いていた。よく見ると、女性が髪留めに使うヘアピンの跡だった。 殺害された女性の身元を捜査するのと同時に、ヘアピンが付いた靴底の持ち主が事件に関与していると思われ、捜査されたが、全く、それだけでは探し出すのは不可能であった。 そして女性の身元が分かると、すでに発生していた二つの事件に関連していることが分かる。一つは銀行に虚偽口座を開設しては、他人宛ての振り込み金を横領していた事件で、更に、その虚偽口座から現金を引き出したデートクラブ・ホステスが殺害された二つ事件なのだ。俄かに連続殺人事件の様相を呈してくる。 始めの女性殺害事件から次々と事件を関連させ、物語を輻輳させ何重にも枝葉を広げ、複雑難解な事件にして楽しませてくれるのは森村氏のいつものことだ。もちろん、事件を解決するのは、靴底に付いたヘアピンの「紋」です。 「盗死者」 本作は100頁ほどの小説です。パート1とパート2に別れている。パート1は、静岡県榛原郡榛原町の釘ヶ浦海岸に女性がうつ伏せになった状態で発見されるところから始まる。パート2は世田谷等々力の路上でタクシーが通行人を轢き跳ねる。通行人を7~8メートル跳ね飛ばしたうえ、タクシーは方向を失い電柱に衝突して、通行人とタクシー運転手の両名が死亡してしまう事故(事件)が起こる。 一見、別々の事件事故だが、いつもの様に二つの事件事故を巧みに輻輳させる。静岡で死んだ女性とパート2で登場する人物が絡み合う。1978年4月の「カリスマの宴」で登場した、横道商事、海部隆造、スプルート社、企業向けの接待女性工作員が再登場するから面白い。合わせて読むと、また別の楽しみも膨らむ。 ラストの結末は、東大受験を志すエリート高校生が、親のエゴによって厳しい勉強させられ苦しみストレスを抱え、心の解放を目的とした行為によって起こった事件であることが分かる。本意でない受験勉強に苦しむ高校生を、実に悲哀を込めて描いている。このタイトルは、高校生の状態が、雪山で方向感覚を失い遭難し雪に埋もれて死亡する「凍死者」の様だと思えるところから作られた造語だろう。 | ||||
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表題作と『盗死者』の二編を収録。表題『死紋様』は昭和53年『オール読物』に二回に わたって掲載、『盗死者』は54年にこれも同誌に二回に分けて掲載された。いずれも 警察小説であるが、作者らしいアクの強さが他作品ほど感じられない。文庫化が角川 ではなく文春なのは掲載誌が文藝春秋発行だからであろう。刑事がほんのわずかな 細い糸から、犯人に少しずつたどりついていく地道な捜査の過程をともに描いている。 ある日、銀行の振込手続きの裏をかいた巧妙な売掛金詐欺が発生する。手がかりが なく捜査は難航。別件で少年が深夜に死体を山に埋めている場面を目撃したことから、 殺人事件が露見する。殺された女の身元が分からずにいたが、偶然死体の顔写真を 雑誌でみたのが先の詐欺によって職を失ったOLで、写真の女が詐欺犯であることを 思い出す。これでふたつの事件がつながり、警察は総力を上げて捜査に臨むが・・・。 『死紋様』の題名は足跡から判明した犯人の靴底の特徴を象徴したものと思われる。 捜査は何度も袋小路に突き当たり本部解散の危機に陥るが、その度に新たな着想に よって打開。だが真相を指し示す道筋は混乱を極め、実に複雑な展開を見せていく。 | ||||
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