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(短編集)
11 eleven
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11 elevenの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21~34 2/2ページ
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ジャンルはSFのようであったりホラーのようであったり 純文学のようであったり、あるいはそれらが混ざり合って 全く別のもののようであったり 着地点の見えない緊張感を11回も味わうことのできる短篇集 中でも冒頭に収録された「五色の舟」は 設定の奇抜さ、物語性、読後感、どれも抜きんでており 帯にある「オールタイムベストSF第1位」の面目躍如といったところ | ||||
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怪しい悲しみとも怪しさがもたらす無常観ともいえる、四谷シモン作の人形の顔が表紙。 津原泰水氏、自らの装丁だという。 この表紙に誘われて購入しました。 読み終えて、なるほどと、感心しました。 表紙は、この短編集の内容を、まさにあらわしているとも思えました。 | ||||
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津原氏の小説は『ブラバン』しか読んだことがなく、こういう作風の方だったのか、と驚きながら読了。面白い。 文章にはエッジがきいていてスラスラ読みやすい、が、語られている物語の内容は玄人好みという感じ。 台詞の言い回し、若干乱暴に投げ捨てるように終わってしまう話の流れなど、現代風だなあ・・・と思うが、冒頭の「五色の舟」には見世物屋と「くだん」が登場するなど、古めかしい題材・舞台もあって、読者の年齢を問わない感じ。 ホラーっぽかったり、SFっぽかったり、ミステリっぽかったり、ひとつのジャンルでは語れない11の短篇、ほとんどに毒があって後味悪い、が、一見無関係そうな短篇同士に、共通の名字があったり、うっすらと繋がっているっぽい題材があったり、で、時々ニヤリ。 読了後、無性にこの作者のSFが読みたい!と思った。 なので次回の津原泰水は『バレエ・メカニック』に決定。 ただし、続けて読んだら胃もたれしそう、読後の印象が強すぎる短篇集。 日常に退屈して、気を失いそうになっている方、気付けにどうぞ。おすすめです。 | ||||
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ツイッター文学賞1位ということで読んでみた。 1話目の「五色の舟」を読み終えた時は、この世界観は凄いなと思い興味を持ったが、 2話目以降は全くついていけなかった。正直、自分の読解力不足だと思うが理解不能、 頭の中にイメージも作れずに読了とあいなった。 かなり読者を選ぶ作品。普段、通常のミステリーやエンタメ作品を好んで読んでいる 方にはおすすめできません。 | ||||
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間違いなく一般受けはしないだろう。 わかりやすい感動はなく、夢のような幸せに包まれた物語もない。 ただ、現実の非情さ、無常さがどの作品にも浮き出ている。 生きていく、生きるというのは、必ずしも綺麗ではなく、醜い。 そんな慰めを感じとることもできる。 しかし僕らは綺麗なものにこそ夢を見るのだ。 | ||||
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イレブンってサッカーものなのか?とか、それにしては この表紙は何?とかって気になっていたうちに、 ちょっと忘れていて、年末恒例のミステリーランキングで 比較的上位に入っていたので、「おっと忘れてた」と買いました。 この人の本は初めて読むし、短編集というのは実は それほど好きな方じゃないのだけれど、 11ってそういうことなんですね。 意外に間違ってないかもと思ったのは、 あたかもサッカーの一流チームのように、 それぞれが全く異なる個性の文章で(1人の人が書いたの? と思うくらい語彙も文体も句読点も改行も違う)、 それぞれに違う風味のストーリーが11本 並んでるわけです。 それぞれの感想まではちょっと及びませんが、 幻想的だったり、SF的だったり、怪奇もの風だったり、 現代的だったり、掌編風だったりととにかく飽きませんでした。 だからといって次にこの人のを読むかと言われたら、 やっぱり評判がよければ、っていうくらいになってしまうのですが、 いつもと違う読書がしたい人はかなりの確率でこれまでに 味わったことのない文章に出会えます。なにしろ 11種類ですから。 | ||||
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本書には11編の小説が収録されている。内容は何れも少し怖くて怪奇な世界が描かれている。他のレビュアーの評価を見るとかなりの高評価だが自分にはダメだった。 個人的に面白いと思ったのは第1話の「五色の舟」と11話目の「土の枕」。「五色の舟」は独特の世界観がある作品でかなり気に入った。ところがその後の作品からついていけなくなる。途中で一旦挫折しかかったが、何とか最後までたどり着いて比較的わかりやすい「土の枕」は少し楽しめた。 著者の独特の世界に浸ることが出来る人には良いが、そうでない人には結構しんどい作品だと思う。 | ||||
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もはやこちらとあちらを隔てる意味すら感じない、生者の冷たい体温(あるいは死者の温かな質感)にかたどられた十一の綺譚。短編集としては("伯爵"シリーズを除けば))"綺譚集"以来7年ぶりとなる新刊だが、作を追うごとにその「見えざるものを重ね視る」視点は精度を増している。 かつて自分が破壊した女の顔が、現実の世界に浮かび上がり侵食する"微笑面・改"では、当の男がその怪を淡々と受け止め記しているところが妙に恐ろしく、その立ち居地からは冒頭で書いたような自分が「こちら」で相手が「あちら」の存在であるという認識は全く感じ取れない。他にも"追ってくる少年"や"手"といった作品を読んでいると忽ちにして現実と錯覚の境はあやふやなものとなっていき、そこで一言「しかしそんなことを云えば、人生そのものが、我々が認識している宇宙全体が、脳の錯覚に過ぎない。」などと言われてしまえば、たちまち自分というモノの脆さや、認識に対する恐怖が湧き上ってもくる。 一方で、まるで変拍子のような、躓きさえも計算された軽妙な語り口で展開される"キリノ"、穏やかゆえに、逆にその寂寞として温かく底なしに深い精神の泥沼が強い印象を残す"琥珀みがき"、さらには凡庸な人間からすれば「心の闇」としか表現できない微妙な感覚の交錯や、それに因って起こる死にまつわる顛末を題材とした"クラーケン"や"YYとその身幹"などは、そこに印され共鳴する情感が、居たたまれないほど強烈な余韻を残す。津原氏の「言葉」を扱う天才的な感性と筆の力が紡ぎ出す"テルミン嬢"は、超言語ともいうべき作用を核に、どこかSF的なニュアンスを持ちつつも、その枠組みを超えた独創的な世界観を感じさせる物語。再読となった傑作"五色の舟"も同様に、土の匂いのする幻想怪奇小説とSF的な昂揚感が入り混じった独創性を放つ。 持たざる者からすれば、ほとんど絶望を覚えるほどの感性と技巧が生み出す物語は、そのどれもが紛うことなき超一級品。常人には到底見ることのかなわない世界を視、それを欠片なりとも共有させてくれる本当の天才。先の短編集と比べて明らかに幅を増した作品群が、そのコアに在る作者の才をより強烈に感じさせます。 | ||||
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あやかしの物語を11編あつめた一冊。作者・津原泰水に関する知識は一切ないまま、この本が大変評判になっているので手にしてみました。 作者の筆が紡ぎだす言葉の数々は、優美で妖艶、流麗で奇怪。 第1編の「五色の船」は見世物興行をなりわいとする異形(いぎょう)の者たちが、人の顔をした牛「くだん(件=人+牛)」を買い求めるために岩国に向かう物語です。 登場人物たちの妖しい姿の所以(ゆえん)を細密に描写する文章にすっかり気圧されてしまいました。これは容易ならざる内容を含んでいると大いにたじろいだのです。 しかし第2編の「延長コード」で、気力を少し取り戻します。 17歳で出奔した娘が亡くなったと連絡を受け、父親は娘が厄介になっていたある家族のもとを訪れます。そこで娘の遺品として出て来たのは山のような数の延長コード。そのコードを使って父親がたどりついた娘の末路とは…。 第1編同様、これも確かに怪しい物語には違いありません。ですが、逐電以来つかみとれずにいた娘の姿を、父親が幻想の中とはいえようやく垣間見ることができたような気がして、ほんのり心が落ち着くのです。 とはいえ第3編「迫って来る少年」と第4編「微笑面・改」はまたしても底冷えする恐怖の物語です。さらにその先へと頁を繰って前進することを臆してしまいそうになります。 そこへもってきて、11編の中でもっとも私の心に寄り添う物語として第5編「琥珀みがき」が現れます。わずか6頁にも満たない掌編小説ですが、主人公ノリコが自らの来歴を琥珀の中に閉じ込めて来たという描写の美しさに、陶然と酔いしれたのです。 こんな具合に11編はいずれもが他編とは趣を異にしていて、次に現れる物語がどのように自分を震わせるのか、それは心地よい共振なのか、はたまた激しい震撼なのか、先が見通せないままの読書を続けることになります。 体力のない時に手にすると受け止めきれない物語が多く、壮健な読者にのみ許された一冊であるということを注意喚起しておきたいと思います。 | ||||
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1話目「五色の船」が相当強いインパクトを与える。だから、2話目からの読後感に影響を与える。11話は決して統一された世界観の中にはない。1話目が多重世界の話なので、それぞれが多面的な人間や世界の一断面と強く感じられるのだ。うまい構成である。 「追ってくる少年」と「延長コード」は、正直よくわからない。戸惑いだけの読後感である。すると次に「微笑面・改」なんて不条理ものが混じり、作品集をキリッと引き締める。 「YYとその身幹」は語り口に工夫をしているものの、身の回りの犯罪聞き書きで、かなり異質。「土の枕」は、近代の奇談といったところで、不思議なリアリティーがある。 読者によっては、作品の質にばらつきを感じる人もいるのではないか。 好き嫌いのわかれる作品集だから、ファンは満点以外をつけたがらないだろう。 | ||||
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一読、澁澤龍彦の再来を思った。現実とファンタジーの微妙な交錯。 暴徒の短編は家舟に住むフリークスの物語である。 彼らは自らの異形の姿を見世物として暮らしている。 お父さんと呼ばれる団長格の雪之助は脱疽で足がない。 お父さんが自死を図ったときに草むらで、 濡れ紙を顔面に貼り付けられて捨てられていた 昭助兄さんは小人症でしかも怪力である。 座敷牢に閉じ込められているところを貰い受けてきた桜は 下半身をもうひとりの姉妹と分け合っていた。 手術を受けもう一人は死んだが、体一面に鱗の刺青を施して 蛇女に身をやつして、かえるの人間ポンプを演じる。 言葉はない。 清子さんは牛女である、鼻に穴をうがち縄を通し、 頭に角を埋め込み、乳をぶらぶらさせて牛をまねる。 物語の語り手である、和郎(かずお)は、腕がない。 肩から手が生えている。足で絵を書くのが得意だ。 テレパシーの能力がある。 この家族が自分たちの仲間を見つけた。 小説の書き出しはこうだ。 「下駄屋に生まれたというくだんのために、僕らは一家総出で岩国に出向いた」 くだんは漢字で書くと件。にんべんは人。そして牛。 人が牛に生ませた異形である。口が聞けて未来を予知する。人の死も予知する。 家族がくだんの元を尋ねると、くだんは軍隊によって連れ去られるところだった。 | ||||
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11本のノンシーリーズ短編を収録 幻想、奇想、めまぐるしいまでのイメージが溢れる作品ばかりだった 「五色の船」 「土の枕」 上記二本は以前に違うアンソロジーで読んだので、割愛 「延長コード」 電気スタンドに延長コードを繋ぎまくって、 屋外の様子を探訪する 幻想的な気もするし、 良く考えたら間抜けな感じもする 不思議な味わいだ 「追ってくる少年」 小姑と母の確執など、生活が滲み出るシーンと 幻想(妄想?)ともとれるシーン 掌編といった方がよいボリュームの作品なのに、 非常にイメージが豊かだった ただし、結構グロいかも 「微笑み面・改」 顔の幻想が浮かんでいるといった題材の小説は結構あると思う その顔をどう解釈するのか、または、しないのかが肝 本作では脳の錯覚、世界の多重性といったとこか 「キリノ」 桐野夏生の特集に寄せられた作品 青春風味だった キリノと連呼したいだけでは、とも思える チョッと痛快だった 「手」 幽霊屋敷もの 「クラーケン」 犬の出てくる小説 犬の描写シーンに限れば、けっこうかわいらしい 飼い主のシーンは・・・ 「YYとその身幹」 猥雑な雰囲気の作品だった 「テルミン嬢」 SFだった 神経症を患う女性の治療が描かれる ラストには、まさかの火星にまで話が広がる | ||||
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綺譚集フリークの身としてはこれが最高傑作と謳われるのをよしとしたくないんだけれども、個々の作品の出来はこちらの方が断然上。 言わば荒削りな中に毒性にも似た熱量が文脈から零れていた『綺譚集』と違い、精巧であり緻密な造花を思わせる『11 eleven』のそれはとても冷ややかで、零れ落ちる寸前に凝固しこちらを睨んでいるかのよう。 だからこそ『綺譚集』は一編一編から洩れた熱量が、一冊から放たれるアトモスフィアへと至り、類稀なる短篇集としての風格へと転じていたわけだが、 一方の『11 eleven』は暴力的な威風を感じさせることなくただ頑丈な砦としてそこにある。半ばスタイリッシュとも思しきその佇みを信頼し、門を潜ってみると、天井にも壁にも抜け穴ひとつきりなく息詰まる空間に情念が渦巻いているのを見る。逃げようかと案ずる暇もなく、壁の冷たさに肝を震わしながら奥へ奥へと進むしかないのだ。 さながら……、 極彩色と至上の甘みで惹きこむラフレシアの如き、血塗られた『綺譚集』。 灰色の砂地に身を潜め、疑似餌を揺らめかしながら獲物を待つ深海魚の如き、静謐なる『11 eleven』。 いずれにせよ、津原泰水は一流の罠師である。その罠に嵌れば苦痛である。苦悶である。 だがその罠から解き放たれたときの、虚しさといったらない。 そうしてまた新たな罠が捕えてくれるのをひたすら待つのだ。罠の感触を幾度も味わい、反芻しながら。 | ||||
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津原泰水の最新短編集『11』を読んだ。茫然としている。今まで腐るほど小説を読んできたが、これほどまでに水準の高い短編集には久しく出遭っていなかったからである。「珠玉の」などという紋切り型の賛辞を突き抜けている。圧倒的な完成度だ。そして、めちゃくちゃに面白い。あなたが小説好きなら、『11』を読んで絶対に損はしない。ものすごく得をする。そう自信をもってお薦めできる。 ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉がある。プロの音楽家にファンが多いプロの音楽家のことだ。津原泰水は、間違いなく「今の日本の文学界における、ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。プロの小説家にファンが多いプロの小説家だ。総ひのき造りのような香り高く美しい文体で、奔放にして卓抜なアイデアが、複雑精妙な構成によって語られるのである。津原泰水ならではの「三位一体」である。しかも、『11』の収録作品は、約10年間の作品群から選び抜かれているのだ。津原泰水のエキスを、ぎゅっと凝縮したような短編集なのである。 11編の収録作品について簡単に触れておきたい。「五色の舟」は見世物を生業としている一家と、真実のみを語る怪物くだんの話。「延長コード」では家出少女の奇妙な収集品が彼岸と此岸を結びつける。「追ってくる少年」は無惨な事故の後日譚。「微笑面・改」は彫刻家とモデルの間の愛憎劇。「琥珀みがき」は少女が磨かれて大人の女になるストーリー。「手」は"好奇心が猫を殺す"話。「クラーケン」は犬好きも犬嫌いも息を呑む作品。「YYとその身幹」は完璧な美女についての考察。「テルミン嬢」はナノマシン医療と音楽が結合した可憐にして雄大なSF。「土の枕」は民話のように凝縮された戦争の物語。 そして「キリノ」は、作家の桐野夏生の特集に寄せられた痛快無比な「小説」である。 最後に。Amazonのこのページに掲載されている書影の印象的な人形は、四谷シモンの作品である。瀟洒な装丁は、著者の津原泰水自身によるもの。この美意識に「何か」を感じたなら、本書『11』は必ずその予感に応えてくれる。 11 eleven | ||||
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