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カリフォルニアの炎
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カリフォルニアの炎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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思わぬ展開が読むスピードを速める。楽しさも考えさせるところもあり久しぶりに引き込まれた。 | ||||
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ウィンズロウは前から気になって買ってたのですが本作で初めて読みました。話はある家で火事がおき、失火か放火を調べるクライムノヴェルで、そこから闇が拡がって行き・・・というもの。 兎に角主人公の保険会社の調査員の調査の精密さに驚きました。さすがにプロだけあって普通だったらまず判らないだろう証拠や痕跡を発見して放火なのか失火なのか緻密に調べて結論を導き出すところは圧巻。この辺のことを書くにあたって著者はそうとう火事について調べたであろうところにその苦労を察してしまいました。そしてただ、火事の話で終わらないように闇の勢力を絡めることで作品に奥行が拡がるところにサスペンスのことをよく心得ているのがわかりました。 更に作品全体が醒めた炎に包まれているような雰囲気で作品の内容とよく合致していて作家としてのウィンズロウの手腕に感心しました。ケム・ナンの「源にふれろ」に近しい感じがしましたがどうでしょうか。 この作品でウィンズロウに開眼しました。なるべく全部読もうと思います。 | ||||
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一件の火災事故から、 火災保険詐欺、殺人、そしてその裏にある大きな陰謀へと どんどん物語の奥行きが深まっていきます。 炎の描写や登場人物たちの生い立ちなど、 全編を通じあらゆる出来事が、目の前で起きているかのように 緻密に生き生きと描かれています。 ミステリーのプロットも良いですが、 作者(もしくは翻訳者?)の類まれな表現力が一段と この本を面白くしているように感じました。 結末に向けた怒涛の展開は迫力あるものでしたが、 もう少しボリュームがあっても良かったかなと思い、 1つだけ☆を減点しました。 | ||||
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まったく知らない作家さんですが、初めて読んでびっくりしてます。何より、ミステリーなのにサイエンスのにおいがちょっとして、意外なほど楽しめました。もともとSFも好きなので、こういう作品に会うと、うれしくなります。 読み進むうちに、話が思っても見なかった方向に激しくシフトチェンジしていくのがスリリング。ちょっと盛りだくさん過ぎて、落としどころがどこなのか、少々不安になりましたが、まあ、納得のできるラストで、満喫できました。一人の旅行などに持っていくと、空いた時間がまったく無駄にならず、幸せな時を過ごせると思います。 お勧め。 | ||||
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青春ハードボイルドミステリー(?)のニール・ケアリーシリーズで有名なドン・ウィンズロウの作品。 ノン・シリーズ(たぶん)で、保険会社の調査員が主人公。 警察が失火と断定した火災に不審を感じた主人公は、独自の調査で、放火の可能性を感じ取る。調査を進めるうち、自分の過去と向き合うことに。 明らかに放火だという証拠が次々と出てくるのに、放火の疑いのある火災保険の受取人、警察、さらには身内のはずの保険会社からも妨害を受け、孤立無援の状態に。 孤軍奮闘する主人公はまさにハードボイルドで、仕掛けられた謎もうまく最後につながるので、読み応え十分な作品に仕上がっている。 「歓喜の島」で見せたアバンギャルドすぎる文体(過去形を使わない)も、ほどよくまろやかに緩和されて、かなり読みやすくなった。 途中で延々と続くマニアックな「火災講座」にはちょっと閉口したが、ニール・ケアリーシリーズを読んで、ウィンズロウのほかの本を探している人には、お勧めできる1冊だ。 | ||||
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この作者の翻訳されている作品は全て読んでいますが、個人的には「ニール・ケアリーシリーズ」以外では、この「カリフォルニアの炎」が一押しです。 保険査定人である主人公ジャックをはじめ、キャラクターの個性が一貫しているし、納得できるだけのエピソードや火事や保険に関する細部が盛り込まれています。 犯罪小説としてはスピーディで明るめタッチ。 だけど、ちょっと切ない小説です。 | ||||
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カリフォルニアの火災査定人、ジャック・ウェイドがある豪邸での 火災調査をきっかけに、巨大な陰謀に巻き込まれていくお話。 ウィンズロウの本に共通していることだけど、出てくる人物がみん な腹黒い(笑)。最初から本当のことを言っているのは、主人公とヒ ロインだけなのではないかと思わせられる。もちろん、それが後のど んでん返しにつながっていくわけで、意味もなく腹黒い人間を登場さ せているわけではないはずだ。私は息つく間もない展開の速さがこの 作者のすごさの一つだと思うのだが、今作でもそれは健在。特に解決 に向かっていく後半部分の展開にはやはり引き込まれた。楽しめる内 容だと思う。ただ1000円という値段は、正直ちょっと高いです。 もう一つ、ウィンズロウが描く主人公は、孤独を愛する人間が多い ように思う。ニール・ケアリーシリーズもそうだし、『歓喜の島』の 主人公ウォルター・ウィザースもそうだ。今作のジャックも類にもれ ない。これは作者自身の投影なのか…相当変わった人らしいし。 | ||||
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主人公ジャックの、仕事に対する熱血ぶりが一貫していて気持ちよく、読んでいて感情移入しやすかった。 出火原因や火元を突き止めるためのプロセス、保険査定に関する情報も無理なく織り込まれ、興味深い。 それにしても…組織を敵に回すことは恐ろしく、しかし、組織に浸かってしまうこともまた、恐ろしい。 出口の無い泥沼にやりきれなさを覚える。現実にはあり得ないようなジャックの正義感だが、小説としてはこれでOK。そうこなくっちゃ、という感じである。 ただ個人的には、暴力シーンの微に入り細に入りの描写には参った。 | ||||
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最近の作者の作品ほど、原文で読んでみたいと思わせる作品はない。翻訳でこれだけリズムが伝わるんだから、原文の心地よさは想像して余りある。単に訳者がうまいだけかもしれないんだけど、ともかく、明瞭簡潔軽い文体でリズムよく語られる。で、内容も軽いかというととんてもない。重い話を重厚な文体で描くのは誰だって思いつく。でも、それを、こんな文体でサラリと語ってしまうのが、作者のすごいところなのだ。 いかにも作者らしい”カリフォルニアの青い空”的な健全さと、一度決めたら梃子でも動かない頑迷さがほどよく同居して、今回もウィンズロウのキャラは健在だ。甘さと紙一重のナイーヴさがまた心地よい。ニール・ケアリー=シリーズでは、師匠というか擬似父親のジョー・グレアムが語る探偵の奥義と、それを学ぶニール君の姿がとても新鮮だった。今回は、題材こそ「火」であるが、その奥深い薀蓄と学ぶ主人公の姿はニール君とダブるところもある。 単純な火災保険の査定のはずが、あれよあれよとロシア・マフィアによる謀略へとストーリィは転がってゆく。ハラハラドキドキだ。エンターテイメント小説のあらゆる要素が無理なく詰め込まれた物語は、ある意味ケレン味たっぷりだから、ダメな人はとことんダメでしょうね。ぼくは『ボビーZ…』ほどの手管は感じなかった。もしかすると『ストリートキッズ』と並ぶ著者の代表作かもしれない。まあ、どっちにしろ、いかにもカリフォルニア的な浅い縦ノリの嫌いな人は敬遠した方が良さそうですね。 | ||||
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何となく弱々しいくせに、肝心のところだけは頑固。失敗も多いのに、徹底的に闘う姿勢だけが取り柄の主人公というのは、ドン・ウィンズロウの最早キャッチフレーズと言っていいかもしれない。 新しい主人公は火災査定人。まるで『ストリートキッズ』で探偵術を一から教わったときみたいに、本書では火災について消防学校で覚えてゆく。炎の科学、燃焼に関する物理、気体、素材の科学。保険と裁判に関する法律学。また大工の父親から幼時より学んでいた建築の心得。それらを火災査定の術として叩き込まれてゆく過程すらが面白い。 作者はどこでこれらのことを調べたのだろうと思われるほど多才博識な小説でありながら、テンポの良い悪党たちの動き。時間が限られ、我らがヒーロー、ジャック・ウェイ!ドは火災の裏を暴き出す。そして罠、罠、罠。幾重もの多重構造の裏切りの層がジャックを取り巻き、追い詰める。 それでもジャックはへこたれない。火災で焼かれた被害者の夫人とその幼き子どもたちの顔。真実が見えていて証拠もあるのに、それを阻む組織立った分厚い壁。正義正義正義と唱えるかのような頑固者の主人公。うーん、これがウインズロウの魅力なのだ。 絶対に譲歩しない主人公。これ以上ないほどに悪辣な罠。そして火で始まり火で閉じてゆく大団円への加速度と国際的スケール。カリフォルニアの豊かな自然を背景に、プロフェッショナルな人間たちの、瀬戸際の闘いを、小気味良いテンポで叩きつける作者会心の傑作小説が本書なのである。 | ||||
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