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(短編集)
少年十字軍
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少年十字軍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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おすすめ | ||||
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最後の最後で"これは小説です"という奇跡を作者が加えることで、読後感を良くしているので救われるが、これが現実的な結末だったらげえげえ吐いてたと思う。 終戦時15歳だった作者だからこそ書けた、力のある、心を揺さぶる作品だと思う。 文庫本を買ったが、単行本も欲しくなった。 | ||||
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再読して印象が変わったためレビューを書きます。 この作品は子供でも読める書き方、内容になっているため、この作者の他の作品よりも描写がライトです。そのため最初に読んだときは、心が引きずり込まれるような深淵は感じられませんでした。 ただ最近になり時間をおいて再読すると、それは私の勘違いだと気づいたのです。 内容は少年十字軍なので、当然、子供たちが騙され、売られていく悲惨な運命の話です。そして悲惨な出来事をもっともっと過激に、痛く描写することも、もちろんできたでしょう。ただ残忍な過激描写がウリの小説、漫画、映画も多いですが、そんな悲惨アピールで「すごい!」「心に刻まれた!」と言われる作品は、楽しいかもしれませんが、野暮です。 この作品はあっさりと、淡々とした文章で進みます。その分、気づかないうちに少年たちの旅をしていく上での感情が心に沁みていく。物語は希望と失望の上下を繰り返し進んでいきますが、その間に読者の心の底に少年たちが背負う悲壮が積もり、そして最終章を迎えます。最終章はドラマチックです。それまでの少年たちの辛さが重くのしかかる分、非常に物語的であっても、こんな純粋な世界があってもいいではないかと願わずにはいられない。そんな想いにさせられました。 少年十字軍の中心となる少年については、ハッピーエンドとなったのかバッドエンドだったのかは明確にはされていません(私はハッピーエンドだと信じます)。それでも物語は最後に、闇の中から人間の力強さ、気高さを見出します。最後に主人公が感じた「神」とは、特定の宗教の神とは別な、厳かで純粋な希望の光なのかと感じました。 蛇足ですが、この作品はサイン会も行かせていただきました。ポプリの入ったカードまでいただき、作者はとても洒落た方でした。 | ||||
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神がいるから悪魔がいるのではない。人は神も悪魔もいない虚無に耐えられずに、神や悪魔になろうとするのではないのか。十字軍はそんな人間の限界や愚かさを象徴している。しかし、本作の主題である純真さを失っていない子供たちの十字軍では、はなしは別である。詩情あふれるタッチで描かれる子供たちの心情がやるせないと共に、様々な思惑から同行する大人たちの不純さが際立つ。 あたかも断崖へ向かう行列のように一直線に進行する物語は、限りなくカタストロフィの予感を孕んでいる。物語が唐突に終焉を迎えるとき、ただひとり一人称で語っていたガブリエルの正体の謎と、神がいない世界観とが絡み合う。でも、神はいないとしても、人間は救済の希望を生み出せるものだと信じたい――そんな気にさせてくれるラストだった。 | ||||
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神のお告げを受けた少年、エティエンヌはイェルサレムをめざして歩く。あとについて行くのは、中世ヨーロッパの荘園社会からはみ出した、行き場を失った子供たちだった。この一団に利用価値を見出す大人たちの思惑によって、エティエンヌたちが考えてもいなかった事態が次々と起こる。エティエンヌたちの旅はいったいどういう結末を迎えるのか……というお話。 この作品の少年少女たちは、(領主の息子のレイモンを除いて)狂信的な熱情や十字軍を率いる野心をほとんど感じていない。旅が『奇跡』に彩られながらも、それに戸惑いを覚えずにはいられないエティエンヌたち。読んでいるうちに、彼らが本当に望んでいるのは、聖地イェルサレムへ行くことではなく、自分たちの居場所なのだということが切実に伝わってくる。 そんな少年少女たちの悩みや苦しみが、宗教がはるかに権威だった時代の中世ヨーロッパ社会を背景に、詩情に満ちた筆致で描かれている。 | ||||
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ひさしぶりに読書で満足した。 毎晩なにか読んで寝むのだけど、昨日読了したのは「少年十字軍」(皆川博子著)。 以前に塩野七生の「十字軍物語」をじっくり読んでいるので、これは楽に読み進めた。 さすがミステリー大賞受賞作家の作品、静かに時に激しく、納得できる結末まで読み手を緊張させながら引っ張る。文体はところどころ散文詩のようで叙情が広がる。物語の構成について読み終わった後に驚嘆させられた。 | ||||
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本書は、混迷深まる中世ヨーロッパに、忽然と起こった少年少女が何百、何千となって十字軍の目指すエルサレムへと向かった史実でありながら、伝承のように語り継がれてきた少年十字軍を題材に、著者らしい歴史・ミステリー・人間ドラマが混然一体となった作品。 著者の作品にしては簡潔な文体と平明なストーリーではあるが、十字軍の基本的な流れくらいは予習しておいた方がいい(作品中でも、要所要所は解説されているにしてもだ)。いっそ、本書のタイトルをamazonサイトで検索したときに一番ヒットするマンガを読んでおくのも一興だろう(その点で、本書の「あとがき、そして謝辞」の一部は、冒頭に書くべきかもしれない)。 ゆるい多神教の歴史を疑うことなく二千年近く続けている我々日本人に、聖戦(ジハード)という21世紀が抱える大きな問題の原点となった十字軍をシッカリと理解することはかなり難しいと私は思っている。塩野七生の物語は、その骨格を骨太に描いているが、その根本がピンと来ない。 本書に描かれた様々な階層の人々の生きざまや想いは、十字軍という壮大にして異常な出来事を、肌や気持ちから分かっていく足掛かりとはなると思う。(本書は、塩野チックな教養的要素は極めて希薄である。何かを学ぶ上では非常に不向きでもある。しかし、ひたすら感じる中から何かを考える上では良書だと思う。そのためにも、予め十字軍の基礎知識は押さえておくべき) それにしても、本作品のラストは、その顛末や情景描写とは対照的な思いを私には残した。 | ||||
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本書は、13世紀、中世ヨーロッパ(フランス)に伝わる史実に裏付けされた民間伝承に、著者自身の脚色を加えた歴史長編小説である。 第4次十字軍失敗の後、神の啓示を受けた羊飼いの少年・エティエンヌは、彼の下に集まった子どもたちを引き連れてエルサレムの奪還を目指す。さまざまな出自をもつ少年少女が、力を合わせての奇跡の行軍だ。天啓によってエティエンヌは不思議な能力を授かっていた。病気を癒したり、雷を読んで悪人を倒したり・・・その力は人々を狂喜させた。しかし、エティエンヌ自身には、そのことがまるで夢のように思えるのであった。こうして、少年十字軍は待ち受ける過酷な運命へと進んでゆく・・・それを阻む宗教、国家、大人の野心。彼らは運命に身を委ねるしかないのか・・・。 是非、お読みください。1人でも、親子でも楽しめます。十字軍のことをお子様に教えてあげるのもいいでしょう。 | ||||
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短編集です。 書きたいことは殆どタイトルにまとめちゃった感じが。 扱っているテーマが普遍的で深く にも関わらず難しい言葉はほとんどありません。 この辺が訳者さまの力量の大きさを物語っているかと。 文体が詩的なので、わりとすんなり読めますが その言葉達が紡ぐ世界の美しさ、独特さといったら! 私にとっての『耽美』という言葉は この本のためにあるようなものです。 | ||||
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