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アソシエイト



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【この小説が収録されている参考書籍】
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)
アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)

アソシエイトの評価: 3.00/5点 レビュー 9件。 Fランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

ハイエナ法律事務所の腐敗ぶり

下巻でも弁護士報酬のデタラメぶりが描かれる。過大請求、水増し請求に無関係な飲食費まで依頼人に請求する(69頁)。悪徳リフォーム業者も真っ青である。サスペンスそのものよりもハイエナ法律事務所の腐敗ぶりの印象が濃い。

コスト意識のある企業がデタラメな弁護士報酬を法律事務所の請求通りに支払うことが不思議であるが、そのカラクリも解説される。大企業の法務セクションは官僚化している。そのために出費を切り詰めることではなく、確保した予算を使いきることにモチベーションが働く。弁護士報酬を精査することがハイエナ弁護士撲滅の道である。

過去の不都合な事実を隠蔽しようとするカイルも弁護士倫理を守ろうとする点で主人公足り得た。しかし、下巻では主人公の弁護士倫理遵守精神が独り善がりなものであることが明らかになる。「持ち出した情報に価値がない」「依頼人に実害がない」などは、問題の行為が窃盗であるか、守秘義務違反であるかという論点とは関係ない。依頼人や社会の視点が欠けている。

ここにモンスター弁護士の萌芽がある。他者性を持たず、独り善がりな視点で倫理を守っていると盲信する存在は厄介である。カイルはウォール街の大手法律事務所とは対極の道を志向するが、カイルが一方的に正しい側にあるとは断定できない。

モンスター弁護士は依頼人だけでなく、交渉・訴訟の相手方にも害悪を及ぼす。『アソシエイト』では依頼人も訴訟の相手方も軍需産業であり、それほど同情する必要はなかった。しかし、一般の市民もモンスター弁護士に巻き込まれる危険はあり、放置していい問題ではない(林田力「宇都宮健児日弁連新会長の課題はモンスター弁護士の排除」PJニュース2010年3月27日)。
アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)より
4102409289
No.8:
(4pt)

弁護士報酬の無意味さ

ジョン・グリシャム著、白石朗訳『アソシエイト 上下巻』(新潮文庫、2010年)はロースクール卒業生を主人公としたリーガルサスペンスである。グリシャムは弁護士や法律事務所をテーマとしたリーガルサスペンスの第一人者である。『アソシエイト』はグリシャムの作品では新しい部類に入る。スマートフォンやサブプライムローンという現代の世相を反映する。
主人公カイル・マカヴォイは冒頭からピンチに陥る。「起訴状といっても、金を強請りとるための手段にすぎない」という台詞がある(84頁)。民事紛争を有利に進めるために刑事手続きを悪用する輩がいる実態を明らかにする。これは日本でも対岸の火事ではない(林田力「アヴァンスの書類送検はモンスター弁護士への警鐘(下)」PJニュース2010年12月14日)。
上巻では「公費の無駄づかいを監視する市民グループは、有人シャトルによる火星探査計画であるかのように反対運動を繰り広げた」という表現がある(189頁)。宇宙開発が典型的な税金の無駄遣いと扱われて興味深い。「はやぶさ」やロケット打ち上げを国中で祝う雰囲気のある日本のナイーブさを印象付ける。何の戦略もないまま先端技術というだけで飛びつくことは昔からの日本人の悪癖である(林田力「宇宙開発の徹底的な事業仕分けを」PJニュース2010年5月30日)。
アメリカのリーガルサスペンスでは弁護士ばかりが肥大する訴訟社会の虚しさが描かれるが、時間単位の報酬請求など対価性を無視した弁護士報酬の仕組みが問題であることが分かる。依頼人にとって無意味な仕事で弁護士は報酬を請求する。投資対効果に厳格な米国企業が弁護士報酬を言い値で払うことは信じ難い。
訴訟社会に対して日本的な譲り合いや和の精神で対置する立場があるが、これには反対である。消費者や労働者のような弱い立場にいる人々にとっては権利が命綱になる。社会問題は人権をベースで闘うべきである(林田力「マンション建設反対運動は人権論で再構築を」PJニュース2011年6月17日)。東急不動産だまし売り裁判でも消費者契約法による取消という消費者の権利で対抗した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。
紛争において譲り合いや和の精神を強調することは、虐げられた人々が泣き寝入りを迫られる。結局は焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むことしかできない発想を美徳という愚かな価値観を押し付けられて馬車馬のように働かされるだけである。
訴訟社会の問題は人々の権利意識が高すぎることによるものではなく、ハイエナ弁護士やモンスター弁護士の問題である。積極的に宣伝広告して費用の高い法律事務所に依頼しないなどが対策になる(林田力「宇都宮健児日弁連新会長の課題はモンスター弁護士の排除」PJニュース2010年3月27日)。
主人公カイルは必ずしも道徳的に正しい立場ではない。カイルの過去の行状や、それを隠蔽する隠蔽する姿勢には嫌悪感を覚える。それでもカイルを主人公足らしめている点は弁護士倫理を守ろうとしているところにある。日本には「弁護士は公正中立ではない」と最初からアンフェアであることを宣言する弁護士事務所も存在する(林田力「弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(中)」PJニュース2010年10月8日)。以下の弁護士倫理に露骨に反しており、嘆かわしい。
弁護士法第1条(弁護士の使命)「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」
弁護士職務基本規程第5条(信義誠実)「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」
弁護士倫理規定第7条(真実の発見)「弁護士は、勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない。」
米国の訴訟社会は大きな問題であるとしても、むしろ日本は米国に学ぶことは多い。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.7:
(3pt)

まるで梗概を読んでいるかのような

酷評の嵐ですね。
私も肩スカシをくらった1人です。

まず、主人公が苦境に立たされる理由に「とほほ」。
男性読者なら同情できるのでしょうか?!
(皆さん、若気の至りには気をつけましょう。)
まあ、とにもかくにも話を「法律事務所潜伏」にもっていかなきゃならないので仕方ないかなぁ、と自分を納得させながら読み進むうちに、出てきたぞっ、アメリカをゆるがすビッグな訴訟!
これでやっと面白くなるかと思いきや、その訴訟は単なるサシミのツマで・・・・
あらららら、どうしましょう、こんな着地で。
情報漏えいのテクニック解説あたりはそれなりにスリリングだったのに。
パパが出てきちゃいかんですよ。
とにかく、やだなぁ、こんな主人公(苦笑)。 絶対友達になりたくない。
おぼっちゃまのヤク中からの更生のエピソードのあたりだけは、ちょっとしみじみしましたよ。
それにしても弁護士ってやつは。(と世間が思ってしまってもしょうがないような)
「金」の生み出すこんなふうな「闇」がどこかに存在するのかな、と思うとうっすら恐怖も感じます。

全体的に、読者を説得しようとして失敗している感が否めない作品でありました。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.6:
(2pt)

時間つぶしにはなった。

相変わらずのグリシャムらしい?リーガル・サスペンス物語の展開だが、サスペンスがないから期待外れだった。
前作からの印象で、今作を読むのを迷っていたが、”やはり”との思いが残ってしまった。
「奇跡のタッチダウン」から変だとは思っていたが、才能の枯渇やスランプは誰にでも何時かは来るのだから仕方がないと諦めながら読んでしまった。
これからアソシエイトになる人物を、すでにパートナーのスパイが存在している法律事務所へ送り込む必然性がないのではないのか?と思いはじめてたら気が乗らない時間つぶしの読書になってしまった。
ただ、下巻の解説で、香山ニ三郎氏がアメリカの抱えている門題や裁判制度などを語っていたのが印象に残ってしまった。
香山氏の話から、今作、「アソシエイト」のテーマであったアメリカ軍産複合体を、グリシャムがもっと緻密に面白く仕上げてほしかったなー、と残念でならない。
今作は、前作の「謀略法廷」より多少はましか・・な?
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.5:
(1pt)

敢えて読む必要は無いかも

残念。

ジョン・グリシャムであるから 取りあえず買ってみよう。
読んでみよう。 誰でもそう思うはず。
ましてや「全米でベストセラー」などの惹句も帯に踊る。

テンポは極めて悪い。 話は遅々として進まず。
主人公は何もせず。 

大手法律事務所の勤務実態はこんなに忙しいんですよ。の説明が
これでもかこれでもか と色々な切り口、登場人物、エピソードで
繰り返し紹介されるが。 飽きる。 

「分かった」「それはもう分かった」 話を前に進めてくれ。

グダグダの進行と余りのダメ駄目ぶりに主人公カイルには感情移入出来ず。

上下二巻の大部の作品だが半分以下のボリュームで十分。
しかも ラストがダメ駄目。

もしかしたら伏線か とも思われた幾つかの挿話も
ただのエピソードとして 回収もされず何も起きず 終了。

読後感が良いとか悪い を超えた。  
はあ これで終わりですか・・。 みたいな。

本を読み終わったという満足感の欠けらも得られない。

本格リーガルサスペンス は幾ら何でも言い過ぎであろう。

申し訳ないが お勧め出来ません。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.4:
(3pt)

期待はずれ

今、読み終わりましたが消化不良の終わり方にがっかりしました。コンピュータと携帯が新たに加わったフレーズで、例えて云うならば「法律事務所」と同じコード進行を使って別の曲をでっちあげた感じです。映画になってもつまらないでしょうね。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.3:
(2pt)

サスペンス要素が希薄過ぎ

これはリーガル・サスペンス、と言うより法律事務所でアソシエイトと呼ばれる新人が如何に大変か、如何に大手法律事務所が出鱈目なことをやっているか、を書いた本と言えると思う。
過去の疵をネタに強請られた主人公が大手事務所に潜入し、ある秘密を盗み出す様に強要される。謎の男達の登場でかなりサスペンスフルな展開かと思いきや、何と上巻は全くその秘密に絡む展開がなく、ただ主人公の苦悩や、忙しい毎日の描写ばかり。
その後も、話はちっとも進展せず、主人公の反撃もあっさりとしているし、終わり方も拍子抜け。二転三転、裏のかき合いを想定していると、かなりじれったく感じる。
敵も凄腕なのか間抜けなのか良く分からないし、主人公の過去の行いから同情して感情移入することもできない。
ペリカン文書の様な迫真のサスペンスよりは一歩も二歩も劣った作品だと思った。
文字通り、アソシエイトがいかに苦労が多いか、と言う点について描かれたドラマと思った方がいいのではないだろうか。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.2:
(4pt)

出世作 『法律事務所』の原点に帰った本格リーガル・サスペンス

ジョン・グリシャムが’09年に発表して全米でベストセラーを記録したリーガル・ミステリー。パラマウント・ピクチャーズで映画化も決定している。

名門イェール大学ロースクール卒業を目前にした25才のカイル・マカヴォイのもとにある男が現れる。彼はカイルが5年前の大学時代に関係した乱痴気騒ぎの果てのレイプ事件の映像を持っており、脅迫するのだった。彼らはプロの工作員で、卒業後ニューヨークの巨大法律事務所に就職して、アメリカ政府ペンタゴンも関係する軍事産業をめぐる巨額訴訟の情報を盗むスパイ行為をカイルに強要する。

父親の期待を裏切り、当初の自身の計画を断念して首尾よく大規模法律事務所のアソシエイトの職に就いたカイルだったが、何とか敵を出し抜くことはできないかと激務の合間をぬって、当時の友人の力を借りながらも敵の正体を突き止めようとするのだが、敵は一枚も二枚も上手だった・・・。

幾多のサブストーリーを挿みながら、物語はスピーディーにサスペンスフルに展開する。ここで読者はカイルの身に起こる事件を追いかけながら、一方で軍需産業をめぐる巨大訴訟の闇、それらの案件を扱う巨大法律事務所の苛酷な勤務の実態、FBIやCIAをも凌ぐ目的達成のためならば殺人もいとわない謎のプロ集団の存在などを知るのである。

本書は、グリシャムが出世作『法律事務所』の原点に久しぶりに帰った、本格リーガル・サスペンスである。
アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)より
4102409270
No.1:
(4pt)

出世作 『法律事務所』の原点に帰った本格リーガル・サスペンス

ジョン・グリシャムが’09年に発表して全米でベストセラーを記録したリーガル・ミステリー。パラマウント・ピクチャーズで映画化も決定している。

名門イェール大学ロースクール卒業を目前にした25才のカイル・マカヴォイのもとにある男が現れる。彼はカイルが5年前の大学時代に関係した乱痴気騒ぎの果てのレイプ事件の映像を持っており、脅迫するのだった。彼らはプロの工作員で、卒業後ニューヨークの巨大法律事務所に就職して、アメリカ政府ペンタゴンも関係する軍事産業をめぐる巨額訴訟の情報を盗むスパイ行為をカイルに強要する。

父親の期待を裏切り、当初の自身の計画を断念して首尾よく大規模法律事務所のアソシエイトの職に就いたカイルだったが、何とか敵を出し抜くことはできないかと激務の合間をぬって、当時の友人の力を借りながらも敵の正体を突き止めようとするのだが、敵は一枚も二枚も上手だった・・・。

幾多のサブストーリーを挿みながら、物語はスピーディーにサスペンスフルに展開する。ここで読者はカイルの身に起こる事件を追いかけながら、一方で軍需産業をめぐる巨大訴訟の闇、それらの案件を扱う巨大法律事務所の苛酷な勤務の実態、FBIやCIAをも凌ぐ目的達成のためならば殺人もいとわない謎のプロ集団の存在などを知るのである。

本書は、グリシャムが出世作『法律事務所』の原点に久しぶりに帰った、本格リーガル・サスペンスである。
アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)より
4102409289

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