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螺鈿迷宮
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螺鈿迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全88件 61~80 4/5ページ
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現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著者は、ここでは「終末期医療」の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む「闇」の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。 そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その「問題」の重さはしっかりと受けとめることができました。 また、ミステリーとしても、出だしから数々の「謎」を読者に提示し、「この先どうやって謎が明らかにされるんだろう」と読者を引き込む力がありましたし、結末で謎が明らかにされた時、それまでの中に伏線がバランスよく配置されていたことに気づかされました。 現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。 また、キャラクターの面からみると、『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。 しかし、その2作で名前は出ていた「氷姫」がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。 | ||||
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いわゆる「桜宮サーガ」3作目。私は文庫派なのでまだここまでしか読んでいませんが、他の方もおっしゃっているように、単行本刊行順に読むのが良いと思われます。刊行順については2作目「ナイチンゲールの沈黙」文庫版の解説をご参照ください。 この「桜宮サーガ」を通して作者が社会に訴えたいことは、死亡時医学検索の重要性とそのためのAi(死亡時画像診断)の導入です。とりあえず3作目まではそうだし、たぶんこの先もそうだと思います。普通、こういうスタンスで書かれた小説って、あまり面白くないし、だんだん飽きられてきますが、このシリーズはキャラクターの魅力とそこかしこに張り巡らされた伏線、そして何より抜群の読みやすさで読者を飽きさせません。アニメ・漫画的な部分、ご都合主義な部分、シリーズの他作品を読まないと訳が分からない会話などがダメな人もいるでしょう。でも、それさえ大丈夫だったら一級の娯楽小説として楽しめます。 文庫版は今のところすべて上下巻各500円。値段といい、厚さ(薄さ?)といい、通勤中のバスや電車の中で浮世の憂さを忘れるのには最適だと思います。 さて「螺鈿迷宮」ですが、アニメ・漫画的でありながら(姫宮と薔薇と迷宮から少女革命ウテナを連想したのは私だけでしょうか…)、青バケツに入った臓器の生々しさを感じさせる作品。読み終わった後、もう一度「バチスタ」と「ナイチンゲール」を読んで、伏線の確認をせずにはいられませんでした。生き残りはどっちなんでしょう? 長男だと思われる彼の再登場はいつ? 次作品の文庫化が楽しみです。 | ||||
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東城大学医学部付属病院から舞台を移し、碧翠院桜宮病院でこの物語は展開します。 登場人物も白鳥・田口コンビから白鳥・姫宮(氷姫)コンビに変わり、物語の主な語り手として天馬大吉と言う医学生が登場し活躍します。 碧翠院桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設、寺院までを一体化した複合型病院になっています。 そこには、桜宮巌雄とすみれ、小百合の双子姉妹がいます。 この物語は、別宮葉子の依頼でそこに潜入した天馬大吉の冒険譚になっています。 ここで取り上げられるのは、今までのAiの問題に加えて「死」の問題が提起されます。「安楽死」の問題にも絡むこのデス・コントロールの問題は、改めて人間にとっての「死」の意味を問いかけてきます。 この病院にいるのは、他の病院で見捨てられた末期患者たちです。そんな彼らが役務を与えられて、限界を超えて生きながらえています。生命維持装置で生き続けさせられている患者と比べると雲泥の差です。 その他にも現代的な問題がいくつか提起されています。 昨今問題になっている「後期医療制度」の問題です。 この碧翠院桜宮病院が、どうにも経営が立ち行かなくなるのもこの制度のせいです。 「医療費の適正化」の名のもとに、終末期医療に対する社会保障費がどんどん削られているのです。 更には、医療問題とは直接関係ない「自殺サイト」の問題も取り上げられます。 こうした様々な問題を提起しながら、全体としてはエンターテイメントに徹した非常に面白い読み物になっています。 このあたりのバランスの良さに作者の非凡さを感じます。 | ||||
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本書の螺鈿迷宮(らでんめいきゅう)は、終末期医療(ターミナルケア)を題材とした医療物語です。主人公である医学生の天馬は、幼なじみの新聞記者である葉子から、黒いうわさが絶えない老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院である碧翠院桜宮病院に潜入できないかと依頼を受けて、医療ボランティアとして潜入する。今回は、前2作ではでてこなかった姫宮が看護婦役でてきます。 厳雄院長の強烈なキャラクターがより白鳥や姫宮のキャラクターを圧倒するように思える。父親のような威厳のあるあくの強いキャラクターが医療現場の現状を語るのは妙に説得力がある。 「修羅場で身体を張って覚えた技術だけが、最後の砦だ。」という言葉が心に残った。自分で現場でジタバタして身につけたものだけが、本物の技術として定着するものである。 本書はミステリーというよりは、医療現場のフォーカスさせたテーマ性のある物語である。本書は、終末期医療(ターミナルケア)や死の在り方を題材とした話である。主人公の天馬君のように死の在り方については考えさせられるなと思う。 | ||||
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とても重苦しい気分になる本だった。 よかれかしという心は、いつから道を過つのだろう。どこから道を外すのだろう。 人の心の中は、光だけでできているわけではない。光の部分と闇の部分を併せ持つことでバランスが作られる。 闇を切り捨てて無垢に光にのみ生きようとすることは、光をあきらめて純粋に闇にのみ生きようとすることと、同じぐらいに愚かなことだ。 これまで読んだ東城大病院シリーズとはまた違った、気骨のある医師が出てくる。 あの白鳥に役者が違うと言わしめる、桜宮巌雄病院長。 死が今よりも身近だった戦中・戦後からの日本の医療が抱えてきた闇の部分が、今回の主題になる。 作者は一作に一つずつ、医学の現状に苦言を呈しているが、今回は死体の上に成り立ってきた出自を捨てようとしている医学への警句が聞こえてくる。 死を看取る。その体験が近すぎて、何度も涙がこみあげてきた。 ことに、三色婆には、それぞれに泣かされた。たまらなかった。 死は、人が最後にできる、他の人への教育だ。 ひとは、いかに老い、いかに病を得て、いかに死ぬのか、身をもって示す。 それを通じて、いかに生きるか、学ばせてくれるのだ。 だから、私は死から目をそらさずにいたい。 | ||||
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オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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「ナイチンゲール‥‥」で少々がっかりして、「ジェネラル‥‥」で持ち直して、この「螺鈿‥‥」で「チーム・バチスタ‥‥」に並びました。 面白かったですよ、海堂先生は現役の医師ですから医療問題も現代の医療矛盾も実感のある内容になって、そこに「AI=死亡時画像診断」の普及の提唱も盛り込まれてエンターテイメントなミステリーに編み上がってました。 欲を言えば主人公 天馬君 と 氷姫こと姫宮さん の掛け合いでもう少し笑わせて欲しかったですが、映像になるときっと見応えがありそうなストーリーのような気がします。 | ||||
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チームバチスタの作者が描くメディカルエンターテイメント ミステリーというよりも帯にあるようにエンターテイメントと 理解するほうが適切な筋です.しかしミステリーの要素の一つである 話の暗さ,出口の見えなさ具合はミステリーであると言ってよいかもしれません. 出口が見えないのは医療の問題についてであり, 人間の感情やしがらみを基にしているわけでないのでチームバチスタの ような気持ちよさはあなり感じませんでした. 白鳥などおなじみなキャラは出ていないもののキャラクターで 話を動かしてゆくストーリーは読みやすいです.また,重要な登場人物の 一人が問題と共に逃亡してゆくところは今後の話につながって 面白そうです. 重たい内容が好きな人には面白いのではないかとおもいます. | ||||
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読み応えもありましたし、人が存在し続けることの罪と罰、光と闇 というメインテーマが重厚で深みを感じました。 お薦め致します。 | ||||
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海堂尊の作品は、基本的に架空の桜宮市(昔、埼玉の久喜市が合併して桜宮市になるという話があったが、作品中の桜宮市は海があるので埼玉ではないと思う)を元に描かれている。このため、違う作品を読んでも登場人物が重なっている。本作品を読む前には「ナイチンゲールの沈黙」を読んでおかないと、氷姫のことなどよく分からないし、「ナイチンゲール…」を読む前には「チーム・バチスタ…」を読んでおかないと、「昼行灯」の田口のことなど、よく分からないと思う。海堂作品は順番通りに読むことをお薦めします。 | ||||
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海堂 尊氏 「チームバチスタの栄光」シリーズの番外編 いつもは東城大学医学部付属病院が舞台ですが、 今回は近隣にある碧翠院桜宮病院でのお話! さえない東城大学医学生の主人公 ラッキーペガサスこと天馬大吉は 幼馴染の葉子から、 碧翠院桜宮病院へ潜入調査の依頼を受けた。 乗り気ではなかった主人公も 葉子の巧みな罠にひっかかり、 イヤイヤ潜入調査することになり・・・ そこで出会う厳雄医院長や小百合先生、 すみれ先生など複雑な人間関係が見られます。 また、看護士の姫宮や皮膚科医の白鳥など 怪しい人物の病院の内外にチラホラ いつもなら主人公の不定愁訴外来の田口先生も 脇役で出演! いつもと病院が違うだけに、 こんな確執もあるのかと感じられずにはいられません。 主人公天馬君の物語が進むにつれて、 成長していく姿にこうご期待!!! | ||||
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ジェネラル・ルージュを先に読んだのだが、あちらで評判の悪かった桜宮病院も、桜宮病院の側から見ると別の世界が広がっていることがわかり、一筋縄ではいかないものを感じた。それをまた少しずつずらしながら別の本でやるところもいいなぁ。この世界にまだまだ広がりの余地も感じさせる。 | ||||
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チームパチスタに、感激し、ナイチンゲールで、がっくしでしたが、 これは、面白かったです。 番外編みたいな感じになるのかな? 氷姫に出会えたし、相変わらずの白鳥さんにも出会えたし。 天馬大吉なんてふざけた名前の坊やにも出会えて。 天馬くんの将来のお話も読みたいな。 定価で買っても惜しくない一冊でした。 | ||||
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6時間位で読める良質のミステリー。 白鳥氏と部下の氷姫が、魅力的かつユーモアにあふれています。 驚くようなトリックはありませんが、随所に気の利いた会話あり、ストーリーも飽きさせません。 一方、日本での死亡診断の問題、AIの必要性等、タイムリーな話題も取り入れられています。(3千体の解剖資料を保管するスペースとはどのくらい広大なものなのか…。) 読んで元気がでるミステリーです。 | ||||
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あれほどリアルな描写と現代医療の最前線を見せてくれる 作者が、なぜファンタジーの世界にしか出てこないような 館を描いたのか。(描かざるを得なかったのか) それほど終末期医療、死の医療に対する闇が深く、物語の中で しか語れない何かがあったからでしょうか。 これからも他の誰も描かないようなタブーをファンタジーな 仕掛けに詰め込んだ挑戦的な作品を読んでみたいと思いました。 | ||||
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舞台は桜宮病院。バチスタ・スキャンダルが起きた東城大学病院と深いつながりがある。最先端医療は東城、終末期医療は桜宮。だが、ある時から東城が態度を変えたことから、今回の事件は起こる。 ストーリー展開は、この著者には珍しくシリアスである。また、医者ならではの現在の医療の問題点を鋭く突いた箇所がいくつか見られる。それが海堂の持つ問題意識であり、心からの叫びなのであろう。私たちは、その言葉に耳を傾けねばならない。…と思ったら、途中から、白鳥の部下、姫宮が初登場する。白鳥自身も、なぜか皮膚科医役で出てくる。何のことはない、いつもの海堂ワールドの始まりだ。まあ、ファンとしてはそれを望んでいたのではあるが。 しかし、それでもこの作品はこれまでとは異なり、メッセージ性が強くなっている。読者は、この作品を通して、終末期医療のありかたについて考えざるをえないだろう。ただ生きることか、その質を重視するかがこの作品の中でも問われている。生の質を重視する考え方からすれば、この小説で行われる不正は決して間違ってはいないのだ。体中チューブだらけになって生き続けるか、人間らしい死を選ぶか。どちらを選ぶかは、患者とその家族にゆだねられるべきではないのか。 事件の真相が明らかになった後でも、桜宮病院のシステムが間違っているとはどうしても思えない。この本では、医療行政が終末期患者を切り捨てる方針をとったために、今回の事件が起こる。それだけに、なおさら桜宮病院の姿勢を非難することができないのである。 医学の抱える闇は、私たち素人が考えるより、はるかに広く、深い。 | ||||
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今作の舞台は、前作で起こった「ナイチンゲール」の事件の元凶となった碧翠院桜宮病院。 その病院の設定と、物語の展開のさせ方がとにかく上手い。 「あまりに死にすぎる患者」とか「病院に入ったきり出てこない男」とか「謎のホームページ」とか、 まさに謎が謎を呼ぶ展開。ついつい読み進めてしまいます。 そして徐々に明らかになる病院の驚くべきシステム・・・設定と展開なら前2作よりも良く出来ています。 テーマである「終末期医療」の問題点を、素人でも興味深く読めるようになっている点はさすが。 ただ、キャラクタ面は弱い。 前2作はキャラ重視のエンタメ小説でしたが、 今作は、癖はあるものの、笑えるような人物はあまり登場しません。 待望の白鳥の部下、氷姫がついに登場しますが、変な方向にぶっ飛んでます・・・。 白鳥の出番は今までで一番多いですが、余裕で敵を叩き潰す白鳥を期待していると痛い目に遭います。 メッセージ性を前面に押し出してきたことも、評価を分ける一因になりそうです。 | ||||
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いつもの田口・白鳥コンビとは違う新コンビが面白い。いつも、言葉の上でしか知らない氷姫が看護師として登場。天馬大吉と桜宮病院で起こる不可解な難事件を解決していく。特に。東上大学と桜宮病院の対決と闇、そして水面下で起こる行き詰まるやりとり。読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。とにかく読んで見て面白いと思いました。 | ||||
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