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(短編集)
嗤う伊右衛門
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嗤う伊右衛門の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全89件 41~60 3/5ページ
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最近「巷説〜」「続巷説〜」を読了したので、本作品を再読してみた。 七年ぶりの「嗤う伊右衛門」は当時とは全く違う読後感を味わえた。 背景には四谷怪談があるわけだが、又市の描く絵と作者の描く絵が 練られて紡がれて、リアリティのある物語になっている。 もちろん一つの作品としても成り立っているわけだが、 「巷説」シリーズを読んでからの方が又市に対する感覚が変わり、 一層味わい深い作品であることに気付く。 | ||||
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『四谷怪談』は、原作で十分おもしろい文学作品です。 その『四谷怪談』を、京極夏彦風にリメイクした作品です。 お岩をはじめ、数人の登場人物から眺める『四谷怪談』は、「怪談」というよりは、「人生」そのものを描いた、『嗤う伊右衛門』という違う作品となっています。 登場人物たちは、現代の京極によって、表面だけでなく、はらわたまでひっぱりだされて、人間臭さを、さらけださされてしまう。 だから、哀しく面白い。 この『嗤う伊右衛門』は、わざわざ『四谷怪談』をリメイクして成功した稀有な作品です。 | ||||
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四谷怪談の話を、京極さんがアレンジした内容ですが、まず、とても感動します。滅多に泣かない私が泣いた程です。特に、最後のお岩の死体を包む様に一緒に死んでいる伊右衛門がとても感動です。その場面を、文章通り想像すると、「臭いそう」とか「虫が湧いてて気持ち悪い」と思ってしまい、感動どころではないですが、そんな事を思う余裕すら与えてくれません。虫が湧いていようが、死体が腐っていようが、美しいものは美しいのです。二人の死体が美しいのです。幸せそうなのです。 二人は死んだからこそ幸せになったのでしょう。 | ||||
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一般的な四谷怪談とは違って 痛々しいほど思いあうお岩と伊右衛門 の悲しい恋。 コンプレックスがあると、人の親切や 気持ちを素直に受け入れることができず それが元で壁を作ったり、人を受け入れない 強すぎる性格になってしまうけれど、 実は岩の美しさとその性格が周りの人を 狂わせてしまった。。。というお話。 ただの恋愛、怪談ではなく京極夏彦だから こそ表現できるグロ、狂気を発する人々 は本当に恐ろしく、その闇に嵌ります。 | ||||
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誰もが知っている鶴屋南北の『東海道四谷怪談』が、 京極夏彦によってまったく違う物語として生まれ変わった。 伊右衛門、お岩、お袖、直助、伊藤喜兵衛と、 四谷怪談でおなじみの登場人物が勢ぞろいするものの、 それぞれの関係、起こる出来事は少しずつ異なり、 それぞれの真意や本質さえも違うキャラクターとして描かれている。 南北作品、京極作品、どちらも悲しい物語だが、 『東海道四谷怪談』が怪奇部分がクローズアップされるのに対し、 『嗤う伊右衛門』は、悲恋物語といった印象。 歌舞伎では、極悪であるがゆえに魅力的な人物として人気の 伊右衛門だが、京極が描く伊右衛門も文句なしに惹きつけてくれる。 | ||||
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変な怪談話より、人の所業のほうが怖い。 伊東の暴力と悪意に満ちたねじ曲がり方も恐ろしいが、 お岩の凛としてかたくなな「正しき心」もまた怖い。 善いことと思ってやったことが すべて裏目に出て、恨みを呼び、怪談となる。 四谷怪談の話を寄せ集めて、こんな解釈が出来ると思わなかった。 最後のシーンは目頭が熱くなる。 あとで読み返すとグロい。 | ||||
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文章が少し難しいので読みづらいかもしれません。主人公はお岩さんと旦那の伊右衛門。話の途中、周囲の人の影響で夫婦が思うように生活できなくなったりして、かわいそうな夫婦です。ただ最後はかわいそうな形ではあったけども夫婦二人で一緒になれてよかったもかもしれません。伊右衛門がお岩を心から愛していたんだと最後になって分かりました。少し切ない最後でした。 | ||||
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最近の読書では京極夏彦にはまっている。映画にもなった「嗤う伊右衛門」。この作品は傑作だと思う。四谷怪談「お岩さん」を下敷きにした物語だけれど、怪異をすべて人の為した業で説明できるようにしている点で一種のミステリーとしても楽しめる。しかし。それ以前に岩と伊右衛門の切ないラブストーリーであり、登場人物それぞれの業が絡み合い織り成す様々な愛憎劇とそれらの背後に潜む悪の権化の謀略が、多くの人を死に至らしめる様はシェイクスピヤ悲劇を思わせる。もともと歌舞伎の題材ゆえ演劇的要素を感じるのかも。ご一読を。 | ||||
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私ならば岩のような姿になったら、気が狂うと思います・・普通ではありえないと思いますが。個人的に梅の気持ちの方が身近で解りやすかったので、梅の方が好感持ちました。伊右衛門のどこかはっきりしないような生態には、なんだよコイツみたいに思っていたのですが、まぁ最後はスッキリさせてくれてよかったです。面白かったけど、どこか何とも言えないような気分になりました。 | ||||
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最近やっと読むことができました。嗤う伊右衛門!!全く新しい四谷怪談話で、かなり面白かったです。自身四谷怪談に関してそこまで詳しく知らないので、原作と照らし合わせて評価することは出来ませんが、怖いお岩さんの概念が見事に打ち崩されました。伊右衛門、お岩さん、2人のすれ違う想い、行動。結末は涙なしでは見れませんでした(ノД`。)純粋な恋愛小説・・・って訳でもないですけど読んだあとは純な、清らかな気持ちになれます。感動しました。良い本です。 | ||||
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この小説は、全部読み終わった後に全ての謎が解けます。その謎は本の中ではなく読んだ人の心の中で溶ける。読み終わって全部の謎が解けた時に初めて、岩と伊右衛門がどれだけお互いを想っていたかが伝わってきて、ジーンときます。どんなに想っていても上手く伝わらないことは有る。自分の気持ちを相手に見せる事のできない不器用な岩と伊右衛門の感情が読んだ後に、一気に流れこんでくる。最後に余茂七が訳もなく泣いてしまうのも、読了後の私と同じ気持ちかもしれません。この本はとても良い本です。 | ||||
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四谷怪談については、「伊右衛門は悪いヤツで、お岩さんは騙されて殺されて化けて出た」という小学生並みの知識しかありませんでした。それが、こんなに美しく哀しい話となって現れるとは・・・。背筋のまっすぐ延びた岩と自分なりの愛情を貫く伊右衛門、取り巻く人々。全員が揃いも揃って不幸です。よくこんな暗い話を考え付くねぇってくらい不幸です。当然ハッピーエンドは望めないと知りながら、それでも岩の幸せを願いながら夢中で読みました。しかしねぇお岩さん。いくら愛していてもそれじゃぁ愛情は伝わりませんよ。そんなお岩さんがもどかしかったです。 | ||||
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四谷怪談って大嫌いだったんですけど、話の中身も登場人物も。でもっ!この本はすごすぎる。伊右衛門が、お岩が、こんなに魅力的だなんてっ!!実家に置いてあった本を暇つぶしに手に取ったら、一気読みしてしまいました。特に最後の修羅場の伊右衛門、カッコ良すぎます。主人公たちが良すぎる分、伊東喜兵衛その他が悪役を一手に引き受けてるのもある意味かわいそうですが。誰かが、この本読んだら恋愛できなくなると書いていましたが、事実です。こんなにもお互いのことを想っているのにすれ違ってしまう哀しさ。顔が崩れてもなお凛としている岩のキャラクター、最高です。でも私にはラストがイマイチ分かりませんでした。いつ、どうやって岩は死んだの?とか。伊右衛門はなぜこの結末を選んだの?とか。誰か教えて下さい。 | ||||
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作者はただの妖怪オタクではなかった。鼻持ちならない蘊蓄屋では断じてなかった。『四谷怪談』を換骨奪胎という荒業に挑んで見事成功。この才能、並ではない。 | ||||
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怪談として広く知られている「四谷怪談」とはまったく異なる、京極流『お岩さん伝説』怪談というよりは岩と伊右衛門の悲しい恋の物語ととらえたほうが良いでしょう。既に出来上がっている作品を、切り口を変えてこれほどまでに完成度の高い作品に作り変える京極夏彦の技量はさすが。人間の情念がこれでもかというほど色濃く描かれていて、鳥肌モノです。岩という女性・・・。人間の美とは、外見の美しさなどではなく、心にあるということを痛いほど見せ付けられます。真実を知らされ、それを呪い、「なぜ伊右衛門様は幸せになれぬのじゃ!」と絶叫した岩。彼女の悲鳴が私の中にずっと激しく響いています。今まで味わったことのない愛の形をみたような気がします。最後の場面は、作品中もっとも怪談らしい場面だったかもしれません。けど、いちばん美しく思えました。きっと、二人がやっと結ばれた瞬間だったからでしょう・・・。 | ||||
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陰惨極まる小説。当て字と難読字が多く、湿度の高い特異な文体も雰囲気を助長する。寄せ木細工のような、複雑にからみあった話であるが、真相が明らかになるにつれ、その闇の深さに慄然たらざるを得ない。但し、この優れた怪談にも、わずかながら瑕瑾はあると思う。岩の乱心が唐突な印象を与える点、それから、最後の修羅場での伊右衛門の挙動に必然性が乏しい点である。なお、最後の2章は説明的な台詞が減り、不親切な印象があるけれど、これは作品に余韻を与える好ましい効果を生んでいる。また、読み飛ばしてしまうと物語の真相がわからなくなるから、心して読みたい。最後の場面は地獄絵に落ちた一枚の花弁のようである。凄惨な美。作品全体の色調を変えるほどの効果である。 | ||||
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世に言う「四谷怪談」には様々な異本が存在するが、それらを読み込んだ上で、一般に知られる「四谷怪談」をある意味脱構築した結果生み出されたのがこの「嗤う伊右衛門」である。従って、この作品を意味あるものにしているのはその民俗学的文献考証という知的営為であって、このような手法を用いて作品を生み出す作家は、私の知る限り京極夏彦が戦後初めてであると思う。 さて、これを小説として読む場合やはり幾つか問題点があるといわざるおえない。例えば、その余りにも微に入り細を穿った作りが、作品から一種の即興性を奪い、読者がスムーズに登場人物の世界に感情移入するのを妨げる。つまり、本人が自らを職人であると認めるように、彼の作品は本人の生活体験や感覚から乖離した場所で組み立てられた一種の工芸品であり、その感はこの作品で特に顕著だ。これを弱点と呼んでよいかどうかは分からない。しかし、お岩や伊右衛門をはじめとするこの作品の登場人物が、京極本人の実感覚を離れ、頭で考えだされたものであるような感覚を拭い去ることが私にはどうしても出来ないのだ。 | ||||
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人の心を直接見る事はできない。だから見た目や表情・行動で、喜怒哀楽を読み取る。善悪や美醜を判断する。しかしそれは、どこまで本当なのだろうか。目に見えるものと心の奥底にあるものとは、同じなのだろうか。作品中に描かれる激しい情念に触れ、そんな事に思いを馳せた。読後にぞくっとした感覚が残る1冊。 | ||||
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京極夏彦流、新『四谷怪談』。この『四谷怪談』は今まで語り継がれてきたおどろおどろしい怪談ではなく、相手を想うばかりにすれ違ってしまったせつない男女が描かれています。ストーリーや文章だけでなく、本そのものが本当に美しい作品です。文庫本も出版されていますが、この行間や装丁の雰囲気も味わってほしいので、私はあえてハードカバーでの購入をオススメします。 | ||||
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色々出ていますが自分的にはこの中公文庫の外装が一番好きです。京極夏彦作品の中でも一際美しいのはこの「嗤う伊右衛門」だと思います。従来のお岩さんのイメージを打ち崩す儚い美しさがこの本のお岩さんにはあります。日本語は美しいです。世界に誇れる言葉である、という事を、この本で実感しました。これからまた夏ですし、美しいような物悲しいような、古きよき雅な、日本の魂を揺さぶる大人の夏の怪談に浸って見てはいかがでしょうか? | ||||
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