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(短編集)

むごく静かに殺せ



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むごく静かに殺せの評価: 4.40/5点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.40pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

ニヒルな殺し屋が主人公、作者最初期のサスペンス連作集九編

"事故処理屋"星名五郎を主人公とした森村最初期の異色サスペンス連作集9編。星名は"事故処理屋
(「トラブルエイジェント」と読む)"を名乗るが、その実体は殺し屋である。「退屈で仕方がない
ので自分をむごく静かに殺してほしい」なる特殊な依頼もあるが、多くは恨みを晴らしてほしいと
いうもの。この男、虚無的でビジネスライクではあるが、金さえ貰えば誰でも殺す冷血漢とは必ず
しもいえない。端々で義理堅さや人間味も垣間見せる。殺さずに依頼を遂行することもあるし、その
逆に依頼主の求めに応じて、手間暇と費用をかけて残酷に葬ることもある。当世風にいえばアンチ
ヒーローといったところか。現実味より娯楽性を重視した作品であり、漫画原作でも通用しそうだ。

ヨットの専門誌『スタッグ』に連載され、昭和44年に単行本が刊行された。本作のような暗色調で
病的な登場人物ばかりの小説が、健全なスポーツ誌に連載されていたのは不思議であるが、当時と
しては普通だったのかも知れない。第七章「白鳥焼身」はヨット乗りが登場する。のちに『人間の
証明』によってベストセラー作家となってから本作の角川文庫化を勧められた際、作者には一縷の
逡巡があったという。しかし実際に文庫化されるとたちまち100万部を突破。読者と作者の評価の
乖離に驚かされたとのこと。同じく角川によって後押しされ、人気作家となった横溝正史も同様の
経験をし、同様の感想を漏らしているのが興味深い。当時の作者の評判と角川文庫の全盛が窺える。
むごく静かに殺せ (角川文庫 緑 365-16)Amazon書評・レビュー:むごく静かに殺せ (角川文庫 緑 365-16)より
4041365163
No.3:
(5pt)

森村誠一氏、雌伏の時代の作品。角川春樹氏と出会い100万部を超えるベストセラーとなった作品です!

1967年7月青樹社から出版されました。森村誠一氏、雌伏の時代に出版されたものです。青樹社の那須英三編集長に森村氏の才能を見出され「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版するものの、どれも売れ行きはサッパリで、本作品も、いまひとつの売れ行きでした。

森村氏は、述懐するように本作には自信が無かったとしています。しかしながら、当時の森村氏の書を読み、秘かに注目を寄せていた“角川春樹”という人物がいました。

森村氏は、小説とは嗜好品に近いものだとおっしゃっております。その人の好き嫌いや、その人が現在おかれている環境の違いによって、読む小説の評価も全く違うものになってしまう事は、全く理に適っています。

森村氏は、本作発表後1969年に「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞し、さらに「腐食の構造」で推理作家協会賞を受賞して、華々しく世に名を知れ渡らせました。さらに森村氏は、角川春樹氏と出会い1976年1月に角川文庫から「人間の証明」を出版し550万部の大ベストセラーを記録しました。

そんな折に角川春樹氏の勧めで角川文庫から出版されると、たちまち本作は、100万部を超えるベストセラーとなった作品です。「人間の証明」のヒットによって、本作も連れ売れしとことは間違いないでしょう。そこに、森村氏は、読み手の環境による嗜好品的な要素があったことを述べています。

短編連作の形式になっています。“星名五郎”たる主人公が「事故処理屋」トラブルエージェントなる看板を掲げ、様々な人々の恨みを殺人という形で復讐していく話です。青樹社から復讐ものでは「幻の墓」があります。

各編も人間物語になっています。後に社会派の推理小説を多く書き、大企業や政治家のエゴイズムの陰で、弱き者が醜く挫折していく姿を多く書いています。そこで一握りの人によるエゴイズムによる巨悪を糾弾してきました。本作では、人間同士の憎しみ合いによって生まれた憎悪を対象にしていると言うところは、未完かもしれません。

「人間の証明」「野生の証明」等から、遡って読み返された方には、少し拙い思いをするかもしれません。しかし、それらベストセラーとなった著名作のデッサンとも言えるべきものが、本作には読み取れるのではないかと思いました。

人として深淵に潜む憎悪を描いた作品で、森村氏の雌伏の時代を過ごした時期に書かれた良作です!
むごく静かに殺せ (角川文庫 緑 365-16)Amazon書評・レビュー:むごく静かに殺せ (角川文庫 緑 365-16)より
4041365163
No.2:
(5pt)

森村誠一氏、雌伏の時代の作品。角川春樹氏と出会い100万部を超えるベストセラーとなった作品です!

1967年7月青樹社から出版されました。森村誠一氏、雌伏の時代に出版されたものです。青樹社の那須英三編集長に森村氏の才能を見出され「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版するものの、どれも売れ行きはサッパリで、本作品も、いまひとつの売れ行きでした。

森村氏は、述懐するように本作には自信が無かったとしています。しかしながら、当時の森村氏の書を読み、秘かに注目を寄せていた“角川春樹”という人物がいました。

森村氏は、小説とは嗜好品に近いものだとおっしゃっております。その人の好き嫌いや、その人が現在おかれている環境の違いによって、読む小説の評価も全く違うものになってしまう事は、全く理に適っています。

森村氏は、本作発表後1969年に「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞し、さらに「腐食の構造」で推理作家協会賞を受賞して、華々しく世に名を知れ渡らせました。さらに森村氏は、角川春樹氏と出会い1976年1月に角川文庫から「人間の証明」を出版し550万部の大ベストセラーを記録しました。

そんな折に角川春樹氏の勧めで角川文庫から出版されると、たちまち本作は、100万部を超えるベストセラーとなった作品です。「人間の証明」のヒットによって、本作も連れ売れしとことは間違いないでしょう。そこに、森村氏は、読み手の環境による嗜好品的な要素があったことを述べています。

短編連作の形式になっています。“星名五郎”たる主人公が「事故処理屋」トラブルエージェントなる看板を掲げ、様々な人々の恨みを殺人という形で復讐していく話です。青樹社から復讐ものでは「幻の墓」があります。

各編も人間物語になっています。後に社会派の推理小説を多く書き、大企業や政治家のエゴイズムの陰で、弱き者が醜く挫折していく姿を多く書いています。そこで一握りの人によるエゴイズムによる巨悪を糾弾してきました。本作では、人間同士の憎しみ合いによって生まれた憎悪を対象にしていると言うところは、未完かもしれません。

「人間の証明」「野生の証明」等から、遡って読み返された方には、少し拙い思いをするかもしれません。しかし、それらベストセラーとなった著名作のデッサンとも言えるべきものが、本作には読み取れるのではないかと思いました。

人として深淵に潜む憎悪を描いた作品で、森村氏の雌伏の時代を過ごした時期に書かれた良作です!
むごく静かに殺せ (広済堂文庫)Amazon書評・レビュー:むごく静かに殺せ (広済堂文庫)より
4331603113
No.1:
(5pt)

森村誠一氏、雌伏の時代の作品。角川春樹氏と出会い100万部を超えるベストセラーとなった作品です!

1967年7月青樹社から出版されました。森村誠一氏、雌伏の時代に出版されたものです。青樹社の那須英三編集長に森村氏の才能を見出され「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版するものの、どれも売れ行きはサッパリで、本作品も、いまひとつの売れ行きでした。

森村氏は、述懐するように本作には自信が無かったとしています。しかしながら、当時の森村氏の書を読み、秘かに注目を寄せていた“角川春樹”という人物がいました。

森村氏は、小説とは嗜好品に近いものだとおっしゃっております。その人の好き嫌いや、その人が現在おかれている環境の違いによって、読む小説の評価も全く違うものになってしまう事は、全く理に適っています。

森村氏は、本作発表後1969年に「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞し、さらに「腐食の構造」で推理作家協会賞を受賞して、華々しく世に名を知れ渡らせました。さらに森村氏は、角川春樹氏と出会い1976年1月に角川文庫から「人間の証明」を出版し550万部の大ベストセラーを記録しました。

そんな折に角川春樹氏の勧めで角川文庫から出版されると、たちまち本作は、100万部を超えるベストセラーとなった作品です。「人間の証明」のヒットによって、本作も連れ売れしとことは間違いないでしょう。そこに、森村氏は、読み手の環境による嗜好品的な要素があったことを述べています。

短編連作の形式になっています。“星名五郎”たる主人公が「事故処理屋」トラブルエージェントなる看板を掲げ、様々な人々の恨みを殺人という形で復讐していく話です。青樹社から復讐ものでは「幻の墓」があります。

各編も人間物語になっています。後に社会派の推理小説を多く書き、大企業や政治家のエゴイズムの陰で、弱き者が醜く挫折していく姿を多く書いています。そこで一握りの人によるエゴイズムによる巨悪を糾弾してきました。本作では、人間同士の憎しみ合いによって生まれた憎悪を対象にしていると言うところは、未完かもしれません。

「人間の証明」「野生の証明」等から、遡って読み返された方には、少し拙い思いをするかもしれません。しかし、それらベストセラーとなった著名作のデッサンとも言えるべきものが、本作には読み取れるのではないかと思いました。

人として深淵に潜む憎悪を描いた作品で、森村氏の雌伏の時代を過ごした時期に書かれた良作です!
むごく静かに殺せ (1978年)Amazon書評・レビュー:むごく静かに殺せ (1978年)より
B000J8OVM6

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