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(短編集)
たまさか人形堂物語
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たまさか人形堂物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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数年前にロック・アラウンド・ザ・クロック・シリーズを読んでからしばらく忘れていたのですが、つい最近「蘆屋家の崩壊」でガツンとやられてから津原泰水氏の大ファンになりました。「たまさか人形堂物語」が3作目ということになりますが、津原氏の作品はどれもテーマや作風がまったく違うのが驚きです。「蘆屋家の崩壊」は特に斬新で、その途方もなさや奥に含まれた毒が印象的でしたが、それに比べてこの「たまさか」はかなりマイルドな雰囲気になっています。 津原氏の作品でいつも思うのは、登場人物の造形のうまさです。どのキャラも個性がしっかりしているので「あれ?この人誰だっけ??」と途中でわからなくなるということがありません。この小説でも、人形のことはまったく知らないのに諸々の事情で代々続いた人形店を継ぐことになった澪、彼女はおっとりして人がいい30代女性。天才肌の変人で物言いがストレートすぎるスタッフの富永君に、寡黙だがすぐれた技を持つ職人肌の師村さん。ラブドールのメーカー「キャプチャー」のオーナー兼製作の束前君もかなりの変人ですが、人形に対する愛情と熱意は半端ないです。脇役のいつも酒を持って訪ねてくる家主のご隠居もいい味を出しています。 現在は人形販売よりも、むしろ修理を主にしているたまさか人形堂。テーマになっている人形は、顔だけを徹底的に破壊された美しい大型創作人形、ラブドール=ダッチワイフ、旧家に伝わる雛人形、チェコの人形劇団を主催する鬼才、恋に狂った清姫の文楽人形、などなど。各短編も、猟奇的な心理劇から横溝正史的怪奇ミステリ、南米文学のようなマジック・リアリズム風など様々な雰囲気で、大変読み応えがあります。新潟県の旧村上藩で行われる雛祭りや、人形浄瑠璃と文楽はどう違うのかなど、勉強にもなったこともたくさんありました。あとがきに書かれた日本人にとっての人形考も興味深かったです。 続編もあるそうなので、ぜひこのまま続けていっていただきたいです。何をとってもはずれのない津原作品でした。 | ||||
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続編の「たまさか人形堂それから」が読みたくて、何年か前に手に取った本書を再読。 全く内容を覚えていなかった理由が分かった。。。ところどころ「おどろおどろしく」 感じ、そして人形に関する高説についていけなっかた模様。 しかし続編は読んでみたく、レビューをみると続編の方が良いという意見もあるので 続編に期待! | ||||
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続きは手に入れていたので、その前の話から読みたく購入。すぐに届いて助かりました。なかなか面白い雰囲気の話です。続きの続きが読みたいです。 | ||||
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題材は人形でなくてもよかったんじゃないかと思います。 人形をどう扱っているか、ほんの少しでも描写して欲しかったです。ぞんざいな印象を受けます。 それと、人形好きには不愉快に感じる描写がとても多いです。 何より主人公が全く人形を好きでないというのが読んでいて辛いです。 人形への悪口も度々あります。悲しくなります。 優しそうな表紙やあらすじだけで購入してしまうと、がっかりするかと思います。 | ||||
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2009年に出た単行本の文庫化。 6本を収める短編集。 もともと雑誌『Beth』に連載されたものだが、大幅に書き換えられているらしい。また、続編が予定されている。 人形の修復工房を舞台とした、ミステリっぽい小説である。どちらかというと、青春小説に10年、歳を取らせた感じだろうか。ホラー小説ではない。 もちろん、人形の蘊蓄も詰め込まれている。 「毀す理由」と「最終公演」のトリックが素晴らしい。なるほどね、と納得させられると同時にぞっとする。 あとは凡庸。 | ||||
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人形の物語は、作家が人形自体にコレクター的な愛着をもっているのか、そうでないのかによって、スタンスが変わってくると思います。 作家が男性か女性かによっても、人形との距離感は違うでしょうが、梨木香歩の『りかさん』、中井英夫の『人形たちの夜』などは人形自体に対する作家の思い入れから生まれている話で、読後に印象に残るのは、それぞれの人形のクローズアップ的な存在感です。 が、本作はそうではないタイプの話です。したがって人形自体が主人公としてスポットライトを浴びるよりも、人形に接するひとびとの思いや人形師というありかた、人形店の経営などのほうにフォーカスが向いています。 わたし自身はアンティークドール系のコレクターなので、こういう小説がかえって新鮮でした。 人形の怖さよりも、人形をめぐる人の気持ちの怖さや思い入れ、人形に投影されてしまっている自己像などの、戦慄させられるようなテーマが鮮やかに描かれています。 就寝中にテディベアの手足をいつももいでしまう少年とか、チェコのマリオネット芝居の上演をめぐる話とか、あとヒロインとまわりの人の会話の中に、活き人形のすごさとか、人形と彫刻の境界はどこか、とか、息をのむような鋭い洞察が見られます。人形にのめりこんでいないだけに、その距離の取り方からしか見えてこないもの、独特の角度から切り込んだと感じられる描写が多々あります。 さまざまな種類の人形に接する「人間の気持ち」を見つめた物語集です。 わたし自身は、人形そのものへの愛を語った話のほうが肌には合いますが、これは絶対捨てがたい人形譚の一冊です。 | ||||
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人形をテーマに書かれた、氏ならではの「怖さ」と「優しさ」を併せ持つ物語集です。 ミステリーの範疇に入ると思いますが、人情ものかと問われれば否定はしません。 魅力的な登場人物や語り口は、ジャンルにとらわれず読者を惹きつけます。 あっさり読めるけどコクがある。薄いけどちゃんと残る。「個性的」な人物描写の巧さ。 まさに連作短編集の面白さが詰まった素敵な一冊です。 | ||||
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小さな人形専門店(販売より、むしろ修理がメイン)を舞台にした連作短編6本を収録 200頁前半の比較的薄いヴォリュームですが、内容というか情報量は豊富 いかにも手間隙が掛かっていそうな作品ばかりで、読み応えが有ります 基本的には、人形、持ち主、または製作者にまつわる謎を絡めたミステリタッチの話が多いです 題材は創作人形、愛の人形、雛人形、チェコの人形劇、浄瑠璃・・・と多彩です 津原氏特有の酩酊感というか、幻想性といったものは控えめで、大団円のラストにはビックリだった 個人的には、ちょっと甘いぐらいのハッピーエンドな作品も好きなので嬉しかった | ||||
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冨永くんは本当にユニークな青年で、きわめて知的、冷静でありながら、ときおり情緒欠如かと思うばかりの、子供っぽい残酷性を発揮する・・・(本文より) 世田谷の小さな人形店/玉阪人形堂を舞台にした六篇の連作短編集。読み終わってからもそれこそ全く、胸中に堆積する感覚を表し難く、だけれども確実に何か特別なもので魅せられた昂揚が残る珠玉の一作。物語の粗筋だけ語るなら、三年前、勤めていた広告代理店をとつぜんリストラ解雇され、茫然と赤坂の2DKのマンションに引き籠もっていた私こと三十代の女性・澪(みお)が、はからずも祖父からくだんの人形店を継ぐこととなり、人形マニアの押しかけバイト・冨永青年と、経歴素性はいっさい不明ながら凄腕の師村さんという二人の従業員とともに、携わる様々な人形/その背後に隠れた人間模様に入り込んでいくというもの。 可愛らしいジャケット(個人的にはう〜ん、、、と思ったが)と甘い惹句に騙されるままに読み進むことも可能なように、簡潔な中に技巧の凝らされた物語だと思うが、例外なくその裏に、眩惑めいた揺らぎを覚えるところがなんともはや。津原作品の読書体験にはいつも、常の自分がわからなくなるような(大袈裟に言うなら)視座の喪失めいた感覚が付き纏う。作品の端々に埋め込まれる「ミステリ」や「幻想」あるいは「ホラー」として形容可能な要素というのは結局、先の不安と昂揚が混ぜこぜになって漂流する感覚を、現世と結びつけておくための舫(もやい)にしか過ぎないのかも、と思ったり。この感覚は無二。冒頭の一節は、個人的にはほぼそのまんま津原氏のイメージとも重なります。 | ||||
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テディベアを毀す大樹くんと、自分にそっくりな人形を毀しながら修復を依頼する美女。「毀す理由」 ラヴドールの出てくる「恋は恋」 人形の町で起こった中毒死の謎が絡む「村上迷想」 最後にニヤリとさせる「最終公演」 修復師・師村の謎が解き明かされる「ガブ」 閉店の危機の、たまさか堂について描かれる「スリーピング・ビューティ」 人形のうんちくもあり、ミステリーもあり、実にバラエティに富んでいるのに、きちんとまとまった良い作品でした。 たったの200P余とは感じないくらい、しっかりと詰まっています。 主要の3人のほか、脇のキャラクターもとても良く、会話がまた良い。 津原作品、他に読んだことがないのが残念。 今まで巡り合っていなかったことが勿体ない。 この作品の続編も、是非読みたいと感じました。 | ||||
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