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裁判百年史ものがたり
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裁判百年史ものがたりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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事件も裁判も劇的で歴史的に重要な判例ばかりを取り上げていますが、大筋しか知らなかったり、事件そのものを知らないものばかりでした。高名な推理小説家ですから文章は喚起力に富むし、話はすっきりと頭に入る明晰さで面白かったです。その頃の時代精神と変わっていく価値観、社会の病巣が描かれていて、判決が社会そのものを変革した、社会が判決を要請したなんて歴史的な事実は無知な自分は全く知りませんでした。 | ||||
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明治に近代的な司法制度が確立されてから平成の裁判員制度に至るまでの約一世紀、著者のピックアップした12の重大事件の裁判を通して日本の裁判の歴史を辿った一冊。著者が豊富な資料に基づき事件や裁判を臨場感たっぷりに描いているので一編の物語を読んでいるような面白さがあります。時代と共に裁判が大きく変わってきたこともよくわかりました。 裁判官としての誇りを最も見せつけられたのはロシア皇太子襲撃大津事件です。国の圧迫と闘った児島裁判官の勇気に感動させられました。司法の独立が守られた記念碑的な裁判と位置づけされているそうです。永山則夫の事件は永山の心の叫びが聞こえてくるようで特に面白く読むことができました。 著者ノンフィクションの傑作だと思います。 | ||||
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裁判の歴史に残る事件について書かれた本です。 以下の12事件について書かれています。 「大津事件」「大逆事件」「昭和の陪審裁判」「翼賛選挙無効判決」「帝銀事件」「松川事件」「チャタレイ事件」「チャタレイ事件」「八海事件」「栃木実父殺し事件」「永山則夫事件」「有責配偶者離婚請求訴訟」「山一証券代理人弁護士夫人殺人事件」 12事件について10事件が刑事裁判で、民事裁判は2事件(「翼賛選挙無効判決」「有責配偶者離婚請求訴訟」)だけです。また、最上級審の裁判所(大審院・最高裁判所)が絡む事件が殆どの中で、「山一証券代理人弁護士夫人殺人事件」だけは最高裁判所の司法判決は絡んでおらず司法制度に関する言及が中心です(「昭和の陪審裁判」も司法制度に関する言及が中心ではあるが、陪審裁判での判決に対する上告審で大審院に関する言及があります)。 | ||||
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最後のエピソード。 加害者の人権を守ってきた有名弁護士が、身内が犯罪被害者となった途端、被害者の人権に目覚めて運動を開始した。 加害者は生活を保障される一方で、被害者は通院治療費まで自腹を切っている。 しかも、事件の情報も得られない。意見の一つも求められない。 こんな理不尽があってたまるか! でも、あなた、それを何十年も続けてきたんですよね? という話。 自分事として考えることの難しさを知った。 公害訴訟等で、被害者の救済が難しい理由ともつながった。 人が人を裁く難しさ。 立場が人を狂わせる(最高裁判事の文章)怖さを感じた。 時間をおいて再読する。 | ||||
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オーディブルで聞いて良かったので書籍版でも購入して再読(?)。 裁判を通じて日本の裁判、社会、権利や人々の意識の変遷を辿れる。 猥褻文書や少年犯罪、離婚問題など現在にも存在する問題でもあり、 四角い車輪を再発明しないためにも 「過去どういう流れがあったのか」を知っていることは重要であり、 ……という社会的意義を脇に置いておいても、 物語形式で読みやすくて純粋に面白かったので、 ええー絶版!? というのでちょっと驚いているところ。 | ||||
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内容ははっきり憶えていない。 ただ、判事になるひとは偏っており、離婚審判も男女平等ではなく偏りがある。 最高裁の例にしたがう。 裁判所とはいい加減な、酷い所だ。 | ||||
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単に判決だけを追った読み物ではなく。事件の発生そのものから物語が始まるのでとても臨場感があって、読んでいてためにもなり、考えさせられもして実に面白かった。 | ||||
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面白く、読みやすく、知識が豊富に得られます。法学部の学生さんでも文学部の学生さんでも、一読をおすすめしたい良品だと思います。 | ||||
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目次を見て買いだと思った。 明治から平成まで、それぞれの時代背景の中で事件は数多(あまた)発生したが、特に裁判を通して、後の時代に影響を及ぼした事件を取扱っている。明治時代の「大津事件」や「大逆事件」は大雑把には知っているものの、詳細は知らなかったので、この機会に読みたいと思った。有名な「帝銀事件」・「松川事件」・「永山則夫連続射殺魔事件」では、夏樹静子はどのような手腕を見せるのかと云う興味もあった。死刑→死刑→差戻し→無罪→差戻し→死刑→無罪(確定)と目まぐるしく変転した「八海事件」(有罪に持ち込もうとした警察、検察、裁判官は重い十字架を背負うべきだ)を扱っているのも新鮮だ。 個人的には、「チャタレイ裁判」が学生時代の想いを喚起させた。 昭和44年に伊藤整が死去し、マスコミで大きく取り上げられたのだが、それは「チャタレイ夫人の恋人」(以下、「チャタレイ」と記載)を翻訳した作家だという事に起因していた。この時私は高校生で、初めて「チャタレイ」が猥褻文書だという事を知った。「チャタレイ」は昭和25年に翻訳されベストセラーになったが、直ぐに東京地検から猥褻文書として告発され、翌年から裁判になり昭和32年に有罪が確定した。「チャタレイ」はD・H・ロレンスによる1925年の作品だが、欧米でも曰く付きの作品で発行禁止になっていた。 内容の要約を書く。貴族のチャタレイに嫁いだコニィは楽しい新婚生活を送るのだが、チャタレイは戦地に赴くことになり、やがて半身不随となって帰ってくる。二人は広い領土と邸のあるイングランド中部に移り住むのだが、車椅子生活のチャタレイはコニィと体の結び付きは持てなかった。やがてコニィは森の番人に雇われているメラーズと知り合い、関係を深めて行く'―。 さて、多感な高校生だった私は直ぐに「チャタレイ」を買うのだが、肝心な箇所はアステリスク表示(*印)だった。地団駄を踏んだのは云うまでもない。40年以上が経過して、今回、「チャタレイ裁判」の章を読むと、冒頭から削除部分の4箇所(全部で12箇所の内)が表示されている。客観的に読めたのだが、これは凄い。少なくとも、昭和25、6年の時代では、世間は衝撃を受けたはずだ。但し、猥褻というのではなく、寧ろ品格がある。これは正しく文学だろう。文学なのだが衝撃的なのだ。 裁判官の一人が、「わいせつかどうかは時と所によって異なり、流動し変転すべき概念である」と云っていたが、私も同感だ。 | ||||
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それぞれ味わい深い12の「事実に基づく」ものがたり。各回ともに甲乙つけがたいが、大津事件、尊属殺人、永山事件が特に良かった。題名が硬い感じだったので読むかどうか迷ったが、読んで本当に良かった。 | ||||
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時系列順に,次の12事件について語られています。 1 来日したロシア皇太子が襲撃された「大津事件」(明治24年) 2 幸徳秋水らによる天皇暗殺謀議事件:「大逆事件」(明治42年) 3 日本で初めての陪審裁判(昭和3年) 4 東条英機の翼賛政治体制がらみで起きた「翼賛選挙事件」(昭和18年) 5 銀行員の大量毒殺で有名な「帝銀事件」(昭和23年) 6 有罪無罪が二転三転した難事件「松川事件」(昭和24年) 7 昔の人って純粋だったのね・・・”わいせつ性”が問われた「チャタレイ事件」(昭和26年) 8 共犯者の自白の信用性が問題となった「八海事件」(昭和26年) 9 尊属殺規定が違憲とされた「娘による父殺し事件」(昭和43年) 10 未成年者に対する死刑判決として有名な「永山事件」(昭和43年) 11 不倫をした”有責配偶者”からの離婚請求を初めて認めた「離婚裁判事件」(昭和62年) 12 被害者参加規定の整備に奔走した弁護士の活動:「被害者の求刑」(平成9年〜現在) おまけ:著者と元最高裁長官島田仁郎氏の対談 時系列順に並んでいることによって, 時代とともに,司法権のあり方や,証拠の考え方(旧刑訴法時代の自白の偏重等)が次第に変化し, また,チャタレイ事件や尊属殺事件にみられるように,”是か非かという価値観”が次第に変化しているのがよくわかり, 面白かったです。 個人的には,「無知の涙」で有名な永山少年の事件が一番面白かったです。 法律の世界では死刑適用基準(永山基準)として著名な事件ですが, 冒頭陳述に1年もかかったり,弁護人を解任したりと, ずいぶん荒れる法廷で,そのため裁判が長期化していたとは知りませんでした。 また,永山少年が事件を起こすまでの経緯と,逮捕後のめざましい才能の開花ぶりを読み, 生育環境の重要性と,犯罪をどこまで環境や社会のせいにしてよいのか,という点について,考えさせられました。 | ||||
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本書は日本の近代裁判が始まってから現在に至るまでの事件の中で、主要な事件を選んで判決には表れない事実、背景を記述することによって「物語」として成立させている。裁判における判決は法律を適用する上で必要な事実のみが記述されるので、時か経つにつれ「物語」を失いがちになる。本書はこのような事件を掘り起こし「物語」としての意味を持たせる。法律を知らない者が主たる対象となっているが、判例を丹念に読み込んでいるため専門家にも読みごたえのある内容となっている。 | ||||
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夏樹氏は推理作家として知られているが本書はノンフィクションである。明治24年(1891年)の第1例「ロシア皇太子襲撃、大津事件」から平成9年(1997年)の第12例「被害者の求刑」まで、約100年に亘る我が国の裁判の中で著者が日本の司法制度に大きな影響を与えたと考える裁判を12例取り上げられている。 取り上げられたテーマは司法権の独立、冤罪、尊属殺人、被害者の権利の確立まで多岐に亘っているがどれも重いテーマばかりである。但し夏樹氏は一つ一つの事例を臨場感をもってわかりやすく語っているため、読みやすく、ぐいぐい引き込まれた。 本書を読んで日本の司法制度は紆余曲折を経ながらも、その時代の裁判官を始めとする関係者の尽力により改善が図られてきたことがよく理解できた。特に第12例については従来は「被害者の保護」が行き過ぎることにより、裁判が個人の感情に引きずられて量刑が厳しくなる方向性に行くことを懸念していたが、被害者のおかれた経済的・心理的な苦しみとそれを救済する制度があまりに手薄であったことが初めて理解できて、考え方が変わった。 | ||||
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「ものがたり」と題してあるのが納得できます。 それは単なるドキュメンタリーにはなっていず、楽しい「読み物」になっているからです。 内容としては、様々な十二の裁判が選ばれています。 それはいずれも歴史的にエポックメイキングな裁判ばかりで、作者の意図が十分に伝わってきます。 その中でも、「大津事件」と「翼賛選挙」の2章には感動しました。 権力機構からの様々な圧力に屈せず、「司法の独立」を貫いた二人の裁判官の気概に打たれたのです。 その対極として「大逆事件」が取り上げられており、その他にも死刑の基準を作った「永山事件」、猥褻の基準が問題となった「チャタレー裁判」や「離婚」の基準となった裁判も取り上げられていますし、「尊属殺人」も扱っています。 更には、終戦直後の憲法の狭間の時期に起きた「帝銀事件」「松川事件」「八海事件」と言った、「自白」の問題が浮き彫りになった事件も取り上げられています。 いずれも名前は知っている事件なのですが、裁判記録を丁寧に読んで書かれた「読み物」は、実に読みやすく楽しい作品になっていました。 | ||||
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我々には、長らく、裁判官というのは、縁のないものであった。 しかし、はじまってしまった、裁判員制度。 我々が、裁く側になってしまうかもしれない。 この本は、近代におこった「大津事件」など、重大な事件12をあげて、 裁判官や弁護士の苦悩を掘り起こし、裁判の本当の姿に迫ってくれる。 ノンフィクション作家(正確には、ミステリー作家か)夏樹静子の手になる 裁判の「物語」を味わってみるのも、物の見方を豊かにしてくれるのではないか。 | ||||
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