■スポンサードリンク


奇術師の密室



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)

奇術師の密室の評価: 4.08/5点 レビュー 13件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.08pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

マシスン作品の翻訳が相次ぐのは慶賀すべきことではありますが…


 往年の名奇術師デラコートは脳卒中の後遺症で今は体の自由が全く利かない。後を継いだ息子のマックスに世話になりながら屋敷でじっと暮らす身だ。息子の妻カサンドラは相当な野心家。そしてその弟ブライアンも一癖ある人物だ。彼ら登場人物たちに、マックスのマネージャー、ハリーが加わったある日、想像を絶する愛憎の物語が展開する…。

 「トワイライト・ゾーン」、「激突!」、「ある日どこかで」といったTV/映画業界で幻想と恐怖の世界を長年描いてきたリチャード・マシスンの1994年の作品「Now You See It...」の翻訳です。昨2006年にようやく日本で出版され、「このミス2007」のベスト10にも選ばれました。

 私は30年来のマシスン・フリークで、彼の作品が数えるほどしか日本語で紹介されていないことにしびれを切らし、この20年はロンドンやニューヨークの古書店で彼の原作本を買い集めてきました。本書の原作も持っています。ですから近年、彼の作品が遅ればせながら翻訳されたり復刻されたりしているのは、ファンとして大変喜ばしいことだと思っています。

 しかし、残念ながら本書はマシスンにとって、円熟期を過ぎた頃の作品です。読者を震え上がらせ、めまいを起こさせるような異界をつきつけてくれた(1950〜1970年代の)作品を知る私にとって、本書はマシスン翁(68歳)のちょっとした片手間仕事にしか見えないのです。こうしたどんでん返しや化かし合いの物語は類似のものが数多くあり、本書の展開は新奇さに欠けます。映画化された「悪魔のような女」、「探偵スルース」、「デストラップ 死の罠」などの傑作に比べると、もう本書は古いといわざるをえません。

 マシスンの作品は本書よりも「13のショック」や「地獄の家」がやはりお勧めです。

 *ひとつ誤訳がありました。
 「いまは十九世紀だぞ」(72頁)→「いまは1980年だぞ」
 

奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)Amazon書評・レビュー:奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)より
4594051979

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!