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平成猿蟹合戦図
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平成猿蟹合戦図の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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| 善良な人たちが頑張って大きなことをやり遂げようとする作品。五島列島から東京歌舞伎町をはさんで秋田へ、中心的な舞台の移動とともにチェンジされる言語がダイナミックで味わい深く、またそれぞれの言語を用いる登場人物たちがとにかく魅力的。暗くて重いものを抱えながら新しい道を探す者たちがいれば、根っからの呑気さを強みにして世の中に出て行こうとする者たちがいる。極道も政治家もおばあちゃんもそれぞれの個性を発揮。特に物語の根底をいろんな意味で支えているおばあちゃんが最高。彼らが織り成す群像劇が、読み進めれば進めるほどドラマチックに盛り上がっていき、やがて読むものに前へ進む元気を与えてくれる劇的なクライマックスへ。吉田修一さんの書いたもののなかで、ここまでエンターテイメント性の濃厚なものは今までなかったように思う。『悪人』に代表される人間のダークサイドの多様性の探求から、『横道世之介』の叙情あふれる常春な青春ストーリーをへて、さらに別の境地へ。これから次の展開にまた期待してしまいます。 | ||||
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| また犯罪小説かと思って読み出したが、読み終わった感じは全く違った。 『悪人』のせつなさややりきれなさとは真逆のハッピーエンドで、わりとすっきり読了。 『悪人』同様、一貫して三人称、場面は次々変わる。舞台は現代の長崎、東京、秋田。 登場人物は0歳児から100歳目前のおばあちゃんまで、 バーテン、クラブのママ、美大生、ホスト、音楽家、ヤクザなどなど老若男女多彩。 誰が主人公というのではなく、それぞれの舞台で、それぞれが主人公。 えん罪、轢き逃げ犯の身代わりなど、重たいテーマがありながら、終始『横道世之介』的な軽いテンポ。 つらい場面で、登場人物のちょっとした一言や、間抜けな言動に癒されたり、 日常の描写に幸せを感じたりできる。 吉田作品の好きなところは、感情や身体感覚の表現など細部がすごく丁寧なこと。 感情移入しやすい。 地方出身者の東京に対する感情、里帰りしたときの感情などめちゃくちゃリアリティがある。 現代にしては方言がきつ過ぎるような気もするが、 地方出身者を東京の町のなかで浮かび上がらせるのに、すごい効果を発揮している。 あと、寂れた地方のできごとや、一般的にいう“下流”の人たちが、 スト―リーの表舞台で活躍すること。優しい気持ちになれる。 連載が朝日新聞の『悪人』に対して『週間朝日』だからなのか、 後半のりのりのエンタメ小説的になり、 フィクションならではのうまくいきすぎる展開がポンポン出てくるが、 割り切って読めば率直におもしろい。 歌舞伎町にいっぱいいそうな若者が政治家になっちゃう、 あり得ないストーリーのはずなのに、妙にリアリティがある。 政治がらみの小説を、こんなに気持ちよく読めたのは初めてで楽しめた。 あえていえば、最後の最後の終わり方だけちょっと残念かも。 自分の日常がつまらないと感じるときに、読むとわくわくできる一冊。 | ||||
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