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フーコーの振り子
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【この小説が収録されている参考書籍】
フーコーの振り子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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「すべては繋がっている」という「陰謀のセオリー」。われわれはあふれる記号の海を生きている。直感と推論なき歴史学など存在しない。この作品では、「陰謀論」の生成過程が濃密に活写されている。そしてそれがテンプル騎士団、パルチザン伝説、そして「鉛の時代」の「連関関係」とオーバーラップしている。「つながり」を「発見し」、偽史を練成していくプロセスの描写の濃密さは、見事。 でも、とにかく記号の羅列、羅列なので、正直読むのがしんどい。「薔薇の名前」と比べ、小説として成功しているとはいえないのではないか。でもエコである。彼の美学史や記号論に興味がある人ならきっとわかるかも。この作品が研究者ならば、想像力あふれる研究者ならではの妄想だということが。 あと訳がよくないのだろう。よみにくい。 | ||||
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エンターテイメント性では前作が上。そして物語のスケール、緻密さでは本作が上。出来は甲乙つけ難いと思われます。エーコの膨大な知識をいちいち検証しようと思って読んでいたらいつまでたっても読書が進みませんので、「えいっ!」っと作者を信用してひたすら読み進めるのが吉と思われます。ふたつの時間軸が前後するのも、よくある構成とはいえ、読者を混乱に陥れる原因となります。そしてどこまで史実に則って、どこまでがエーコの創作なのかわからない物語の伏線も。 文庫化されて入手もしやすくなりましたし、物議を醸す訳もありますが(「恐れ入谷の・・」以外にも驚愕の訳がいくつか登場します。確かにやり過ぎ。)、ストーリーを追う上ではそれほど障害にはならないと思われます。というか、日本語以外で読むのはきっと辛すぎ。 「薔薇の名前」に魅せられた方は是非怖がらずにご一読を。 | ||||
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エーコは翻訳にあまり重点を置いていません。翻訳とは原語を自国のよく似た言語に変換するわけですが、情報工学のエントロピーの法則では翻訳すれば情報のかなりの部分が拡散します。記号学者エーコが研究している大きなテーマでしょう。フーコーの振り子では『薔薇の名前』以上のエーコのストーリーテラーぶりを見せていただきました。この本はオカルト的な神秘さと日常に潜む興奮とに満ちています。エーコは百科全書的学者で私たちに眠れぬ夜を与えてくれます。是非一読してください。 | ||||
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~ymatsui4さんが書いておられる素粒子加速装置は"Metacyclosyncrotron"(英訳)だと思うのですが、この英単語の意味は今ひとつ意味不明です。イタリア語の原文では"(il) grande~~ Metatron)"となっています。Metatronはユダヤ教の最高位の天使だそうで、文字通りに解釈している邦訳は問題ないのではないでしょうか。「恐れ入谷の鬼子母神」の少し前には「硅素渓谷」という語がありますが、これは「シリコンバレー」と訳すべきでしょう。また、69ページ二行目の「四掛ける一〇の二十八乗」は67ページの後ろから五行目に「四四四にゼロを三十六個~~つけたもの」とあるように「四掛ける一〇の三十八乗」の間違いです。日本の数字で言えば、四穣ではなく四百澗になります。この部分に続く数字を見ても、「四掛ける一〇の二十八乗」としたら、1分で計算できる組合せが七澗になる訳がないことが判るかと思います。~ | ||||
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日本語版が余りに劣悪なので,英語版に切り替えたら,読了に1箇月かかった.いけさんが怒って居られる恐れ入谷の鬼子母神は,英語版では Amen. その前の行に素粒子加速器を表す長い学問用語があって,聞かされた方がもう沢山だと言う意味でそう唱える.一般に,用語は宗教から錬金術,現代科学まで厳密で,ふざけた言葉は出てこない.薔薇の名前のレビューに述べたように,Eco の語彙は実に巨大で,イギリス人も英語版は字引が必要だ,とこぼす有様 (Amazon.co.uk を見て下さい). 話し手の Casaubon は,Templars (Knights Templar) の研究でミラノ大学の博士号を得たが,periscope に取付かれている上に,現実と幻覚を区別できない.主な議論相手のBelbo は,振り子に取付かれている.そんな彼等の前に,一斉に処刑された Templars の復讐計画書なるものが持ち込まれる.もう一人の編集者と三人で,これを種に思いつくままに様様な文書やアイディアを MS-DOS パソコンのデータベースとして加えて行く.出来上がった彼等の計画書は,あと一つ,地図さえ見つかれば,思いのまま世界を支配できる,というもの.こうして,パリの Conservatoire des Arts et Metiers で,Templars の総会が開かれ,Belboは人身御供として振り子に殺される.Casaubon の欠点で,どこまで本当だったのかは判らない.それより先,Casaubon の愛人 Lia (子供もいる) は,復讐計画書の原本を研究して,これが現代の,洗濯屋のメモだと結論づける. 結局,この大作はなにを言いたいのか.恐らくBelboたちのやったようなでっち上げがどんなに危険かを例示し,ついでに,怖ろしい心理スリラー (あるいは,怪談) として纏め上げたのかと思われる.なお,英語版でも,フランス語,ドイツ語,イタリア語,ヘブライ語,ギリシャ語が断りなしに現れる有様で,余り読めとは言えない. | ||||
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個人的には面白かったけど、その絡み合う縦糸と横糸の接点に浮かび上がってくるものの、何処までがまじめで、何処までがジョークで、何処までが暗喩か、よくわからない。 そういうもの全てが渾然一体となってフーコー・ワールドを形成している、ということなのかもしれない。 割り切って読む分には面白かった。 生真面目な理系の人にはおすすめできません。「おいおい…」といいたくなるような箇所がたくさんあるかも。 | ||||
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個人的には面白かったけど、その絡み合う縦糸と横糸の接点に浮かび上がってくるものの、何処までがまじめで、何処までがジョークで、何処までが暗喩か、よくわからない。 そういうもの全てが渾然一体となってフーコー・ワールドを形成している、ということなのかもしれない。 割り切って読む分には面白かった。 生真面目な理系の人にはおすすめできません。「おいおい…」といいたくなるような箇所がたくさんあるかも。 | ||||
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読んでいて訳がすごいなと思いました。 最初あたりに出てくるんですが、 「恐れ入谷の鬼子母神」って…意訳するにもほどがあります。 「当たり前田のクラッカー」と同じノリじゃないですか!!!雰囲気ぶち壊しです。 題材などかなり興味深かったのですが、これにやられて挫折しました。 これを乗り越えると面白さを味わうことが出来たのでしょうか。それにしてもいただけない。翻訳者を恨みます。 洋書で読もうと思ってます。 | ||||
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はっきり言って、この先一生この話を完全に理解することは出来ないかも。 それでも十分おもしろかった。 たぶんヨーロッパ中世のいかがわしさに興味のない人には、 全然おもしろくない話だと思うけれど、 澁澤龍彦系が好きな人には、かなりおいしい話だと思う。サスペンスフルな展開で、 テンプル騎士団の謎が少しずつ明かされていくところは、これって本当の話なのかと思わせるくらい説得力があった。 未だにヨーロッパって裏でいかがわしい秘密結社なんかが はばをきかせていても納得できる雰囲気があるしね。それからクセのある登場人物の話や、出版界の裏話なんかも楽しい。 一番好きなのは、かなりモンティ・パイソン入っている 大学改革構想のところ。まったく無意味な学科を創るという遊び(?)だけれど、 思わずニヤニヤして、自分でも考えてしまった (「サハラ砂漠の群集心理」とか「南極農業史」とか くだらないけど、頭は使う)。とりあえず読み終えたことで、自分で自分をほめたくなるし、 これ読んだってだけで、インテリになった気分が味わえることだけは、 間違いないと思います。 | ||||
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きっと読みきるのが難しい部類の話だと思う。 まき戻る時間、突然現れるベルボの小説のような小説、出版社の事務室の中のマニアックすぎる会話、時折現れるサンジェルマンの影、場と心を乱すロレンツァの姿。 最初は遊び半分、けれども次第にのめりこんで行く「真実を作りだすこと」に、もし読んでいるこちら側もハマってしまったら、多分、物事を見る目が少し歪んでくると思う。 読後、物事を片端から関連付ける癖がついてしまって未だに苦労している。 テンプル騎士団や薔薇十字、ユダヤ教の秘儀、ゴーレム、オカルトの知識がほとんどないのでぽんぽん飛び出す専門用語には苦労するけれど、それを知るのも醍醐味。 難をつけるなら、これはどう見てもミステリーではないだろう。 ラストを迎えても、考えねばならない事がたくさんありすぎる。 | ||||
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「ウソでも百回繰り返せば本当になる」と言ったのは誰だったか。 迷信、迷妄、それ自体が実体の無いものであったとしても、それを信じる人が力を持つようになったとすれば、それはもう立派な現実となってしまうのである。これはそんなようなお話だ。物語は壮大な言葉と歴史とオカルトの探索の旅、知的好奇心はシビレっぱなしである。めまいがするほどに巨大な知の殿堂。宝捜しのような楽しさが、突然怒涛のように動き出すサスペンスに侵食され、あとは一気にラストへなだれ込む。ガラス越しに安全な場所から謎を楽しんでいたはずの傍観者たる自分が、気がつけば当事者に。この恐ろしさ、ドキドキ感。味わわずしてなんとするか。 | ||||
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出だしの難解さに思わず読むのを止めてしまおうかとも思ったが、上下巻とも買ってしまったのでもったいなくて留まった。そこを何とか突破したあとも、この作者はオカルト文献を片っ端から研究したのではなかろうかと思われる程の膨大な知識が披露されてしまうのだ。でも、それに耐えても先に読み進みたくなるのは、ストーリーが面白いから。読み終えた時には、なんてオシャレな物語なんだ、とさえ思えるほど爽快な気分になった。 | ||||
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