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ミスター・ディアボロ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ミスター・ディアボロ (扶桑社ミステリー レ 8-1)

ミスター・ディアボロの評価: 3.00/5点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

結果的には著者唯一の本格ミステリーで却って良かったのかも知れません。

イギリスのスパイ・冒険小説界のベテラン作家レジューンが30代の若き日1960年に著した唯一の本格ミステリー長編小説です。本書のタイトルの人名ディアボロはギリシャ語で悪魔を意味する言葉だとの事です。探偵役は全長編小説9作の内6作に登場する陸軍省所属の好漢アーサー・ブレーズで、ワトスン役は彼の元部下で外務省所属のアリステア・バークが務め同時に本書の語り手となります。
イギリスの西洋学研究部で開かれた学会の夕食会の席上、大学で過去に起きた不気味な「ミスター・ディアボロ」の伝説が披露された直後に、まさに当人と思しきシルクハットにマント姿の怪人が中庭に現われ、皆が追う内に裏手の〈悪魔の小道〉と呼ばれる路地に逃げ込み、そこで帽子とマントを残して忽然と姿を消してしまう。しかも、その夜ある学会会員が密室状況で死体となって見つかり、アメリカから来たバークは当地に滞在していた元上司のブレーズ、恋人のバーバラ、地元警察のリンゼイ警視らと共に事件の謎を追う。
本書は冒頭から密室ミステリーの巨匠J・D・カーの世界を髣髴とさせる魅力的な不可能興味に溢れてはいるのですが、作風の決定的な違いは怪奇性の描写が淡白で悪魔が終始狂言回しとしか考えられない冷静で現実的に過ぎる怪奇浪漫趣味の欠如でしょう。被害者が女たらしの卑劣漢だと判明すると朧気に動機が見えて来ますし、何よりもトリックの解明部分があっけない内容で、魅力的な謎との落差が大き過ぎてがっかりしてしまいました。ミステリーと言う分野は難しい物で、埋もれていた傑作という触込みに勢い込んで期待すると逆に裏切られる事も多く、慎重に精査する必要があるなと痛感します。それでも、探偵が全員を一堂に集めて謎解きを披露する古典的名場面から一転して狂気の殺人者の追跡へと転換するサスペンスの盛り上げはお見事で、著者が本作以降冒険小説の分野で活躍される才能の萌芽を感じました。
ミスター・ディアボロ (扶桑社ミステリー レ 8-1)Amazon書評・レビュー:ミスター・ディアボロ (扶桑社ミステリー レ 8-1)より
4594060129

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